「へっくしょい!」  
さ、さむひ〜。  
夜の寒さにくしゃみがでて、あたしは毛布を頭までかぶってもぞもぞと動いた。肌着のままでは、まだ肌寒い季節なのだ。  
寝ぼけ眼のまま、隣で深く息をついているガウリイにくっつく。このあたたかさ、人間ゆたんぽとしては大合格である。  
眠ってからあまり時間は経っていないだろう。  
ガウリイの息をつく音は不自然ではない程度に規則的だが、はたして本当に眠っているのだろうか。  
気配に敏感なガウリイのことである。さっきあたしが、くしゃみをした瞬間に起こしてしまったのではなかろーか。  
ふと、むくむくと悪戯心がわいてきて、あたしはにやりと笑った。  
ほんとに眠ってるか確認しちゃれ♪  
ガウリイは肌着を着ることも無く、下着一枚で寝ている。しかも、それがあたしと、そのえっとごほん、えっちしたあとは、必ずその格好である。  
このガウリイという男、戦闘時からも想像はつくのだがやたらとタフ。  
二人で一部屋を取るよになってからは、あの日だったり疲れていたりする時意外毎日のように求めてくるもんだから、  
このくそ寒いよーな時期も、寝る時は毎日のようにぱんついっちょー。  
もちろん暖房なんてきいているような高級宿屋ではない。  
普通の人間なら風邪でもひきそうなもんだが、そこはガウリイ、さすがオーガ並の体力のおかげか、いたって健康体である。  
しかし、求められて断らないあたしもタフである。……き、きもちいーんだからしょーがないのだ!  
 
ガウリイの下着にそっと手を伸ばす。  
布の上からあたしの体には無い器官をゆっくりとひとなでして、形を確認。やっぱしさっきとは違って、くてりとしているみたいである。  
毛布の端から顔だけをのぞかせてガウリイを見上げたが、特に表情の変化は無い。わずかに開いた口から、すうすうと寝息が立っている。  
おへそのくぼみを人差し指でちょいちょいとくすぐったが、ぴくりとも反応しない。  
うーみゅ、これぐらいではまだ反応はしないのか。  
布端を探り、おへその方からそっと手を入れるとすぐに豊かな茂みが指先にからみついた。  
全体的にガウリイは体毛が薄いのか、ひげもそんなに生えないし、ここはほわほわやわらかい。  
だが用があるのはそこではないのだ。さらに指先で探ってガウリイのおち…………  
って、やらしー気分になってるわけでもなし、言えるわけないわああッ!っちゅーか、えっちしてる時にも、言ったことないしっ!  
とにかくっ!ガウリイの今は落ち着いているそこをなでてみる。  
さっきまであんなに猛々しかったのに、今のこの大人しさは何度見ても不思議でしかたがない。  
その上、なかなか可愛ゆく感じてしまうのもほれた弱みとゆーやつなのだろうか。  
ゆびですりすりとしたあと、手のひらにのせて持ち上げた。こうして触るとやわらかくって気持ちいい。  
今度はきゅっと握ってみる。ガウリイの呼吸が一瞬止まる。すぐに呼吸をもとに戻したけれど、あたしはその瞬間を見逃さなかった。  
あたしの口が勝手に、にんまりと笑みの形を取った。が。  
 
正直ガウリイの反応よりも、今はこっちのガウリイくんを可愛がる方が楽しかったりするのだ。  
握ったりぴたぴたと手に吸い付かせるようにして撫で回してみたり。  
さらに手を下にもぐりこませて、ふたつの袋も手のひらに乗せる。やはり軽くにぎにぎとする。このやわらかさがおもしろいのだ。しわものばしてみたりして。  
断っておくが、快感を感じさせる気はこれっぽちもない。未知の生き物を触っていろいろ調べてみたいというのが、一番しっくりくるだろう。  
なのに。  
どうして、もう硬くなってきているんだろーか。  
あたしはガウリイの下着の中から手を引く。また眠くなってきてあくびが出た。  
「おい、リーナー」  
薄く目を開けたガウリイが恨みがましそうにあたしを見たが、背を向けて寝ることにする。  
後ろから抱きつかれて、ますますうらめしそうにガウリイはあたしの耳元で低くうめいた。  
「焦らすだけ焦らしておいて、ずるいぞ」  
無視をしたまま寝ようとしたが、ガウリイがこらだのなんだの言ってるもんだから、あたしは仕方なく口を開く。  
「うー、だってあたしはやわらかいところがさわりたかっただけなんだからしょーがない!ってことでおやすみ!」  
「……ふーん」  
不満そうだったがこれ以上ガウリイは何も言ってこないので、あたしは安心して眠ることにした。  
 
「って、ちょっと!」  
背後から伸びた手が、あたしの肌着がめくり上げらる。  
こりはもしかしなくてもまずひかも!  
むきだしになった胸を慌てて隠そうとしたが、それよりも早くガウリイの手があたしの胸をつつむこんだ。  
もう片方の手は、さわさわと太ももをさわりはじめる。  
「ちょっと、さっきやったんだから今日はもう終わりだってば」  
あたしがもがいても、腕に軽く力を入れられただけで動けない。  
耳たぶに生暖かい舌をはわせて、ガウリイはささやく。  
「オレはやわらかいところがさわりたいんだよな……それと」  
太ももの方から下着の中に入り込んだ指が、あたしの敏感なところを慣れた手つきで攻めはじめた。  
「熱く濡れてるところもな」  
「……だめって、ゆってるのに!」  
口でんなこと言っても、体はすでに反応していて説得力ゼロ。  
くちくちと水が粘った音が、ガウリイからもたらされる快感をより助長させて、あたしの体は熱くなってくる。  
胸だって、もう立ち上がった乳首を中指で刺激されながら強弱をつけて、も、もまれてるし!  
ガウリイと体を重ね始めてまだそんなに経っていないから、どうにも恥ずかしくなって、枕に押し付けるようにして顔をそらした。  
胸への刺激が止まって、あたしの乱れた髪をガウリイはかきわける。  
「顔、見せてくれよ」  
言ったガウリイが首筋に舌を這わせ始めて、あたしは息を飲み込んだ。  
ガウリイにあおむけにされて、されるがままに下着が取り払われる。肌寒くて体が少し震え、腕で顔を隠したのだが。  
「リナの顔が見たい」  
「だって、恥ずかしいのよ!絶対顔が赤くなってるし!」  
あたしは早口でまくしたてた。  
ただでさえ息が浅くなって時々反応しているような声になってしまっていると言うのに、変な声で言ってしまえば効果が無いような気がしたからだ。  
ガウリイがそっと笑った。  
「気にすんなよ。すごく可愛くて、色っぽい」  
なんて言われて腕に幾度も口付けられると、あたしはいつの間にか腕を離してシーツを握り締めた。こーゆー状況だと、なおさら嬉しくなってしまったのだ。  
 
徐々に下へ下へと下がり始めた唇や、いまだにあたしの下半身で蠢いている指に、抑えきれない声が出てくる。  
とがった舌に敏感なところを舐められて、たまらずガウリイの頭を太ももではさみこんでしまう。  
あたしの入り口に、指が一本優しく入って来た。  
浅くゆっくりと抜き差しされて、あたしはもどかしさに腰を動かしたけれど、ガウリイの腕に押さえつけられて上手く動けない。  
少しずつ奥深くなっていく指に、あたしは肌寒さすらも忘れて意識を集中する。  
うーみゅ、どうしてガウリイはあたしの弱点を発見するのが上手なのか、まったくの謎である。本能のまま生きているからなのだろうか。  
それでも、指が増やされただけの刺激だけでは物足りなくなってくるのが乙女心とゆーやつ。  
あたしの体は足りないと叫び始めてるのに、ガウリイはいまだにもどかしい動きを繰り返して、頭がおかしくなりそう。  
ガウリイの顔に押し付けるように腰を浮かせて、あたしはうわごとのように呟いた  
「……ねえ、がうりい…なんでそんなに冷静なのよぉ……」  
ガウリイが顔を離してあたしの顔を見つめた。  
っちゅーかこの光景は恥ずかしくて心臓に悪い。整ったくちびるが濡れて光ってるのが、これまた恥ずかしいとゆーか。  
「冷静じゃねえよ」  
伸び上がったガウリイがキスをしてきて、すぐに舌を絡める。  
ガウリイの手にうながされて、ガウリイの下着にもう一度手を入れる。さっきとは違った感触。  
硬くて熱いそりあがったものを、あたしは丁寧にさわった。あたしの手が、ガウリイの体液で濡れてゆく。拙い動きも、ガウリイは気持ち良いと思ってくれてるのだろうか。  
ガウリイの指もまたあたしの塗れた部分を刺激し始めて、キスやら愛撫やらであそこはもうぐっちょりしていた。  
 
「なあ、リナがしてくれないか」  
掠れた声に、あたしは躊躇も無く二三度うなずく。ガウリイが、ずごく欲しいよ。  
体を少し離して、ガウリイの下着を取り去った。  
さっきは可愛らしかったのに、今は可愛いとは言いにくい部分を確認する。  
あたしを欲しいって言ってるみたいに、自分を強調していてその必死な感じも、別の意味でかわゆいかも。  
いくら体がほてっているとはいえ、やっぱり寒いが、体のうずきには耐えられない。大きな体をまたいでたくましい胸に手をついた。  
腰をささえるガウリイの手が、あたしのおしりの割れ目を何度もなぞって、ますますあたしを誘う。  
勃ち上がりきってるガウリイと少しだけ慣らすように腰を動かすと、ぬちゅっと音が鳴ってもっとうずきが干上がってきた。  
あたしはガウリイの上にゆっくりと腰を落としていく。  
「……あ、あ、がうりい」  
「ん……リナ」  
やっと手に入れられた快感が、背筋をかけぬけて一瞬息が出来ないい。でも、まだまだこれから。  
ガウリイと指を絡ませた両手を支えにして、あたしは腰をすりつけるようにくねらせる。  
この体制、まだあまり慣れていないので、恥ずかしさが抜け切れない。  
だが、徐々に重くなってゆく快感を追い求めるようになってくると、あたしは大胆に動き始めた。ガウリイが感じて、あたしも感じて。  
ガウリイが切ない声で名前を呼んできて、あたしも名前を呼ぼうと口を開く。  
そのたびに、まだ小さなこどもみたいに、時には泣いてるみたいになって、うまく舌が回らなかった。  
ガウリイがあたしの腰に合わせて突き上げてくると、だんだんとお腹の奥から来る快感に、うまく体が動かなくなってくる。  
き、た!  
悲鳴が喉からわき出てくる。背筋をのけぞらせて快感のあまり動きを止めたあたしは、  
すぐに抱え込まれてベッドに押さえつけられた。  
 
軽い絶頂の余韻をひたる暇も与えず、ガウリイはあたしを攻め立て始めた。  
自分で動くよりもずっとガウリイの方が感じてしまって、ガウリイの腰の緩急をつけた動きに翻弄させられる。  
眉を寄せて荒い息をつくガウリイ。頬を染めたその色っぽさとゆーか、その普段とのギャップにあたしはきゅんとする。  
くらくらするような快感に、目の前で白い光がはじけて、あたしからも無意識のうちに腰を動かした。  
これからも、ガウリイとこーやって、一緒に気持ちよくなっていきたい。  
空気を求めてあたしは喘ぎながら、搾り出すように言う。  
「……ああっ!がうりいのおちんちん、きもちいいよぉっ……!」  
「!!リナ!」  
なかば本能に任せていたあたしが思わず初めて口走った言葉に、すっかり興奮させてしまったようで、  
ガウリイは一回果てたぐらいでは我慢できなかったらしい。結局朝方まで続けてしまったのである。  
 
こうしてあたしは、自分の仕掛けた悪戯に引っかかって自爆してしまった。  
確かに、すっごく気持ちよかったんだけど、なんだか納得がいかない!  
その上、またあたしが悪戯することをガウリイは心待ちにしてるよーで……。  
うう、しくしく。余計なことはやるもんじゃないということを、今更ながらに身をもって実感したのだった。  
 
 
 
おしまい。  
 
 
 

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