まずい。
本当にそろそろ限界だ。
さっきだって、ぼったくりの商人にむかって詠唱を始めるリナを思いとどまらせるために、
後ろから抱え込んで口を押さえただけなんだけどなあ……。
意識しないようにはしてた訳だが、こりゃいかん。
腕の中にリナの身体があると、暴走しそうになる。
保護者失格じゃないか。
だいたいだな、オレはリナが嫁に行くまであいつの貞操を……。
嫁に……いけるのか?
まあ、あれだ。行けたと仮定して、の話だが……。
嫁に行くということは、男のところだよなあ。
当然。
嫁に行ったら、あんな事やこんな事も……。
……。
…………。
いやいや、考えるな。
………………。
……………………。
ハア……。
無理だ。
いかん。
リナの貧相な身体を考えちまう。
貧相だと思ってるくせに、あれを他の男が、てな事を想像もしたくないとは。
「ふー。いいお湯だったー……って、ガウリー、まだお風呂にいってなかったの?」
「リナ……。ちゃんとバスローブくらい羽織ってこいよ」
俺の心中も知らないで、下着姿で風呂場に戻ってくるな!
「だーって、この宿のバスローブ、きったないの。
ちゃんと、洗濯してんのかしら」
リナ……、オレに尻を向けたまま荷袋をあさるのはやめろ。
……。
…………。
すまん、リナ、もう限界だ。
「あれー?パジャマって、ガウリーの方じゃなかった……って、なにっ!?」
「『なに?』じゃない。男の前であんまり無防備な格好をするな」
あー……。
ホント、こいつの身体って華奢だな。
「ちょっ……、ガウリー!ふざけないでよ!」
「ふざけてなんかないぞう」
「離して!」
無駄無駄。
おまえさんに振り解かれるほど、オレはやわじゃないぞ。
それに、背中に張り付いてるオレに向かっては呪文も飛ばせないだろ?
「あっ……!や、やだっ!み、みみィ……」
耳が弱いのか?
じゃぁ、もっと噛んでやる。
それに、
「おまえさん、こんなもの必要ないだろう」
ない胸にこんな下着つけてどうするんだ。
余ってるじゃないか。
「バカッ!くらげ頭っ!!あ……バカ、外すなあ」
そんな可愛い声でバカとか言われてもなぁ。
っていうか、ホントに成長してないな、ここ。
あ、でも、一応柔らかいし……。
「やって言ってるけど、ここは立ってるぞ」
「ガウリーが弄るからでしょうがっ!」
「弄られて立つのか。じゃぁ、もっと弄ろう」
「なんでそー……っ!や、やだ、って……」
あーもう、うるさいな。
また、耳弄るぞ。
ん……、あ、耳朶やわらか……。
「ひゃっ!……んっ!んっ……ガウリ……」
顔が良く見えないのが残念だが、こんな声出してるって事は、リナもまんざらじゃないって事だよな。
「んっ、や、…うっ……くうぅ〜〜」
「我慢しなくていいんだぞ」
「我慢なんかしとらんわ!
っていうか、いい加減はな……っ、ば、バカ、やだっ!そこ、やだ、だめぇ」
なんだ。
ちゃんと濡れて……。
「ガウリぃ……ホントに、やめてよぉ……」
えっ!?
ちょっと涙目っ!!?
「だけどなあ……。おまえさん、濡れてるぞ?」
「うっさい!」
うあっ!まずい、本気で泣きそうだ。
うう、ここまで来て、とは思うが、無理矢理犯るのはいかんな。
し、仕方ない、離れよう。
「……これで、いいか」
「バカっ!」
ええ!?なんで離れたのにまた怒られるんだ。
というか、その胸、隠してもあんまり意味ないぞ……。
「ちゃんと離れただろ」
「あー!もー!!
そっ、……そういう事があたしとしたいんなら、ちゃっ、ちゃっ、ちゃんともっと……
こう、やっ、優しく……とか…………ま、前から、とか……」
…………そうか。
「ごめんな、リナ。順番を間違えたな」
「よ、よろしい」
前からなら抱きしめてもいいのかな。
……距離はもうちょっと縮めてもいいよな。
「……ちゃんと、優しくだからねっ?」
「分かってるよ」
ああ、なるほど。
向かい合って抱きしめる方が、オレも嬉しい。
「ったく……なんでいきなりあんなことするかな」
「いや、おまえさんが他の男に嫁に行くとか考えたら」
「なにそれ?」
「まあ、色々と……」
「……ガウリー。手がまた下に来てるんだけど」
いかん、無意識にそんな事を……けどなあ、
「この状況でやめるのは拷問に近いな」
「……順番守ってくれる?」
「ああ、守らないとな」
……うっ。目を閉じたリナがこんなに可愛いとは……。
……。
…………。
ああ、リナの唇は柔らかい。
終