溜息をつくと空気が白く染まった。  
白が世界を埋め尽くし、  
それが人間界でいう冬の季節を証明している。  
 
まるで光の絨毯の中央が黒く滲むように  
黒の法衣を纏った青年がそこに座っていた。  
――彼の名はゼロス・メタリオム  
獣王ゼラス・メタリオムの生み出した、ただ一人の腹心。  
正真正銘の魔族である。  
 
うっすらと開かれた紫色の瞳は  
夜空を見上げどこか虚ろな輝きを放っている。  
 
覆いかぶさるような漆黒の空からは  
白くやわらかな雪が降り注ぎ  
青年の体・・・髪・・・頬に舞い落ちる。  
 
「・・・・・・」  
 
また、口元で息がが白く染まる  
――と。言っても、  
人の形をしながら人ではない青年に  
体温という概念は無く  
吐く息が白くなるという現象は  
自ら作り出した”人間の動作の一部”に過ぎない。  
 
(・・・それなのに・・・)  
ゼロスは手の内にある雪の結晶を ぎゅ・・・と握り潰す。  
 
誰も見ていないのにも関わらず  
人間の真似事などしている己に戸惑う。  
この身に雪を積もらせて、夜空を見上げて  
白い息を吐いて何になると言うのだ―――。  
 
一人の少女の記憶がゼロスを支配していた。  
 
名は、リナ・インバース  
獣王の命により、一時的に護衛をしている少女だ。  
栗色の髪を揺らし、暁色の瞳をもつリナを思うだけで  
ゼロスの心は焦がれる。それが苛立ちの原因でもある。  
 
なぜ、自分だけこんな苦しい思いをするのか。  
今もその少女は宿ですやすやと寝息を立て夢の世界にいるだろうに  
自分はこんなにも焦がれているというのに――・・・  
 
己は魔族で少女は人間。互いに相容れない存在。  
いるべき世界も、時の流れも別の場所にある者同士――・・・  
この思いの果てに何があるというのだ?  
何もあるはずがない、あってはならない  
 
(だから僕は――)  
 
「ゼロス!」  
聞きなれた懐かしく、少し高い声が響く  
 
「えっっ?」  
 
不意を突かれ振り返ると目の前にはリナがいた。  
「・・・リナさん・・・!?」  
驚きを隠せずゼロスは躊躇したが  
すぐにいつもの笑顔で「こんばんわ」と言った。  
 
「「こんばんわ」じゃないわよ!この迷惑神官!!  
 人の部屋の屋根の上でセンチに夜空なんか眺めちゃって!  
 どんだけ探したとおもってんのよ!」  
 
リナは目を吊り上げてゼロスの胸倉をがっしと掴む。  
 
「それってもしかして、心配してくれたんですかぁ?」  
からかう様に言うとリナは首から耳まで真っ赤になって  
 
「そ!?そそ・・そそそんなんじゃないわよ!!  
 何馬鹿なこと言ってんのよぉ・・!・・・あたしは・・・ただね・・・」  
リナは何故か慌てふためき語尾に力をなくす。  
 
「とっ!!とにかくとっとと屋根から下りて部屋に入りなさいよ!  
 あたしひもじいのと眠いのと寒いのは勘弁なのよ!」  
 
そういわれ首根っこを掴まれて  
ゼロスはリナの部屋に引き釣りこまれた。  
 
 
 
※  
 
 
 
「で、急にどうしたんです?」  
 
「あ・・・あのさ・・・コレ」  
 
リナはおずおずとマントの中から何やら取り出し差し出した。  
ピンクの紙と赤いリボンでラッピングされた可愛らしい包みであった。  
 
「これは・・・?」  
ゼロスは包みを受け取りながら聞いた。  
 
「ほら!今日は俗に言う”ばれんたいんでぃ”ってやつなの!  
 ・・・か、勘違いしないでよ!?  
 アメリアやシルフィールが作れっていうから〜・・・」  
 
リナは顔をトマトのように真っ赤にさせ  
弁解のごとく片手をばたばた振りながらそっぽを向いた  
 
「僕にですか?」  
 
「う、うん」  
 
以前、人間界の文献で読んだことがある。  
”セント・バレンタイン・デー”  
それは女性が好きな異性にチョコレートを贈るという日  
包みを開けるとトリュフが幾つか入っていた。  
 
「ありがたく頂きます」  
 
ゼロスはトリュフのひとつを口に含み  
突如リナの腕を掴み力ずくで押し倒した。  
覆いかぶさるようにリナに口付ける。  
 
「――!!――」  
 
「ん・・・むぅ・・・」  
リナは反射的に拒みひ弱な抵抗を見せる  
ゼロスは抵抗を見せるその左手を掴みリナの頭上に押し付け  
右手も同じようにし、難なく両手を拘束した。  
 
リナは白い頬を高潮させ瞳を潤ませ驚きと非難の眼差しを向ける。  
息苦しくなり開いたリナの唇の隙間から  
含んだトリュフを移動させリナの口に含ませる  
すぐに離さず二人の舌で包み込むように転がし  
リナの体温で溶けてしまうまで味わった。  
 
「ぷは・・・っ ゼ、ゼロス!?」  
 
「とっても美味しかったです、リナさんのチョコ」  
 
にっこり笑って再度口付けをする  
ぬるりと歯列の裏側をなぞり舌の形を確かめるように絡める  
追跡から逃れようとする舌先に甘噛みし捕らえ  
ちゅう・・と吸付いてみる。  
ゼロスは半目を開けてリナの様子をじっくりと観察する。  
ぎゅう…と目を硬く閉じ涙を浮かべ、反応するリナは  
官能的であり発せられる負の感情は甘美極まりない。  
 
「ん・・・やぁ・・・!」  
 
リナは顔を左右に振りゼロスを振りきった。  
息を切らす口元からはどちらのものともつかない唾液に濡れている  
 
「・・・あなたは罪な人ですね」  
ゼロスは口元に笑みを浮かべる  
 
「ゼロス・・・ちょっとぉ・・・ケーサツ呼ぶわよ!ケーサツ!・・・あっ」  
 
ゼロスはリナの首筋に舌を這わせて 耳の裏側に吸付く  
そのまま耳の輪郭をトレースするように舌先でなぞり  
耳ごと口に含んで穴に舌を滑り込ませる  
 
・・・ちゅ・・・ちゅぷ・・・ちゅく・・・  
 
「ひ・・・ぁっ・・・!やめ・・・!」  
 
びくびくっ・・・とリナの体が痙攣し一瞬にして首筋に鳥肌が立つ。  
きっとリナの中には卑猥な音が響き渡っているはずだ  
ゼロスはリナの聴覚を犯しながら耳元に唇を押し付けて囁いた  
 
「リナさんが悪いんですよ。リナさんが無防備だから」  
 
「・・・む、無防備って・・・あたしそんなつもりじゃ!」  
 
――パン――!  
 
必死の抗議をよそにゼロスが念を込めると  
勢いよくリナの上着の留め具が破壊され柔肌が夜空のもと晒される。  
ゼロスは肌にのこる下着を容赦なく剥ぎ取り  
本人がコンプレックスにしている小ぶりな乳房が露わになった。  
 
「い・・・・やぁ!!!!!」  
さすがのリナも怯えの悲鳴をあげ  
瞳からは大粒の涙が溢れ出た。  
羞恥 怒り 怯え・・・負の感情が溢れ出る――  
 
抵抗するリナの手元に魔力が凝縮しはじめたが  
ゼロスは手を重ね難なく押しつぶす。  
弱々しくも魔力は拡散されてしまった。  
 
「ふふ・・・そうです、もっと抵抗してください  
 そうでなきゃリナさんらしくない」  
 
ゼロスはきめの細かい乳房を  
焦らす様に、見せ付けるようにねっとりと愛撫する  
まだ男に触れられていないせいか薄桃色の乳首が美しい。  
恥じらいからか声を上げるまいと硬く口をつぐんだリナも  
愛撫が胸の頂点に達したときに声にならない声を上げた。  
ゼロスは誰も聞くことの無いリナの淫乱な声に眩む。  
 
「・・・ぁっ・・・ひ・・ぅっ・・・ゼロ・・スぅ・・・」  
 
――もっと聞きたい  
 
ゼロスは右手の手袋の先を咥え取り外した。  
そして白くほっそりとした手で太ももに撫で上げ  
突如乱暴に服を引き千切り、リナの恥部をなぞった  
 
「やっ! そこだけは・・・ダメぇ・・・!」  
 
リナは顔を真っ赤にして叫んだ。  
・・・すでにぐっしょりと濡れそぼっている。  
下着越しにも認識できるほど敏感な部分は突起していた。  
 
「すごいですよ、リナさんはこんなに嫌がっているのに  
 こんなに濡れています、それに・・・膨らんでる」  
 
ゼロスはわざと普段のようににっこりと笑みを浮かべ  
リナの顔を見つめる  
 
「言わないでっ!!」  
 
――そう、その表情がたまらなく愛しい  
 
くちゅ・・・  
 
「――!」  
 
ゼロスは下着の横から中指を滑り込ませ  
リナの内側に挿しこんだ。  
 
「んぁっ!・・・ぁあぁっ!・・ぁぅ・・・」  
初めて進入される異物感にリナは子猫のように鳴いた  
その瞳は虚ろに彷徨っている。  
犯すという行為に本能的に興奮したゼロスは  
少しだけ息を荒げてリナの耳元で囁いた。  
 
「どうしたんですか?リナさん・・、そんないやらしい声を上げて。  
 あなたともあろう人が、魔族の僕にこんな事をされて  
 ・・・屈辱的でしょう?」  
 
言いながら挿入された指で中の形を確かめるように  
ゆっくりとかき混ぜる。  
 
「あ・・・ぅあ・・・あぁぁっ・・・!だめぇっ・・」  
 
きゅうきゅうと締め付けられある場所をなぞると  
リナはびくんと反応し喘いだ。  
さらに人差し指を挿れると膣壁に柔らかな抵抗を感じた  
いまのリナにはゼロスの指2本が限界なのだろう。  
 
構いもせず3本目の薬指を挿れようとしたとき  
リナの表情に恐怖が広がった  
 
「やめてぇ!ゼロス・・・分かってるでしょ?!  
 わたし・・・無いから・・・したこと・・・  
 だからお願い・・・許してよぉ・・・」  
 
怖れから恥じる様子もなく  
泣きじゃくりながら必死に許しを願った。  
ゼロスはそんなリナを優しく見つめ  
頬を撫であふれる涙を舐めた  
 
「――怖いですか?」  
 
「うん・・・ うん・・・」  
リナは勢いよくコクコクと首を立てに振った。  
ゼロスはリナの髪を優しく撫でリナを抱きしめた。  
入り口を責めようとする指の力を弱めると  
リナがほっと安堵の表情を浮かべた次の瞬間  
 
――ずちゅっ!!――  
 
ゼロスの指が腕の中のリナを勢いよく貫いた。  
リナは「ひぎぃ!!!」と悲鳴をあげ体は硬直した  
見事なまでに裂かれた割れ目からは鮮やかな血が滴った――・・・  
 
 
 
※  
 
 
 
ゼロスに性欲というものは無いが。  
彼のリナに対する想いは己の独占欲というものであろう。  
自分のものだけにしたい―その口から自分の名を呼ばせたい。  
誰の目にも触れさせたくはない・・・。  
それが人間でいう恋に近いのかもしれない――  
だがゼロスはその感情を決して認めてはならないと感じていた  
 
 
ふ・・・と口元に自嘲の笑みを浮かべ  
ゼロスは腕の中の少女を開放した  
何も言わないリナはきっと自分を憎み、軽蔑するだろう  
 
――それでいい――  
ゼロスはそう思った。  
 
そして大罪を犯した己の手が震えていることに  
気づかれないようにリナを見た  
 
「―な・・・」  
 
ゼロスは見た光景に驚愕した。  
なんとリナはゼロスを見つめ微笑んでいる。  
リナはすっと手を伸ばしゼロスを抱きしめた。  
 
「リナさ・・・」  
 
「やっと抱きしめれた・・・」  
リナはゼロスの背中を優しく撫でる。そして強く抱きしめた。  
 
「ちなみに、あたし怒ってないから」  
 
「・・・・・・!」  
 
「ごめんね、チョコなんか渡して!  
 魔族のゼロスにそんな感情ないの分かってて・・・  
 混乱させるような事しちゃったのはわたし・・・だから・・・」  
 
――だからゴメンね・・・と言おうとするリナの口を  
ゼロスの口が無理やり塞ぐ  
 
「・・・・・・・・・・・・謝らないでください」  
 
「・・・ゼロス?」  
 
・・・謝らないで・・・ください・・・  
 
ゼロスはリナの肩に顔をうずめ押し殺すような声で呻いた。  
そして窒息してしまいそうなほど、リナを抱きしめた  
 
”――怖かったね”  
 
リナが囁いた気がした  
 

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