それは、いつものように宿からこっそり抜け出して
盗賊いびりをやっていた日、そいつは相変わらずの口調でやってきた。
「いきなり、炎の矢!!」
「うっ、うわぁ〜、なっ、なんだ〜!?」
「ふっふっふ、命が惜しかったら潔くお宝の場所を
教えてもらいましょうかぁ!?」
「なっ、なんだと!いきなり出てきてふてぇ野郎め。
お前らやっちまえ!!」
「うぉぉぉ〜っ!!」
「はい、残念!、炸裂陣!!」
炸裂陣で、盗賊どもの半数以上が一気に吹っ飛んだ。
「どう、まだやる気、おっちゃん?」
「おやおや、また盗賊いじめですか?そんなことやってるといまに
盗賊がいなくなっちゃいますよ」
・・・この聞いたことあるような声はまさか・・
「ゼロスっ!!」
「お久しぶりですね、リナさん」
「あっら〜、お久しぶりね〜、ゼロス、近頃見ないからてっきり
獣王に解雇でもされて、もうとっくに滅んでんのかな〜とか思ってたわよ」
私の言葉に少し顔色を変えて
「相変わらずですね〜、出会って最初の挨拶がそれとは・・」
「まあね〜、んで、何の用なの?、まさかあんたが盗賊愛護運動でも
はじめたってわけじゃないわよね?」
「いやぁ〜、いい勘してますね〜、実はそのまさかなんですよ
今までリナさんにいじめられてきた盗賊さんたちに罪滅ぼしを
してもらおうと思いましてね」
「えっ、それってどういう・・ぐっ」
そのとき、不意に目の前が真っ暗になっていった。
意識を失う前に見えたのはゼロスの不敵な笑いと後ろで
スタンガンを構えたさっきの盗賊の頭だった。
「んっ・・んんん」
ようやく目を覚ました私の前にいたのは、ゼロスだった。
そして、手足は縄で拘束され、腕には変な腕輪がつけられていた。
「おや、ようやくお目覚めですか、リナさん」
「ゼロス…あんたねぇ、何のつもりよこれ?
スタンガンなんてマイナーな武器使わせちゃってさぁ〜」
「さすがリナさん、あれを知ってるとは」
前にゼルに聞いたことがある。
レゾの研究には古代に使われていた爆弾、拳銃のほかに
スタンガンなる電撃ぐらいの効果を持つ武器があったことを。
「んなのどうでもいいのよ、何のつもりでこんなことをしてんのかって
言ってんのよ!」
私の質問にゼロスはいつもと変わらぬ口調で、
「いえいえ、実はですね、盗賊さんたちに頼まれちゃったんですよ。
リナっていう極悪な魔道師がこのあたりに現れたからどうにかしてくれって」
てっきり「「秘密です」」とでも言うと思ってたんだが…、
まあ、こいつの言うことが全部本当とは限らないし、
「へぇ〜…、それでゼロス、わかってんでしょうね。私にこんなまねして
どうなるかって事ぐらい」
「おや、強気ですねリナさん。まあそうでないとこちらも面白くありませんし」
そういうとゼロスは何かの呪文を唱え始めた。
私は聞き覚えのない呪文だが・・・
そう思っていると、不意に私の体に異常を感じた。
「ん、んな、これって、んぁぁ」
体の力が抜け、火照っていくのを感じた。
ふと腕を見ると腕輪についていた宝石が真紅に輝いていた。
「どうですか、リナさん、気に入ってくれましたかその腕輪、
どうやら魔法の道具らしいんですけどね、異界黙示録によると
女性に身につけて呪文を唱えると、すごい効果があるらしくて」
「そ…その効果って、なっ、んなのよ」
そう言っている間にも、私の体の火照りは増していく。
まるで体中が性感帯にでもなったいるかのように。
「何でも体中のいたる器官の感度をあげるらしいですよ。
まあ、人間の感度って物がどんなものか魔族の僕にはわからない
ですけどね」
「へ、へぇぇ、でもこっ、んんぁもの、ぜんっぜん効果ないわよ、
壊れてるんじゃないの?」
なんとか強がっては見るものの、自分の体の疼きはとまらない。
おそらく手足が拘束されてなければゼロスの前であろうと自分で触っているだろう.
つまり、それほどこの魔法の道具が強力ということだ。
「んん〜…そうですか、おかしいですね〜」
そういうとゼロスは服の上から私の胸を揉み始めた。
今の私にはそれだけでも十分な刺激だった。
「んんんっ、や、めっ・・・あぁぁぁ!!」
悲鳴とともに、私は、頂点まで上りつめるのを感じ、
気を失っていった。
「んぁっ、ぁっんん、ぁっ」
すさまじい快感とともに目を覚ました私の目に飛び込んできたのは、
今まさに盗賊の頭に犯されている私の秘所と、私の体中を愛撫している
盗賊どもの姿だった。
「んぁぁ、な、にが、」
「おっ、ようやくお目覚めか、リナ=インバース」
こいつら、かすかに見覚えがある。
確か、この間潰した盗賊団の奴らだ。
しかし、そんなことよりも今の私にはこの快楽に身を任せるしか
なかった。
「んんっ、気持ちい、ぃ、もっと早く、うごい…て」
「へへっ、あのお方のいったとおりだったな」
「そうだな、しかし誰なんだあいつは…」
「さあ、神官みてえだが、そんなのどうでもいいさ」
「そうだな」
「あぁぁ、い、んぁぁぁ」
快楽を貪っているあたしに蔑んだ目線を向けながらつぶやく
盗賊達。
そして、遠くからその光景を見ている男と女がいた。
しかし、もうどうでもよかった、今はただ・・・
「んっ、…いいよぉ、イク、あぁぁぁぁぁぁっ!!」
ただこの快感がずっと続くことを祈るのみだった。
リナと盗賊達の様子を遠くで見ていた男女。
それは…、
「これでいいんですよね?、アメリアさん」
「ありがとう、ゼロス…これがあのリナ=インバースだってわかったら
ガウリイさんたち、どういう顔するかしらね」
「さあ、それは…」
「それより、あの腕輪の効果ってどれぐらい続くのかしら」
「半永久的ですね、僕が滅びるか、リナさんの魔力が尽きるか、
もしくはリナさんが死んだときに消滅するようになってます。」
「そう、つまりは、もうリナに会うこともないわけね、フフ」
「それじゃあ、もう僕は行きますね」
そういうとゼロスは闇の中へと消えていった。
「じゃあ、私もそろそろ行こうかしら、飛翔術」
そして、私はその場から立ち去った。
おそらくあの女は、私が仕組んだことだと言うことも知らずに
死んでいくことだろう。
それでもいいのだ、あの女には。
私のガウリイへの気持ちを知りながら、それを奪っていった
あの女には相応しい末路だ。
最後に私は、風の呪文を応用して、リナに向かってこう言った。
「バイバイ、リナさん」
そして私もまた、闇に溶け込んでいった。
365 名前:ゼロ(+盗賊)×リナ エピローグ 投稿日:2008/09/19(金) 18:32:40 ID:Eqcru9DK
宿に帰った私を迎えたのはリナのことを心配したゼルガディスとガウリイだった。
「どうだった、アメリア!?」
「いえ、リナさんはどこにもいませんでした。」
「あいつ、またどっかで盗賊いびりでもやってんのか?」
「いや、ガウリイ、それでも1週間帰ってこないってのは」
「まあ、いいじゃないですか。リナさんならきっとどこでも順応して
生きていけますよ。」
「まあ、確かにな。」
「そうだな、とりあえず、今日のところは寝るか」
……
そして、それから1年が過ぎた。
私は、リナを忘れられないガウリイをどうにか説得し、結婚した。
風の噂では、リナ=インバースに似た女があちこちの盗賊から
ペットとして飼われ、ただの性処理道具として使われているようだ。
だが今の私にはどうでもいい、欲しかった幸せは、今ここにあるのだから。