というわけで結論から言えば、目の前の酒場の惨状は、オレのせいではない。多分。
その日はリナが先に酒場に行って、オレが遅れていくと、命知らずな男がリナにコナをかけて酒を注文していた。
オレは、その男をそいつの人生と財布の平穏のために穏便に追い払ってやり、リナとそいつのために注文された酒を両方取り上げて飲んだ。
それが気に入らなかったのか、別の理由かよくわからないが、何かぎゃいぎゃい言い出したリナと、いつものようにボケた会話をしていると、ため息をついてリナが部屋に帰ってしまったのだった。
結論から言えば、帰ってくれてよかった。本当によかった。
男が自分の酒に入れていたのは精力増進作用のある興奮剤だったらしい。
リナの酒にも何か薬が入れてあったようだ。
そんなものを飲んだらどうなるか……。
オレはすっかり好戦的になったあげく体の奥から沸き起こる衝動を持て余し、折あしく起こった酒場の小競り合いに真っ向参加して、その場にいる人間をあっという間に一人のこらず叩きのめしてしまったのだ。
こんなことをしたのは、傭兵になってすぐの血気盛んだった頃以来じゃないかなあ。よく覚えてないけど。
というわけで、今この酒場で動いているのは、カウンターの中でおとなしくしていたおやじさんとオレだけだ。
今、おやじさんはオレを恐れて遠巻きにして見てるけど、やっぱり明日の朝になったら弁償を要求されるんだろうか。
……リナにバレたらやっかいだな。いつもこういうことはやめろと説教しているオレの方がこんな騒ぎを起こしたと知られたら……。
まあいいや。後で考えよう。忘れるかもしれないけど。
「いつまでもここにいても仕方ないし、部屋に帰るか……」
オレが呟くと、おやじさんは強張った顔で、それがいいですよと言って、ブンブンと頭を縦に振った。
というわけで、この惨状はあのナンパ男の身から出たサビなのだ。ちなみにそいつは部屋の隅のテーブルの上で早々に伸びている。根性なしめ。
汚い手を使ってオンナをモノにしようとした男の当然の末路である。
なんかこういう思考はリナの専売特許のような気がするが、まあ、どっちでもいいか。たまにはオレが責任逃れしたっていいだろう。
薬のせいか酔いのせいか、ちょっとふらつく足で自分の部屋へと戻る。
薬の興奮作用はまだ抜けていないらしく、全然眠れる気がしない。
この手の薬は切れた時に疲れがどっとくるから辛いんだよなあと溜息をついて、このどーしよーもない衝動をどうやって解消しようか考えていると、ノックの音がした。
止める間もなく、扉の開く音がする。
「ガウリイ、入るわよー。さっきの騒ぎは一体……って、うわ、あんた何やってたの!」
なんでオレは鍵を閉め忘れるなんてマヌケなことをしたんだろう。
扉を開けて入って来たリナに背を向ける格好になっていたのが、まだ不幸中の幸いだった。
「ちょっと、返事くらいしなさいよね。ナニ背中向けて突っ立ってるのよ」
リナが近付いてくる。まずい。
というか、衣擦れの音からして、リナ、お前またパジャマで人の部屋に来たな?!
そういうことはやめろと何度もオレは口をすっぱくして言ったはずだ。お前さんは記憶力がいいんだから覚えていてくれよ頼むから!
「埃まみれで……ちょっと、怪我してるの?!」
違うそれは返り血、と言いかけて、喧嘩してたことを知られたくなくて黙る。
……いや、さっきの騒ぎを知ってるということは、どうせバレるんだろうが、人間は無駄なあがきをやめられない生き物なのだ。
「別になんともないし、もう眠いから出てってくれ」
というか、出ていってくれないとホントにマズいんだけどなー……。
獣脂のランプで暗いとはいえ、多分見られたらオレの状態が一発でバレる。
つまり……オレは今ものすごく興奮してるわけで、ということは、オレのモノもすごく興奮してるってわけだ。
ズボン越しに見てもはちきれんばかりに大きくなっていて、たまにびくびく動く。
こんなものを見られたら、間違いなく変態扱いされて、悲鳴をあげられるに決まってる。運が悪ければ鉄拳制裁だ。
しかし、オレの願いを神様は全く聞いてくれなかったようで、逆にリナはつかつか、と近づいてくると、いきなりオレの脇腹を掴んだ。
「みぎゃあ!」
脇腹はそんなに弱い方ではないのだが、敏感になってたらしい。
びくんっ、と自分でもびっくりする程過剰反応してのけ反り……その拍子に足がもつれてバランスを崩した。
「え?や……ちょっと大丈夫なの!!」
脇腹についていた返り血とオレの反応を、怪我と勘違いしたらしいリナが、心配してオレの向かいに回ろうとする。
「うわ、見るなっ!」
「ちょ……っ!何すんのよっ!」
オレの前に回り込んだリナの肩をつかんで、強引に後ろを向かせる。
オレに背中を向ける格好になったリナは、当然のことながら理由がわからす、暴れ出す。
「何すんのよっ!」
「怪我じゃないから、安心してこのまま帰れ、な?」
オレはリナの肩を掴んだままくるりと回り、扉の方へとリナを押し出した。
「ちょっと、何触ってんのよ、離してよっ!それに、怪我してないって言うのなら見せられるはずでしょーが!」
しかし、納得するわけもなく、リナは更に暴れ続ける。
多分説得は無理だろう。
こうなった以上、リナの怒りはかうだろうが、力付くで部屋から追い出すしかない。
オレはそう決めて、リナの体に腕を回し持ち上げて部屋から放り出そうと……。
あれ?
普段ならなんなくリナを持ち上げられるはずのオレの体は、力を入れた瞬間に暴れたリナの勢いを殺しきれずふらついてバランスを崩し……。
ぼすっ、と鈍い音を立ててベットに沈んだ。
リナを、オレの体の下敷きにして。
マズい。
これではまるで、オレがリナを押し倒したみたいではないか。
「いやーーーっ!!離せへんたむぎゅっ」
宿の外にも聞こえそうなリナの叫び声に驚いて、反射的に口を塞ぐ。
オレの指に噛み付こうとしてか、なんとか口を開けようとするのを封じ込める。
ふぐふぐとオレの掌の中で叫びながら、必死に体をよじるリナの体を押さえ付けようと……あれ、何で押さえ付ける必要があるんだろ。
とりあえず、口を塞いだまま、自分の体を動かそうとして……。
「うっ!」
オレは思わず、背筋を駆け上がった感覚に、声を出して呻いてしまった。
オレのすっかりいきり立ったモノが、暴れるリナの動きに刺激されて、たまらない快感を生み出したからだった。
そう、今、オレのモノは、あろうことかリナのやわらかい尻の間にすっぽりとはまっていたのだった。
冗談でなく、ヤバい。しかし、信じられないほど気持ちいい。
「んーっ!うーっ!」
自分の尻に押し当てられているものがなんであるかくらい、リナにもわかったのだろう。
更に抵抗を強め、体をよじって暴れる。
リナの動きが激しくなればなるほど、柔らかい尻がオレのモノに擦り付けられ、たまらない快感を生み出す。
「くっ……、リナ、動くな」
動くなと言いながら、駄目だと思いながら、オレ自身の体はそれを裏切り始めている。
オレのズボンとリナのパジャマに隔てられて、なお感じられる柔らかい感触。
オレの腕の中にすっぽり埋まる、小さくて柔らかい体。
オレの顔の下で広がってうねる栗色の長い髪。
ダメだ。もう本当にダメだ。
そもそも、リナをナンパした男が変な薬を使ったのが悪い。
それから、男の部屋に夜、パジャマで来た上に、帰れと言われて帰らなかったリナが悪い。
そうだ、だから、オレは悪くないはずだ。
……少なくとも、オレだけが悪いわけじゃないはずだ。
オレは、リナの体を引き寄せると強く抱きしめ、能動的にオレのモノをリナの尻に上下に激しく擦り付けた。
自分の下着にこすれて多少痛いが、快感がそれを上回っている。
リナの弾力のある尻がオレのモノを挟み込み、身をよじる度に柔らかくしごく。
「んんーっ!ふーっ!」
暴れるリナを体重で押さえ付けて、腰に回していた腕をずらすと、捲くれ上がったパジャマの裾が手に触れた。
直接、リナのお腹の辺りを撫で回し、すべすべした肌の感触を楽しむ。
臍から上の部分へ手を滑らすと、びくりっ、とリナの体がはねた。
さらに抵抗が激しくなる。
「うはあ……あっ」
多分、今のオレは、とんでもないマヌケづらをさらしているのだろう。
あまりの快感に、ひたすらリナの尻にオレのモノをこすりつけ続け、たまらず喘ぐ。
「く…うっ、はあっ」
もっと強い快感が欲しくてリナを抱き込むと、オレの体の位置が上にズレた。
その拍子に、リナを抱いていた手の位置も上にずれる。
次に握りしめた位置は、ちょうどリナの胸の上だった。
「んーっ!んんんーっ!!」
リナの胸は、いつも誰にでもからかわれているように小さくて、背中側に親指を回したまま、余裕で全部包み込むことができた。
でも、やっぱりちゃんと胸で、たまらなく柔らかい。
指に力を入れる度に、ふにふにとした感触が返ってくるのがたまらない。
「ふ…っ、んぅ…っん」
オレの掌の中で、リナの声が甘みを帯びた、気がした。
たまらない。もっと触りたい。
「う…っ、ああっ…」
馬鹿みたいに呻き声をあげ、興奮にまかせて、ぐにぐにとひたすら胸を揉む。
「うは…あっ」
すっかりかたくなった乳首が指先に当たる。
胸を掴んだまま、人差し指と中指の第一関節でぎゅうっと摘み、ぐりぐりと刺激した。
「んん…っ!うぅんっ!」
身をよじって、リナが悶える。
気持ちいい…みたいだな。
オレも最高に気持ちいい。気持ち良くて…くっ!
「う…くっ、…!」
リナが悶えるたびに、オレのモノが揺らされ押し潰される。
ただでさえ興奮していたオレは、あっけなく。
脳天まで突き抜ける強烈な射精感に身を任せ、体重をかけてリナの尻肉にオレのモノが埋まりきるまで押し付けて。
呻きながらびくびくと体を震わせ、リナの頭に顔を埋めてリナの匂いを胸いっぱいに吸い込みながら、イッてしまった。
目の前に火花が散るような射精だった。
荒い息を吐きながら、リナの頭に顔を埋める。
うー、こんなに気持ちいい射精は、初めてかもしれん。
まだヤッてもいないのに、これは一体どういうことだ。
やっぱり薬のせいだろうか……それとも、リナの尻でしているというのが、
相当興奮したんだろうか。
しかし、本当によかったなあ、リナの尻は。
柔らかくて、小さいけど弾力があって、あったかくて……。
「んー……」
自分でもびっくりするほど甘えた声を出して。
オレは、リナの頭に、自分の顔をすりすりした。
そして、ついでに、萎えたモノも、リナの尻にすりすりした。
射精後の虚脱感に襲われながら、それでも胸をまさぐるのはやめない。
だって、感触がすっごく気持ちいいから。
胸は大きな方がいいに決まってると思ってたが、
今度からは、見る分には、という但し書きを付けた方がいいかもしれん。
触る分には、小さいのもまた味があるようだ。
リナの体が小さいのもあるが、片手で二つの膨らみを隅から隅まで
堪能できるというのは、なかなか乙な感じといえよう。
うん。すっごくいい。なんか和む。ずっと、まったりとこうしていたい。
左右の胸を掌で円を描くように撫で、時折、固い乳首を指先で摘んで、
こりこりとしごいたり、伸ばすように引っ張ったりする。
その度に、リナの体がびくっとするのが面白い。
執拗に、リナの胸を弄んでいじくって撫で回す。
「んー、んー」
リナは、暴れるのが逆効果と悟ったのか、疲れたのか、さっきよりおとなしく
なって、オレに抱きしめられている。
オレの掌の中に吐き出されるくぐもった声が、熱い。
そうしながら、リナの尻に、もう一度オレのモノを擦り付けた。
そして、その感触が変わったことに気付いた。
リナのズボンは、オレが激しく擦り付けたせいで、半分ズリ下がっている。
自分の体が影になってはっきりとは見えないが、リナの尻が直接見えている。
……リナの尻、直接触ってみたいなあ。
オレは少し迷う。
なんで迷ったのか、沸き立った頭で少し悩み、さすがに脱がせるのはダメ
だろうか、というモラルの囁きを見つけだした。
でも、触ってみたいったらみたいのだ。
それに、ここまでやってしまった以上、オレは間違いなく、タダでは
すまないだろう。
いつまでもリナの口を塞いでおけるわけではないし、やったことの報い
を受けなければならない。
だからオレは、明日、呪文でバラバラにされて短い命を散らしても
悔いのないように、ちゃんと見ておかねばならない。
ほら、どく……えっと、ろく?六皿食えば全部食え、だっけ?
違うかもしれないが、そんな感じだ。
いや、違うのはもっと根本的な部分のような気がしてならなかったが、
今はとにかく、肌色の二つの隆起を撫で回すことしか、考えられそうになかった。
オレは、胸を触るのをやめ、そのまま、腹から脇腹へと手を滑らせて、
リナのパジャマのズボンを、全部ズリ下ろした。
「………っ!!」
オレの手が下着ごと、リナのパジャマを引き下ろす。
瞬間、リナの体が強張った。声も止まる。
構わず、ゆっくりと、あらわになった尻を撫で回す。
滑らかな肌は感動ものだ。
片方の尻の弾力を確かめるように、ぎゅっと握りしめて、離す。
また握りしめて、離す。
何度もくり返し、揉んで、揉んで、揉みまくる。
比喩でなく、オレの手に吸い付いて離れない。
いや、放したくないだけか?とにかく気持ちいい。
……やべっ、また興奮してきた。
硬さを取り戻してきた自分のモノを、今度は直接擦り付けたい思いに負けて、
オレは自分のズボンを下着ごとずらし、モノを露出させた。
そのまま、再びリナの尻の隆起に押し付ける。
敏感な肌と肌の接触は、ぴりぴりするような痛みをもたらすので、今度は
こすらずに、押し付けて体重をかけ、弾力を楽しんでみる。
「ふんぐっ!んぅぐっ!」
途端にリナが暴れ出す。
しかし、うつぶせの体制でオレに押し潰されているため、
たいした反撃にはならず、結局、腰をくねらせる形にしかならない。
そして、その動きに、リナの尻をつかんでいたオレの左手の親指が、ずるっと
滑って、足の付け根へと潜りこんだ。
ぬるり。
親指に何かが纏わり付く。
「……濡れてる」
それが愛液だと気付いた瞬間、オレの中で、何かが沸騰した。
手を前に回し、足の付け根をなぞる。びくっ、とリナの体が跳ねた。
そのまま手を滑らせて、さわさわと恥毛の感触を楽しむ。
悪戯心を起こし、毛をわしづかんで、軽く引っ張ってみたりもする。
そのまま、リナの秘所を覆うように、指でなぞり、割れ目へとたどり着く。
そこは確かに、濡れていた。
「おおー」
その時のオレの感情は、混じり気なしの感動だった。
それがリナの愛液だということが、なんだかとてもすごいことのように
思えてならなかった。
とともに、好奇心がむくむくと沸き起こる。
リナのは、一体どんな味がするんだろう?
「ふぐーっ!んぶーっ!」
思った瞬間に何故か暴れだしたリナの抵抗を封じ込め、リナの割れ目に
そって何度か撫であげ、指に愛液を絡ませる。
引き抜いて、口に含んだ。
しょっぱくて、えっちな味がする。
これがリナの味かあ……。
自分の指を嘗めながら、さらに感動にうち震えるオレ。
自分で言うのもなんだが、もう、完璧に、変態である。
もっと触りたくて、気持ちの高ぶりにまかせて、再び、リナの秘所へと
指を滑らせる。
今度は、割れ目の上、二つの花弁の上の突起に触れた。
「んぅっ?!」
驚いたようなくぐもった叫び声と共に、リナの体が揺れる。
そのまま、掌でゆっくりと撫で回すと、その動きを追い掛けるように腰が揺れた。
掌の中の、リナの声が、今までと違い、はっきりと甘い。
リナは、ここが好きなのか。じゃあ、いっぱい触らないと。
指で少し強く押し、摘んで引っ張って、ぐりぐりとこね回す。
何度も、何度も、指が愛液でどろどろに溶けてしまうくらいに、小さい突起を
攻めまくる。
「ん…ふっ……んぅう…ふぅんっ…んんっ」
声が甘い。もうすっかり喘ぎ声になっているのだろう。
少し指を離すと、自分から指に突起をすりつけるような動きをする。
そのいやらしい動きに煽られたオレは、熱に浮かされたように、
またしてもすっかり硬くなったオレのモノを、今度は、どろどろに濡れたリナの秘所に、押し付けた。
びくり、とリナの背が揺れて、そのまま全身が強張るのがわかった。
ぬちょぬちょと音を立てて、オレのモノにリナの愛液を絡める。
割れ目の上を滑らせるように、何往復もさせて、感触を楽しむ。
オレのモノとリナの秘所がこすれあって、ぐちゅぐちゅと卑猥な音をたてた。
花弁がオレのモノを包み込んで、ゆるゆると刺激する。
カリにリナの突起を引っ掛けると、強張ったままのリナの体が、ぴくんと
震えた。
引っ掛けて、離し、また引っ掛けて、離す。
何度か繰り返すと、リナの力が、ふっと抜けた。
腰を引いて、割れ目に亀頭を、くにくにと擦り付ける。
くちくち、といやらしい音がして、リナの体がまた、ぴくんと跳ねた。
このまま、挿入したら、最高に気持ちいいだろう。
挿入したい。
突っ込んで、めちゃくちゃに突いて、一番奥で射精したい。
そのまま、死んでもいい。
でも……それはダメだ。
どろどろに煮えたぎったオレの脳みそにも、一片の理性が残っていたらしい。
オレは、両手をリナの体から離し、リナの秘所から、オレのモノを引き抜いた。
ダメだ、できない。
だってオレには、まだ、言うべきこととするべきことが残っていて。
それは、今やっちゃダメなことなんだ。
「言うべきこととするべきことって、何よ」
言うべきことは言うべきことで、するべきことはするべきことだ。
昔、オレの近所のおじさんが、奥さんと喧嘩するたびに愚痴ってたアレだ。
なし崩しに手を出して、酔った勢いで、酒場で皆の前でプロポーズしたのが、
情緒がないと、子供が三人出来た今になっても、奥さんに喧嘩の度に
怒られると泣いてたっけ。毎回、毎回。
オレは、おじさんの話なんか聞く気はなかったんだが、駄菓子をくれるから、
早く喧嘩しないかなあと、いつも楽しみにしてた。
いやあ、オレが覚えるくらいだから、どれだけ聞かされたんだか。
おっちゃんの名前は覚えてないが、お菓子はいつもうまかった。
「……そ、それが今の話と何の関係があるのよ」
だから、おじさんは怒られて後悔してるから、やっちゃいけないぞと言われたんだ。
オレ、今、正気じゃないし。
リナが三人子供を産んだ後でも、怒られるのは困る。
「な、なななな、何の話してんのよーーーっ!!!」
って。
さっきから、何でリナにオレが思っていることがわかるんだ?
まさか、サトリ?
「……何言ってんのよ!さっきからずっと、人の頭の上で、ナンパ男の薬が
どうのとか、あたしの……その、やわらかいとか、尻がどうのとか、胸がどうのとか、
匂いがどうのとか、どうしたいとか、こうしたいとか、感動とかなんだとか、
全部、ぜーんぶっ!ぶつぶつぶつぶつ呟いてたくせにいぃっ!!!」
へ?
オレはモノローグのつもりだったんだが、全部言ってた?
何を?どこまで?
「大体、六皿食えば全部食え、じゃなくて、毒を食らわば皿まで、
でしょーがっ!」
もぞもぞ起き上がって、シーツを自分の体に巻き付けたリナは、びしっと
オレに指をつきつけて、言った。
なんだか、間抜けた空気が、場を支配する。
「なあリナ、まず、そこにつっこむのかあ?」
「……しまった。あまりにも気になりすぎてて、馬鹿な反応しちゃったわ。
あたしとしたことが」
リナは、頭をぶるぶると振り、オレを見て……目を見開いて固まった。
その視線は、元気よく反り返った、オレのモノに注がれている。
次の瞬間、火がついたように、顔が真っ赤になった。
「そ、そそ、そんなもの、出しっぱなしにするなあぁっ!今すぐしまえっ!」
そんなものって、汚いもののように……。
いや、まあ仕方ないか、なんか虚しいが。
「そんなこと言われてもなあ……。このまましまうのは、ちょっと」
勃ったままだと痛いんだよ。
さすがに口にだすのがはばかられて、オレは続きを飲み込んだ。
「……じゃあ、小さくしなさいよ」
飲み込んだつもりだったのだが、また無意識に呟いていたらしい。
思ってることと言ってることの区別がつかない状態ってのは、
実にやっかいだ。
それにしても、小さくするのは難しいな……。
そもそも、コレは、一回勃ったら、射精するか萎えるかするまで
このまんまなんだ。
オレとしても勃ったままってのは、かなり辛い。
というか、痛い。
しかし、リナの感触がまだ残っていて、興奮したまんまだ。萎えるわけが
ない。
また、さっきみたいにリナがしてくれたら、すぐイケそうなんだけど。
「……な、ななな、な、何言ってんのよ!
あたしは何もしてないでしょっ!」
しまった。これも言ってたか。
……しかし、聞かれてしまったからには仕方ないよな。うん。
オレは、にやりと笑った。
リナが、顔色を赤から青へと変える。
「な、な、何が仕方ないのよ」
そう、オレの腹はもう、据わりまくっている。
もし明日リナに呪文で、以下略。
毒は六皿全部食えって言うらしいし。
「近くなったけど、やっぱり、違うわあぁぁぁっ!って、そこに
ツッコんでる場合かあたしっ!」
オレは、真っ赤な顔で腕をぶんぶん振り回すリナに近づき、
シーツを引きはがして、押し倒した。
「な、さっきみたいに協力してくれよ、リナぁ」
「ちょ、ちょっと、冗談!い、いやあ、あ、ああ、んっ!」
柔らかい耳たぶをはみはみして、リナの大好きな股間の突起をいじる。
リナはすぐに、カワイイ声をあげながら、いやいやをするように
顔を振って悶え始めた。「あ、あんっ、はあんっ、いやあっ……」
オレを押し返そうと肩に置かれた手は、いつの間にか、しがみつく態に
なっている。
優しく、円を描くように撫でると、リナの腰が、オレの指についてくる
ように大きく揺れだす。
「あ、ああんっ、はあっ……」
感じて悶えるリナの顔を、じっくり観察する。
真っ赤な顔で、瞳を潤ませ、口を半開きにして、いやらしい声を出している。
リナって、こんなエロい顔もできるのか。
「あ……はんっ、うるさい、み、見るなぁぁっ!」
オレの視線から逃れるように下を見て……リナは息を飲んだ。
自分の股間で、オレの手が蠢いているのが見えたのだろう。
すぐに目を反らすかと思ったが、予想に反してリナは、そこに視線を注い
だままでいる。
自分がイヤらしいことをされているのを実際に見て、興奮しているのだろ
うか。
「リナ、いっぱい溢れてくるぞ、ここ、本当に気持ちいいんだな」
リナは、ぎゅっ、とオレの肩を掴む手に力を入れただけで、何も言わなか
った。
多分もう、リナは嫌がっていない。この行為を許容しているのだ。
仰向けになったリナの胸は、ささやかな膨らみが重力に負けて、実際より
ないように見えた。
……という感想は、口に出して言わなかったらしい。
偉いぞ、オレ。
乳首がぴん、とたっている美味しそうだな乳首も乳輪も、小さな胸ごと、
なめ回す。
たまに乳首に歯をたて、乳房のあちこちに噛み付く。
「あっ、あっあっ、だめぇっ!」
さっき、会話をしている間に、乾いてしまっていたリナの秘所は、さっき
よりもどろどろになっていた。
突起をいじくっていた指で、割れ目をくすぐって中に差し込んでみる。
「ひっ………!!」
驚愕の表情で目を大きく開き、びくんっ、と背を反らす。
さらにぐいっと指を進めると、涙目で怒鳴られた。
「い、痛い痛い馬鹿ぁっ!!」
うーん、痛いんならやめとくか。ここは、またの機会に。
「……なんか、とーぜん次があることになってるし」
「ダメなのか?」
「……知らないっ!」
プイッと横を向いたリナが、すごくかわいくて、ほっぺにキスをした。
「唇の方は、ちゃんと正気のときに、な」
「……知らない」
オレはもう一度キスして、体制を変えた。
オレのモノを、リナの秘所に擦り付ける。
ぐちゅり、といういやらしい音と共に、オレの背筋に堪らない快感が押し寄せた。
その後は、正直、凄かったとしか言いようがない。
そのまま、リナの秘所で一回。
俯せにして、尻を堪能しつつ、また一回。
リナを膝立ちにさせて、太腿の感触に感動しつつ、更に一回。
リナのお腹にも背中にも、オレの精液が飛び散っている。
胸や尻は、撫でたり噛んだり吸ったりしたため、いろんな痕で、すごい
ことになっている。
ぐったりとして、荒い息を吐いているリナを抱き起こし、ぎゅっと抱きし
めた。
すると、驚いたことに、リナもオレの背中に手を回して、ぎゅっと抱きし
めてくれた。
うあ、すっごく嬉しい。
「ガウリイ」
「なんだ?」
「……あ、あのね、何を言ったりしたりしたいのか知らないけど……その、
なるべく、早く、ね?」
赤い顔で、恥じらいながら。
欲望に潤んだ大きな目で、上目使いで。
喘ぎすぎてかすれた声で、ちょっと拗ねたように、リナは言った。
そのリナのかわいらしさと言ったら!
「ああ、なるべく、早く、な」
オレは、多分、今までの人生の中で一番幸せな気持ちで、腕の中のリナを
抱きしめていた。
というわけで結論から言えば、オレは今、ものすごく困っている。
というか、命の危険を感じている。
5日前、薬で興奮したオレは、宿屋の酒場を壊滅させ、リナに襲い掛かる
という、とんでもない行動をした。
次の日の朝、正気に返ったオレは真っ青になり、冗談ではなく死を覚悟した。
どういう理由があれ、オレがやったことには間違いない。
悪いのはオレだ。
だから、どんな報いでも、甘んじて受ける気でいた。
しかし。
酒場の修理代は、リナの交渉もあって、おとがめなし。
リナへの暴挙も、土下座して謝ったら、一週間の奢りで許してくれた。
オレは、どうやら、命拾いしたらしい。
しかし、しかし、だ。
あれ以来、日を追うごとに、リナの機嫌が悪くなっている気がする。
オレに突き刺さる視線が、ものすごく怒りに満ちている。
今日なんか、ほとんど口をきいてくれない。
なんで?オレが悪いのか?理由がわからない。
原因といえば、あの時のことしかないが、次の日は拍子抜けするくらいに、
リナは怒っていなかったのに。
やはり、許したはいいが、日が経つにつれて腹がたってきたのか?
というわけで、オレは今、必死に、ない頭を絞って悩んでいる。
あの時に、何をしたかは鮮明に細部まで覚えているのだが。
……実は、リナと何を話したのか、サッパリ覚えてなかったりする。
いつものことだとか言うな!普段なら、さすがに忘れたりしないぞ、勿体ない!
しかし、あの時オレは極度の興奮…というかセンモ…なんとか言う状態で
口に出して言っていることと思っていることの区別すらつかないような、
そんな状態だったのだ。
「あの時、何か、リナを怒らせるようなことを言ったのかなあ……?」
そうとしか考えられない。
しかし、それが何かわからないっ!!
このままだと、オレは、ゼフィーリアに着いて目的を果たす前に、リナに
殺されるか捨てられる!
それは困る。
ああ、オレは、一体どうしたらいいんだ。
なんで、なんでこんなことになったんだろう。
オレが悪いのか。
多分、オレが悪いんだろうな。
いや、絶対にオレが悪い
んだろう。
でも、何が悪いのか、それがわからーんっ!
えっと、スー……、スプー?名前忘れたけど、スーなんとかいう神様、
いや、シャブなんとかいう魔王でもいい。
どうかオレを助けてくれ!頼む!
誰か、誰か、オレに答えを教えてくれえぇぇぇぇっ!