スレイヤーズ  

ミリーナは腕のなかで愛しい男が目覚めた気配を感じた。  
「ん・・・あれ?ミリーナ、俺ねちまってたか?」  
「ええ、それはもうぐっすりと」  
「うわっ!ごめん!ミリーナ!」  
「ごめん、というなら、どいてください、重いです」  
「・・・どかない・・・ミリーナの胸キモチイイから」  
むきだしの柔らかな胸にルークは頬ずりした。うっすらと薫る汗のにおい。  
そのまま先端の薄紅色の蕾に口づける。ミリーナは体が疼くのを感じながらも制止した。  
「やめてください、先ほども一度したでしょう」  
「一回でたりるかよ・・・何回でも抱きたいに決まってるんだろ、ミリーナのこと」  
止めるのは無駄だと悟ったのか、ミリーナはホゥと吐息をつきそれ以上なにも言わなくなる。  
その様子にルークは嬉々として行為の続きを始めた。  

やわやわと胸の膨らみを愛撫する。ルークは力を込めない。決して。  
壊れ物に触るがのごとくミリーナに触れるから。いや、触れることすら躊躇うよう動き。  
じんわりとした快楽がミリーナの体にひろがっていく。  
先端の蕾はとうに固く閉じられていて、乾きかけていた下の潤みがまたしめっていくのを感じた。  
ミリーナの口から切なげな吐息と声が漏れだす。舌で蕾を転がすとその声は大きくなった。  
舌はそのまま、上へと動く。首筋、耳朶、頬へと。白い細首には赤い花が咲き出した。  
そして、唇を吸われる。ミリーナはいつも思う───不器用なキスだと。  
普段、饒舌に動く口はキスには向かないらしい。  
キスだけじゃない、今、まさに、体をまさぐる手のひらもどことなしかぎこちない。  
まるで、初めてオンナに触れる少年のような動きだ。それだけ緊張してるのだ、ルークは。  
でも、そんな不器用なトコロがミリーナは愛しいと思う、そのぶん自分を愛してくれてるのだろう。  
───可愛い、っていったらきっと怒るでしょうね・・・ルーク  
再び、ちろりと蕾が吸われた。今度は柔らかな腹部へと唇は這っていく。  

腹部にも赤い花が刻まれ、ミリーナはますます甘い声を出した。  
不器用な手が膝を割り、秘部へと到達する。銀の茂みは既に露をたたえていた。  
厭らしい音とともに指が侵入し、ミリーナを侵していく。一本、二本と、増やされていく指。  
どんどん高まっていく快楽にミリーナは陶酔しだす。淫らな声も音も気にならないほどに。  
蜜の糸を引いて、指が引き抜かれると、顔を埋められた。  
むしゃぶりつくかのように舌で舐められ、腰をふるわせるミリーナ。  
いつになく執拗にうごくその舌に戸惑いすら感じたが、すぐにそんなものは霧散してしまう。  
わざと音を立て舐めるルークはいつも冷静な彼女がみだれるたびに、悦びが体を支配しいった。  
快楽に染まった耳元に───いれていいか?───と囁かれ、ミリーナはコクリと頷いた。  

いつもよりねぶられ、達する寸前まで押し上げられたミリーナの体は  
一刻も早く、ルークを欲したが、いつも通り不器用な彼はなかなか進んではいってこない。  
フッ、とミリーナは笑みを漏らすと自ら腰を押し進めた。  
堅いモノを包み込みように蠢く自分の胎内。  
ミリーナの動きに翻弄されてなかなか動けないルークにますます愛しさはつのるばかりで、  
ぎゅうと頭をかきいだいた。その動作が太い塊を奥まで導くと、やっとルークが快楽を求めて動き出す。  
満たされ、奥の最も感じるトコロに愛しい人のモノが当たる悦びに、ミリーナは恍惚とした。  
首に回した、しなやかな腕に力をこめ、腰の律動と共に声をあげる。  
普段、低くて冷静な音を奏でる彼女の口は、甘い旋律を奏でていた。  
愛しい名前を何度も呼ぶと、それに答えるようにルークも彼女の名を切なげに呼ぶ。  
肉がぶつかり合う音と、欲望が混ざり合う水音に混じって互いの名前を呼ぶ声が響く。  
昼間、何度も何度も愛の言葉を噤む男の唇は、今はその言葉しかでてこなかった。  
───言葉なんていらない、ひたすら求めあうだけでいい。  
そう思ったのか、ミリーナはルークの唇を強く吸った。  

絡みつく舌はむさぼるかのように動く、下の肉壁がルークのものにまとわりつくのと同じように。  
脚をからませ、快楽を求めるとルークがいっそう強く腰を動かす。  
激しく突かれ、揺れ動く二つの果実。  
官能に背を大きく仰け反らせると、それがミリーナのナカをぎゅぅぅと締め上げた。  
これ以上ないくらい高められ、しびれるような感覚に襲われ、ミリーナはいっそう大きく啼く。  
二人は、同時にはじけた。  

 

ふと、目をさますと、ルークの腕のなかでミリーナは髪を撫でられていた。  
この時が永遠に続けばいいのに───と叶わぬ願いを胸に灯し、彼女は再び微睡みだした。