いつの間にか体を繋げるような関係になってからも、基本的にダブルベッドの部屋をとることはない。
だいたいが一人部屋をふたつか、ツインをひとつ取っている。
今夜の部屋も一部屋にベッドがふたつ。あたしは寒さに耐えきれず、早々にベッドの中にいた。
あったか毛布にくるまって、隣にあるもうひとつのベッドを見れば、ガウリイが防具や剣の手入れを
していた。
それが寝る前の彼の習慣なんだと、馴染んでいる自分が少し気恥ずかしかった。
大きな掌が、傷を確かめるように慎重に武具の上を這う。
気を張っているというようには見えないのに、視線は真剣そのものなのが不思議だった。
「ねえ」
「んー?」
声をかけると、いつも通りのほほんとしたガウリイの声。
その声を聞くだけで、あたしは気持がほかほかしてくるのだ。
そう思った照れで少しばかり赤くなった頬を隠そうと、さらに毛布を引き上げた。
「ガウリイは寒くないの?」
隣のベッドに座った彼は、備え付けの薄いパジャマ一枚なのだ。
寒がりなあたしは、見てるだけで余計に寒く感じる。
「いや、別に寒くはないぞ」
「なんかズルイわね」
「リナが寒がりなだけだろうが」
ガウリイは笑って、手入れしていたものを片付けた。
「ほら、もう寝ろよ」
「なによー。また子供扱いして〜」
「夜更かしは美容の大敵なんだろ?」
「そういうことは覚えてんのね」
「明かり消すぞ。おやすみ、リナ」
「……おやすみなさい」
彼の笑う暖かな気配に包まれて、あたしは眠りに落ちた。