「あ………っ」
漏れそうになる声を唇に手の甲をあてて押さえる。
右の手指はズボンの中に潜り込み、下着の上から脚のつけ根をいじっ
ていた。
触れるその場所は、汗ではない体液で薄い布地を湿らせ、指を濡ら
している。
「………くぅ……んッ」
押さえても押さえても、喉の奥で鳴る声は自分のものではないよう
に感じる。
薄靄のかかった思考の隅で、冷静に今の状況を観察している自分が
いた。
いつもの旅路。
その中でいつもと違ったのは、足元が崩れたことだ。
山奥深くで道に迷うことは今までにも何度かあった。
気が付けば足場の弱い場所だったようで、ガウリイにオチャメに攻
撃魔法のプレゼントをした瞬間、足元が崩れたのだ。
山の斜面が崩れて土砂と一緒に転がり落ち、その先にあった崖から
真ッ逆さま。
さほど高さがなかったのと、盗賊から頂いたお宝さんの入った荷物
が下敷になったから怪我はしなかったけれど。
あとで選り分けようと思っていた薬瓶がひとつ、割れてしまった。
あたしの横で、ガウリイは大きな岩の下敷になっていた。
さすが、ガウリイ。
といったところだろうか。
大人の男が二抱えするほどの岩の下敷になっても、命に別状はない。
まあ、怪我はしているけど。
宿に入り治癒をかける。
直撃をうけた背中が痛いというので、鎧を外し、上着も脱がせた。
傷口が汚れている時に治癒をかけると、バイキンが増殖してしまう
ため、濡れた布で素肌を拭いてから治癒をかけた。
「リナ?」
呪文を唱えている時に声をかけないで欲しい。
「熱でもあるのか?」
確かに。宿に帰ってきたあたりから、体が火照り動悸がする。
ガウリイは首だけ動かして、背中に手をあて呪文を唱えるあたしの
様子を伺っている。
「気のせいよ。はい、治療は終り」
ポン、とガウリイの背を叩いて立ち上がった。
「あっ、おい。リナ!」
あたしはガウリイの呼び止める声を無視してドアを開ける。
そしてそのまま自分の部屋へ飛込んだ。
それで冒頭に戻るわけである。
どうやら崖下に落ちた時、割れた瓶に入っていた薬品は媚薬の類だっ
たらしい。
気が付いたのは、ガウリイの治癒を終えた時だ。
何の裏もなく触れた彼の背中。
掌で軽く触れただけにも関わらず、触れた熱にあたしの体は反応し
た。
嘘でしょ?たったアレだけで。
戸惑う想いも押し退けて、勝ったのは体の欲求。
あたしは自分で、そういう欲求はないのだと思っていた。
だからというかなんというか…実は自分でイタしたこともない。
そういう知識は最低限あるつもりだったけど、いざその欲求が体に
起こるとワケがわからない。
今あたしの中に篭っている熱が、ソレであるのだと気付いたのも、
指先が股間へと伸びてからだった。
部屋に入って、ベッドに身を投げ出したその後で、彼に触れた掌を
自分の唇へあてた。
あの逞しい背中に爪を立ててみたい。
思い切りすがりついて、体温と彼の匂いを感じてみたい。
ふとよぎった思考。深く考えもせずに、自分の体を強く抱き締めた。
ピクリと体が反応する。
体を動かした拍子に、擦れてしまった股間が熱くなっているのに気
付く。
恐る恐る手を伸ばして、その場所に触れた。
ズボン越しに触れたそこは、体温が上がっていることを伝えている。
もどかしく切ない感触に体と心が震え、自分が欲情しているのだと
知った。
ズボンの上から軽く触れていただけの指は、やがて大胆な動きに変
わる。
さすがに直に触れる勇気はなく、ズボンと下着の間の狭い空間で拙
い動きを繰り返した。
「ぁ……あぁ」
彼に対して好意を持っていることは事実だったけれど、こういう対
象としての好意を持ってしまったことに、堪らない羞恥を感じる。
おひさまのように微笑うガウリイを、あたしは今、妄想の中で汚し
てしまっているのだ。
あの太い指が触れたのなら、いったいどういう気分だろう?
いつもおひさまのように微笑う唇が、あたしの肌を這ったのならど
ういう心地がするのだろうか。
「……あ。…ぃ…………がうり」
「おう」
「はぇ?」
「ぎぃゃああああああぁぁぁぁぁぁーーーッ!!」
「うわっ!こら、リナっ落ち着け!!」
「むぐぅっ」
ななななななななななんでガウリイが目の前にいるのよーっ!
突然目の前に現れたガウリイに、あたしはパニくった。
大声を出したあたしの口を、こともあろうに彼は彼自身の唇で塞い
でしまった。
うぎゃー!舌っ舌がッ!!
「む……ふ、ん…んんっ」
ガウリイの舌があたしの口内で動き回る。天井のあたりを舐められ
て体が跳ねる。
だめ。もうなにも考えられない。
ガウリイがどうしてここに居るのか、どうしてあたしに口付けてい
るのか。
もうなにも考えたくない。
「リナ」
僅かに唇を離して彼があたしの名を呼ぶ。そしてまたすぐに唇を重
ねられた。
いつもと違う声。いつもよりも熱く低い声。
いつもどこか余裕を持った彼の態度が崩れている。熱く、せっぱ詰
まったような気配に、あたしの体は熱をあげた。
「………ん」
吸われ、舐められ、甘噛みされる舌。
あたしも堪らなくなって、拙い動きを返した。
すがり場所を求めた腕は、ガウリイの首に回す。そうすると、キツ
く抱き締められた。
薄目を開けてガウリイを見れば、嬉しそうに見つめる青の瞳にぶつかった。
「リナ、リナ、リナ………好きだ」
嬉しそうに細められた瞳。告げられた言葉に頬が熱くなる。
「抱きたい。抱いてもいいか?」
あたしからは恥ずかしすぎて言葉には出来ない。
直球な要求に、あたしから口付けることで答えを返した。
軽く音がする戯れるようなキスを繰り返す。
緊張も戸惑いも、強い羞恥さえも歓びに変わってしまう。
ガウリイの指は優しく髪を撫で、頬を撫でる。頬を辿っていた指先
はそのまま下へと降りて、服を乱れさせた。
乱れた上着の合わせ目から大きな掌が肌を伝い、侵入する。
「……っ」
あたしは必死で息を殺す。こわばったあたしに小さく苦笑して、侵
入を進める掌はそのままに、優しく額にキスをくれた。
ガウリイの掌が、あたしの小降りな胸に達する。
「やわらかい…」
「…………どうせ大きい方がいいなーとか思ってんでしょ」
嬉しそうな声が恥ずかしくて、ついついいらない台詞を吐いてしま
う。
わざと怒ったような声音を出して、彼が言う。
「そんなこと言うヤツは、オシオキするか?」
「ひゃぅッ!」
強い衝撃。ガウリイが胸の先を擦ったのだと気がつけぬまま、声を
上げた。
「あっ!や…やだ、なに………ひあぁっ」
「やっぱりリナは感じやすいんだ?」
耳元を熱く湿ったものが這う感触に、さらに高い声が溢れる。
唇は鎖骨のあたりで強く吸い付き、下へと降りていく。
すでに上着は完全にはだけてしまっている。
先端を擦っていた指は、乳房を揉みしだきながら気まぐれに乳首に
触れる。
反対側の胸には熱い唇がたどり着き、先端に吸い付いた。
甘くてもどかしい。
切なくて堪らない。
この熱い感じこそが快楽なのだろう。
初めて感じるその感情は、あたしの脳をとろけさせた。
あたしにもガウリイが移ったのかもしれない。だって、なにも考え
られない。脳みそが溶けてヨーグルトみたいにドロドロになっている。
「あ…………ふぁっああ、あ、ん。がう…ぃ」
「リナ、かわいい」
「やぁっ、あん…んんっ」
ズルリと下の着衣を全て取り払われてしまった。
熱くなった場所が、外気に触れてヒヤリとした。
「す…げぇ。ぐしょぐしょになってる」
「言わないでよ、馬鹿っ」
脚のつけ根は溢れた体液でグッショリと濡れている。何も言葉にし
なくてもいいのに、意識的か無意識か、ガウリイはあたしの羞恥を
あおっては追い上げていく。
薄暗い室内でさえも、彼の目にはハッキリとその場所が見えている
のだろう。
少しでもガウリイの視線から逃れたくて、自分の腕を交差させて顔
を覆う。
そうすることは裸の胸や下半身を晒け出すことだと分かっている。
快楽に歪み紅潮した顔を見られるよりもマシだと思った。
それに恥ずかしくてガウリイの顔を見られないのだ。
感じる視線を意識の外へと追いやってしまえば、素直に身を委ねる
ことも出来るだろう。
「く…ぁっ」
視線から逃げたあたしを嘲笑うように、無防備に晒した裸体をガウ
リイが撫ぜる。
敏感な場所を避けるように触れるか触れないかのもどかしい力。
擽ったいはずのそれでさえもビクリと体が反応してしまうのは薬の
せいなのだと自分自身に言い聞かせた。
「強情」
ガウリイは呟くように言って
「やっぱりリナはリナだな」
と笑った。
弱い力で触れていた指が徐々に強くなり、下腹部へ向かう。
緊張と恐怖と期待に、あたしは背中をヒクつかせた。
「っ」
ぐいっと膝を持ち上げられて息が詰まる。
濡れたその場所に熱い視線が突き刺さる。
息がかかるほどの近さにガウリイが頭を寄せた。
「ひゃぅ………っ…あ…ぁッ!」
思わず高い声を上げて身をよじる。
「ああッあ、あ、あ…ぅ」
しっかりと捕まれた下半身は動かせずに、上半身だけが逃げを打つ。
敏感な尖りをガウリイが吸っているのだと気付いたのは、強い刺激
にたまらず見下ろした時だった。
「ゃああああぁぁっ!」
ふざけてちゅうちゅうと音を立てながら敏感な芽に吸い付くガウリ
イ。
「いやだ、やめろ」の台詞も言えないままに、ロクに動かせない身
をよじって単語にすらならない声を上げた。
くちゅ…ちゅっ
ぢゅっ、ちゅる。
音を立てて吸い付きながら、時折尖らせた舌を使って潰すように
唾液と愛液で濡れた芽をいじる。
あたしの脚をしっかりと固定していた彼の腕は、いつの間にか外さ
れて指や掌が脚のつけ根をさ迷う。
下半身だけが別の生き物のようにビクビクと波打った。
ふ…っ
吐息がかかって、あたしの股間に顔を寄せたままのガウリイが微笑
む気配がした。
「我慢するなよ」
そこで喋るんじゃない!
「どんどん溢れてくる」
言わんでいいっ!
反射的にスリッパを探して手が動くが、濡れた場所に指を差し入れ
られて、シーツを掴むだけで終った。
「くぅ…っ」
「さすがにキツイなあ…。痛いか?」
初めて感じる圧迫感。ツラいものはあるけどまだそんなに痛くない。
言葉で伝えようとしても、うまく息が出来ない状態では、うめくよ
うな声しか出せなかった。
フルフルと軽く首を振って、大丈夫だと示す。
ゆっくりと進む指の感触が体内にあるのが分かる。
「!」
ある一点でガウリイの侵入が止まった。
先程よりも違和感を強く感じる。
「リナ、ちょっと痛いかもしれん」
股間から顔を離し、まともに呼吸の出来ないあたしのこめかみあた
りに優しくキスをする。緊張に強張っていた体から、余計な力が抜
けて少しだけ違和感が薄くなったようだった。
止まった場所は、あたしの体内の中で狭くなっている場所らしい。
顔中に軽いキスと、侵入している手とは逆の掌で頭を撫でられた。
そして優しく、強く指が奥を目指す。
「……………はぁ」
一番奥にたどり着いた指に、溜め息が漏れる。
入り口あたりに違和感はあるものの、中の道に逆らわず差し入れら
れた指は、不思議と体に馴染んでいる。
くちゅりと音を立て、ゆるやかに指が抜き差しされる。そのリズム
にあわせて、あたしの唇から甘いあえぎが溢れた。
「ん……っ、んぁっああ、あ…ゃぅ」
「リナ、かわいい…。もっと感じて」
「や…がうり……がうりぃっ」
いつの間にか増やされた指が、バラバラに動いているのを感じる。
嬉し気に目を細めたガウリイが、何度も何度も顔中にキスの雨を降
らせた。
激しい指の動きとは裏腹に、優しく甘い彼の表情に堪らなくなる。
思うように動かせない腕をガウリイの首へと回し、必死でしがみつ
いて何度も名前を呼んだ。
押し寄せる感じたことのない感覚。
喉がヒクつき、背がしなった。
何かが押し寄せてくる………っ
「あぁ…ぅ………ッ!」
ビクビクと体が跳ねた。張り詰めていた力が抜けて、四肢を投げ出
した。
ちゅっと音を立てて、ガウリイとキスをする。いつもより優しく髪
を撫でられた。
撫でられる感触が心地良くて、あたしはスリスリとガウリイに擦り
寄った。
「……あ。」
ガウリイの胸元に擦り寄ったあたしは、ふと気付く。
「ん?」
「ずるい」
「どうした?」
「あたしばっか、脱がされて。あんたは何でもないなんてズルイ」
頬にあたるガウリイの服の感触に、あたしは不機嫌な声を上げた。
あたしの体を隠す布地はない。先程の行為で汗ばみ、髪も乱れてい
るというのに、その行為を施したガウリイには乱れた様子もない。
「不公平だわ」
確かにガウリイの瞳の奥には、いつもとは違う熱が灯っている。
それはあたしにも分かるのだけど…。
「うわっ」
なんだかムシャクシャしてきて、まとわりつくガウリイの腕を押し
のけ彼を押し倒した。
「リナ…?」
「ムカツクわ。あたしばっかり、あんな恥ずかしいことされるのは」
「おい、ちょ…っなにやって……うわぁっ!」
勢いに任せて、ガウリイの服をひん剥いた。
慌てて身を起こすガウリイ。丁度良いとばかりに、たくし上げた彼
の上着を抜き取る。
「ん…っ」
ジタジタとあたしの下で慌てているガウリイの首筋に口付けた。
ピクリと唇で触れた肌が反応し、ガウリイの動きがおとなしくなる。
静かになった彼に気を良くして、彼の首を舐め上げる。
ちぅ、と音を立てて吸いつけば、うっすらと肌に赤い花が咲いた。
「リナ」
喉仏に唇を這わせれば、ガウリイが低くあたしの名を呼んだ。
直接伝わる声の振動に、触れた唇が甘く痺れる。
「くすぐったい」
ガウリイは少しだけ余裕を取り戻したらしい。笑いながら、あたし
の髪を撫でる。
あたしは知らん顔をしてガウリイの肌を吸う。
余裕のある表情が腹立たしい。
あたしの耳元を擽りだした悪戯な指から逃げるように、触れる場所
を下へと変える。
恐る恐る掌を這わせれば、指先にガウリイの胸の飾りが触れた。
男の人でも何か感じるのだろうか。
ガウリイの反応が知りたくて、少し強めに爪を立てた。
「…………っ」
息を飲む気配がしてガウリイを見上げる。眉間を軽く寄せた彼の瞳
と視線が交わる。
ゾクリとなにかが背筋を駆け抜けた。
熱い視線にゾクゾクする。
彼が乱れる様を見てみたいと、あたしの中で欲望が溢れそうになっ
ている。
「……り、な」
ガウリイの息が少しずつ乱れはじめている、その事実がたまらない。
期待と困惑の入り混じった彼の視線が心地良い。
爪を立てたその場所を慰めるように、たっぷりと唾液を乗せた舌で
触れる。
くちゅくちゅ、ちうちうとワザとらしく音を立てる。
掌はガウリイの肌をたどって下へと向かわせた。固く引き締まった
筋肉の感触を掌で感じながら。
「…ん」
腹筋を撫で、臍のあたりを擽る。ガウリイの胸に吸い付いていた唇
も少しずつ下へ下へと移動させた。
「……………っ」
ピクリと今までよりも大きくガウリイが反応する。
「うわ…っ…すご………」
掌で確かめた彼のその場所は、熱く固くなっている。
他の人のものを見たことがあるわけでも、彼の平常時を知っている
わけではなかったけれど。確かにそこは熱く大きく反応を示してい
ることが分かる。
初めて目にするガウリイの性器は、あたしの体には大きすぎるよう
な気がする。
うにゅ…。女は度胸!ここで引いたらあたしじゃない!
……………でも痛いのはヤだなあ。
などと躊躇っていると
「リナ、無理はすんなよ」
「ムッ。無理なんかじゃないわ」
そのまま勢いで答える。
「このままだと流石に俺もヤバいんだけど」
「わ…わかってるわよ」
パンパンに膨れ上がったように見えるソコは、期待に震えているよ
うだ。あたしの掌の中で、強く脈打っていた。
さすがにイキナリ自分の体内に導くことは躊躇われて、まずは唇を
寄せた。
「………は…ぁ…っ」
ガウリイの唇から熱い吐息が漏れる。口腔いっぱいにくわえこんで、
苦しい。喉奥までくわえ込んでも、まだ入りきらぬ彼自身に生理的
な涙が浮かんだ。
ムッと蒸せ返るような雄の匂いに、慣れることもあるのだろうかと頭の隅で思う。
どうにかして苦しさを逃がそうと、もごもごと舌を動かした。
「く………ぁっ」
動かした舌が、たまたまガウリイのポイントをかすめたらしい。
「りな…り………な……………」
「んー…んっ、ぅんん。はふ」
ガウリイの反応が少しでも強く返ってくる場所を重点的に攻める。
巧く動かすことが出来ないのは分かりきっている。だけど少しでも
ガウリイが乱れさせたかった。
彼を攻めることで自分自身も高ぶってきていた。
閉じた脚がいやらしく、モジモジと動いてしまう。尖りきった乳首
をガウリイの脚にこすりつける。
「!」
ズルリと口腔から性器が抜ける。
ガウリイがあたしの頭を引き離したのだ。
「すまん、リナ。我慢できない」
そのまま引き上げられて、唇同士が重なった。
熱くぬめったガウリイの舌が侵入する。あたしの舌を追い掛けて吸
いつき、甘く歯を立てられた。
「ん…っん、ん」
拙いながらも、あたしも舌先の愛撫を返した。
「ぅんんんんッ!」
交す口付けに夢中になっていると、スルリとお尻を撫でられ、その
奥へと指が入り込む。
あたしの股間は今までの行為でぐっしょりと濡れていて、どんどん
と与えられる新しい刺激に泉の潤いが増していく。
「ぁ…はあッ」
「くぅ…っ、キツ…………」
ぐいっと腰を引き寄せられたかと思うと、強い力でガウリイが腰を
突き出した。
ズブ、ズブリと嫌な圧迫感を伴い挿入される。
痛みと圧迫感と、熱に体が痺れる。
「ああ…っ、はいってる。がぅ…り………ぃる」
あたしは、うわ言のように単語を繰り返すしか出来ない。
「ああッ」
じゅぶ、ジュ、ぢゅちゅ…ぢゅくっ
最初はゆっくりと、慣らすようにガウリイが動く。
一番奥で腰を回されると、肉壁と肉茎が強く擦れて堪らなく気持良
かった。
だらしなく涎を垂らしながら、あたしは高く鳴く。
「は…いって、る…よ……ぅ。がうりいの…あっあぁッ、ぅん」
「リナ…すっげーキモチイイ」
「ひゃぅあ、あ、きもちぃ…も…もっとォ…………っきゃぅッ!」
強くしがみついて、もっと、もっととねだるとギュウっと抱き締め
られた。
ゆるく甘く切ない動きから、早く強く確かな動きへと変わる。
はしたないと思う理性はぶっ飛んで、自分からガウリイの腰へ脚を
絡める。
突き上げられ、押し寄せる感覚に泣きそうなほど切ない感じが襲う。
「りな、りな…悪ィ………俺、も…限界かも」
「あぅッ」
ガウリイの動きが、駆け昇るように早く確実なものに変わった。
追いあげるように、ガウリイの指が性器の繋ぎ目をいじる。
繋ぎ目の上にある、あたしの肉芽を摘みこねまわされる刺激に涙が
溢れてくる。
頬を伝う涙をガウリイが舐め取り、口付けられた。あたしの顔は、
涙と涎とガウリイの唾液と二人分の汗でぐちゃぐちゃになってしまっ
ていた。
「あぁぅッ」
抱擁がキツくなり、胸がガウリイの大きな体に押し潰される。
「ふ、ひゃあああぁッん、あ、あ…ああああっ!」
グイグイと強く奥を突かれて悲鳴のような嬌声を放つ。
体の中でビクビク脈打つものが、熱い何かを吐き出している。
ああ、ガウリイがいる。
中にガウリイが…。
叩き付けられる激情に、あたしの意識を真っ白な悦楽の海へ投げ出
した。
「………リナ」
「ん…」
髪を撫でる馴染んだ感覚に目を醒ますと、愛しげに細められたガウ
リイの瞳とぶつかった。
「大丈夫か?スマン、無理させたな」
「だいじょーぶよ…たぶん。今は動けないけど」
撫でる掌が心地良くて瞼が重いからだろうか。思ったほど照れは感
じない。今は甘いダルさが体を支配していて、頭が回っていないか
らだろう。
「保護者じゃなかったの」
「ん」
「アンタ、子供だと思ってる相手に手を出す趣味でもあったの?」
あたしの言葉に、一瞬だけ目を丸くして次の瞬間に笑い出した。
「まさか」
あっけなく返された否定の言葉。
「保護者ってのはさ、まあ…最初は子供に対してだったのは否定し
ないけどな。今は違う」
「どう違うってのよ」
「知りたい?」
「あたりまえでしょ」
笑って、あたしの耳元に唇を寄せる。低く甘い声で囁くように言う。
「大事な女性は守りたいって思うもんさ」
言って、いつものように朗らかな声音に戻って「俺も男だからな」
と笑った。