スレイヤーズ  

まだリナがガウリイと出会う前。  
 珍しくナーガとは別件の仕事で訪れた街の酒場で、彼女は一人の男と滅茶苦  
茶意気投合していた。  
 男の名はガーヴ。  
 今はまだ、何の動きも起こしていないが、彼には自覚があった。  
 魔竜王(カオスドラゴン)ガーヴとしての意識が。  

 五大腹心の魔族と言っても、今は人の身も同然。  
 そして強かに酔いの回ったリナもまた、彼が魔族だなどとは露程も思わず、  
飲み代を賭けたチェス大会に発展していた。  
 ………しかし野次馬達は延々と決着の付かない闘いにしびれを切らして店を  
出ていってしまい、ギャラリーと呼べる者は誰一人としていない。  
 酒場の親父でさえも、飲み代はテーブルの上に置いていってくれと言って寝  
てしまったのである。  

 そして今、ようやく長い試合が終わりを迎えようとしていた。  
「…………チェックメイトだ」  
「うっ、嘘、嘘よっ!! ダメダメそんなんダメ、却下、仕切直し!」  
 睡魔に気を取られた一瞬の判断ミスが、リナの負けを招いた。  
 ガーヴはイタズラの成功した悪ガキみたいな笑顔でジョッキをあおり、背も  
たれにどっかりとふんぞり返る。  
「おめー、何回目の勝負だと思ってんだ? 大人しく負けを認めな」  
「ヤだ」  
 さらっと斬り返され、流石のガーヴもずる、と椅子から滑った。  

「大体こんなに長引いたのは引き分けが続いたからでしょ。  
 あたしは負けたなんて認めないからねっ!」  
 金銭のかかった試合には、とことんまで守銭奴根性を発揮するのがリナのリ  
ナたる所以か。  
 ガーヴもアルコールでぼぉっとする頭を抱える。  
「あーのーなぁ。飲み代賭けて勝負っつったのはおめーだろうが」  
「言い出しっぺと負けを認めるかは別問題よ!」  
「ったく……躾るぞ、このガキゃ」  

 ガーヴの頭へ一気に上昇した、アルコール混じりの血液。  
 勢いに任せて、ガーヴはリナの手を掴み、引き寄せた。  
「きゃ……………ぅんっ?!」  
 猫の子でも抱えるような軽さでリナを膝に抱き上げると、リナが状況を呑み  
込むより先にガーヴの下がリナの口腔に割り込んできた。  
 彼女が事態を理解して暴れても、ふたまわりは差のある腕に抱きかかえられ  
、やがてはその一方的な行為に引きずり込まれていった。  

 酒の混じった唾液を流し込まれ、リナはこくんとそれを飲み下す。  
 腕をガーヴの太い首に回してしがみつき、膝の上から落ちないように縋り付  
く。  
 リナの貌と同じくらいのサイズのガーヴの手が、彼女の淡い胸を包み込んだ  
。  
「ふ、ぁ………んっ………」  
 弛緩しきったリナは、チェスボードの上に放り出される。  
 ばらばらと音がして、白と黒の駒が辺りに散らばった。  
 瞬く間にタートルネックをたくし上げられ、デニムをひきずり降ろされる。  
 酔いと睡魔が快感と手を組んで、くらくらする頭では抵抗することさえ思い  
至らない。  

 タートルネックとバンダナと、翡翠色のネックレス以外身に着けていない状  
態で、ガーヴはリナの脚を割り開かせる。  
「ほぉ。キレイじゃねぇか」  
「っや………何、して………!」  
 半身を起こそうとしたが、そのリアクションを待っていたかのように、ガー  
ヴの舌がリナの秘裂を舐めた。  

「は、ぅんっ!」  
 まだ開いていないそこに、半ば無理矢理舌をねじ込まれる。  
 軟体動物が侵入してきたのかと思うような舌の感触に、リナの腰が大きく跳  
ね上がった。深々とそこを穿ち、内壁を舐る動き。  
「あぁぁあっ!」  
 舌を抜き差しされる度に溢れ出す淫蜜がテーブルを濡らす。  
 伸び上がってきたガーヴの両手が、リナの小さな乳首を摘み上げ、軽く捻っ  
た。  
「ふん……その歳でよく慣れてるじゃねぇか」  
 ガーヴはひとりごちると、テーブルに横たえたリナの傍に軽く腰掛け、散ら  
ばったチェスの駒を手に取る。  
 殆どは床に落ちていたが、手近に白のルークとナイト、黒のビショップとポ  
ーン。  
 ガーヴはポーンの駒を面白そうに眺めて、おもむろにリナのそこにあてがっ  
た。  
「やっ…………何すんのよぉぉっ!」  
「何って……チェスが好きらしいから挿入てやってんだよ」  
 そう言いながら、今度はナイトの駒をリナの肉芽に擦り付ける。微妙な凹凸  
が硬くしこったソコを擦り、リナの口から更に甘い声があがった。  

「んぁっ……あ……そんな、の、駄目……っ……!」  
「駄目とか言いながら、自分で乳首摘んでんじゃねぇよ」  
 放り出されたままの乳房を自分で愛撫するリナの秘唇は、ポーンの駒を途中  
まで咥え込んでひくひくと震えている。  
 やや時間を置いて、白い蜜を絡みつかせた黒の駒が吐き出された。  

 幼い蕾の淫猥な姿と濡れた声に誘われて、ガーヴはナイトの駒を放り出し、  
張り裂けんばかりに天を仰ぐソレを取りだした。  
 リナの手首くらい在るかも知れないソレを、ぐっと小さなソコに押し込める。  
「……あぁっ…いっ……たぁ………やだぁっ…裂けちゃうぅっ…!」  
 ぎちぎちに広げられた、まるで破瓜のような鈍い痛みに、リナは思わず腰を  
掴むガーヴの手に爪を立てた。  
「大丈夫だ…」  
 何が大丈夫なのか分からないが、気が付くとガーヴのソレはリナの中に収ま  
っていた。どうやら本当に、裂けずに済んだらしい。  
 しかしリナの方はそれどころではなく、息苦しささえ覚えそうな圧迫感に、  
陸に打ち上げられた魚よろしく喘ぐばかり。  
(………素股で我慢しとくべきだったかなー……?)  
 などと魔族らしくないことを考えていても、もう後の祭り。  
 もともと理性よりも本能が先走るタイプの魔竜王。ほんのちょっぴり後悔と  
反省はしたが、それもすぐに霞と消えた。  

「んっ……あ……ガー…ヴ……っ…!」  
 コップの水を撒いたかのような淫蜜のぬめりで、きつく締め付けられてもス  
ムーズに律動を続けられる。  
 リナの方もガーヴの大きさにもう慣れたらしく、自分で膝裏を押さえて彼の  
紬送を助けていた。  
 腰を打ち付けるたびに肉のぶつかりあう音がする。  
 リナの甘い喘ぎと乱れた呼吸、潤んだ瞳が可愛いとさえ思う。  
 人間の内に封じられ、何度も転生を繰り返し、人として生きてきた時間も長  
いからか。  
 魔族の時には女を抱きたいと思うこともなかった――それよりも殺戮の方が  
好きだったからだ――が、今は違う。  
「……は……キス、して…………?」  
 悦楽を愉しみ、女を抱くことを愉しみ、抱く相手を人間として「愛しい」と  
思う心を持ってしまった。  
 キスをねだるリナの脚を横に引き倒してのしかかり、花の唇を貪る。  
 古ぼけたテーブルが壊れそうなほどにリナの華奢な肢体を犯し、最奥に欲望  
を吐き出す。  
 封じられるより以前なら知ることもなかった快楽の宴は、月が沈むまで続い  
た。  

「リナ。リナったら! 起きなさいよ、リ・ナ!」  
「…………う、ん……あ、ナーガ……」  
 酒場のテーブルに突っ伏した状態で、リナは眠っていた。  
 ナーガの甲高い声が頭に突き刺さる。頭が痛い。二日酔いだ。  
「『あ、ナーガ』じゃないわよ。そこの広場で落ち合うはずだったのにあなた  
がいないから、探しに来てみれば……相手に奢らせるためにチェスでもしてい  
たのかしら?」  
「……おねがい、もーちょっと小さい声で喋って……  
 ………………チェス?」  
 ナーガの指さす先には、盤上に綺麗に並べられたチェスの駒と、飲み代とチ  
ップにしては少し多めの金貨。  
「………あー……なんかそんな気もするんだけど………だめだ、思い出せない  
……」  
 アルコールの力の成せる技か。  
 昨夜の行為も、出会った相手も覚えていなかった。  
 ただ朧に思い出せるのは………  
「……なんか、赤が印象に残ってるんだけどなぁ」  
「赤? 赤い服? それとも赤い瞳?」  
「………わかんない。でも、すっごい『いい男』だった……ような気がする」  

 

 その頃。  
「う゛ぇくしっ!」  
「ガーヴ様、お風邪ですかな? いやはや、人間の器というのはまったく不便  
なものですなぁ」  
「るせぇ……黙ってろやラーシャート。二日酔いに響く」  
「ほっほっほ……記憶がなくなるほど酒に溺れるというのもまた……」  
「黙ってろっつったろが、ラルターク」  
 ごっつん。  
 ガイリア・シティへ向かう街道に、鈍い拳骨の音が響いたのだった。  

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