ここは、とある遺跡の中。  
リナとガウリイ、そしてアメリアとゼルガディスの4人は大きな扉の前に立っていた。  
「ちょっとみんな下がってて」  
リナがすっと手を伸ばし、短い呪文を詠唱する。  
「ファイアー・ボール!」  
 
掌から火炎玉が飛び出し火柱と煙が舞い上がるが、扉には傷一つない。  
「アンロックも駄目、光の剣も歯が立たない、攻撃魔法も役に立たず……か。やっかいだな」  
ゼルガディスがちっと舌打ちする。  
「うぐぐ……。この向こうの部屋にはお宝が満載かもしれないのに〜」  
リナはぐしゃぐしゃっと頭をかきむしった。  
 
数日前、乙女のたしなみとしてリナがいつものように「盗賊いぢめ」として、  
盗賊団のアジトを襲撃したところ、盗賊たちが溜め込んだお宝の中にこの遺跡の地図を見つけたのだった。  
逃げ遅れた盗賊をしばきあげて問いただした所、遺跡には大量のお宝が眠っているらしいとのこと。  
お宝の内容は大量の財宝やマジックアイテム、未知の魔法書などなど。  
あくまで盗賊の自己申告ではあるが。  
 
というわけでリナたちはこの遺跡にやってきたのだが、  
番人のガーゴイルを蹴散らし、ラストの財宝部屋らしき場所にたどり着いたはいいが  
その入り口がどうやっても開かないのだ。  
「どうやって開けるんだ? リナ」  
ガウリイがたずねる。  
「わかんないわよそんなの。何か特定の魔法とか合言葉があるんだと思うけど」  
 
「これじゃないですか? リナさん」  
部屋の片隅の棚に隠すように置いてあった古い本をアメリアが見つけた。  
「それよそれ! でかした、アメリア!」  
ひったくるように本を奪うが、表紙を見たリナの眉がこれ以上ないくらい寄ってくる。  
「……って何語? これ」  
「はるか昔に失われた古代文字だな」  
「読めるの、ゼル!」  
「少しな。表紙には『開錠の書』とあるな」  
ぱらぱらとゼルガディスがページをめくる。  
「これによると扉を開けるには、2人がかりで身振り手振り……」  
 
ずざあーーっ! リナが10メートルほど後ずさりした。  
「どうしたんだ? リナ」  
「い、嫌ぁー!! もう歌は嫌ぁぁーーっ! 」  
半狂乱のリナの脳裏に、鮮やかにひらひらレオタード姿で歌って踊る姿がフラッシュバックする。  
「お、落ち着いてくださいリナさん、ここは違う遺跡ですから」  
「俺だってもう歌と踊りの指導はごめんだ。安心しろ、今度は男女一組で歌は無い」  
「衣装らしいものも見当たらないし。よかったな、リナ」  
「そ、そう。それなら安心ね」  
リナはほっと胸をなでおろした。  
 
「身振りだけでいいの? 呪文の詠唱は?」  
「呪文は唱えないらしい。まず男女が向かいあって立つ、とあるな」  
「わかったわ。ガウリイ、ちょっとこっち来てあたしの前に立って」  
「オレが? 魔道師じゃなくてもいいのか?」  
「ゼルは本の解読しなきゃいけないでしょ。まずガウリイとあたしで試してみて、  
駄目だったら交代しましょう」  
「おう、まかせとけ!」  
どんと胸を叩いて、ガウリイはりナの前に立った。  
 
「それで、どうするの?」  
「男が女の肩に右手を乗せる」  
とん、とガウリイの大きな掌がリナの肩に乗せられた。  
「乗せたぞー」  
「次は左手で女の顎を捕らえて上を向かせる」  
「え? ……ちょ、ちょっと!」  
「そのまま口付け。女は舌を入れやすいように少し口を開く。男は右手で女の後頭部を固定」  
「ちょっとゼ……! んん……っ!」  
 
抗議の声を上げようとしたリナの声は、そのまま口付けといっしょにガウリイに飲み込まれた。  
ガウリイの舌がリナの舌をなぶるように絡み付いてくる。  
リナは身を引いて逃げようとするが頭を抱えられているので身動きえできない。  
思う存分口内を蹂躙されて、やっとリナは開放された。  
「……ん……っはぁ。って、本当にそんなこと書いてるのゼル! あんた勝手に作ってるんじゃないの!」  
「こんな嘘誰がつくか!」  
顔を赤らめてゼルガディスが抗議する。  
「それよりさっさと次に進むぞ。口付けの後は……そのまま唇を肩の線に移動させる」  
「こらーゼル! いーかげんにしなさい!」  
「リナ……」  
「そんな甘い声出しても駄目……っ! ……う……あん」  
ガウリイは手を滑らせて器用に片手でリナのマントを外した。  
そして服の前のフックを外し、襟元を広げると白い肩が露になり  
その肩に口付ける。  
 
「次は?」  
リナの肌に唇を這わせながら、平然とガウリイは尋ねる。  
その声で我に返ったゼルガディスは慌ててページをめくった。  
「えーと、……襟元から手を差し入れ乳房を初めは軽く触れるように徐々に力を込めて」  
「だーーっ!! ストーーップ! 交代よ交代! 後はアメリアとゼルがやんなさい! あたし降りる!」  
「ええー! わ、わたしはその……ダメです……ダメ」  
リンゴより真っ赤になったアメリアがじりじり後ずさりする。  
「いいじゃないか、リナ。オレはうれしいぞ」  
「こっちはちっとも嬉しくないっ……って、ガウリイどこ触ってんのよーっ!」  
開いた前あわせからガウリイの手が滑り込み、リナの胸の上でうごめく。  
初めは弱く、そして荒々しく。  
細波のようにガウリイが与える快感にリナの膝が崩れ落ち、ガウリイはリナを抱きとめた。  
 
「あ……ああ……」  
「ゼル、次」  
「……胸の先端をつまむようにして、次に舌で押すようになめて軽く歯を立てる」  
「あ……あんたたち、あとで覚えてなさ……う……ん、はぅ」  
前がはだけて、すっかり上半身が裸になったリナの体の上を、ガウリイの手が這い回り、  
リナの胸に顔を埋め、乳首を口に含み音をたてて舐めあげる。  
 
「じらすように内股を下からゆっくり撫であげて」  
「あ……いや……ガウリ……んん」  
「秘所に……ゆ、指を……ってこれ以上読めるかーっ!!」  
げしいっ!ゼルガディスは本を床に叩きつけた。  
「ゼ、ゼルガディスさん。本は大事にしましょうよ〜」  
おろおろするアメリア。  
「……扉周辺を調べよう、アメリア。何か変化があるかもしれん」  
「は、はい!」  
 
「あ……、ガウリイ……はぅ……ん」  
リナの声が徐々に拒絶ではなく艶を帯びたものになっていき、ガウリイの背に手を回し自ら愛撫に身をゆだねた。  
秘所にガウリイの指が差し込まれ、動くたびくちゅくちゅと水音を立てる。  
「……っ! はぅ……ああ」  
ガウリイが与える快感に飲まれ、リナはここがどこなのか何のためにこんなことをしているのか、  
自分たちの他に誰がいるのかもどうでもよくなってきていた。  
今欲しいのはガウリイで、望むのは一つになることだけ。  
 
背後から絶え間なく聞こえるリナの甘い嬌声が聞こえない振りをして、  
ゼルガディスとアメリアは懸命に扉を調べた。  
「ああ……来て、ガウリイ」  
「リナっ!」  
……とかいう声も聞こえないと思えば聞こえない。  
 
「開きそうもないですね、ゼルガディスさん」  
アメリアがぴったり閉じた扉の継ぎ目をこんこんと叩く。  
「本に載ってた正しい手順なら、ん?」  
先ほど床にたたきつけた本の表紙が外れている。  
アメリアが拾い表紙と中の本を見比べてみると、  
字は読めないものの違うことが書いていることはわかる。  
「ゼルガディスさん……。この本もしかして表紙と中身が違うんじゃないですか?」  
「当たりだアメリア。本当のタイトルは『女をイカせる100のテクニック』というらしい……」  
 
ひゅううう……。  
遺跡内に吹くはずのない風が吹き抜け、2人のマントがぱたぱたとはためく。  
「……戻るぞ、アメリア」  
「え? でもリナさんたちは放っておいていいんですか?」  
「終わったら戻ってくるだろう。それにリナが我に返ったら俺たちのせいじゃないと言っても  
おそらく八つ当たりのドラスレが飛んでくる」  
「そ、そうですね。早く逃げ……帰りましょう!」  
 
「あ……ああ……ガウリイ……いく……いっちゃうう……っ!」  
「……リナっ!」  
リナとガウリイが絶頂を迎えた頃、通路の向こうに大小二つの白マントが駆け足で消えていった。  
 
おわり。  
 
 
 
おまけのゼルアメ 
 
帰ってきた宿屋にて。  
「あれ? その本持って来ちゃったんですか?」  
「……他のもあるが、試してみるか」  
「え、試すって? きゃっ!」  
 
「あん……ゼルガディスさん、気持ちいいです」  
「アメリア……」  
 
今度こそ終わり。  
 

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