「ったく、なんで、あたしが、こんな、こと」  
 
 ぶつぶつとぼやきながら、シンデレラは力一杯床を擦ります。  
 今日はお城の舞踏会の日。  
 王子様のお妃を選ぶとあって、継母と二人のお姉さんも、とっくに舞踏会へと出かけています。  
 シンデレラはお留守番です。  
 部屋の掃除をして、明日の御飯の下ごしらえをして、やることもテンコ盛りです。  
 シンデレラは、遠くで煌びやかに光るお城を、じっと眺めていました。  
 
「なあ、シンデレラって言うのは、お前さんか?」  
 
 その時、シンデレラ以外誰もいないはずなのに、誰かが彼女に声をかけてきました。  
 驚いて振り返ると、部屋の隅に誰かが立っています。  
 黒いマントに身を包み、長く伸ばした金髪だけがやけに目立った、怪しさ大爆発の長身の男。  
 とりあえずシンデレラは、臆することなく男に近付くと、  
 
 スパーンッ!!  
 
 どこから取り出したのか、スリッパで景気よく男の頭を叩きました。  
 
「誰がシンデレラですって?」  
 
 完全に据わった目付きで、シンデレラは男を睨みつけます。  
 
「あたしの名前はリナよ!! シンデレラなんて呼んだら、ただじゃおかないんだからね!!」  
 
 ここで豆知識。  
 シンデレラとは本当は、灰かぶりと言う意味なのです。  
 そんな風に呼ばれたら、普通の人はマジギレします。  
 
「分かった!! 悪かった!! シンデレ・・・じゃなくて、リナ!!」  
 
 シンデレラの剣幕に、男は慌てて訂正しました。  
 それを見て、とりあえずシンデレラは持っていたスリッパを下ろします。  
 
「で、誰なの、あんた?」  
「オレか? オレは魔法使いだ」  
「魔法使い〜?」  
 
 胡散臭い名称に、シンデレラは露骨に眉をひそめました。  
 
「そう。ここに可哀想な女の子がいるって聞いたからさ、なんか助けてやろうかと思って」  
「へえ、怪しいわね・・・」  
「そうか? 正義の味方みたいなもんだぞ?」  
 
 きょとんと首を傾げる魔法使いからは、なんの邪気も感じられないため、とりあえずシンデレラは信じることにしました。  
 
「あっ、そう。魔法使いってことは、なんでも出来るって訳?」  
「ああ。当然」  
「じゃあ、この家にある金目のものと、貯金通帳諸々奪って今すぐ逃げたいの。手伝って!!」  
「へっ?」  
 
 シンデレラの要望に、魔法使いは目を丸くします。  
 
「なによ? なんでも出来るって言ったじゃない」  
「いや、確かにそうだけど・・・」  
「あの女ども、今まで散々人をこき使ってくれてぇぇぇ!! 絶対ただじゃ済まさないわよ。帰ってきたら家財道具なにからなにまで、もぬけの殻となった我が家を見て、驚くがいいわ!! おーっほっほっほっほ!!」  
 
 誰かさん直伝の高笑いを、惜しげもなく披露するシンデレラ。  
 魔法使いは困ったように頭を掻きます。  
 
「なんかなぁ。せめて舞踏会に行きたいの、とか、可愛らしいお願いは言えないのか?」  
「だってあんなの興味ないし〜。あっ、でも、お城の舞踏会だったら美味しいものたくさんありそうね。それはちょっと興味あるかも」  
 
 花も恥じらうような満面の笑顔を見せるシンデレラに、魔法使いはもう一つため息。  
 
「まっ、いいか。それがリナの要望なら・・・」  
「やりぃ!! 話しが早いじゃない」  
「あっ、でもその前に、出来れば前金で報酬払って欲しいんだけど」  
「えぇぇぇぇぇ!!」  
 
 魔法使いの当たり前のような要求に、シンデレラは不満そうに声を上げました。  
 
「なによそれ!? 正義の味方じゃなかったの!?」  
「正義の味方でも食べていかなきゃならんだろ?」  
「詐欺よ、そんなの!!」  
「どうせこの家の全財産独り占めするんだろ? 微々たるもんじゃないか」  
「それはそうだけど・・・。うう、じゃあ、こんなもんで・・・」  
 
 どこからともなく取り出したそろばんを、シンデレラはパチパチと弾きます。  
 その金額を見て、魔法使いは目を丸くしました。  
 
「ちょっと待て!! 安すぎるだろ、これ!! せめてこれくらい・・・」  
「ダメダメ!! ぼったくりよ、そんなの!!」  
「これぐらいが相場なんだよ」  
「可哀想な女の子助けに来たんでしょ!? ちょっとはまけなさいよね!!」  
 
 シンデレラの気迫は物凄いもので、これ以上はびた一文払いそうにありません。  
 そんなシンデレラを見て、魔法使いは一計を案じました。  
 
「そこまで言うなら、この値段で引き受ける代わりに、差額分は別のもんで埋めるってのはどうだ?」  
「いいの? じゃあ、契約成立ってことで!!」  
 
 予想以上に値切るのに成功したシンデレラはホクホクです。  
 
「で、別のものって?」  
 
 魔法使いに訊ねるシンデレラ。  
 と、その時。  
 シンデレラの唇に、魔法使いの唇が重なりました。  
 
「!?」  
 
 驚いたシンデレラが逃げようとしますが、それより早く、がっちり魔法使いに腕を掴まれ、逃げることができません。  
 呆然とするシンデレラの唇を、じらすように魔法使いが舐めまわしました。  
 隙間から舌を差しこみ、彼女の口内をじっくりと味わいます。  
 
「ん・・・」  
 
 深い口付けに、シンデレラは頭の芯が溶けてしまうような錯覚に襲われました。  
 ようやく顔が離れた時、シンデレラは一人ではまともに立てないほど、ふらふらになっていました。  
 
「なにを・・・」  
「ん〜? 代わりに、リナの純潔を貰おうと思って」  
「じゅ・・・!?」  
 
 その単語に、シンデレラの顔が真っ赤になります。  
 
「馬鹿言うな!!」  
「本気だって。乙女の純潔って、結構な魔力源になるんだぜ?」  
「だからって・・・」  
 
 更に文句を言おうとするシンデレラの口を、魔法使いは無理やり塞ぎます。  
 カクンと膝の力が抜け、その場に倒れ込むシンデレラを、魔法使いは慣れた手つきで床に横にさせます。  
 
「大丈夫だって、優しくするし。どうせなら『ガウリイ』って呼んでもらえると嬉しいんだが」  
「誰が、やっ・・・!!」  
 
 魔法使いの手が、するりと服の下に滑り込みます。  
 つるつるとしたシンデレラの肌の感触を楽しむように、魔法使いの手はゆっくりと上に上っていきます。  
 
「やだ、やめてよ・・・」  
「ダメ〜」  
 
 シンデレラの胸の小さな突起に、魔法使いは手を触れました。  
 指で円を描くように弄ぶと、その突起はみるみる固く、存在を主張し出します。  
 
「感じてるんだろ?」  
「だれ、が、ぁん」  
 
 シンデレラは気付いていないようですが、すでに彼女の声には甘い色が混ざり込んでいました。  
 それに気を良くして、魔法使いは彼女の突起を摘みあげます。  
 
「やぁ、あん・・・」  
「こんなに固くして、やらしいな、リナは」  
「やめ、て・・・」  
 
 耳元で囁かれ、かかる吐息にすらどうにかなってしまいそうなシンデレラは、魔法使いの手から逃れようと必死にもがきます。  
 その姿すら、魔法使いを煽るだけになるとも知らずに。  
 
「もっと良くみたいな、リナのこと」  
 
 魔法使いの手が、シンデレラの服を丁寧に剥がしていきます。  
 どんな方法なのか、それともこれも魔法なのか、結構ややこしい構造をしていたはずのシンデレラの服は、あっという間に脱がされていきます。  
 異性に裸を見せたことのないシンデレラは、羞恥で全身が真っ赤になっています。  
 
「やっ・・・」  
「へえ、綺麗な肌してるなぁ」  
 
 吸い込まれるようい、魔法使いはシンデレラの胸元に口を寄せました。  
 舐めると、ほんのりと汗の味がします。  
 今までにない刺激に、シンデレラの体は電気を受けたようにビクッと震えました。  
 それを見て、魔法使いは楽しそうに目を細めると、今度は胸の先端を口に含みます。  
 
「あっ、だめぇ!!」  
 
 始めは舌で包み込むように舐めまわし、時折強く吸ったり、優しく噛んだりすると、それに応じてシンデレラの体が跳ねたりくねったりします。  
 
「あっ、あぁん、もう、だめった、らぁ・・・」  
 
 否定の言葉はだんだん少なくなり、シンデレラの声をついて出るのは嬌声が多くなってきました。  
 そこに手ごたえを感じた魔法使いは、手をスルスルと下に落としていきます。  
 目指すは、シンデレラの足の付け根――。  
 
「!? だめ、そこは・・・」  
 
 自分でもまともに触ったことのない場所に、シンデレラは飛び起きました。  
 それを無理やり押さえ付け、魔法使いは付け根の更に奥に指を進めます。  
 
 くちゅ  
 
 淫らな音。そこは、確かに濡れていました。  
 
「胸触られたのが、そんなに気持良かったのか?」  
「ちがっ・・・」  
「でも、ここを触ると、もっと気持良くなるんだぜ?」  
 
 魔法使いの指が、優しくシンデレラの入り口を指でなぞります。  
 初めての感覚に、シンデレラは思わず魔法使いの腕にしがみ付きました。  
 
「どんな感じ?」  
「なんか・・・変な感じ・・・」  
「じゃあ、ここは?」  
 
 魔法使いは入り口の上にある突起を、軽く指で押してやりました。  
 
「ひゃぁ!!」  
 
 その途端、今までにないほどの反応を見せ、シンデレラはますます強く、魔法使いの腕にしがみつきます。  
 構わず、魔法使いはその突起を指でいじりました。  
 溢れる蜜を絡ませて、何度も擦ってやると、だんだんシンデレラの体の力が抜けていきます。  
 
「あん、あぁん、あっ」  
 
 ゆったりとした動きに合わせて、シンデレラが腰をくねりだしました。  
 もう「いや」とも「だめ」とも口にしません。  
 魔法使いは突起をいじっていた指を、シンデレラの中へと忍ばせました。  
 
「ふっ、うぅん・・・」  
 
 初めて他人のものが体へと入る感覚に、シンデレラは大きく息を吐きます。  
 シンデレラの中は狭くて、魔法使いの指をぎゅうぎゅうと締め付けてきました。  
 慣らすように、魔法使いはシンデレラの中を擦ります。  
 
「はぁ、あっ、あっ、あぁん」  
 
 それに応えるようにして、シンデレラも腰の動きを合わせてきます。  
 かつてないほどの逸材に、魔法使いは嬉しそうに頬を緩めました。  
 
「いれるぞ、リナ」  
 
 快楽の波に漂い、呆けていたシンデレラの足を掴んで、魔法使いは大きく開かせました。  
 熱く固くなった自身のそれを、シンデレラの入り口にあてがうと、戸惑うことなく一気に貫きます。  
 
「!? やぁぁぁぁぁぁ!!」  
 
 その時、我に返ったシンデレラが悲鳴を上げました。  
 生まれて初めての挿入は、十分に濡らしていたとは言え、シンデレラに耐えがたいほどの激痛を与えます。  
 思わず涙を零すシンデレラ。  
 その涙を、魔法使いが唇でそっと掬いあげました。  
 
「ごめん、痛かったか?」  
「痛いに、決まってるでしょ!?」  
「ゆっくりやる方が痛いんだよ」  
「あんた、優しくするって、言ったのに・・・」  
「ごめん。これからは優しくするから」  
 
 シンデレラの痛みが引いてきた頃合いを見計らって、魔法使いは静かに動き出しました。  
 体内に収まった異物が動くのですから、その不快感は言葉では言い表せません。  
 しかし、なんども抜き差しを繰り返しているうちに、シンデレラの中に不快感とは別に、新しい感情が生まれてきました。  
 
「ん・・・っあ、ん・・・なに、これ・・・」  
 
 それはいつしか大きな波となり、シンデレラに襲いかかります。  
 
「あん、あっ、あ、ふぅん・・・」  
 
 流されないようい、シンデレラは必死で魔法使いにしがみ付きました。  
 恍惚としたシンデレラの表情。  
 それを見て、魔法使いはいっそう激しくシンデレラをせめ立てます。  
 
「あっ、あっ、はっ、っん」  
 
 魔法使いの動きに合わせて、シンデレラの口から嬌声が止めどなく溢れてきます。  
 
「っは、リナの、中、すごい、いい」  
「ガウ、リイ、あた、し、あぁん!!」  
 
 しがみ付いた指に力がこもり、魔法使いの背中に傷をつけます。  
 シンデレラの絶頂が近いと感じた魔法使いは、彼女のことを抱え上げました。  
 
「あっ、はぁん、ダメ、おく、に、ひゃぁぁん!!」  
「リナ、中に、出すから、な」  
 
 魔法使いの言葉に、シンデレラは答える余裕もありません。  
 
「くっ・・・!!」  
 
 これが最後とばかりに激しく打ち付け、魔法使いはシンデレラの中に欲望の塊をぶちまけます。  
 
「あぁぁぁん!!」  
 
 初めての体験で中にぶちまけられたシンデレラは、あまりのことにそのままいってしまいました。  
 ぐったりとするシンデレラを床に下ろし、魔法使いは彼女の中から自身を引き抜きます。  
 白濁した液体に混ざって流れ出た鮮血は、まさに純潔の証でした。  
 
「信じられない!!」  
 
 夜道を足早に歩きながら、シンデレラは叫びました。  
 すでに家財道具を全部お金に換え、おまけに家も売り飛ばしていました。  
 一夜にして、シンデレラは億万長者になりました。  
 
「最悪!! なにが正義の味方よ!! ただの変態じゃない!!」  
「え〜。でも、リナだって気持良くなってた癖に」  
 
 思い出したくないところを突かれ、シンデレラの顔にサッと朱が射しました。  
 
「うるさい!! そう言う問題じゃ・・・」  
「じゃあ、気持ち良くなかったのか?」  
 
 問われて、シンデレラは思わず言葉に詰まります。  
 
「・・・って、問題はそれじゃないのよ!! なんであんたはまだあたしに付いてくるのよ!!」  
 
 シンデレラは、彼女の後をちゃっかり付いてくる魔法使いを、ビシッと指差しました。  
 
「なんでって、これからもオレ、リナと一緒にいようと思って」  
「なんでよ!?」  
「気に入ったから、リナが」  
 
 そういってにっこりと微笑む魔法使いの顔はあまりにも魅力的で、シンデレラは直視できず視線を逸らしました。  
 
「あたしは嫌よ!! ついてこないで!!」  
「そう言われてもな〜。じゃあ、嫌じゃなくなればいいんだな?」  
 
 にやりと、魔法使いが笑いました。  
 その笑顔に、得体の知れぬものを感じたシンデレラは、思わず一歩後ずさります。  
 
「なに、よ・・・」  
「ずっと一緒にいたいって、思うようになればいい訳だろ?」  
 
 問い返しながら、魔法使いの手は、しっかりとシンデレラを掴んで離しません。  
 じわりじわりと近付いてくる魔法使いに、シンデレラは叫びました。  
 
「いい訳ないでしょぉぉぉぉ!!??」  
 

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