宿の窓からの月明かりが寝台の上、一組の男女を照らしている。
「…どういうつもりだ」
ゼルガディスは自分を組み敷いている少女、リナへとつぶやいた。
「どういうつもりって……ヨバイ」
「だからそれがどうしてなのかと尋いているんだ。だいたい、お前にはガウリイがいるだろう」
きょとんとした顔で答えを返すリナに彼は声を荒げる。
「あのくらげは酔っ払って寝てるわよ。……せっかく同じ部屋だっていうのに」
ぶつぶつと言いながら、リナはゼルガディスの上半身を布越しにまさぐる。
その手を避けようと、身をよじらせようとするのだが、いかんせん頭の上で、手首を交差させるようにロープで縛られているのでうまくいかない。
「そうそう、ゼル。あの子…アメリア、最近キレイだと思わない?」
手が上着の裾をつかむ。
「やっぱり誰かさんに恋してるからかしらねー」
その瞳に、イタズラっぽい光が宿る。
「何が言いたい」
「っと、こわいわねえ。だから、どうしてなのかあたしにも教えてほしくて」
それを聞いて、ゼルガディスが大きくため息をつく。あきれたように彼女を見据えて、
「勘違いするな。俺はあいつに手を出したことは、一度もない」
一瞬の、間。
リナの大きな瞳が、さらに大きくなる。
「は? うそぉ……あんたら今まで何してたのよ」
「悪かったな…………さっさとこれをほどけ」
しかし、リナはゼルガディスの上に乗ったまましばらく考え込み、ぽんと手を打つ。
「じゃあ、ゼルちゃんよく耐えられたねリナちゃんびっくり、とゆーことで」
言って、上着をたくしあげ、鎖骨のあたりにキスをする。
それをだんだんと下のほうへ進めていく。
「おいっ! 何でそうなるんだ!」」
「いいじゃない。イイコのゼルちゃんにごほーびごほーびv」
「よくないっ」
「えー? でもここはそんなこと言ってないしぃ」
リナの手が、彼を捕らえる。
そのまま軽く指を動かしてやると、少し硬度が増したような気がする。
「……っ、ふざ……ける、なっ……」
「うーわ、強情ー。いじめちゃうぞー」
彼女は楽しそうに笑いながら、彼のズボンを留めるベルトを緩め、窮屈そうにしていたソレを取り出す。
手のひらでやわやわとさすりながら、リナ。
「ねえねえ、これでもまだイヤだって言う?」
「…………」
だが、彼は無言のまま。
リナは身を乗り出して表情を伺おうとしたが、月が雲に少し隠れたせいか、よくわからなかった。
角度的には、顔をそらしているようだが。
「ふーん、まあいいんだけどね」
そうつぶやいたかと思うと、視界からリナが消える。途端───
「…………っ!!」
突然始まったその行為に、不覚にも、喉までとはいえ声を上げてしまう。
リナの舌が、先端をゆっくりとなぶる。かと思えば喉の奥までくわえ込むようにする。
彼女の口淫は巧みで、実際我慢してきたゼルガディスに大きな快感を与える。
射精感がこみ上げてきた時、彼女は行為を中断し、顔を上げる。
(……なーんかガウリイの気持ちがわかるような感じ)
そう思い、ふふと笑う。
「……なんだ」
「いーえー、耐えてるゼルちゃんがカワイイとかなんて思っていませんよ
……ねえ、あたしがこのまま上になる? それとも、あなたがしたい?」
その顔が先程とはうって変わって、妖艶な笑みになる。
普段の彼女からは想像もできない。
「…………たいした奴だよ、あんたは」
「一応、ほめてんのよね、それ」
──手首に違和感。思っていたよりきつく縛られていたらしい。
自由になった手の感覚はまだ完全ではないが、とりあえずゼルガディスはリナへと向き直った。
リナは服を脱ぐと、ゼルガディスを背にして四つんばいになり、腰を突き出す。
「あたしから無理矢理だったし、どうせならそんな風にしましょ」
視線の先、リナの秘裂がいやらしく誘ってくる。
ならお望みのままにと言わんばかりに、リナの腰を掴むと勢いにまかせ自身を突き入れる。
瞬間、リナの身体が小さく仰け反る。
最初はゆっくりとした動きが、次第に速さを増していく。
「あ……ン、あぁ……っイイよぉ」
リナが腰をくねらせる。逃がさないとばかりに。
しばらくして、ゼルガディスはリナを一層抱え込むように腕で固定すると、さらに激しく彼女を責める。
腹側の内壁を擦るようにしてやると、リナの身体に力が入る。
「うあっ、やっ……ちょっと激し、すぎる……そこダメぇ!」
息も絶え絶えのリナにかまわず、ゼルガディスはそこを中心に動く。
リナの手が、繋がっている部分を撫ぜ、熱くなった自分の肉芽を摘む。
その後、ほぼ同時に達したということを、おぼろげながらも覚えている。
「おはようゼルガディス。今日は元気そうだな、心配してたんだぞ」
朝、部屋を出たゼルガディスに話しかけて来たのはガウリイ。彼はいつもの調子でゼルガディスに話しかけて「朝メシ食いに行こうぜ」と誘った。
(今日は……ということは、そんなに顔に出てたのか?)
考えるゼルガディスには目もくれず、ガウリイは食堂となっている一階への階段に向かう
──が、一歩手前でくるりと方向転換。
ゼルガディスへ近寄ると、小声で
「アメリアの時はもうちょい優しくしてやれよ」