「ふぁふ・・・。」  
 あたしは欠伸をかみ殺しながら、ゆっくりと宿の階段を下りていく。  
 ・・うう、それにしても、身体のあちこちがちょっとずつ痛む。やっぱし、昨夜のアレは無理をしすぎたかもしんない。  
 
 事の発端は、数日前にガウリイが持ってきた一束の麻のロープである。  
 その夜もあたし達は、いつものように恋人同士の愛の営みなどしたわけなのだが、突如彼が、  
 「なあリナ、SMプレイって知ってるか?」  
などと言ってきた。  
 無論、純情なあたしがそんな事知るわけもなかったが、彼が言うには、大概のカップルがしている少し背徳的で楽しい遊びだとか・・・。  
 二つ返事でOKしたところ、彼は、まずはソフトなやつから始めようと言って、あたしの両手首を縛りバンダナで目隠しをした。  
 そのまま激しく責められて・・・。不覚にもあたしは、感じてしまったのだ。  
 腕の自由を奪われ、しがみつくことも出来ないもどかしさと、視界を奪われ、次に何をされるかも分からない恐怖とに・・・。  
 そこからくる背徳的な気分は、初めこそ不安に駆られたものの次第に熱を増してゆき、あたしの鼓動を早めていった。  
 暗闇の中、耳元で卑猥な言葉を囁かれただけで、背筋がぞくりとする快感に痺れ、意識が朦朧として・・・。  
 やがてあたしは、手首に麻縄の食い込む痛みさえ甘い疼きに感じられる程、どうしようもなく乱れてしまっていたのだ。  
 
 ・・・そして昨夜、ガウリイが再び縛っていいかと聞いてきたとき、あたしは恥じらいながらも素直に迷うことなく頷いた。  
 てっきり、この前と同じことをされると、その時は信じてやまなかったのだ・・・。  
 
「ん・・・ふう・・・っ」  
 しつこい位に唇を貪られ口腔内を蹂躙された後、交じり合った唾液を伴って唇が放された。  
 感じやすいあたしの身体は、キスだけで、眩暈がする程めろめろになってしまっている。  
 既に何も身につけていない下半身に、トロリとした感触・・・それがじわりと太ももを伝っていく・・・。  
 以前はここまでじゃなかったと思うのだが、最近とみに敏感になってきているのだ。ガウリイは、あたしの身体が良い具合に開発されてきた証拠だと言うが・・・。  
 たった半年でこんなになっているんじゃ、この先も彼に抱かれ続けたらどうなってしまうのかと思うと、ちょっと不安になってくる。  
 「はひゃっ・・・!」  
 突如、ガウリイがあたしの秘所に触れ、そのまま弄ってきた。  
 「凄いな、触る前からこんなに濡れて・・・。」  
 「あぁっ、だめぇ・・・。」  
 更に、彼の武骨な指が侵入してくる。  
 既にぬるぬるになっているあたしのソコは、たいした抵抗もなくずぶずぶとその太い指を受け入れた。  
 「中も凄いな、グチョグチョだぞ、ほら・・・。」  
 「やぁん・・・いや、イジワル言わないでぇっ!」  
 ガウリイはわざとあたしを煽りながら、さも愉快そうに指を二本、三本と増やしていく。  
 彼の指が蠢く度に、あたしの中からおつゆが掻き出され、卑猥な音をたてる。しかもその音は、指を増やされる毎に大きくなっていった。  
 何度彼に抱かれても、この音には慣れない。  
 ・・・というか、未だに些細な事でも恥ずかしいあたしって・・・。  
 それがガウリイを悦ばせていると解っていても、こればかりはどうしようもない。  
 「ひゃうっ・・・!そんな・・・したら、らめぇっ!」  
 中を三本の指で掻き回され、的確に弱い所を弄られていると、早くも理性の箍が外れそうになってくる。  
 そうなると、思考は鈍くなるのに身体は更に敏感になるらしく、どこを触られても何をされても、気持ち良くて堪らなくなるのだ。  
 「もう・・・やめて・・ガウリイ、お願い・・・あ、ひゃぁあっ!」  
 「・・・んっ?いいのか、やめても?」  
「そ・・・じゃなくてぇっ、欲しいのぉ!指・・・じゃ、なくてぇえっ!」  
 あたしは喘ぎながら、ちらりと横目でガウリイの下半身を見た。そこには、すっかり準備の調った彼の硬く大きなモノが・・・。  
 すぐにでもそれを挿入れてほしくて、そこから目が離せなくなる。  
 あたしの熱い視線に気付いたガウリイは、あたしの中から指を引き抜き、代わりに己の剛直をあてがった。  
 「リナが欲しいのは、オレのこれか?!」  
 「・・・んあぁあ、そうなのぉっ!ちんぽッ!あたしのおまんこに、早くガウリイのちんぽ挿入れてッ!・・・今夜は、何回しても、いいからああぁあぁッッ!!」  
 こういう時のガウリイは意地悪だけど、こうしておねだりさえすれば、すぐにあたしの大好きなモノをくれて、そのまま何度でも気持ち良くしてくれるのだ。  
 
 ・・・だけど、今夜はそうじゃなかった。  
 「んー。オレもそうしたいのは山々だけどさ、何か忘れてないか、リナ?」  
  「・・・えぇっ?」  
 「これこれ!今夜はこれを使う約束だったろ?」  
 と、ガウリイが手に取ったのは、十メートル近くはありそうな麻縄。  
 ・・・そうだ、最初に言われたんだっけ。数日前みたく両手首を縛って、そして・・・。  
 
 「・・・ん。そうだったわね、はい!」  
 あたしは、素直に彼の前に両腕を突き出した。  
 「いや。腕も縛るが、その前に少し準備をせねばならん。」  
 そう言って彼は、縄を適当な所で二つに折り、いくつも結び目を作り始める。  
 「この前とは違う縛り方にしようと思って、さ。よし、リナじっとしていてくれよ!」  
 言われるままにじっとしていると、ガウリイはまず結び目の間にあたしの頭をくぐらせ、前に垂らした部分を股間に通して、後ろに廻した。  
 「みゃあぁああッ!」  
 敏感な場所にキュウッと麻縄が食い込む刺激に、あたしは堪らず嬌声をあげた。  
 その後も、彼が縄を結び目の間に通したり交差させたりする度に、食い込んだ部分が擦れては、あたしの熱を呼び覚ましていく。  
 ・・・数分後、腕を後ろ手に縛められた時には、荒い息をつくのがやっとだった。  
 でも、これで終わりというわけではない。  
 「リナ、もっと脚を広げて。・・・そう、そのまま大きく!」  
 更に縄の余った部分で、大きくM字に開いた膝と太ももを閉じることが出来ないように固定され、股間に食い込んでいた縄を左右に押し広げたところで、やっと完成。  
 「・・・よし、出来た!リナ、自分で見てみるか?」  
 ガウリイに促され、姿見に映る自分の姿を見たあたしは、思わず息を呑んだ。  
 ・・・首から下半身に至るまで、亀の甲羅のように麻縄が交差している様はある意味芸術的ですらあり、彼の意外な器用さに感心させられる。  
 縄の間に挟まれた胸は、歪に強調されて、普段よりも少し大きめに見えた。下手な下着をつけるよりずっといやらしいかもしれない。  
 そして、閉じることが出来ない脚の間では、両側から縄で開かれた性器がぱっくりと口を開けていた。  
 昨夜、彼によって丁寧に剃毛されたばかりのソコは遮る物がなく、濃い桃色に充血したクリトリスや、淫靡なおつゆでグチュグチュに濡れたおまんこが全て晒されている。  
 ・・・ああ、なんてイヤラシイ姿なの、あたし・・・!  
 「嫌あぁあッ・・・!」  
 耐え切れずに身を捩れば、身体に張り巡らされた麻縄がよりいっそう食い込む。  
 ・・・でも、官能に火照った身体には、それすらも程よい刺激。  
 しかもこの縛り方ときたら、身体のどこかを動かすと別の部分の縄が締まるという念の入り様なのだ。 ・・・恐るべし、ガウリイ!  
 
 ・・・それにしても、ガウリイはいったいどこでこんな事を覚えたんだろう?  
 やっぱし、すけべぇ屋さんでプロのお姉さん相手にとか・・・ダメだ、深く考えるのはやめよう・・・。  
 ことエッチに関する彼の知識とテクニックから、今まで相当の経験を積んできているのは解るけど、それを考えるとどうにもモヤモヤした嫌な気分になる。  
 これが、嫉妬というやつかな・・・。  
 あたしはガウリイしか知らないというのに、どこかにあたし以外にも彼を知っている女の人達がいる・・・何か、何か・・・くやしいっ!  
 ・・・まあ、だからといってあたしも他の男と・・・なんて、考えるのも嫌なんだけど。  
 
 「よく似合ってるぞ、リナ!」  
 ・・・あのう、縛られた姿が似合うとか言われても、あんまし嬉しくないんだけど。  
 「縄で擦れるのが、イイんだろ?さっきよりも濡れてるし・・・。」  
 と、ガウリイはあたしをうつ伏せに転がした。縄で固定されているので、自然と彼のほうにお尻を高く突き出した格好になってしまう。  
 恥ずかしいけれど、せいぜい身を捩るくらいしか出来ない。  
 「・・・ね、ガウリイ。お願い、挿入れて・・・。」  
 焦らされて、我慢出来なくなったあたしは、再びおねだりをした。  
 「おう!すぐに挿入れてやるよ、これを・・・!」  
 くちゅりと音をたてて、あたしの中に硬いものが入ってくる。  
 しかしそれは、待ち望んでいた彼の熱いモノではなく、男性器を模った冷たい張り形だった。  
 「・・・やっ、嫌ぁっ!抜いてぇぇっ!」  
 以前にもこれを入れられたことがあるが、どうにも好きになれない。  
 ガウリイのモノ程大きくはないけれど、硬くて冷たいだけのそれは、あたしに嫌悪感のみを与える玩具にすぎないのだ。  
 入れられても、ちっとも気持ち良くなんかない。  
 「・・・どうした?挿入れてほしかったんだろう?」  
 「違うの!あたしが欲しいのは、こんな玩具じゃ・・・ないのぉ!」  
 ガウリイが、あたしを焦らすために意地悪をしているのは、一目瞭然。しかも彼は調子に乗ると、次から次へと酷いことを思い付くのだ。  
 「そのわりには、しっかり根元まで銜え込んでるじゃないか!・・そうだ、今度こいつを挿入れたまま散歩・・なんてのは、どうだ?」  
 ぞっとするようなことを言いながら、彼はさも愉快そうに笑う。・・・うぅ、悪魔の笑みだ。  
 ・・・冗談じゃない!そんなことされたら、あたしは・・・。  
 「・・・抜いてくれないと、ガウリイのこと・・・嫌いになっちゃうからぁぁっ!」  
 「いや、無理だろ、それは。」  
 目に涙を溜めて懇願するあたしを嘲笑うかのように、ガウリイは平然と意地悪を言う。  
 「あたしっ、これ嫌なのっ!嫌なのに、無理とか言わないでぇッ!!」  
 「・・・そうじゃなくて、な。リナには、オレを嫌いになるなんて無理だろう?」  
 と、やけに自信たっぷりに言うガウリイ。  
 ・・・ふるちんで威張るなと言いたいが、あたしのほうがもっと凄い格好なので言えやしない。  
 ・・・でも、くやしいけど確かに、そう。  
 あたしは、どんなに意地悪をされようが、彼を嫌いになるなんて出来やしない。  
 それぐらいに彼のことが、大好きなのだ・・・。  
 「・・・何よ。ガウリイだって、あたしに嫌われたら、生きていけないくせに・・・!」  
 「ハハハ、それは確かに言えてるな・・・!」  
 そう言って笑いながら、ガウリイはあたしの中から張り型を抜き取った。  
 そして、そのままあたしの腰に手をかけ・・・、今度こそあたしの望みどおりのモノが、ゆっくりと挿入ってくる!  
 
 「あひゃっ・・・!はぁああぁあんっ!」  
 「どうだ、リナッ!これが欲しかったんだろう、嬉しいかっ?!」  
 ガウリイが、後ろから激しく突き入れながら、あたしに問う。  
 「んはぁッ、そうなのっ・・・ガウリ・・・のっ、ちんぽ挿入れてほしくて・・・堪らなかったのおぉあぁっ!」  
 凄く、身体が熱い。ガウリイが与えてくる大きな波と、身じろぐ度に縄が擦れる小さな波とに翻弄され、流されてしまいそう。  
 「ひうっ・・・いいのぉ!しゅごく熱いのッ、んぁ・・・縄・・キツくて、イイのおぉッ!!」  
 「・・・いいぜ、リナ、凄い締め付けだ!こうすると、特に!」  
 と、ガウリイが最奥を責めながら、麻縄をグイッと引っ張る。  
 多分、普通の時にそんなことをされたら、痛みや苦しみがあるのだろう。・・・でも、今のあたしには快感でしかない。  
 その瞬間、自分の中を蹂躙する彼のモノが、よりいっそう存在感を増し、収縮した内壁が強くそれを締め付けているのだと解る。  
 「みゃぁあぁぁあッ!擦れるのぉッ、ダメぇッ・・・らめだよぉぉぅッ!」  
 「気持ちいいのか?・・・やっぱり、思ったとおりだ、リナには素質があるなっ!」  
 「そし・・・つぅっ?何よ、それえぇぇッ?!」  
 あたしが問うと、ガウリイは耳元で囁いてきた。  
 「・・・苛められると喜ぶ、って素質・・・。」  
 自分でも薄々気付いてはいたが、認めたくなかった事実を衝かれ、身体がビクンとはねる。  
 ・・・そう、確かにそうなのかもしれない。  
 そうでなきゃ、こんないじめっこに毎晩付き合えるはずが、あるかあぁぁぁぁっ!!  
 「何よぅぅっ、ガウリイだってぇ・・・あたしにイジワルして喜ぶ、変態くんのくせにいぃぃッ!!」  
 「仕方ないだろ?リナがあんまり可愛いから、つい苛めたくなっちまう!」  
 「そんな・・・ぁっ!はひゃあぁぁあぁッ!・・・らめぇ、ちんぽ熱いっ!ちんぽ、しゅごしゅぎるぅぅうぅッ!」  
 更に突きあげが激しさを増したために、あたしの意識はかき乱され、ただただ押し寄せる快感に酔いしれた。  
 「あぁんッ、おまん・・こ、イイッ!・・・もっと、リナのおまんこ苛めてくらしゃひいぃぃぃんッ!!」  
 「リナも、随分と淫乱になったもんだ!・・・こんなんじゃ、もうオレ以外とはセックス出来ないなぁッ!」  
 「ふはッ・・・そうにゃのっ!ガウリイの・・ちんぽじゃないとっ、らめなのおぉぉぁぁッ!!」  
 ガウリイが腰を打ち付ける度に、甘い痺れがあたしの全身を包み、心までも支配していく。  
 絶頂が近い為か、縛められて思うように身動き出来ない身体が、カクカクと小刻みに震えだした。  
 「んあぁッ、イクっ!・・・やぁッ、イッひゃううぅぅうぅんッ!!」  
 「・・・リナッ!このまま、おまんこの中にッ出すぞっっ!!」  
 「・・・んくッ!イイよぉ、出してえぇぇッ!おまんこの中、ガウリイのっ・・・濃いミルクでいっぱいに・・してえぇぇえぇぇッッ!!!」  
 ・・あたしが絶頂を迎えた直後、あたしのいちばん深い場所が、ガウリイの熱い迸りでいっぱいに満たされていった・・・。  
 ・・・んは。・・・真っ白・・・・・。  
 
 
 「リナさん、こっちこっち!」  
 ・・・さて、食堂に辿り着くと、アメリアがこちらに向かって手を振ってきた。  
 中途半端な時間のためか、彼女の他にお客はいない。当のアメリアも食事中ではなく、お茶など飲みつつ本を読んでいるだけだ。  
 あまり食欲のないあたしは、とりあえずヌードルセットを三人前ばかし注文して、彼女の向かいの席に着いた。  
 「おはよう、アメリア。・・・ガウリイとゼルは?」  
 「買出しに行ってますよ。それより、リナさんがこんなに寝坊するなんて、珍しいですね。」  
 「・・・んー、ちょっとね。」  
 そうこうしている内に注文した物が来たので、あたしは無意識に手袋を外しておしぼりで手を拭いた。  
 すると、アメリアが不思議そうにこっちを見ている。  
 「・・・何?」  
 「リナさん、その腕はどうしたんです?」  
 「えっ・・・?」  
 言われてあたしは、自分の腕を見て・・・うあっ、しまったあぁあああぁあぁっ!!  
 なんとなくいつもの習慣で手袋を外しちゃったけど、昨夜の縄痕がまだ残っていたんだっけ。  
 両手首に残る、細い蛇に巻きつかれたような赤い痣を、じっと見る。毛虫に刺された・・・とか言っても、誤魔化せないよなあ、やっぱし。  
 「これは・・・そのぅ、昨夜ちょっと・・・。」  
 「昨夜?何かあったんですか?」  
 ・・・えーと、どうしよう。  
 ガウリイは、緊縛ぐらい殆どのカップルがしている事だって言ってたけど、さすがに昨夜のは少しやりすぎのような気もするし・・・。  
 なまじこの間アメリアと話した時に、あたしが普通だと思って言ったことの殆どが普通ではなかったと思い知らされて恥をかいただけに、慎重になる。  
 亀甲縛りされて五回もしちゃったとか、最後にはお尻に玩具を入れられて二本挿しで責められちゃったとかとは、口が裂けても言えやしない。  
 ・・・そう、ここはあくまでソフトにいこう・・・。  
 「・・・こ、これは昨夜、ガウリイが・・・。」  
 あたしは、アメリアの反応を見ながら、手首を縛られてエッチした事だけを話した。  
 ・・・あー、多分また変態じみてるとかガウリイに騙されてるとか言われるんだろうな・・・と思ったのだが、今回は杞憂にすぎなかったらしい。  
 「・・・そ、それで、燃えたんですねっ?!」  
 アメリアの瞳が、正義について語る時のようにキラキラしている。・・・おや?  
 「う・・・うん、ちょっとだけ。アメリアは・・・ゼルと、そういう事してるの?」  
 「いや!ごく普通の事しか、してません。・・・でも!今リナさんの話を聞いて、そういう燃えるエッチもいいなって思いましたっ!」  
 何だか知らないけど、燃えるエッチという言葉が彼女の心に火を付けてしまったらしい。こうなると、もはや止められない。  
 「あのー、アメリア。ちょっと声が大きいんだけど・・・。」  
 「いいえっ!やはり、愛し合う二人には、ときには刺激も必要なんですよ!・・・まして、それが燃える事なら、なお更だわっ!!」  
 「・・・そ、そう。」  
 「そりゃ、背徳的な行為はわたしの正義を愛する信念には反するけど、@:*が+¥で$#6が%;@¥な&%Wは、253:*です、gじぇ@ぅmspふじこ・・・・・」  
 ・・・だめだ、こりゃ・・・。  
 暴走すると、手がつけられない。それが、アメリアクオリティ・・・。  
 なおも力説を続けるアメリアを尻目に、あたしはすっかり伸びきってしまったヌードルを啜った。  
 
 ・・・はあ。アメリアのことだから、絶対今夜にでも実行するんだろうな。  
 ちょっとだけ、付き合わされるゼルが気の毒になってきた。  
 ・・・もとい!一番気の毒なのは、毎夜ガウリイの変態プレイの毒牙にかかっている、あたしである!  
 なんて、可哀想なあたし・・・。  
 麻縄の痕が、手首どころか服の下にもびっしりだなんて、言えやしない、言えやしないよ、くくくっ・・・。  
 
 
まあ、ガウリイのリナとのセックスへの思い入れは凄まじいものがあるからな。  
買出し中にあいつに、普段どんなプレイをしてるかという話をふられて、嫌々聞いてみたんだが、  
まず内容が凄い。亀甲縛りとか剃毛とかしてるという。俺のアメリアとのごく普通のプレイを聞いて「それじゃ物足りないよ、キメラ野郎」という顔をする。  
お前とアメリアはいつまでも子供騙しのセックス以外慣れないらしい、みたいな。  
絶対、その剃毛とかより、俺がしている普通のプレイの方が純愛度高い。っつうか、それほぼ変態じゃねえか。  
で、バカがリナを攻める。やたら攻める。あのリナもあのときばかりはガウリイを尊敬。  
普段、スリッパでガウリイをしばいてるリナが「みゃああぁあ〜っ!リナを苛めてくらしゃいいぃい〜!!」とか言ってるという。みさくらか? 畜生、氏ね。  
回数も凄い、必ず3回以上する。下手すりゃ明け方までしてる。寝ろ。さっさと寝ろ。つうか加減しろ。  
で、やたらリナが喘ぐ。とにかく喘ぐ。理性の箍が外れると、エロい言葉も平気で言う。他の客に迷惑とかそんな概念一切ナシ。  
とにかく片っ端から、マニアックなプレイに興じる。バカが変態プレイの提案して、リナが恥ずかしいとか言いながらも全部受け入れる。俺には理解出来ない。畜生。  
あらかた惚気た後、「どうしたゼルもメイドプレイとかすれば良いじゃないか?」などと、余計な事を言う。畜生。  
で、ガウリイ、5回くらいした後に、「キレイにするんだ!」と更にフェラまでさせるという。  
「今日はちんぽ汁飲んじゃう」とかリナが言う。おまえ、今日どころか絶対いつも飲んでるだろ?  
ガウリイが更に「ああ、浣腸とかアナルとかどうだ、あれは素敵なプレイだぞ」とか言う。こっち見んな、殺すぞ。  
俺が「よく体力が続くな」とか厭味を言ってみたら、ガウリイが「オレの自前の剣は伝説クラスだから大丈夫さ」とか言う。  
傭兵ジョークの意味がわかんねえ。畜生、何がおかしいんだ、氏ね。  
 
まあ、おまえら、ガウリイにエロトークに誘われたら、要注意ってこった。  
 
 
 その夜・・・・・  
 
 「・・・あの、ゼルガディスさん。」  
 わたしは、思い切ってゼルガディスさんに声をかけた。  
 いつもならもっと気軽に話しかけられるけれど、今夜は少しもどかしい。  
 勿論、リナさん達ほどではないけれど、わたしとゼルガディスさんだってれっきとした恋人同士。  
 ・・・でも、わたしから誘うことなんてそんなにないし、何より今日の彼はとっても機嫌が悪そうで・・・。  
 たしか、朝ごはんのときは普通だったのに、買出しから帰って来たときにはもう怒っていた。  
 出先でガウリイさんと喧嘩でもしたのかな?・・・なんて思ったりもしたけれど、ガウリイさんは普通にしていたし・・・。  
 結局、理由を聞き出せないままに、夜を迎えてしまった。  
 「どうした、何か用か?」  
 「あっ、はい。実はですね・・・。」  
 上目遣いでゼルガディスさんを見つめながら話し始める。  
 大丈夫、落ち着いて。彼は別に、わたしに対して怒っているわけではないのだから。  
 「あのっ、エッチのときにこのロープで、わたしを縛ってみませんかっ?」  
ブハアアアアッッ!!!  
 わたしがそう言いながら、手にしたロープを見せると、ゼルガディスさんは飲んでいたコーヒーを派手に噴出した。  
 「・・・なっ!いきなり何を言い出すっ?!」  
 ゼルガディスさんが、珍しく慌てている。いつものクールなところもいいけど、たまに見せるこういう表情もけっこう好き。  
 「で、でもでもっ!リナさんに聞いたんです、昨日ガウリイさんとそういうことしたら、すごく燃えたって!!」  
 わたしが更に言い募ると、ゼルガディスさんはため息をついた後、冷たく吐き捨てた。  
 「・・・・・アホか。」  
 「ええぇっ!!でも、リナさんが〜!!!」  
 「・・・とにかく、あいつ等が何をしていようが勝手だが、おれにはあんな変態じみた趣味はない!」  
がーーーーーん!!!!!  
 ・・・そ、そんなぁ。変態って・・・ほんのちょっと腕を縛るだけなのに・・・。  
 わたしも、リナさんみたいになれたら・・・って、思っただけなのに!  
 
 ・・・そう、わたしがリナさんの話を聞いて羨ましかったのは、燃える!ってことだけではない。  
 以前から、リナさんが純情なのをいいことにガウリイさんに騙されて、色々とエッチなことを教えられているのは知っていた。  
 正直、それはいくらなんでも・・・って思うこともある。  
 でも、ガウリイさんに抱かれるようになってからのリナさんは、少しずつ変化してきたと思う。  
 わたしから見ても、時々ドキッとするような色気が出てきたし、何ていうかとても綺麗になった。  
 ・・・わたしだって、いつまでもゼルガディスさんに子供っぽいと思われるのは、嫌。早くリナさんみたいに、色っぽくなりたい。  
 ・・・そう思うのは、いけないことなの?  
 
 わたしは俯いて、自分の手の甲を見つめた。  
 何だか急に切ない気持ちになってきて、涙が毀れてしまいそうになる。  
 だ、だめ、泣いちゃ・・・。ゼルガディスさんにだって、彼なりの考えがあって言ったことなんだから!  
 「ごめんなさい。わたしが悪かったです・・・。」  
 「・・・いや、おれもキツい事を言ったな、すまん。」  
 「うぅっ・・・・!」  
 ゼルガディスさんの声を聞くと同時に、耐え切れなくなったわたしは、彼の胸に勢いよく飛び込んだ。  
 ・・・彼はわたしを難なく受け止め、優しく腕をまわす。合成獣であるはずの彼の腕が、とても温かく感じられた。  
 「・・・無理するな。お前はそのままでいい。」  
 「・・・はい、わたしも。わたしも、今のゼルガディスさんが、大好きです・・・!」  
 そのまましばらく抱きしめあった後、わたしたちはゆっくりと唇を重ね合った・・・。  
 
   おしまい  
 

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