「ゼルガディスさんの初恋って、いつですか?」  
「何だ、いきなり。」  
うとうとと事後の余韻を楽しみながらまどろんでいたところを、突然わけの分からない質問で  
覚醒させられて、ちょっと不機嫌に応える。  
「いえ、何となく。」  
悪びれもせずに、ぱちりと瞬きをして小首をかしげる様子が小動物のように無邪気で愛らしく、  
思わず跳ね上がった心音を悟られないようにことさら面倒そうに眉を寄せてみせた。  
「忘れた。そんな昔のこと。」  
「ええーっ!初恋ですよー!?」  
「知るか。」  
シーツに包まったまま、信じられないように眼を丸くしたお姫様を押さえ込むように抱きしめる。  
「俺のはともかく、お前の初恋の相手ならわかるぜ?」  
「えっ!?」  
驚いて動きを止めたアメリアの耳に、熱い息とともに囁く。  
「フィリオネル殿下だろう?」  
「うっ・・・・・・どーして分かるんです・・・・・・?」  
「どうしても何も、セオリーだろう。」  
女の子は父親に憧れるものだ、という世間一般の常識が、どうやら彼女にも通用したようだ。  
「そうなんですか・・・・・・。ばれちゃいましたね。」  
ふふっと笑うアメリアに少しだけ笑い返して、抱きしめた腕に力を込めた。  
「で、ゼルガディスさんは誰だったんですか?」  
「・・・・・・まだ聞くか・・・・・・」  
「だって、わたしだけなんて不公平です。」  
ぷーっと頬を膨らませて文句を言うアメリアの口は、自分の唇でふさいでしまう。  
「んうっ・・・・・・」  
そのまま舌を絡ませて、両手で体を撫で回せば、アメリアはもう質問どころではない。  
「あっ、ずるい、ですぅ」  
さっき終えたばかりなのに、また体が熱くなっているのは、若さのせいかそれとも――――  
「ああんっ」  
アメリアのあえぎを聞きながら、ゼルガディスは心の中で苦笑した。  
 
言えるわけがない。  
自分の初恋が、今腕の中にいるこのお姫様だなんて。  
 
アメリアの疑問をかわすように、ゼルガディスは第2ラウンドを開始した。  
 

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