スレイヤーズ  

闇夜に金の髪と黒のロングコートをなびかせて身軽に路地裏を駆けていく大柄な男。  
「こおらぁぁぁ!待ちなさい!このクサレ怪盗!」  
拳銃を手に必死に後を追いかけるのは小柄な女性。その距離は一定に保たれている。  
だが、彼女は気づいているのだろうか?  
追っている男が意図的に彼女の脚がついてこれるような速度で逃げていることを。  

そして、二人は住宅街を抜け人気のないゴーストタウンへ飛び出した。  
───パンッ!パンッ!  
闇夜にとどろく銃声。住宅街を抜け、撃っても目立たないことを察した女が発砲したらしい。  
男はあっさりとその銃弾をかわし彼女に向き合う。  
月をバックに金の髪が夜風にたなびいた。  

「お嬢ちゃん、あぶないぞ?子供が拳銃もっちゃ」  
黒づくめの格好と、鋭いその眼光とは裏腹に男はノホホンとした声でしゃべりだした。  
「───!子供なんかじゃないわ!れっきとした刑事よ!」  
対する女の声はどこまでも緊張に満ちている。  
「へぇー・・・いくつ?」  
「そんなことはアナタに関係ないじゃない!今日こそ逮捕してやるんだから!」  
「やれるもんならやってみろよ───」  
遠くに船の汽笛しかしない、静寂の世界で男は足音を響かせ彼女に近付く。  
警戒心すらいだいてないんじゃないかと思われる無防備な姿に、彼女は一瞬躊躇した。  
「隙あり───」  
「なっ!いたっ!なにすんのよ!」  
その一瞬の躊躇に男は女の細い両手首をつかみ、上へねじりあげる。  
「いや、お嬢ちゃんに風穴が開いたコートの弁償してもらおうと思ってね」  
そう言う男の視線の先には、先ほど彼女が発砲したときに銃弾が貫通したとみられるコートの端。  
「弁償ってなによ!アンタがよけそこねるからでしょう!」  
「おー、よくこの状況でそういう口が聞けるなー。このコート高かったんだぞ」  
「んなことしらないわよ!離せ!はなせったらはーなーせー」  
ジタバタジタバタもがく彼女の姿が愛らしくて男は思わず笑い出しそうになるのだった。  
「そういう口聞いちゃう悪い子にはオシオキが必要だな───」  
「っ!んんっ!」  
いきなりキスをされ彼女は大きな瞳をさらに大きくし驚愕する。  
その間に体をまさぐられ拳銃と手錠を男にとられてしまった。  
さすが怪盗と呼ばれてるだけあるのか、みるも早業で手錠を彼女の手首と後ろのサビの浮いた鉄柵を繋ぐ。  
ガシャッガシャッ!  
鉄の拘束はとれそうにない。彼女がどう足掻いても。  

「な、なにする気よ・・・・・・」  
その語尾が微妙に震えてるのは彼女の気のせいだろうか?  
「やらしいコト───V」  
再び唇が塞がれ彼女はなんとかしようとするけれど、後頭部をしっかり引き寄せられ動けそうにもなかった。  
おまけに男のあいている片方の手は女のスーツのつなぎ目をはずしにかかっている。  
激しすぎるキスの間に何とか彼女は声を上げ抵抗しようと試みる。  
「それ以上さわらないで───」  
どう考えても彼女に分はないのに、その瞳は光を失わない。  
サングラス越しに色はわからなくとも、その瞳がギラギラと輝いてるのは男にもわかった。  
ますますそそられてしまう。でも、どうする?このままでは舌でも噛まんばかりの勢いだ。  
「お嬢ちゃんがおとなしくしてくれさえすれば、今日盗んだネックレス返すよ───」  
答えは交換条件。  
「・・・・・・・・・・・・ホントに?」  
「ホントに」  
「・・・・・・・・・わかった。好きにすれば」  
あっさりとその条件を呑む彼女。  
───こんなトコロまでおびき寄せられたのに普段聡明な彼女が気づかないわけがない。  
それでも追いかけてきたのには理由があった。盗られたネックレスが彼女にはどうしても必要だったから。  
光り輝くルビーのネックレス。国宝級の。  
それは彼女の祖母が亡き祖父からプレゼントされずっとずっと大切に持っていたもの。  
だから、だからどうしても取り戻す必要があったのだ。孫として、そして嘆き悲しむ民衆を守る刑事として。  
少しでもとり戻せる可能性があるのなら。  
───自分の体くらいどうってことないわ。  
強がりか、はたまたアキラメか。女はギュウと眼をつぶった。  
鉄柵に繋がれていた手が力無く落ち、地面にズルズルとしゃがみこむ。  
彼女と目線を合わせるように、男もかがみ込んだ。  
くいっと細い顎を持ち上げられ、キスの続きをされる。男の冷たい指先にゾクリと彼女を身を震わせた。  
「口、あけて、お嬢ちゃん」  
仕方がなしにきつく閉じていた花の唇を開くと、スルリと舌が滑りこんでくる。  
角度をかえ、深さをかえ、小さな口腔が貪られる。  
絶妙なタイミングで抜き差しさせる舌や、耳の奥でする水音に知らず知らずのうちに彼女は体を熱くさせた。  
耳朶を甘噛みされるとビクリと小さな体が跳ねた。  
「耳、感じやすい、とか」  
最後の抵抗とばかりか、彼女は決して口をきこうとはしない。  
「声、出さないつもりか?」  
揶揄するような男の声に、いっそう口を堅く閉ざす女。  
それでも男は嬉しそうに───そのうちイヤでも出させてやるよ、と耳元で囁いた。  
そして、無骨な手を服にかけてゆく。ふと、手を止め少し考えてからポケットからナイフを取り出す。  
「脱がすのめんどくさいんだよな・・・」  
「───!」  
止める間もなく、彼女のスーツはナイフで引き裂かれた。下着ごと。  
「へー、随分、色っぽい下着つけてるじゃん」  
真ん中でキレイに切断された黒の下着を見てニヤリと男は笑う。  
バカにされたような気がしたのか彼女のなめらかな頬ににカッと朱が登った。  

月明かりに白く、むき出しの肌がよくはえていた。  
呼吸にあわせて、緩やかに胸の膨らみが上下する。その様子に男はうっとりと眼を細めた。  
細い首筋に男が唇を這わせる。キツク、キツク、跡がずっと残るように吸う。  
大きな手のひらには少し物足りない、小ぶりの膨らみをやわやわともみしだくと再び彼女がピクリと反応した。  
柔らかすぎる感触はずっと触っていたい誘惑に男をいざなう。  
胸元の唇はそのままに、手は下へ下へと移動してゆく。  
ストッキングが伝線して素肌が所々露わになっているのがとんでもなく扇情的で。  
ゆるゆると下着ごとストッキングをぬがしていくと、女の脚がバタついた。  
「おとなしくしてろよ───っ」  
「あ!ぁんっ・・・」  
とうとう可憐な唇から甘い声が漏れた。胸の先端を強く吸われて。  
「随分カワイイ声だせるんだな、刑事さん」  
吐息まじりに口元でそう囁かれ、再びついばむようなキスの嵐に彼女を飲み込む。  
あえぎあえぎ、鼻でなんとか息しようとするがそれすらもままならず瞳が潤みだす彼女。  
なんとか身を捩らせ、男から受ける刺激を少なくしようとしている姿も艶めいていて───  
彼女の仕草は、もう全てが男を誘うものでしかなくなっていた。  
呑みきれなかった唾液が細い顎を伝う。  
細い太股をまさぐっていた手をのばし、タイトスカートにかける。一気に腰までめくり上げた。  
「やっ!」  
冷たい夜風が秘所を撫で、彼女は小さな悲鳴とともに膝を閉じる。  

「ちゃんと脚ひらけよ───取り返して見せるんだろ?ネックレス」  
「くっ・・・」  
陵辱の言葉に唇を噛み締め、彼女はおそるおそる脚を開いた。楚々とした茂みが露わになる。  
意図せず涙が頬を伝い落ちる。彼女がいま、感じている恥辱はいかほどなものか。  
犯人を逮捕するために授かった手錠で繋がれ、男の言いなりにされている───  
今まで、涙を流さなかったのが不思議なくらいだ。流れた涙を男が唇ですくい取った。  
この陵辱の場には不釣り合いな優しい仕草で。  
───クチュリ  
指が茂みをかき分け、秘部にたどり着く。そこはしたたかに濡れていた。  
「───っ・・・いたっ」  
「・・・!お前さん、もしかしてまだ処女か?」  
驚いた男の声に彼女は頷くことはなかった。だが、逸らした顔が如実にイエスを物語っている。  
「じゃあ、ちゃんと濡らさないとな」  
初めてと知ったはずなのに、躊躇する様子もなくむしろ嬉々としてコトを進める怪盗。  
指を押し進めると彼女の顔が苦痛に歪んだ。けれども、指にまとわりつく蜜は確実に量を増している。  
じきに指一本容易く出入りできるようになった。  
「くっ・・・ぅうんっ・・・やああっ」  
抑えることのできない艶声が、ひっきりなしに彼女の喉から漏れた。苦痛は快楽へと色を変えてゆく。  
蜜がはぜ、気泡をつくりジュプジュプと音をたてる。  

「っううっ!」  
指がまた一本増やされ、彼女はひときわ大きく喘ぐ。  
初めて感じる快感に彼女は翻弄され、男のされるがままに。腰が彼女の意志とは反対にくねりだす。  
快楽が彼女を支配していくのを見て男はほくそ笑んだ。蜜が男の手首まで濡らしていく。  
「あっ!やっ・・・だめ!だめぇぇ!ああああっ」  
ナカを掻き回していた太い指を、きつく締め上げ彼女は果てた。  
生まれて初めて感じたわけのわからぬ快感にしばしボーっと虚空を見つめる大きな瞳。  
「気持ちよかっただろ?次は痛いかもしれないけど我慢しろよ」  
これ以上ないってくらいに嬉しそうに男は告げた。いや、実際嬉しくて嬉しくてたまらなかった。  
ずっと、もうずっと恋焦がれてきたから───彼女に。  
必要のない怪盗を続けていたのもなかば彼女に逢いたいがため。  
追ってくる刑事のなかで彼女だけは諦めずに何度も何度も追ってきてくれた。  
初めて眼と眼があったとき、その瞳に射抜かれたいとすら思ったほど。  
栗色の髪が現場にひるがえるたび、狂気にもにた嬉しさが男のなかからこみ上げてきた。  
手に入れたいあの瞳を。コノ世のどんな宝石よりも美しい瞳をもつ彼女を。  
そしてやっと二人っきりになれた今日の日を男は逃すわけはなかった。  

はち切れんばかりに熱く隆起した塊を男は彼女の入口にあてがう。  
「───っ!」  
先端だけはいってるというのに、痛みは強く彼女を侵した。  
涙がまた溢れ、彼女の頬を濡らす。今度は指で彼女の涙を怪盗は拭った。限りない慈しみを込めて。  
そして、一気に貫かれた───  
「きゃあああああああああああ!」  
身を裂く痛みに彼女の意識は闇に落ちていった。  

 

次に彼女が目覚めたのは高級ホテルのスイートルームのなかのでかいベットのうえに一人で。  
先ほどの出来事は夢じゃなかったのか───と一抹の期待を抱くが、彼女の体についた無数のキスマークと  
下肢に感じる違和感が現実だと知らせる。人知れず彼女は涙を流した。  
ふと、隣を見るといつも怪盗が使っている予告状があった。  

───DEAR リナインバース  
昨夜は随分楽しませていただいた。  
約束通りネックレスは返そう。  
取り出すとき気をつけてほしい。傷ついたら大変だからな。  
また逢いにいかせてもらうよ。  
              怪盗より───  

───取り出す?  
見回すとあたりにそれらしきモノはない。  
身を起こすと彼女の下腹部に鈍痛が走った。そしてなかにナニカがはいってるような違和感。  
───もしかしてもしかしてもしかしてもしかして!  
首をギギィと倒し見ると、彼女のナカからネックレスが生えていた。  
「・・・あんの変態かいとぉぉぉ!絶対殺してやるぅぅぅぅ!」  
傷つけないようにゆっくりゆっくりネックレスを引き出していく彼女。  
「んっ・・・」  
思わず声が漏れてしまい、彼女は顔を赤らめる。  
純潔の証と白濁にまみれてルビーが顔をだす。  
そして彼女は殺意を新たにするのだった。名前を知られた理由に気づかぬままに。  

警察手帳をスラれた彼女が、怪盗につきまとわられて落とされるのはまた別の話───  

 
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