―――痛い。  
 
身体中あちこちが痛い。  
特に腰の辺り。  
カーテンの隙間から強い日差しが差し込んで  
あたしは自分が眠っていた時間の長さを知る。  
 
「…ったぁ」  
疲れがまだ残ってる身体に鞭打って、上半身をゆっくりと起こした。  
えーっと…あたしは何でひとりなんだ?  
昨日一緒に寝たはずの…その……ガウリイが、いない。  
先に起きたんだろうか。  
とりあえずあたしはベッドから降りて、伸びた。  
 
 
「あれぇ、リナさんおはようございますっ」  
下に降りると、アメリアが相変わらずいつものテンションでそう言った。  
ちょうど手前側に座ってたガウリイがこっちに顔を向ける。  
「リナ。なんだ、遅かったな」  
なんだ、じゃないわよ。  
あんたなんでそんな元気なの?  
とりあえずあたしはアメリアの向かい側…つまり、ガウリイの左横に座った。  
「…ほふ」  
ついついため息がこぼれる。これはそーとー身体にきてるぞ。  
「リナさん、どうしたんですか?」  
「んー?ちょっとね…」  
それを聞いたアメリアが、にやっと笑った。  
「ゆうべのガウリイさん、そんなに激しかったんですか?」  
…なんだって?  
一瞬目が点になるあたし。横向くとガウリイもおんなじような顔してるし。  
「なっ!なに言ってんのよ!!それどういう意味っ?!」  
「どういう意味って…そのまんまの意味ですけど」  
「だぁぁぁーーー!!あ、あのねぇアメリア!あたしとガウリイがなーんでそうなるのよ!」  
「あ、キスマーク」  
「えっ?!うそっ!!」  
あわててあたしは首元に手をやった。  
「うそですけど、その慌てよう…やっぱり……」  
こいつ!鎌かけたなっ!!  
「違うわぁ!」  
よく考えたら、あたしの服はほとんど首元が隠れてる。  
実際…多分けっこう付いてるんだろうけど…  
うぅ、迂闊だったか…  
「ていうか、あたしたちはそんなんじゃないし!!」  
アメリアがじっとあたしたちを見る。  
「そ、そそそそうだぞアメリア!俺はこいつの保護者だ!うん、そうだ!」  
「そうよ!それ以外のなにもんでもないわ!」  
なんていうか、あたしもガウリイも、身内にはあんまり公にしたくないのだ。  
まぁ、ふたりで旅してるときなんかは普通に部屋を1つしか取らなかったりもするけど…  
「えぇーでもぉー」  
不満そうにアメリアが言う。  
「あ、あのねぇ……っ!」  
あたしは言いかけて、不意に詰まってしまった。  
 
「どうしたんですか?リナさん」  
「いや…あの……」  
手が。  
ガウリイの左手が、あたしの太ももをゆっくりとなでていた。  
何するのよっと言わんばかりにガウリイを睨みつけたけど、まったくこっちを見ていない。  
平然とした顔で、さらに手を動かす。  
「リナさん?もしかしてほんとに具合が悪いんですか?なんか顔が紅いですけど…熱でもあるんじゃあ…」  
「そ…そんなんじゃ……」  
うまく言葉が出ない。  
ガウリイの手が何度も何度も太ももを撫でて、それがゆっくりと布越しにあたしの中心に触れてきた。  
心配そうにアメリアがこっちを見てる。  
「……ぅ」  
アメリアの言葉を肯定することになるけど、実際…その、昨日はやたらと激しかったのだ。  
あんまよく覚えてないけど、確か3回は確実にした気がする。  
なにしろ相手はこのオーガ並みの体力をもつガウリイだ。  
「リ、リナさん…」  
「だ…いじょ…ぶ……」  
だめ。  
これ以上しゃべると、声が漏れそうだ。  
くぅっ  
なんだってこんなに反応しちゃうかなぁ  
昨日さんざんヤってるのに…  
「何だ、リナ。大丈夫か?」  
相変わらず器用に指を動かしながら、余裕しゃくしゃくと聞いてきた。  
だいじょばないってーの!!  
ていうかここ食堂なんだけど!  
まわりにいるの、アメリアだけじゃないんだけど!!  
「……んぅ」  
あたしはぎゅうっと目をつむった。  
下着が湿って、気持ち悪い。  
もぉだめ…  
どうしても直に触ってほしくて、身体中がうずきはじめる。  
これ以上続けられたら、声を抑える自信もない。  
「へ、部屋に戻ったほうがいいんじゃあ…」  
さすがにアメリアがうろたえだした。  
まさかテーブルの下でこんなことしてるなんて、そりゃあ思うはずもないだろうけど…  
実際何も知らない人が見れば、あたしが苦しんでるって思うだろうし。  
…いや、まじで苦しいんだケド  
「俺が連れてくよ」  
すっとガウリイの手が離れ、立ち上がった。  
 
「立てるか?」  
―――こいつ…あとでドついたるっ!!  
心で硬く誓いながら、あたしはゆっくりと立ち上がった。  
強すぎる刺激を受けた身体は力なく、そこに立っているのがやっとだ。  
テーブルに手をついて、ようやく身体をささえる。  
「ちょっと無理みたいだな」  
なんかうれしそうに聞こえるんですけど?  
「…ふえっ?」  
気が付けばあたしはガウリイに抱き上げられていた。  
「ちょ、ちょっと!やめてよ!自分で歩くっ!!」  
「何言ってんだよ、おまえ。どうみても歩けそうじゃないぞ?」  
だって恥ずかしいんだってばぁーーー  
「と、いうわけだから…ちょっと待っててくれな。多分そろそろゼルも来るだろうしな」  
「はい。リナさん、お大事に…」  
「あ、ありがと…」  
もうどうにでもしてくれよ、ってか?  
ガウリイに抱きかかえられ、そのまま2階の部屋へ戻り、ベッドへゆっくりと下ろされる。  
「具合悪いのか?」  
「あんたね!何考えてるのよ!!」  
ニヤニヤ楽しそうに聞いてくるガウリイに向かって、あたしは力いっぱい声を上げた。  
「何って…そうだなぁ」  
「……」  
「リナのこと♪」  
「ぅがあああ!!!」  
だめだ、こいつ。  
何も考えてないわ。  
聞いたあたしがバカだった。  
「それじゃ、俺は下に戻った方がいいか?」  
…ここまできてまだいぢわるする気かっ  
「本気で言ってんの?」  
「リナがそうしたいなら、そうするけど?」  
「……して」  
「え?」  
「続きっ!してって…」  
中途半端に焦らされて、あたしの身体はもうどうしようもなくなっていた。  
わかっててやってるのは、もちろんわかるけど。  
なんかこいつの思うツボなのって、ちょっとくやしい…  
「やっぱりお前さんは俺がいないとだめだよな」  
「あんただって、あたしがいないとだめなくせに」  
 
 
下で待たせてるアメリアのことはすっかり忘れてて、  
あたしたちがようやく降りたのはお昼をすっかり過ぎたころだった。  
―――ごめんっ!  
 

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