「この行為に何か意味があるのかしら? わたし達の場合、」
乱れた息の下。ぽつり、とアメリアが呟いた。
独り言と言うには、はっきりと響いたそれにゼルガディスはピタリと動きを止める。
互いに何も纏わず、向かい合った寝台の上。
淫靡な空気に混じって微かな緊張と脱力感が漂う。
「最中に言う事か、それは」
気が抜けたとばかりにゼルガディスはアメリアの上から起き上がる。
金属の髪がしゃらんと小さく音をたてた。
「ごめんなさい。でも、そうだと思いませんか? ……意味を求める事自体が無粋なのかもしれないけど、」
アメリアも身を起こし、真っ直ぐゼルガディスを見つめる。
無言でゼルガディスも視線を返す。
張り詰めた沈黙が二人の間を流れ、時が止まったかのような錯覚を起こしそうになる。
――先に耐えきれなくなったのはアメリアの方だった。
僅かに目を伏せ、口元に諦めと困惑を綯い交ぜにした笑みを浮かべる。
「わたし、今日はおかしいですね」
噛んで含めるような言葉の中、自嘲の響きを感じとってゼルガディスは顔をしかめた。
元来の自分なら面倒臭いと一蹴してしまうであろう空気。
それを押し留めている正体不明の感情。
ざわざわと騒めき、思考を掻き乱すそれらを振り払うようにゼルガディスは眼前の小さな身体を再び、組み敷いた。