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あまりの蒸し暑さに、明け方前にゼルガディスは目を覚ました。
暑さ寒さに耐性のある岩肌でも、さすがに真綿で首を絞められるような湿度と温度には息苦しさを感じる。
ふと隣を見ると、愛しい少女がベッドの端まで転がって、背中を向けて寝ている。
昨夜、二人で熱く激しい時間を過ごした仲とはいえ、この暑さに耐えきれず体を離したのだろう。
仕方のないことだけど、少しだけ寂しく感じてしまって、ゼルガディスは苦笑した。
――――いつから、こんなに人肌を好むようになったのか・・・・・・。
しばらくの間滑らかな肌の色白の背中を眺めていたが、いいアイデアを思いついた。
隣の少女を起こさないように口の中で小さく弱冷気の呪文を唱えながら、
シーツを自分と相手の二人を包み込むように掛けると、その中に冷気を充満させる。
「・・・・・・んー・・・・・・」
夏の暑さをしのぐためによく使い慣れた弱冷気の呪文とはいえ、素肌には冷たかったらしい。
少女はふるりと身を震わせると、寝がえりをうってゼルガディスの方に転がってくる。
それを自分の腕と胸で受け止めると、今度は満面の笑みを浮かべた。
――――捕獲、成功。
愛しい少女の温もりを感じて、甘い香りを吸い込みながらゼルガディスは再び眠りに付いた。
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