スレイヤーズ  

悪戯心が湧いてくる――。  
あなたと淫らな事をしてみたい。  

■■■  

「お帰りーゼル、案外早かったのね」  
「――またお前か……」  
ベットに寝そべり、引き寄せたナイトテーブル(山盛りのクッキーが乗っている)に手をのばしている少女――リナ。ゼルガディスは無駄と知りつつも、彼女を睨み付けた。  
他人の部屋に勝手に入っているにも関わらず、悪びれもしない彼女の様子にため息を禁じ得ない。  
「なあに?疲れてんの?――はい、あーん」  
ゼルガディスの口元にクッキーを差し出す。  
「……」  
「疲れてる時は甘いものが一番よ。はい、あーん」  
断れば機嫌を損ねる――そんな事は火を見るより明らかだ。そしてその鉾先が自分を含め、全く事情を知らないアメリアや、もとより訳の分かってないガウリイに向けられるのだろう。  
「甘っ…」  
「ほいひーへほ?(おいしいでしょ)」  
「口に物を入れたまま喋るな。で、旦那とアメリアは?」  
「なんかね、海に行くって。夕方までには帰るそうよ」  

窓の外、古い町並みの向こうに海が見える。ここは漁業が盛んな海岸都市だ。  
軋んだ音を立てながら窓が開かれると、潮の匂いが飛び込んで来た。  
「風が強いから閉めてたのに……」  
乱れる栗色の髪を押さえながら、リナは口を尖らせた。  
「甘いんだよ、部屋の中が」  
「あたしは甘いの好きだけどな」  
さわさわと、風が彼女の髪を揺らす――潮の香りに混じって、別の鼻孔をくすぐる匂いがした。  
ゼルガディスはリナの髪を一房すくい取り、鼻先に持って来た。  
「これ、ここ(宿)のシャンプーか?」  
「そうよ。備え付けのシャンプーがあるのに、自分の使う訳無いでしょ?」  
いかにもリナらしいその台詞に、珍しくゼルガディスは吹き出す。  
「なにー?その笑い。……もしかして、潮臭い?」  
ベットにがばっと起き上がり、髪を鼻に押し付けクンクンと嗅ぐ――自分じゃわかんないわと眉をひそめ「部屋にいても匂いが付くんなら、一緒に海へ行けば良かった」と、のたまった。  
「今から行って来たらどうだ?」  
「――ゼル、あたしを追い出したいのね」  
「誰もそんな事言ってないだろう」  
「部屋が甘いだの、髪が潮臭いだのさ」  
この少女にしては珍しくしおらしい態度に、ゼルガディスの心臓が跳ねた。  
思わず抱き締め「いい匂いだって言ってんだ」等と柄にもないセリフが出、「あたしとシたくなった?」なんて――気が付くとリナを押し倒していた。  

いつだって彼女のペースだ。  
「ね、これ使ってみない?」  
いつの間に外したのか、リナが自分をバンダナをゼルガディスに突き付けた。  
「な……?」  
「緊縛プレイ」  
「――ひとつ聞いておく、どっちがどっちだ。ここまで盛り上がって今さら止められんから付き合ってもいいが、俺が縛ってお前にするのか、お前が縛って俺にするのか。返答次第では今すぐ逃げるぞ」  
ゼルガディスは一気にまくしたてた。  
「そうね、あたしがゼルを縛っていろいろするってのも……逃げんな!――じゃなくて、縛られてみたいの、あなたに」  
リナはゼルガディスにバンダナを渡した。  
■■  
頭上高く一つに纏められた手が、ベットのヘッドに通っているパイプに固定される。  
「なんか、気分出て来ちゃった……」  
まだ何もしていないのにリナは顔を上気させ、期待のこもった目でゼルガディスを見つめた。  
「乱暴にして?レイプするみたいに」  
「(もとよりそのつもりだが)入り込んでドラスレなんかブッ放すなよ」  
まぁリクエストもあった事だしここは一つ乱暴に行くか――と思う。それにこの生意気な少女を泣かせてもみたい。せいぜいそれらしく犯ってやろうじゃないか。  

意を決したようにリナの上着を引き裂くようにはだける。  
両手で彼女の乳房を強く揉み込み、すでに硬くなっているしこりを摘まみ上げた。  
「あぁっ!…っん……や…ゼル、キス…してく…れ…ないの?」  
「レイプ犯がキスなんぞするか」  
胸への愛撫もそこそこにズボンを下着ごとずりおろす。リナの足を広げ身体を割り込ませながら、片足を肩に担ぎ、いきなり彼女の中へ指をつっこんだ。  
「いっ…痛っ…ゼ、ル…」  
リナの言葉を無視し、強引に指を2本に増やす。  
数回抜き差しすると、蜜が溢れて来た。指を抜いて、自分のズボンをずり下げ――  
「やだっ…まだ濡れてなっ…あぁっ!」  
まだ十分にほぐれていないリナの中――無理矢理ねじ込むように挿入させると、彼はきつく打ち込んだ。  
「いやぁっ!やだっ!ゼルっ…!」  
言葉以外抵抗するすべのないリナの喘ぎに、かえって興奮が高まって止まらない。  
激しくなるぜルガディスの打ち込みにリナは――  
■■  

宿の前を歩く大きな身体と小さな身体。二人の足がふと止まり、小さな身体の方が空を見上げる。  

「すわっ!あれはリナさんの悲鳴!不肖アメリア、今すぐお助けします!」  
「ちがっ…!アメリア、違う!」  
「レビテーション!」  
ガウリイの制止も空しく、アメリアは一直線に窓へ飛んでいく。大きくため息を付くと、ガウリイは窓のすぐ下まで足を進めた。  
――ほどなく、絶叫とともにコントロール不能で落ちて来るだろうアメリアの為に。  

■■■FIN■■■  

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