深夜――。
パタパタパタ……と、宿の廊下を走るスリッパの音が、ある部屋の前でぴたりととまった。
続いてノックの音。
中から青年と思わしき声が聞こえる。
「――リナか?」
「よかった、ゼル起きてたのね」
「夜中だぞ――どうした」
リナは緊迫した表情で言う。
「大変な事が起きたの!今すぐ来て!」
魔術も剣術も人並み以上の彼女が、ここまで慌てるなんていったい何が起こったと言うのか?ゼルガディスは急いで起き上がりリナに駆け寄った。
「どこだ!」
「あたしの部屋、とにかく急いで」
二つ先の彼女の部屋へ急ぐと、開け放たれたままの部屋からの光が廊下を明るく照らしていた。
動く影はない。慎重に中の気配を探るが、何も感じ取れなかった。――と、リナが部屋に飛び込む。
「待てっ!」
「大丈夫!とにかく大変なの、早く」
訝し気に部屋の中を見回す。
その時背中に衝撃が走った!
バランスを崩したぜルガディスがベットに倒れ込む。
「うっ」
倒れた彼の腹部に何かが乗りかかった。
「大変!ゼルがあたしに押し倒されちゃった!」
「……………………………………さんざ引っ張っといてこれか」
「おこんない、おこんない。――ね?」
「怒る……何時だと思ってんだ?」
ゼルガディスに睨み付けられ、リナの顔が拗ねた子供のように歪んだ。
「だって……恐い夢見たんだもん。ゼルがいなくなっちゃうの。目が覚めたら悲しくなって、ほんとにいるか確かめてみたくなった――」
「リナ……」
「――なんて風に言えば納得出来る?」
「はあ?」
さっきまでの拗ねた顔はもはや無く、にいっと笑ってリナは窓の外を指差した。
彼の上から降りてベットの端まで行き「あれよ、あれ!」と、さも愉快そうに。
「お向かいさん。ほら、あの部屋!」
向いの宿の1室で、人影が動いている。
「見た?見た?」
「――お前、のぞきが趣味なのか?」
「趣味って訳じゃないわよ。た・ま・た・ま、見つけたの」
人さし指を唇に当て、小首をかしげる。
「あ〜んな激しいの見ちゃったらさ、もう……ね?」
「……ね、じゃない。俺は寝るからな」
寝入りばなを起こされて、相当機嫌を悪くしていたゼルガディスは、素っ気無くそう言うとベットから立ち上がった。その手をリナが掴む。
懇願するような表情だ。
「ゼルの好きな事していいから」
「――」
一度言い出したら聞かないのだ。この少女は。
大きな溜息をついてリナの顔を見下ろす。
「それじゃあ好きにさせてもらうとしよう」
そう言うや否や、ゼルガディスは彼女の背後に回り込んだ。細いウエストに片手を回し、もう片方の手はリナの頭をベットに押さえ込む。
と、リナが身体を捩った。
「や、やだこれ――」
「好きにしていいって言ったろ」
「でも、あたし――」
相手の顔も見えない、身体に縋り付く事さえ。動物のように犯されるこの体位をリナは嫌っていた。
「優しくはしてやらんぞ。おれは怒ってるんだからな」
ズルリとズボンがずり下ろされる。薄い下着一枚のその中央は、他人の睦ごとを覗き見ていたせいだろう、しっとりと濡れ、肉の色が透けていた。
彼は全く用を足さなくなったその布を乱暴に引き下げる。
晒された秘所が夜の空気で冷まされ、彼女のからだがブルリと震えた。
ゼルガディスはぬるりと湿った秘裂を指で撫で上げ、すでに赤く充血している尖った蕾を攻めはじめた。
「ああぁんっ!…あんっ…はっ…や…っん……」
すでに性感の高まった身体は、いとも容易く反応してしまう。
指の動きにあわせるように溢れ出した蜜が、太股を伝って1本の筋を作った。
「も、いい…から……早く――っん…」
「まだだ」
「お願い……挿れ…て――あ、はっ……あんっ!……」
擦るように顔を押し付けているシーツに、喘ぎと供に漏らした唾液がシミになっている。
焦らされている身体は、刺激を求めるようにくねり、快感を得ようと足掻いていた。
「仕方の無いヤツだな――」
ゼルガディスは硬くそそり上がった己のモノをリナの入り口にあてがった。
「あ……ん…」
挿入を待ちかねたリナの秘所は、悦びにうち震えるように、彼の分身をくわえこむ。
絡み付く秘肉、抜き差しの度に繋がりから滲み出る蜜――
晒された結合部はいやが上にもゼルガディスの性感を高め、うち付けが激しくなった。
「っん…あぁっ!……あっ…も、だめ……いっ…あっ……」
間もなく限界を迎えるリナが激しく髪を振り乱す。
焦らしてやろうか――などと思っていた事も今や忘却の彼方。
ゼルガディスは渾身の力を込めてリナを打ち付けると、一瞬早く絶頂に達した彼女の痙攣する内壁に
熱い精を放った。
「凄い乱れ様だったな」
「ん――?」
放心したようにベットに身体を横たえるリナを、ゼルガディスはため息混じりに見る。
「ゼル――」
けだるい緩慢な動きで、彼の身体にリナの腕が回された――と、甘えた表情で彼女が言う。
「あなたにだけよ」
「――ちっ……」
またやられた。
軽く舌打ちをし、リナを抱き締める。
そしていつものように――やっぱりこいつにはかなわないな――と思うのだった。
■■
躊躇うようなノックの音――。
「あの……わたしです――」
「アメリアか?」
こんな夜中に何の用事だろう。
まさかな……と、呟きガウリイはドアを開けた。
まくらを抱え赤面している少女――(まさかなのか?)
「どうした?」
「あ……あの……眠れ…ないんです……」
ガウリイの心臓が跳ねる。
頭の中で、俺ならかまわないがアメリアはいいのか――いやいや、女の子に恥をかかせちゃイカン――
等と言う事がグルグル回る。
「リナさん達がうるさくて――」
「うんうん」
「1回終わってやっと眠れると思ったのに、第二ラウンドが始まっちゃったんですぅ〜。ガウリイさん部屋変わってもらえませんか?」
■■おわり■■