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「――――で、どうするんですか、ゼルガディスさん?」
「・・・・・・・・・・・・」
「リナたちを追うんでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・」
「まあ、ガウリイさんも、時間が経てば許してくれると思いますけど。」
「・・・・・・・・・・・・」
「どうするんです?」
「・・・・・・・・・・・・」
ゼルディスは大きくため息をついた。
あの日のガウリイは怖かった。心底怖かった。
なにも言葉は出さなかったが、それが余計に怖かった。
雨が止んで、街道が開通するまでの1週間、気まずく肩身の狭い思いをしながら、ひたすら
恐怖に耐える日々を送ってきた。
なるべく一人でいるように心がけ、特にリナには近づかないようにした。
少しでもリナを目で追おうとすれば、黒いガウリイが降臨する。
じっと耐え忍ぶ日々を送りながら、リナとあの夜以来何も話せないことがもどかしかった。
街道が通過すると同時に、あっという間に、ガウリイはリナを連れて消え去った。
ゼルガディスが気が付いた時には、もうアメリアと二人だった。
「どっちに行ったんでしょうね、二人は。」
ゼルガディスとアメリアが立っているのは、道の分かれ目だ。
川へ向かう道と、川を迂回する道。
「行き先は分かっていますから、のんびり追いかけますか?」
「・・・・・・そんな余裕はない。」
「?」
アメリアは分かっていない。この危機的状況を。
「でも、ガウリイさんも本気でわたしたちと別れようなんて、思ってないですよ。
ちょっと、冷却期間を設けた方がいいんじゃないですか?」
ゼルガディスは再び大きくため息をついた。
「ひとつ聞くが、お姫様。あんた、路銀は持っているのか?」
「・・・はへ?」
「今まで俺たちの資金を提供していたのは、誰だ?」
「・・・えっと・・・?」
「ちなみに、俺は持っていない。」
「・・・・・・・・・・・・」
どうしてこんな目に・・・。
ゼルガディスは三度大きくため息をついた。