ある町の宿の一室。  
「リナさんリナさん」  
 真夜中にわたしを呼ぶ聞き覚えある声で起こされた。  
「誰? ゼロス、何のよう?」  
 眠い目をこすりながら、あたしは半身を起こした。  
 ゼロスが唐突にやってくることはまれにあるので特に驚きはない。  
「実は、任務で近くまで来たのですが、アストラル界から離れるとエネルギーの消耗が激しく・・・  
 人間で言うとおなかが減ったといいましょうか」  
「おなかが減った・・・。ちょっと待ってなさい」  
 ベッド脇のスリッパを履き、コート掛けにかけておいたマント裏のポケットから食料を探す。  
 ない! この町に来る前に全部、自分のおなかに処分してしまったからだ。  
「ないわ。あきらめて他あたって」  
「いえ、僕は魔族ですから人間の食べ物は必要ありませんので。ところで、ガウリイさんは? この宿にはいないようですが」  
「あぁ、あいつ。なんか用事があるとかでちょっと前に別れた。」  
「そうですか、それはよかった」  
 ゼロスの細い目が少し開かれた気がした。  
「そうそう。リナさん、プレゼントです」  
 ニコパとしながら、あたしに黒い球体を握らす。  
「何、これっつ!?」  
 急に球体は膨張し、枝のよう物がヘビのようにあたしに巻き付く。  
 まるで大の字の形で張り付け状態にされた。  
 
「ゼロス!? どういうつもりよ! あたしを離しなさい。」  
「ほんの少しの間ですから、ちょと我慢していただきます」  
 こちらに近づくと、あたしが着ている白いパジャマのボタンをプチプチとはずしていく。  
「なっ……!? ちょっ……! 何するのよ」  
「うーん。あいわらず小さい胸ですね」と、あたしの胸をピンと指で弾く。  
「痛っ! あんた! おなかが減ったらあたしにセクハラするの!?」  
「セクハラなんて中途半端なことしませんよ。今からリナさんを美味しく頂かせてもらいます」  
「ぁっぁぁぁぁぁぁつ!」  
 悲鳴を上げるも、声が出ない!  
 黒い樹から、枝が伸びてきて私の口を塞いだ。  
「リナさんって胸は小さいですけど、肌はきれいですよね」  
「うぅぅぅぅ」  
 口を塞ぐ物体を振り払おうとするが、振り払えない。  
「くっ」  
 ゼロスはあたしの両乳房を軽く撫でると、急に強く揉みしだき、右の左の乳房に吸い付いた。  
「っつ!」  
 ランダムに強く吸ったり弱くしたり、乳首のまわりを舌でなめたり。  
 その刺激でおかしくなりそうだ。  
「結構、感じやすいんですね。じゃ、次行きましょうか。」  
 右の指をみぞうちからへそのあたりまで伝わせる。  
 そして、細い目の片方を少し開かせた。  
 
 再び、出っ張りへの攻撃が始まる。  
 くちゅくちゅくちゅ  
「いっ、いやーーっ。ぁぁぁぁあ」  
 あたしは体をのけ反らせる。がくりと体の力が抜けた。  
「あぁ〜、イってしまいましたか。もう少し楽しんでもらいたかったな」  
「ぁ、あんた!なんであたしがイってわかるんのよ!」  
「ん〜。それはヒミツです!」  
 いつもセリフ・・・。  
 これで、やっと変な拷問から解放されそうだ・・・。安堵のため息をつくあたし。  
「リナさん。お楽しみはこれからですよ。何、一息ついてるんですか」  
「へっ?」  
 ゼロスは、あたしを刺激していた指を嘗める。  
「ここからは、魔族の私にしか出来ない芸当ですので、じっくり味わっくださいね」  
 あたしの下腹部に伸ばされるゼロスの右手。その右手が、おなかを突き抜けて中に入っていく。  
「ここがリナさんの子宮です」  
 おなかの中が突かれるのがわかった。けれど思ったほど触られている感じがしない。  
「よく子宮を刺激されると気持ちいいって言いますけど、あれウソですから。子宮に快感の神経はないんです」  
「ぁ、そう・・・」  
「本当に気持ちいいのは・・・・、子宮の下のここです」  
「ひっ!!!!!!」  
 怒濤の様に押し寄せる刺激。  
 恥ずかしい。気持ちいい。止めて欲しい。続けて・・・。頭の中をあらゆる感情が駆けめぐりわけがわからなくなっていた。  
「っだっダメ。はぁん!? やぁ、やぁ・・・。ぁあ・・・」  
 今まで出したことのない声が、溢れ零れる。  
「ゼロス・・・ダメ、イっちゃ・・・。ぁあああ〜っ」  
 足先から脳天まで、快感が貫いた。  
 あたしはそのまま力が抜けてしまった。  
 
「ごちそう様でした。リナさん」  
 ゼロスはあたしに手を合わせにやけていた。  
「あたしを犯すのが、ごちそうだったわけ?」  
 あたしは、上目遣いにゼロスを睨み付けた。  
「いえ。犯すのが直接ではなく、犯されると思った時に派生する負の感情がごちそうだっんです」  
 ・・・・?   
「どういうことよ?」  
「人間の仕組みから言えば、人間が同種を増やすには性欲とそれから派生する快感は必須なんです。しかし、その行為は、時として暴力や拷問になるんですね。  
強姦ってやつです。特に女性は、好きでもない男性から犯されると思った時、負の感情が発生するんです。  
 これがなかなか美味なんですよ。」  
「だから、あんなことを!!!!!」  
「特にリナさんのは、少量でとても濃厚でしたね。普通の人間の負の感情を集めようと思ったら、すさまじい拷問でもしないと。  
 僕は魔族なので人間の様な性欲はありません。僕からすれば人間なんてミジンコみたいなもんですから、ミジンコの生殖活動なんて人間から見たら興味ないでしょ?  
1000年以上生きてますから、人間の仕組みは多少なりとも心得てますし。今、リナさんを縛っているそれ、処女の巫女を気持ちよく拷問する道具なんです」  
「くうううううつ。悔しい!!!」  
 攻撃魔法を唱えようとした瞬間、黒い樹から枝があたしの口を縛る。  
「ありがとうございました。それでは僕は失礼します。」  
 黒い樹に縛られたあたしを置いて、ゼロスは壁を抜けていった。  
 こらー、置いていくな!!!!  
「あぁぁ、そうでした。」  
 ひょいと壁から半身を出す。  
「それ、攻撃魔法を唱えようとすると口塞ぎます。朝になったら消えちゃいますから。  
 それと、どんなに叫んでも外に声は漏れませんので、安心して十分にお楽しみ下さい。  
 それでは」  
 再び、ゼロスは消えた。  
 楽しむ? 何を、この格好で?  
   
 いきなり黒い樹が激しく伸びるとあたしの体の敏感な部分に攻めだした。  
「イヤ!!!!!!」  
 黒い樹に色々な体勢に動かされ、あたしは朝まで何度もイかされてしまった。  
 
 昼。チェックアウトの時間になっても部屋から出てこない客の様子を見に来た宿の主人にあたしは起こされた。  
 ずたずたになった宿のパジャマを胸はだけさせ床に転がる恥ずかしい姿を見られ、店の備品をダメにしたということで  
 パジャマ代と超過時間分を請求されてしまった。  
   
 ゼロス 今度会うときは覚えてろ!!!!!  
 

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