・べゼルド〜ソラリア間の話  
・ガウリナ  
・ガウリイが人並みに悩んでいるように見えなくも無い  
・今回はエロなし、エロは次回からなんで読み飛ばしてもおk  
 
ばふっ。  
ふかふかのおふとんさんの上に倒れこみ、天井と目をあわせる。  
パジャマに着替えて洋服たたみ。枕元には護身のためにショートソード。  
明日の準備もばっちり済んで、後は寝るだけという状況なのだが、どーにも眠れない。  
原因は――認めたくないが解っている。あの自称保護者のせいだ。  
昼からどうも、ガウリイがどこかおかしい。ボケている。  
……いや、いつもボケてはいるのだが、いつもののーみそヨーグルトとはちがう、気がする。  
元気がないというか、心ここにあらずというか、上手くは言えないのだが違和感があった。  
何か悩んでいるのかもしれない。あたしに言えない理由で。  
あーもう、うじうじ考えるなんてタマじゃないっ!直接聞いちゃるっ!  
勢いをつけてベッドから起き上がると、あたしはガウリイの部屋へと向かった。  
 
薄暗い廊下をわずかにきしませ歩き、ガウリイの部屋にはすぐ到着した。  
うー、勢いで来ちゃったけどなんか入りにくいなあ……  
かすかな躊躇をぷるぷるっ!と顔を振ることで払い、右手で軽く部屋のドアをノックした。  
――ここでためらっていても、どうせ彼の野生のカンとやらで部屋の前にいる気配はわかるだろう  
 
し。  
こんこんっ。  
「あー、えと。ガウリイ?  
 あたしだけど、入っていい?」  
返答代わりにこちらへ向かってくる足音。  
鍵をあけるかちょんという音を聞くのを待って、ドアノブを捻る。  
「リナ?どうしたんだ、こんな夜中に」  
小首を傾げて聞くガウリイに中途半端な笑みを返し、部屋に入れてもらう。  
もう少し起きているつもりだったらしく、ガウリイは寝間着ではなく昼のままの姿だった。  
「ちょっとね」  
招かれた部屋のベッドに勝手に腰掛け、まーちょっと座んなさいと目の前の椅子をぽふぽふする。  
黙ってあたしに従い、椅子に座るガウリイ。うむ、えらい。  
流れる少しばかり長い沈黙。  
この空気が落ち着かないのか、こっちをいぶかしげに見るガウリイの目を見て、あたしは切り出し  
 
た。  
「ガウリイ――」  
「ん……?」  
「あんた、あたしに何か隠し事してる?」  
 
はた、と見つめるあたしにガウリイはぐっと息を呑み、目をそらそうとして失敗している。  
こりは……反応的に確実のようである。  
いやまあ、男性独特の悩みとやらだったら言いにくいだろうけど。それは考えないことにして。  
あたしの真剣な目に圧されたのか、ガウリイははあ、と息を吐く。  
こっちを見つめ返して、  
「リナ……  
 オレ、リナにとって邪魔になってないか?」  
……は……?  
目を点にするあたしが見えてないかのごとく、ガウリイは呟く。  
「昼間の依頼の時も――」  
昼間の依頼……?  
確かレッサー・デーモンを廃屋で見たから退治してきて、という依頼だった気が……  
並の剣士や魔法使いではちょいときつい相手ではあるが、美少女剣士にして魔道士のあたしには楽勝、レベルである。  
最近(シェーラのせいで)デーモンがぽこぽこ増えていて、その手の依頼も多いのだ。  
今回のは廃屋の壁を黒魔波動(ブラスト・ウェイブ)でぶちやぶり、  
風の結界で炎の矢(フレア・アロー)を防ぎつつ呪文で確保撃破で終わりだった。  
「お前さん、いつもならオレに任せていたぶんも自分でやってただろ」  
 
そうだっけ……?  
ちょっと前にごたごたで対決した魔道士の炎の矢(フレア・アロー)ぶった切って黒こげになったのもあるし、  
光の剣を持っていた頃の癖がいまいち抜けてないガウリイを危なく思ったのも事実。  
でも、そんなガウリイに対してあたしは必要以上に気を配りすぎてなかったか……?  
それに対して彼がいい気分になるとは流石に思えない。  
「あのね、ガウ――」  
とんっ。  
言葉を選んで話をしようと思った矢先、軽く肩を押されて、あたしはベッドの上に倒れこむ。  
を……?  
あたしが頭で理解できないでいると、目の前が暗くなった。  
天井の明かりが、ガウリイの体で遮られたせいだ。  
顔の両脇にはガウリイの手。表情は陰になっていて見えない。  
これは……もしかして……ちょっと、ヤバいのか……?  
「リナ」  
感情が押し殺された声にあたしの体が震えた。  
「オレは、お前さんの保護者として旅をしてたけど、今の光の剣を持ってないただの剣士のままじゃ……  
 旅の相棒って役割すらできないか?」  
 
――バカだ。前々からバカだと思ってたが、救いようの無いバカだ、こいつは。  
あんたは――  
呆れて声を出そうとしたとき、ガウリイと目が合った。  
貫かんばかりの鋭い眼光。そこにかすかに見える……恐れ?  
あたしがうかつなことを言ったら何かが壊れる。決定的に。  
それはあたしの推測でしかなかったが、間違いだとは思えない。  
それだけ、今のガウリイは危うさを秘めていた。  
脳裏に響く警告に声が出なくなったあたしの頬に、ガウリイの大きな手がそっと触れた――  
 
唇が触れる。  
掠めるようなわずかなそれにさえ、びくっと反応してしまった。  
「なっ――」  
思わず漏らした呻きを遮るかのように、ガウリイは再び唇を重ねた。  
中途半端に開いたあたしの口の中に、舌が入ってくる。  
ぬるりとした舌が、歯列をなぞり、逃げるあたしの舌を絡め――息が出来ないってば!  
くちゅ、と軽い音を立ててやっとガウリイの顔が離れていった。  
やっとのこと開放されたあたしは、ぐるぐる回る頭を落ち着けるために大きく息を吸う。  
顔が熱いのは息苦しかったせいだけではないだろう。  
「……ガウリイ、何を……」  
「……保護者じゃなければ、光の剣の持ち主じゃなければ」  
静かな声。あたしの見たことの無い顔。  
「オレは、リナの隣に立つ理由は、無いか……?」  
それを見て無性に――泣きたくなった。  
 
目の奥に湧くものが流れないように目を開いて歯を食いしばったあたしに、まぶしい光がさした。  
ランプの光を遮っていたガウリイの顔が、下に移動したのだ。  
首筋を軽く吸われて、ぴくんと体が跳ねる。  
「……ちょ、ガウリ……やめっ」  
彼の肩を退かそうとすると、片手で両手首を押さえられて頭上に押さえつけられてしまった。  
力を入れても、びくとも動かない。  
せめてもの抵抗に足をばたつかせてみたが、こんなくそ不安定な体勢で繰り出すものに意味などあるはずもなく。  
ガウリイの右手は、あたしのパジャマのボタンを外して、晒された素肌へと伸びた。  
胸の辺りを滑る手が頂点に触れると、体が震える。  
「んっ……」  
あたしの反応を見たのか、ガウリイは片方の頂を右手で転がして、もう片方を舌で軽く押し込んだ。  
ごく弱い電撃を流されたように、また体が跳ねる。  
あたしは小刻みに声にならない声を漏らした。  
「は……あ……やっ……」  
無意識に漏れる声があたし自身のものではないように聞こえる。  
「……やめ……ガウっ……やぁ……」  
口から漏れるのは受け入れられられないとわかってる軽い拒否の言葉。  
 
……わかってる。あたしだってわかってるのだ。  
ガウリイはあたしを本気で捕まえているわけではない。  
何故なら――手だけを彼は抑えているからだ。  
魔道士のあたしは手をふさがれていても、口があいていればなんとかなるのだ。  
確かに協力な術は印を組む必要があるが、簡単な術は呪文詠唱だけで発動する。  
あたしが本気で嫌悪感を持って逃げたいなら、ガウリイを丸コゲにしてふっとばせばいいだけ。  
結構長くあたしと旅をしていたガウリイが解らないはずは無いだろう。  
それをしないということは――ガウリイは結局あたしに最終的に逃げ道を残しているのである。  
あたしは気付いていながら、逃げられないでいる。  
それは初めて感じた類の恐れと、悲しさと、それから……ガウリイに対しての、怒りからかもしれない。  
いーかげん気付け、このバカくらげっ。  
 
胸を弄っていた手が離れて、わき腹をすべる。  
くすぐったさに身をよじると、わずかにガウリイが笑みをこぼした。  
そのまま手がパジャマのズボンにかかって――下着ごと布を下にずり下ろした。  
濡れた下着が外されて、あたしの腰から下はひんやりとした外気にあてられた。  
「ひぅっ」  
ごつごつした大きな手が、軽くあたしのそこをなぞる恥ずかしさと刺激に思わず目をきつく閉じる。  
すると、よけいにその手と自身が濡れていることに気付かされて、余計羞恥心が煽られる。  
自然と荒くなる息と、余計に言葉にならなくなる声。頭にもやがかかったような感じ。  
あたし自身から出た液で濡れた手が、あたしのそこの中にゆっくりと入り込んできた。  
「んっ……ふあぁっ」  
ぐちゃぐちゃと中をかき回される感触がリアルに伝わってくる。  
水音とあたしの声だけが狭い宿の部屋に響く。  
「ひ……あ、ん、……ふっ……――!」  
びくんっ!  
粟立った背筋が軽く反って、閉じた目の奥で火花が散った。  
 
はっ……はっ……  
力が一気に抜けて、あたしはぐったりとベッドに全体重を預ける。  
頭上でまとめられていた腕もいつの間にか解放されていて、あらぬ方に投げ出されていた。  
と、茫然自失の体だったあたしの腰に両手が回される。  
顔をそっちに向ければ、見えるのはいつの間にか服を脱いだガウリイと――濡れたままのそこに押し付けられたモノ。  
え、ちょっと、ま……!  
ぱくぱくと口をひらくあたしの耳元で、ガウリイが低く呟いた。  
「リナ、力抜け」  
ずんっ!  
「………………っ!」  
いきなり体の中にやってきた熱と激痛に息ができなくなる。  
さっきまでは我慢していたはずの涙がぼろぼろでて来て、目の前をぼやけさせる。  
あたしの乱れた浅い呼吸がひゅ、ひゅ、と音を立てた。  
 
「大丈夫、か……?」  
しばらく経てばある程度は収まるもので。  
落ち着いた(いや、そんなことはないけど)あたしに、ガウリイは声をかけてきた。  
「大丈夫なわけ……ないでしょ……」  
体に楔はまだ打ち込まれたままで、鈍く鈍痛を残している。  
おまい、女子供には優しくしろって言われたんでしょーがっ!  
「……すまん……」  
「謝って済むなら最初からしないっ!」  
軽く睨んで言うと、ガウリイは目を伏せてまたすまん、と呟いた。  
はう……  
あたしはためいき一つつき、声音を和らげてガウリイに言った。  
「あんたねぇ……あたしが、光の剣がないガウリイなんてもういらないわ、さよーならとでも言うと思った?  
 魔力剣が見つかるまであたしが守ったげるって言ったでしょ」  
あたしの上にある頭を両腕で抱えて、やさしくきれいな金髪を撫でた。  
「なにもこんなことしなくても、それが終わるまであたしはあんたから離れないわよ。  
 前みたいにさらわれちゃっても、追っかけてくし、ピンチがきたら背中を預けるわ。  
 だって――」  
おずおずとあたしの背中にまわされる手を感じながら、  
「あたしとあんた、パートナーでしょ?」  
少し笑みを浮かべ、頭を抱く力を少し強めた。  
「ま、乙女にこんな痛い思いをさせた借りは返してもらうけどね」  
痛いほど抱きしめられたことが、不思議と心地よかった。  
 
「動いていいか?」  
正直さっきのはかなり痛かったので恐怖心はあったが、あたしはこくりと頷いた。  
それに応えてずっ、ずっとゆっくりとあたしの中でモノが動く。  
さっきの激痛ほどではないが、じんわりとした痛みが下半身に広がって、シーツを握る手に力が篭る。  
その手をガウリイは優しく包んで、彼の肩へ置いた。  
「つかまったほうが楽だぞ」  
「ん……」  
結構余裕がないので、遠慮なくすがらせていただく。  
そのまま中で動かされていると、痛みとは別の甘い痺れがあたしを貫いた。  
ぴく、と背を震わせたあたしに気付いたのか、ガウリイはあたしの頬に軽く口付けて、  
「気持ちいい?」  
「わかんなっ……!」  
腰の動きを少しだけ早くした。  
繋がった部分が余計に熱く感じて、引きつった悲鳴がこぼれる。  
「あっ……んあっ、ふ、くぅっ……ガウリッ……あぅ!  
 もう少し……ゆっくり……!」  
「ごめん、リナ……無理っ……」  
大きい波のようなものがこみ上げてくるのがわかる。  
それに流されるがまま、ガウリイの肩にしがみついて、嬌声をもらす。  
「ひぁ、あ……ああーっ!」  
「……っ」  
中で熱いものがはじけるのを感じながら、あたしは白い闇の中に沈んだ。  
 
 
「腰いたーい。のどいたーい。だるーい」  
ベッドの中でうだうだ言ってるあたしに、ガウリイは苦笑を浮かべてはいはい、と応えた。  
ううっ、冗談じゃないんだよー。ホントにシャレになんないほど虚脱感があるんだよー。  
あたしの腰を優しく撫でてくれたり、はちみつレモンを宿のオバちゃんから貰ってきてくれたり、  
ガウリイ君はかいがいしくあたしのお世話中である。原因は彼なのでとーぜんだけど。  
「まったくお前さんときたら……  
 昨日はあんなに可愛かったのに今日はもうこれか」  
ばしゃあっ。  
デリカシーのない発言する自称保護者にあつあつのはちみつレモンをぶっかける。  
なんつーことをいうんだこいつはっ!  
「あぢあぢあぢっ」  
「自業自得よっ!このエロくらげっ!」  
赤くなった顔をごまかすように、ぼふっ!と勢いよくベッドに倒れこみ、布団を被る。  
背中を向けたあたしの栗色の髪の毛を、優しくすいてくれる指が心地いい。  
昨日の疲れが残ってるのか、とろとろと眠気が襲ってきたので、逆らわずに身を任せた。  
――明日になったら、一緒に魔法剣でも買いに行こうね、ガウリイ。  
 
おしまい  
 

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