ゼルガディスは一度離したリナの体を再び抱き寄せると、そっと額に唇を落とした。  
想像していたよりはるかに柔らかく、少し冷たいその感触に、リナは小さく嘆息する。  
ともすれば震えてしまいそうな自分の体を叱咤すると、彼がしているように自分の腕もゼルガディスの体にまわしてみる。  
ヒトの体より幾分硬い感触のそれが、お互いのパジャマの薄い生地ごしに感じられた。  
「リナ・・・」  
いつもより熱っぽいような囁きに、ゼルガディスの胸に埋めるようにしていた顔をあげると、今度は唇に彼のそれが重なった。  
反射的に目を閉じる。  
重ねるだけの口付けは、すぐに離れて角度を変えてまた降ってきて、2度、3度と繰り返し口付けられるうちに啄むような動きに変わる。  
「・・・んっ」  
濡れた唇がこすれあう感触に、くすぐったいような寒気に襲われてリナが体を震わせた。  
無意識であろうリナの小さな呻きと、動きに、ゼルガディスのささやかだった欲望が一気に燃え上がった。  
啄む力を強め、同時に舌で唇の表面ををたどる。  
上唇を、下唇を、右から、左から――――。  
舌で唇をこすって、息苦しさに開いたリナの唇の隙間へねじ込む。  
「ふぅ・・・っん」  
初めて口腔内を他人に侵される感触に、リナは思わず身を引こうとするが、すかさずゼルガディスの手が  
後頭部をホールドしてきて逃げられない。  
ゼルガディスの舌が、上あごをこすり、歯列をなぞり、リナの舌に絡められる。  
もはや貪るような動きに変わったゼルガディスの舌と唇に翻弄され、呼吸もままならない。  
「あ・・・ふ・・・」  
激しい口付けの合間になんとか呼吸をしようと喘ぎながら、ゼルガディスのパジャマをつかんでいた手で彼の背中を叩く。  
――――苦しい。  
伝わったのか、最後にリナの舌を先端まで丁寧に吸い上げて、ゼルガディスの唇が離れた。  
「はぁ・・・はぁ・・・」  
初めての大人のキスの息苦しさに頬を上気させ、瞳を潤ませたリナ。  
艶っぽい光景に、ゼルガディスは思わずぺろりと自分の唇を舐める。  
『いい顔するじゃないか。』  
もう、止まらない。  
リナを抱きしめたまま、軽く彼女の足をはらって後ろのベッドに倒れこんだ。  
「・・・っえ、ちょっと・・・っ」  
うろたえるリナの体を体重をかけないように抑え込み、今度は彼女の唇の端を舌でくすぐってみる。  
「んにゃっ・・・」  
奇妙な鳴き声をあげて、リナが首をすくめた。  
唇を彼女の顎から耳のラインに沿わせながら、右手でリナのパジャマのボタンを外していくと、あからさまにリナが抵抗を始めた。  
「ちょっと、まっ・・・」  
「なんだ、今さら。もう、止められんぞ。」  
ちょっと腹立たしげにささやくと、今度はリナの耳をねぶる。  
「ひゃんっ・・・」  
びくん、と反応した様子を見て、集中的に耳を攻めながら開いたパジャマの隙間から右手を差し込むと  
「っ・・・だから、ちょっと、待ってって・・・」  
リナが体をよじり、腕でゼルガディスの胸を押してきた。  
本格的な抵抗の仕草に、仕方なく体を起こす。  
 
リナへの攻撃をやめた代わりに、自分のパジャマのボタンを外しつつ、半眼で睨みつける。  
「今さら、ナシなんて言わせないからな。」  
下半身はすでに完全とは言わないものの、暴走開始状態だ。無理やりしたくはないが、ここで止めるのは少しばかり辛い。  
「・・・そうじゃなくって・・・えっと・・・その・・・。」  
しっかりと胸の前でパジャマを掻き合わせて、でもボタンを留めることはせずに、リナの目がふらふらとさまよう。  
「あの・・・あたし・・・あたし・・・その・・・。」  
「なんだ。胸が小さいことなら了承済みだ。」  
「そうじゃなくって!」  
なんちゅーコトを言うんだ、コイツは。思わず呪文を唱えそうになる。  
「そうじゃなくて、あたし、はじめてなのっ!」  
「・・・は?」  
「だからっ・・・はじめてだから、その・・・や、優しくして欲しいかなー・・・なんて・・・」  
ごにょごにょと小さく呟かれたリナの告白に、今度はゼルガディスが硬直してしまった。  
なんだって?  
はじめて、だって!?  
ガウリイとしてないのか!?  
これだけ長い間一緒にいて。毎日毎日毎日毎日二人っきりで過ごして。  
何もなかったっていうのか!?  
思わずゼルガディスは天井を仰ぐ。  
ガウリイの鉄壁の理性に感服しつつ、そうせざるを得なかったのであろう彼にうっすら同情しつつ。  
――――それとも、リナに女としての魅力を感じてないのだろうか。  
「・・・ゼル・・・?」  
不安そうなリナの声に、余計な疑問は取り払う。  
とにかく、今、リナを抱いているのは自分だ。男としての責任は、自分にある。  
それに、リナのお初の相手が自分とは、正直嬉しい。  
「そうか、はじめてか。」  
リナに覆いかぶさりながら、今まで出したことがないような優しい声で言う。  
「ゆっくりするから、痛かったり、嫌だったりしたら、すぐに言え。」  
「・・・やっぱし、痛いの?」  
「そうならないように、努力する。」  
「・・・うー・・・」  
男の自分に女の痛みなんて、わからない。ましてや、ゼルガディスに未通の女との経験はない。  
聞きかじった他人の経験から推測するしかできないが、なるべく痛い思いをさせたくなかった。  
「俺にまかせろ。」  
唇が触れそうなくらいの距離で、瞳を見つめながら、自信たっぷりに言う。  
――――若干虚勢をはりながら。  
「・・・わ、わかったわ。」  
まだ不安を残しつつもリナは頷いて、力を抜いた。  
ゼルディスは羽織っているだけのパジャマの上着を床に放り出すと、胸の前で交差されたリナの腕をそっと外す。  
首すじに唇を寄せて軽く啄みながら鎖骨の辺りまで降りると、リナのパジャマをはだけてささやかな胸の谷間に顔を埋める。  
「・・・っ」  
ざらつく舌で柔らかな双丘の周りを円を描くようにたどり、リナの反応があったところで強く吸い上げる。  
徐々に徐々に綺麗なピンク色の頂点に近づいて、右の頂に唇が触れると、リナが首をのけぞらせた。  
「――――っ・・・。」  
声にならない声をあげ、ぎゅっと目を閉じて、自分に襲いかかる感覚に耐えようとする。  
 
「リナ、我慢をするな。」  
「や・・・だって・・・なんか、ヘン。」  
「ヘン、じゃなくて気持ちいいんだろうが。」  
「そ、そうなの?」  
・・・いや、聞かれても困るんだが・・・と、ゼルガディスはそっと心で呟く。  
知りうる限りの技巧を尽くしてリナの体を蹂躙していくと、戸惑いがちだったリナの声が、完全に艶を帯びてきた。  
脇腹を撫でていた右手を、そうっとズボンの中へ滑らせて下着の上からそこにふれると、しっとりと湿っているのがわかる。  
「やっ・・・ゼルっ・・・。」  
わかってはいたが、そんなところに触れられて、恥ずかしさが噴き出す。  
今までに経験したことがないくらいに、濡れているのが自分でもわかった。  
戸惑うリナの唇を自分の唇でふさいで、ゼルガディスの手が下着の中にはいりこみ、直接泉に触れると、恥ずかしいにも  
かかわらずに、さらに中からあふれてくるのがリナ自身にも感じられた。  
きっと狭いだろうと予測したゼルガディスの思い通り、そこはそっと差し込んだ彼の指を拒絶している。  
ゼルガディスは人差し指をゆっくりと、ゆっくりと時間をかけて少しずつ入れていく。  
同時に親指で花芯を探り当てて、リナ自身でたっぷり濡らしてから、小刻みに刺激する。  
「んんっ。」  
ゼルガディスの唇で声をふさがれて、熱を逃がすこともできずに、リナの体が燃え上がる。  
刺激されている下半身から、何か得体のしれないものが体中に広がって、再び収束していくような感覚――――。  
「んーっ、んーっ。」  
声をあげることもできずにどんどん追い詰められていき、突然唇から離れたゼルガディスの唇が左の乳首を食み、  
彼の左手が右の乳首をつまんだ瞬間――――  
「――――ああああああっ!」  
真っ白に弾けた。  
 
 
「――――あっ・・・は・・・っ」  
初めて味わう強力な絶頂感に、体をひくつかせながら、リナが喘ぐ。  
その動きを中に入れたままの人差指で感じながら、ゼルガディスは眉間にしわを寄せた。  
はっきりいって、ヤバい。  
最近ご無沙汰だったせいか、下半身の自分自身が結構限界ギリギリに来ている。  
リナに痛い思いをさせないように時間をかけて慣らす間、我慢できるだろうか?  
――――いや、ちょっと無理そうだ。1度抜いてしまおうか。  
ようやく先ほどの衝撃が収まったリナを再び右手で刺激しながら、左手だけで器用に自分のズボンと下着を脱ぎすてると、  
リナのズボンも下着ごと抜き取る。  
「あっ・・・」  
呆けたようになっていたリナが、下半身を暴かれて少しだけ正気にかえる。  
すかさず左手の指をリナの口の中に侵入させ、さっき自分の舌がしたように口腔内を蹂躙する。  
「んんっ・・・ふぅ・・っ」  
指でリナの舌をつまみあげ、歯列をなぞって、自分の左手にたっぷりとリナの唾液をまとわせる。  
初めは苦しそうにしていたリナも、次第に舌をゼルガディスの指に自分から絡めてくる。  
リナが口腔内の異物に慣れたころを見計らって右手を下半身から引き抜くと、体をずらしてリナの口に  
猛った自分自身を含ませた。  
 
「――――っ!?」  
なにコレっ!?  
驚愕にリナの目が最大限に開かれる。  
個体差なのか、種族の差なのか、とにかく固くて太くて長い。  
『――――これって・・・ゼルの・・・アレ・・・?』  
そのまま口の中に侵入してこようとする動きに、咄嗟に右手でソレをつかむと、体のようにごつごつした突起は無く、  
なんとなくつるつるとした大理石のような感触だ。  
「リナ、少しでいいから舐めてくれ。」  
「んふっ?」  
「舌で、そっと。噛まないようにな。」  
「んんん。」  
舐めるといっても、どうすればいいのか。わからないなりに舌を動かすと、ゼルガディスが目を閉じて嘆息した。  
拙い動きに、処女を犯しているのだという実感が、いまさらながらに感じられる。  
自分の中にある男の征服欲が満たされる。  
目を開けてリナを見れば、頬を紅潮させながら、自分のモノを握って必死で舐めている。  
――――たまらない。  
ゼルガディスは自分の右手でリナの手ごと自分自身を握ると、激しく擦った。  
「んんっ、んーっ――――」  
ただでさえ大きいのに、さらに体積を増していくソレにリナが頭をふって逃れようとするのを、わびを入れつつ  
抑えて許さない。  
「悪い、少し我慢してくれ。すぐに済む」  
「んんむぅ・・・っ」  
宣言通り、たいして時間をかけずに頂点まで上り詰めたゼルガディスは、最後の瞬間にリナの口から引き抜いて  
どろりとした白濁液をリナの胸に浴びせた。  
「あ・・・」  
熱い。  
彼自身を握らされたままの右手と胸に、彼自身から放たれたモノの熱が感じられた。  
「――――はぁ・・・」  
肩で息をついたゼルガディスが、ばつの悪そうな顔でリナを見る。  
「・・・悪かったな。ちょっとばかり、我慢がきかなくてな。」  
苦笑して、リナの上着を脱がせると、それで胸の上をふき取る。  
「・・・ねぇ・・・」  
「ん?」  
完全に身に付けるものがなくなって、恥ずかしげに身をよじらせながらリナが聞く。  
「アレ、飲まなくてもよかったの・・・?」  
「――――っ!?」  
なんてことを言うんだ、コイツは。  
恥ずかしげにそんなことを聞くものだから、再びゼルガディスの下半身は準備を開始する。  
「・・・・・・飲みたかったのか?」  
「そ、そーゆーワケじゃないけどっ!でもほら、そんな話聞いたことあるし・・・。」  
「・・・まあ、そういった場合もある。」  
「ふーん。どんな味なの?」  
知るかそんなこと!!  
思わず叫びそうになりながら、ゼルガディスは起こしていた体をリナの横に添わせる。  
「試してみるか?」  
リナの返事がないうちに、まだ右手に残っていた残滓をリナの口の中へ入れる。  
「・・・うえっ・・・ヘンな味ー・・・。」  
思わず舐めてしまったリナの眉が思いっきりしかめられた。  
「悪かったな。」  
大して悪くもなさそうに言うと、再びゼルガディスはリナへの愛撫を始めた。  
 
自分の言うことをきかない下半身の準備が完全に整ってしまう前に、十分慣らさなくては。  
今度はさっきより強めに刺激を加えていく。  
リナの左の胸の頂を舌で持ち上げて、甘噛みしたり、舌で押しつぶしたり、ころころと転がしたりしながら、  
右は指でやわやわとつまむ。  
「ん、あっ、あっ」  
リナの反応がさっきより良くなっているのがわかる。  
ゼルガディスは遠慮なく右手をリナの足の間に入れて、先ほどと同じようにまず人差し指を差し込んだ。  
するりと抵抗なく入ったのを感じて、ゆっくり中で指を曲げてみる。  
「痛くないか?」  
「あ、ん・・だいじょーぶ・・・。」  
痛みというより、異物感。それに、もっと――――という欲求がわずかに。  
ゼルガディスはリナの体中を強く吸い上げて紅い華を散らしながら、下腹部まで唇を移動させ、左手で栗色の淡い茂みをかき分けると  
一番敏感な花芯に舌で触れた。  
「ああっ!」  
リナの腰がびくんと揺れて、中に入ったゼルガディスの指を締めつけてくる。  
たっぷりと唾液を乗せた舌で丹念に舐めていくと、リナからふたたびとろとろと愛液が溢れ出してきた。  
「や、あんっ、はっ・・・んっ・・・」  
ひっきりなしに喘ぎながら、無意識にリナの両足が開いていく。  
もっと――――無言の要求に、ゼルガディスは人差し指をいったん引き抜くと、中指と合わせて2本差しこむ。  
「んっ」  
増した圧迫感にリナの体が硬直したのは一瞬で、ゼルガディスの愛撫によってすぐにとろけた様子になる。  
絶えずあふれてくる液を舌ですくい取っては花芯になすりつけ、時折じゅるりと音をたてて吸い上げると  
リナの声が一層高くなる。  
「ああんっ・・・ゼルぅ・・・」  
両手でシーツをしっかりとつかみ、体をわななかせているリナを見て、大丈夫だろうと3本目の指を差し込んだ。  
「――――っつ・・・」  
逃げるようにリナの腰が持ち上がったが、拒絶の言葉はない。  
「大丈夫か?」  
「ん、ちょっと・・・痛いけど、まだ、だいじょーぶ・・・」  
強気なのか健気なのか、必死に息を整えて痛みを散らそうとしているリナの姿は、かわいい。  
本当はもう、リナの中に突っ込んで、めちゃめちゃに腰を動かしたい。泣こうが喚こうが構わずに好きにしたい。  
自分の中にもう少し残忍な心があれば、思いやりの心にもう少し欠けていれば、下半身の欲求がもう少し強ければ、そうしていた。  
――――1度抜いておいてよかった。  
ゆるゆると舌でリナの敏感な部分を刺激しながら、中がほぐれるのを待つ。  
「ん・・・あんっ・・・あ、ふぅっ・・・」  
リナが喘ぐたびに、中がびくびくと蠢いて奥へ奥へと指を誘う。  
ゆっくりと指を曲げて、3本の指をばらばらに動かしても痛みを感じてない様子に、もういいだろうと判断する。  
「あ、あ・・・ゼル・・・ゼル・・・」  
ゼルガディスの指と舌に翻弄されている下半身から、どうしようもない欲求が上がってきてリナを苛む。  
「ん、ゼル・・・また、イっちゃうよぉ・・・」  
リナからあふれ出す愛液はゼルガディスの手をびしょびしょに濡らして、シーツにシミを作っている。  
少し意地悪かな――――と思いながら、リナがイク寸前で手を止めた。  
 
「あん・・・ゼル・・・ぅ」  
ねだるように動いたリナの太腿を開いて自分の体を入れると、すっかり上を向いた分身を、リナの濡れそぼった亀裂に  
軽くこすりつける。  
「いいか?」  
「あ・・・」  
ソレが何かを理解して、リナが少しだけ未知の恐怖に怯えたが、すぐに首を縦に振る。  
「・・・いつでも来なさいよ。」  
「・・・もう少し、色気のある言い方は出来んのか・・・。」  
ぶつぶつと口の中で不満を言いつつも、先端をぐっと潜り込ませる。  
「うっ・・あっ・・・」  
指なんかとは比べ物にならないほど硬くて太いモノがぎりぎりと入り込んでくる。  
「ん・・・つうっ・・・」  
はっきり言って、痛い。引き裂かれるような痛みに、思わず声をあげる。  
「い、痛いっ!」  
「っつ・・・少し、力を抜け。」  
あまりのキツさに、ゼルガディスの眉もしかめられる。  
「無理っ!」  
すぐに返される拒絶の言葉。  
「リナ、力を、入れると、余計に、痛いぞ。」  
大事なムスコが締め付けられる痛みに、ゼルガディスの声もとぎれとぎれだ。  
「うっ・・・だってっ・・・痛いんだもんっ・・・」  
「リナ・・・」  
ゼルガディスは痛みのあまりにシーツをけって逃れようとしているリナの足をとらえると、顔を寄せて足先を口に含み  
指の間を舌で舐める。  
「んあっ」  
思わぬところからの快感に、リナの力が一瞬抜けたのを見逃さず、すかさず一気に腰を押し出した。  
「ああああああーっ!」  
破瓜の痛みにリナの体が弓なりにのけぞる。  
「あ・・・ああ・・・」  
下半身の疼痛に、自然と涙が流れてきた。  
「リナ・・・」  
自分自身をすっかり収めたゼルガディスが体を倒し、リナの涙を吸い取る。  
「大丈夫か?」  
「あ・・・もう・・・入ったの・・・?」  
「ああ。まだ、痛いか?」  
「うう・・・嘘つき。痛くないようにするって、言ったじゃないの・・・」  
「・・・努力する、と言ったんだ。」  
答えながらも、なんて色気がないんだと思う。同時に、俺達じゃこんなものか、とも。  
「動いていいか?」  
「あ、まだ、ちょっと待って・・・」  
なるべく大きく息をつき、少しずつ力を抜いていくリナの姿に、ゼルガディスは持てる限りの理性を総動員して  
動きだそうとする腰をとどめると、軽く口付けた。  
「ん・・・」  
なだめるようなキスが気に入ったのか、今までただ受けるだけだったリナが、ゼルガディスの首に腕をまわして  
自分からも口付けてくる。  
 
「ん・・・ふ・・・」  
しばらく深い口付けを続けていると、リナから許可が出た。  
「ゼル・・・も、へいきかも・・・」  
「そうか。」  
ゆっくりと抜いていく。  
先端が抜ける寸前まで引くと、こんどはまたゆっくりと入れていく。  
「・・・・・・」  
リナの瞳は閉じられ、眉間にしわが寄っているが、それほど痛みは感じていないようだった。  
ゼルガディスは徐々に動きを激しくした。  
「ひっ・・・あ・・・ちょ・・・ああんっ・・・」  
ゼルガディスが自分の中を蹂躙する痛みはしだいに内臓をかき回されるような違和感に変わり、かすかにむずかゆいような  
快楽を感じ始める。  
「ゼ、ゼル・・・なんか・・・ヘン、ん・・・」  
――――感じているのか?  
なるべくリナが感じられるようにと、繋がっている部分に手をのばして陰核を刺激しながら  
「ヘン、じゃなくて、気持ちいい、だろう?」  
荒い息の間に、リナの言葉を訂正する。  
「ん・・・わかん、ないっ・・・あっ、ソコ、ダメぇ・・・」  
「・・・じゃあ、わからせてやる・・・」  
リナの中に入れた自分のモノと指でリナを追い上げていく。  
前後に素早く動かしたり、奥まで強く突いたり、円を描くようにしたりと、様々な動きをしながらリナの  
イイところを探っていく。  
同時に指は赤く盛り上がった陰核を回すようにこねたり、つまんだりして確実な快感をリナに与える。  
「あ、あんっ、ふぅ・・・ああんっ・・・や、あ・・・んっ・・・」  
次々に襲いかかる感覚に耐えられずに、リナは頭を左右にうちふるってもだえる。  
「ああああああっ・・・ゼルっ・・・」  
両手はゼルガディスの首にまわし、両足は腰に絡みつかせて全身ですがりつく。  
「なんか、なんか、ヘンだよぉ・・・」  
もはやリナの言葉を訂正する余裕もなく、ゼルガディスは彼女と自分自身を高めていくことに専念した。  
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ」  
リナの体が小刻みにひくつき、きゅうっと体が反り返る。  
「っく・・・離せ、リナ!」  
自分を包み込んでいるリナの中が収縮したのを感じて一気に射精感をあおられ、ゼルガディスはあわてて体を離そうとしたが  
リナには聞こえないようで、絡みつく腕と足から力が抜けることはなかった。  
「あっ、あっ、あっ・・・ああああああああああーーーーーーーーっ」  
「くう・・・」  
達すると同時により力が込められた腕と足と、何よりぎゅうっと自分を咥えこんで離さないリナの中にとらわれて  
ゼルガディスはそのままリナの中に熱い奔流を注いだ。  
――――頭の片隅で、少しの覚悟を決めながら。  
 
ざあざあと雨の降り注ぐ音が聞こえる。どうやらまだ、止んでいないようだ。  
「ん・・・」  
ぼんやりと目をあけると、薄暗い部屋の様子が見て取れる。  
カーテンの隙間からわずかな光が差し込んでる所をみると、夜は明けているようだ。  
どうしてこんなに頭が重いのか。  
ゼルガディスは疑問を持ちつつゆっくりと、部屋を見回した。  
『ああ・・・飲みすぎたのか・・・。』  
部屋中に散乱する酒瓶と、いまだに充満している酒の匂い。どうやら昨夜は、相当飲んだらしい。  
頭がひどく重く、かわりに、なぜか腰のあたりがスッキリ軽い。  
ぼうっとそのまま部屋を見ていると、片隅に置かれた荷物が目に入った。  
見慣れたショルダーガードと黒いマント、リュックサック。  
『・・・?』  
自分のものではない。  
マントは白だし、ショルダーガードは身に付けていない。  
ごてごてと宝石が飾り付けられたショルダーガードを見ていて、ああ、と思う。  
あれはリナのだ。  
――――どうしてリナの荷物がここにあるんだろう?いや、それよりも、どうして自分の荷物が無いのだろう?  
まだ完全に覚醒しない頭で考えていると、隣で小さくうめく声が聞こえた。  
「ううーん・・・」  
リナだ。ここはリナの部屋だ。  
「――――っ!」  
一気に覚醒し、すべて思い出すと、思わず頭を抱えたくなった。  
『そうだ、夕べリナと・・・』  
昨夜は自分もリナも相当酔っていた。酒のせいだけにするわけではないが、酒が原因の一つであることは確かだ。  
決して後悔しているわけではないし、どこかの脳味噌がクラゲでできた剣士のように覚えていないなんてこともない。  
ただちょっと、今後どうしたらいいのかわからない。  
いや、とりあえず、悩むのは後だ。部屋に帰らなくては。こんなところをあの2人に見つかったら大変だ。  
そうっとベッドの下に落ちている自分の下着を拾おうとして、右手をのばしたとき――――  
こんこんっ  
部屋がノックされた。  
ゼルガディスはぴたりと動きを止めて、気配を消す。  
「おっはよー、リナぁー!」  
やたらと元気な声。アメリアだ。  
「リナ?まだ寝てるのー?朝ごはんよー」  
そうだ、リナは寝ている。朝飯なんていいから、ここから立ち去ってくれ!  
ゼルガディスの願いもむなしく、さらに声が追加された。  
「なんだぁ、まだ寝てんのか、リナのやつ。だから飲みすぎんなって言ったのに。」  
ああ、ガウリイ。ゼルガディスとしては、今会いたくない人物ナンバー1だ。  
「駄目ですね、朝寝坊なんて。わたしが起こします!」  
余計なことをするな!  
ゼルガディスの心の悲鳴も届かずに、ドアノブががちゃりと回される。  
――――どうして俺は鍵をかけなかったんだ、とゼルガディスは今までの人生で一番後悔した。  
「おっはよー、リナ!」  
ばったーんと開かれた扉の向こうに、黒髪の正義の使者と金髪の剣士の姿。  
今のゼルガディスにとっては、死神に等しい。  
「・・・・・・・・・・・・」  
「・・・・・・・・・・・・」  
「・・・・・・・・・・・・」  
驚愕に硬直していた2人の表情が少しずつ動く。  
にやり、としか形容の出来ないような生暖かい笑みを浮かべるアメリアと、のほほんとした姿から戦闘モードのきりっとした  
表情に変わったガウリイ。  
ああ、ガウリイ。  
その身にまとうオーラがどす黒いものに変化したのを見て、ゼルガディスは悟った。  
 
 
自分の幸運値は、夕べのポーカーで使い果たしたようだ――――と。  
 
 
終わり  
 

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