雨が降ってきたので、あたしとガウリイはわらわらと走り出して樹の下までやっとたどりついた。  
 「ちょっとーもう、カンベンしてよねっ! 風邪引いちゃうわ……」  
 「春の天気は変わりやすいからなー。ほれ、じっとしてろ」  
 ガウリイがバサバサとあたしのマントの雨雫をはらってくれる。  
 濡れてしまった前髪をかきあげるようにして、走ってあがった熱で浮いた汗をぬぐうと、こちらを見ていた  
はずのガウリイがついっと目線をそらしたような気がした。  
 なんとなくその視線の先を追いかけると、どしゃぶりの雨の向こうに宿がぼんやりと見える。  
 「あ、宿があるわね。あそこで休憩していきましょ」  
 あたしの何気ない言葉に、ガウリイが驚いた顔をしてこちらをふりむき、ゆっくりと口を開く。  
 「……本気で?」  
 その言葉の意味がわからず、あたしは少しむくれてそれ以上彼の返事を待たずに、ぽつんと一軒だけ  
建っているさして大きくもない宿を目指して、また雨の中へと走り出した。  
 お腹すいてるしお風呂もはいりたいの! 男とは違うデリケートで可憐な乙女なんだからね、あたしは!  
 しばらく樹の下で突っ立っていたガウリイが、うしろからダッシュをかけてきて、あたしをひょいっと抱え  
あげると、あたしの抗議の声も無視して宿めがけて走っていった。  
 そのまま宿屋にしては狭くて暗い扉をものすごい勢いで押し開けて、壁にたくさんかかっている鍵のひとつを  
とりあげ、わきの階段をのぼり、勝手に部屋の鍵を開けて中へはいってしまった。  
 「ガウリイ?! なに勝手にんなことしてんのよっ! なんか余計なお金請求されたりしたらどうすんのっ!」  
 やっと床におろしてくれたので、とりあえずショルダーガードとマントをはずしつつ文句を言うあたし。  
 部屋にひとつしかない小さなランプに火を灯しながら、ガウリイが不思議そうに答えてくる。  
 「リナこそ何言ってんだ? ……ここはそーいう宿だぞ」  
 「へ? どーゆう宿?」  
 しばし見つめ合い、流れる沈黙……  
 ガウリイが雨に濡れてつめたくなってしまった手をあたしの首筋に触れさせてきた。  
 びくっと身体が冷たさに驚く。  
 あたしは胸騒ぎを感じていた。  
 なんか、いつもと違う……  
 ガウリイもそうだし、宿の感じも……  
 なんだってこんなに薄暗いのか、そしてなぜ部屋の狭さに比べてベッドが広いのか……  
 あたしに触れていた指を離して、先にあったまろうか、とガウリイが横手にある扉を開くと、小さいながらも  
シャワールームがついていた。  
 もしかして高い宿なんじゃないの、ここって……  
 高級感の演出でうすくらーくしているところもあるって聞いたことあるし。  
 各部屋にシャワーついてたら維持費とか大変そうだし。  
 あたしは育ちのクセで、商売人の目で部屋を見回していた。  
 「はいる?」  
 薄暗くてガウリイの表情がよくわからない。  
 「はいるわよ、もちろん」  
 あたしはつのる違和感を気にしていないふりをして、足早にガウリイの横を緊張しながらすりぬけた。  
 ガウリイはというと、手早くアーマーと剣をはずして手入れをしはじめた。  
 横目でそれを見ながらほっと息をつき、シャワールームへはいると、鍵をかけようとして鍵自体がついて  
いないことにあわててしまった。  
 いや、まあ、ガウリイがのぞいたりとかはしないと思うけど、気分的になんかねー……不安……  
 額のバンダナをはずしてから、濡れて身体にまとわりつく服を一枚一枚脱いでいく。  
 濡れた下着が肌にぺったりくっついて冷たいので、思い切って一気に脱ぐ。  
 荷物もずぶ濡れだったけど、とにかく着替えだけ並べて、ファイヤーボールをかました。  
 ……思ったとおり、魔力が弱まっている。服乾燥に使うには力加減が難しいのだが、大成功だった。  
 
 あたしがほかほかになって出てくると、上半身裸でガウリイが待っていた。  
 「なにもう脱いでんの?!」  
 うろたえた声をあげてしまったあたしを、ガウリイはふしぎそうな瞳で見てくる。  
 「濡れた服着たままだと風邪引いちまうだろーが。ほれ交代交代」  
 ガウリイは少しだけ震えながらシャワールームへとはいっていく。  
 それを見届けてから、なんとなくため息をついて、ベッドの端に腰掛けるあたし。  
 綿がいっぱい入っているのか、弾むような感じであたしのおしりを支える。  
 ……なんだか、何かに特化した造りになってるなー……  
 暗い部屋、広くて弾むベッド、シャワー……そういえば入り口に誰もいなかったし、食堂もなかった。  
 人の気配はしてるのに、賑やかさがない。  
 シャワーとは反対の壁際へ寄ってみると、向こうもシャワールームなのだろう、水の音が微かに聞こえる。  
 え?ってちょっとまって?  
 水の音にまじって聞こえてくる声が、尋常ならざるものだったので、あたしはびっくりしてしまった。  
 女の人の……これは……喘ぎ声……?  
 なぜシャワーで喘ぐ? ってゆうか男の人の攻め立てるような声まで聞こえるんだけど……  
 耳をすましてしまってからあたしは激しく後悔していた。  
 水の音かと思っていたら、聞いたこともないようないやらしい音だったのだ。  
 顔も身体も一瞬で熱くなる。  
 やっとわかった、連れ込み宿だ、ここ……!  
 「ちょ……ガウリイ! はやく出てきて……!」  
 あたしは扉にかけよって中のガウリイに声をかけた。  
 「おいおい、焦るなって」  
 いつもののんびりとしたガウリイの声が聞こえたけど、あたしは少しも安心できなかった。  
 さっきから会話が微妙にずれているような気がする。  
 胸騒ぎがおさまらなかった。  
 すこぶる目の良いガウリイには、あの樹の下からでも、この宿がどんな宿かわかってたんじゃない?  
 だから一瞬とまどってたんじゃない……?  
 それをあたしは強引に……誘ったことになんのかな……  
 ………………どうしよう。  
 いつでも出て行けるように荷物をまとめてみたが、濡れてしまっていてすごく重たい。  
 あたしひとりでこれかついで雨の中を次の町までいくのは骨がおれそうだ。  
 それに、いまは魔力が弱まってきている……もしかしたら明日か明後日にはあの日がきそうな……  
 レピテーションもレイ・ウィングもこの荷物じゃあ歩くほうが速いかもしれない。  
 あたしは胸騒ぎをむりやり無視して、とりあえずまたベッドに座り込んだ。  
 ガウリイが襲ってくると決まったわけじゃなし、彼はなんといってもあたしの保護者なんだから……  
 しかしこの宿に入る時のあの強引な行動……いやいや、身体が冷え切る前に部屋にはいりたかった  
だけだわ。……じゃあ、シャワーがあるっていうのを知っていたかのようなあの行動は?  
 こーいう宿屋を使ったことがあるんじゃないの? ガウリイは……  
 そう思うと、なぜだか嫉妬のようなものがわいてきてしまい、あたしはあわててそれを否定する。  
 違う違う、恋人じゃなくて旅の相棒なんだし、嫉妬する理由がないじゃない。  
 彼があたしよりも大人で経験豊富だってことになら、多少の嫉妬は……あるかもしんないけど……  
 あたしだってもう十分大人になってるはず!  
 ガウリイと出会ってからもう3年もたつんだから。  
 
 「こーいうのってさ、あの……おかしくない?」  
 攻撃呪文が使えないことはガウリイには隠してある。なのに、シャワーを終えて出てきたガウリイは  
いきなりあたしをベッドの上に押し倒してきた。  
 あたしがまだ部屋にいて、呪文も唱えずにいることをOKサインだとでも思ってるのだろうか。  
 なんとか彼の罪悪感とか良心に訴えかけて、思いとどまってもらおうとしているのだが、彼の目には  
そんな暗い感情なんて微塵も浮かんではいなかった。  
 やっぱりあたしが誘ったことになってるんだ……  
 ガウリイに力で抵抗してもかなわないのはわかりきっている。  
 現に今も彼の巧みな体術で簡単に組み伏せられてしまっている。  
 どこをどう押さえ込まれているのかわからないが、手も足も動かせない。  
 なぜか呆れたような顔をしたガウリイがいつもの調子で口を開く。  
 「けどよ、リナ、休憩しようって言ったじゃねーか。  
 それとも、まさかこの宿がどんな宿かわからなかった、なんて言うつもりか?」  
 わからなかった、と素直に口に出せばいいものを、あからさまな子供扱いにどこか悔しくなって、  
 「……わかってたわよ」  
 と言ってしまった。  
 「じゃあお前さんは、わかってたのにこんな宿にオレを誘っておいて、何もするなって、そう言いたいのか」  
 ガウリイの言葉に、かえってあたしのほうが罪悪感を感じてしまった……なんでこうなるっ?!  
 「リナ、いいだろ? こーいうのもたまにはさ……」   
 あたしの目を見つめながら、優しく甘い声でガウリイがささやいてくる。  
 こんな声、彼の口から聞いたことがない。  
 耳にとろけるように声がはいってきて、あたしの頬が熱くなっていく。  
 真剣に求められているのが率直に伝わってくる上に、自分が悪いような気がしているから、拒否しようにも  
彼を傷つけない方法を探してしまう。  
 だがしかし……  
 悪いことだと思ってないから、良心に訴えかけてもダメ。  
 身体を離して距離をとろうにも動けない。  
 スリーピングは興奮してる相手には効かない。  
 本気で嫌がったら、たぶん彼でも傷つくはず……  
 だめだ! なんかない?! なんかうまい逃げ方!  
 あたしが突破口を見つけられないでいるままに、ガウリイの手があたしの頬をつつみ、唇を近づけてきた。  
 キスされる! と思い、あわてて顔をそらすと、手がそえられているのに簡単に横を向くことができた。  
 そのあっけなさに拍子抜けしていると、首筋にガウリイの唇がふれ、そっと舌をはわしてきた。  
 ぞくりっと背筋に震えがはしり、あたしは思わず目をつぶる。  
 あたしは何故だか強引にキスされなかったことにがっかりして……いや、してないしてない。  
 がっかりなんぞしてない、断じて。  
 ふぅ、あぶないところだった……  
 そんなあたしの葛藤をひとしきり眺めおわったかのようなタイミングで、ガウリイが舌を離した。  
 あたしは思わず目を開けて彼の顔をおそるおそる見つめる。  
 目が合ったガウリイは、大人の男がするような官能的で真剣な表情をうかべ、胸が締めつけられるような、  
聞いたこともないような甘い囁きで、そっとあたしを誘惑してきた。  
 「オレは男だし、リナは女だ……なにもおかしくなんかないんだぜ……」  
 そんな口説き文句であたしを落とせるとでも思ってるのかしら。  
 それともいつもみたいに何も考えずに言ってるだけなのかしら……  
 確かにあたしは最近18歳になったところだし、大人の女だという自負もある……  
 それでも、確かに不覚にもドキッとしてしまったけれども、このまま流されてしまうのがイヤで、あたしは  
ガウリイをにらみつけた。  
 「押し倒してから口説くなんて、ずいぶん強引なことするじゃないのよ」  
 そんなあたしの精一杯の抵抗も、今の彼には通じなかった。  
 「乳首たってる……」  
 ガウリイはそう言いながら指先であたしの胸の先端を軽くさわった。  
 びりっと電流が流れた気がした。  
 「……抵抗しねーのか?」  
 あたしはこれ以上どうやって抵抗したらいいのかまったくわからなくて困惑していた。  
 
 「いいぜ、抵抗しても………もうやめられねーけど」  
 こんなことを言う男だっただろうか?  
 それを密かに喜ぶようなあたしだっただろうか……  
 勘がいい彼に悟られるのが怖くて、うつむいて小声でつぶやいた。  
 「どうしてなの? いきなり……」  
 「どうしてって言われると、そうだなー、勢いってゆーか、ムラムラしてたってゆーか。  
 そーいうときってないか?」  
 平然と言ってのけるガウリイ。  
 あたしはこんな危ない男と3年間も旅をしてたのか……今まで下心なんてちらりとも感じさせなかった  
ガウリイに少しだけ感心してしまった。  
 でも大人しく据え膳になるのも釈然としない。せめてもうちょっと、雰囲気とか段取りとか……  
 何考えてんのあたし?! だから違うっての!  
 「そーいうときはすけべー屋さんにでもいってきたらいいでしょーがっ!」  
 自分の本心が自分で分からない苛立ちもあって、強い声で言ってしまったが、ガウリイはやっぱり  
いつものとおりに軽く肩をすくめてみせただけだった。  
 「あー、もう虚しくなってなー、だいぶ前にやめたんだ。オレが抱きたいのはリナなのに、違う女を  
 身代わりにするのがなんかばかばかしくって、もうやめた」  
 「え……それって………どーいう意味……?」  
 「そのまんまだけど?」  
 真顔で言い放つガウリイの目をまともに見れなくなって、ぎこちなく目をそらし横を向くと、その耳元に  
ガウリイはそっと唇をよせてきた。  
 その唇がふと耳にふれただけなのに、あたしは顔を赤くしてぴくりと反応してしまった。  
 う、バレちゃうじゃない……本気で嫌がってないって……  
 あたしの頬をガウリイの優しい手がつつみこむ。そうしてもう一度、念を押すようにささやいてきた。  
 「オレが抱きたい女は、リナだけなのに……」  
 その切ないまでに甘く響く声があたしをおかしくさせて、また近づいてきた彼の唇にあらがえなくて──  
 あたしはふるえながらキスをした。  
 
 
 「いっ…いた……やめてやっぱりやめ…」  
 初めての衝撃に痛がるあたしの唇を強引にふさいで何も言わせなくしてしまうガウリイ。  
 もどかしさをあらわにして、キス自体慣れていないあたしに舌をねじこみ唇をこじあけて、絡ませてくる。  
 彼の熱くて硬い激しい猛りに貫かれ、逃げようとするも腰をつかまれままならない。  
 入れられる前に、とにかく我慢しろ、と言われたけれど、我慢できるレベルの痛さじゃないわよこれ……  
 あたしは夢中でガウリイの背に手をまわして、しがみつくしかできなかった。  
 指が、爪がガウリイの肌にくいこむのがわかるけど、構っていられなかった。  
 ガウリイはそんなこと気にもしていない様子であたしの舌を吸い、きつく搾り取ろうとする。  
 その痛さが何故か下の痛さを緩和でもするかのようで、あたしはいつのまにか身を任せてしまっていた。  
 奥まで差し込んでしまったのかガウリイの動きが一瞬とまる。  
 あたしはほっと息をつこうかと……  
 あっつ! 動かないでいたいいたいいたい!  
 ずりずりこすれるっ……おっきいしだめだってば! いたいって! むりむりむりむり!  
 いたっいたい……いたいよガウリイ……やっぱりやめてよ、もうやめて……  
 あたし大人じゃなくていいからもうやめてっ!  
 おおきすぎるよダメだってもう、もうやめてぇ……  
 あまりの痛みにあたしの意識が薄くなり朦朧としていく。  
 キスをしたままガウリイは離しもせずにずっと腰を動かしつづけた。  
 その動き方がすごくいやらしくてあたしはだんだん変な気分になってきていた。  
 中もこすれているというよりは、絡みついて粘っこくまとわりついているような感触になっている。  
 あたしの身体からこわばりが少しだけ消えたのがわかったのか、ガウリイがやっと唇を離した。  
 「いたいよな、ごめんな……オレは…………」  
 ガウリイにしては歯切れが悪い。  
 いったい何が言いたいのか。  
 
 「……あやまるくらいなら、こんなことしないでよね……」  
 あたしの言葉にガウリイはなんとなく情けない顔をして、そうだな、とつぶやくと、胸に吸いついてきた。  
 きゅぅっと吸われたかと思うと、やわらかく解放して口の中で乳首をもてあそぶ。  
 前戯でさんざん弄くられ、ひりひりするくらい敏感になっていたところを絶妙な舌つかいでころがされて、  
たまらず声をだしてしまう。  
 「責任とる」  
 いきなりのガウリイの言葉にどきり、とした。  
 真剣なまなざしでじっとこっちを見ている。  
 あたしの心臓は痛いくらいに高鳴って、顔が火照っていくのを抑えられなかった。  
 何も言わずガウリイの次の言葉を待つ。  
 「責任とって……ちゃんと気持ちよくさせてやる」  
 そ、そっちかぁぁぁぁああ! 性欲か! 性欲の責任なのか!  
 「ばかばかっ! ガウリイのばかっ!」  
 「なんだよ……気持ちいいの嫌いか?」  
 なんのデジャヴ?! 前にもしたことあるよーな会話に腹が立つっ!  
 この期に及んでこの男は……!!  
 「だいじょうぶだよ、まかせとけ」  
 その自信も今はキライ。  
 キライ、だけど……ガウリイの身体が今はすごく愛おしくなっていて、離れたくなくなっているのも事実。  
 男と女ってこーいうことがおこるもんなのね……昔のあたしは確かに子供だったわ、こんな状況なんか  
きっと軽蔑して毛嫌いして一生さよならって彼の前から逃げたはず。彼を瀕死にして身ぐるみ剥いで。  
 もしかしてガウリイは待っていたんだろうか……あたしが大人になるまで、ずっとそばで、待って……  
 手をのばせば届く距離で、何もせずに。  
 胸が苦しくなってしまって、あたしは何も言えずにただ黙ってガウリイのたくましい腕にそっと手をふれた。  
 何の合図か、ガウリイにはわかったようで、彼も黙ったままあたしのおでこにちゅっと口づけた。  
 手であたしの胸を優しくもみあげてくる。  
 ガウリイの大きな手におおわれていると、もともと小ぶりなあたしの胸がさらに小さく見えてしまって  
恥ずかしかった。  
 「すべすべでやわらかい……」  
 ガウリイは大きさには言及せずに熱心にもみこんでくる。  
 彼なりの優しさなのだろうか、それとも本当は大きさなんてどうでもいいと思ってたのか……  
 聞きたいような聞きたくないような、いや、小さくてゴメンなんて死んでも言いたくない。  
 そっと先端をつままれて、あたしはのけぞってしまった。  
 そのままくりくりとこねまわされて、あられもない声をあげてしまう。  
 「いい声だすなー……リナってほんと感度いいよな……もっとやらしい声聞きたい」  
 ガウリイは嬉しそうにそう言ってから、硬くふくらんだ乳首を口にふくみやわらかい舌でねぶりだす。  
 「いやぁっ……声なんか出さないんだからっ!…………ああっはぁぁん、ああああ!」  
 …………気持ちよくってしょーがないんだもん、声ぐらいでるわよっ!  
 「いいなー、ほんといい、リナかわいい」  
 そんなことを言いながら反対側の乳首にそっと吸いつくガウリイ。  
 あたしは自己弁護のかわりにキッとにらみつけてみたが、彼は心底嬉しそうに目で笑うだけだった。  
 
 じわじわと腰のあたりが熱くなってきた。  
 ずっといれっぱなしで動きもしていないのに、快楽が背筋をのぼってくる。  
 胸はもうどこをさわられてもたまらないぐらいで、舌で乳首をかるく弾かれるだけでも感じてしまう。  
 それに、あたしの中に入っている彼のものがなんだか蠢いているような気がする。  
 「ねぇガウリイ……んっなんかピクピク、あんっ……動いてない?」  
 ガウリイはにやにやしながら胸から唇を離し、あたしのお腹をさすった。  
 「お前さんが締めつけてきてるだけだ。オレはさっきから動かしてないぞ」  
 「あたし? あたし何もしてないわよっ!」  
 「へぇー。そう」  
 まだにやにやしながらガウリイは手を下にすべらせ、生えそろった毛をかきわけて、あたしの一番敏感で  
小さな突起を探り当てると、いきなりつまみあげてきた。  
 そのとたん身体の芯にはしった電流のような甘い痺れは、のけぞった頭の奥まで貫いていった。  
 ぎゅぅっとあたしの中が縮まり彼を締め上げたのがわかった。  
 「くっ……すげーな……処女だからっていうのとはちょっと違うな……」  
 ほめてるんだかよくわからないことを言いながらもガウリイはぬめりを絡ませた指先で容赦なくもてあそぶ。  
 今までそこに感じたこともない芯のようなこりこりとした固い感触がひびいてくる。  
 それがガウリイの指でいいようにいじられ、しごかれ、こねまわされると、あたしの意思とは無関係に  
身体がびくびくふるえ、喘ぎ声がとめどもなくあふれでてきた。  
 「イクときはイクって言えよ」  
 その言葉の意味を理解するより先に、どうしようもない快楽があたしの意識を押し流して身体を弓なりに  
のけぞらせようとする。  
 こわくなってガウリイの名前を呼んだのに、彼は「だいじょうぶ」としか言わずになおも指で攻め立ててくる。  
 目の前が真っ白になってまぶしくて目をつぶった。  
 濡れた指があたしに快楽を与えようと卑猥に動く。  
 何の手加減も感じられないその愛撫にあたしのクリトリスはなぶられ続け、とうとう腰から脳天まで快楽が  
突き抜けていった。苦しいくらいに鼓動が激しい。びりびりと身体がしびれていく。  
 何か言えって言ってたから口を開いたけど、何も言葉がでてこなかった。  
 ただ、あたしの中がきつく締まって、まるで絞りとるみたいにガウリイを強くねじりあげたのは、わかった。  
 彼がそれに驚いたのも、なんとなくわかった。  
 呼吸が落ち着いてきたころに、やっと声が出た。  
 「……ああ…………なにこれ……」  
 いろんなことが理解不能だった。  
 頭の芯がぼーっとして、心臓と、その、あそこだけがどくどくと脈打っている。  
 「なにこれって、リナは欲求不満になっても自慰とかしてなかったのか」  
 乙女になんてこと聞くのよ、この男は。  
 でも黙ってるのも落ち着かないからいやいや答えるあたし。  
 「べつに、解消する手立てが他にあったから……」  
 盗賊いぢめのことだ。でもそれを自慰と同列には並べたくないんだけど……  
 「……オレがリナの盗賊いぢめが気に入らなかったのって、もしかしてそれかな……」  
 「どーいうこと?」  
 「お前さんの欲求不満ならオレが解消してやりたかったのに、てこと」  
 「…………からだで?」  
 「そう。からだで」  
 あたしは微妙な顔をしてしまったが、ガウリイはいつものように「まあいいさ」と小さく笑うと、あたしの  
恥ずかしい粘液で濡れてしまった熱い手であたしの腰をつかみ、ずっと中に入れたままだった彼のモノを  
ゆっくりと動かし始めた。  
 身体の感覚がおかしくなっていた。  
 彼のモノが動くたびに身体が痺れるのだ。痛みなどどこかへ消えていってしまっていた。  
 気持ちいいとしか頭が認識しない。それも尋常じゃなく。  
 
 あたしの声にそれがあらわれているのだろう、今度はガウリイはあたしの口をふさがずに、男の目をして  
見つめながら、じっくりと腰をまわしたり奥を探ったりしてあたしの反応を楽しんでいる。  
 「……ずっといれたままにしておくとな、快楽の回路がバンって開くんだってよ」  
 「なん、のこと……?」  
 「そーいうやり方もあるってこと。思い出すまではちっと動いちまったけど。  
 どう? 気持ちいい? まだ痛い?」  
 痛くない……気持ちいい……でもそれを素直に口に出せるほどにはあたしの理性は壊れてはいない。  
 「あぅっ……あくぅ……」  
 ゆっくりと引き抜かれる感触がたまらなくて、悶えてしまった。  
 ずぶり、と粘つく音をたててまた中へとねじ込んでくる。  
 「く、ぅん……あはぁっ……はぅぅはぁっあぅっ…………ああん!」   
 ガウリイが腰を深くしずめて最奥まで貫いてくると、頭の中で何かが弾けそうになってしまう。  
 「い…………ああ……」  
 もう一度じわじわと引き抜かれる。  
 「い? いたい? やめる?」  
 ガウリイはやめる気なんかないくせに、いじわるなことを言ってくる。  
 わかってるくせに、気持ちよくて悶えてることくらい、お見通しなくせに。  
 あたしは意地でも言いたくなかった。  
 むりやり押し倒されたのに、気持ちいいなんて恥ずかしいこと言えるわけないじゃないっ!  
 目をぎゅっと閉じてあたしが黙ったままでいると、さきっぽがちゅぷりと音をさせてあたしの中から出てしまう。  
 いれようとする気配がない。あたしは身体がじくじくしてきて堪えるのに必死だった。  
 ……いれてほしい、ガウリイのそれで満たして欲しい、奥までいれて、つらぬいて……  
 あたしの頭はいつのまにかおかしくなってしまっているようで、そんなことばかり思ってしまう。  
 ごまかしようが無いほどにあたしは求めていた。  
 ガウリイの身体を。あたえてくれる快感を。埋め尽くされるような満足感を。  
 「オレを見て」  
 ガウリイが出す悩ましげな声が、あたしの身体をいとも簡単にあやつってしまう。  
 あたしの意思とは無関係に、あたしの瞳が彼をみつめる。  
 「……リナのもの欲しそうな目、初めて見た」  
 熱い吐息をはくくせに、ガウリイはまだ腰をひいたままだ。  
 「女の目をしてる……いいぜ、色っぽい。そそられる……」  
 そう言うくせに、あたしの中へはいってこようとはしないガウリイ。  
 「リナ……オレ、むりやりはよくないと思うんだよな、うん」  
 ……いまさら何言ってんのよ……  
 激しくツッコミをいれたい気分になったが、あたしは腰からナニから気持ちよさが駆け巡ってくれるのを  
待ち望んでしまっている。  
 ガウリイを見つめる瞳がじわっと潤んでいくのもとめられない。  
 勝利者の顔をしながら、しかしガウリイはじっとしている。  
 「言って」  
 ついにしびれをきらしたガウリイがあたしを促す。  
 でも、耐え切れなくなっていたのはあたしのほう。   
 疼いて疼いて、おかしくなってしまいそうなくらい、身体が燃えている。  
 「…………ほしいわよ……いれて、よ……ばか」  
 あたしは罠にかかってしまった。それも自ら飛び込んで。  
 いつのまにか愛しくなってしまっていた男の首に腕をのばす。  
 「おぼえてなさい……今日のこと忘れたらしょーちしないわよ…………」  
 絶対、離さないんだから。  
 逃げても無駄なんだからね。  
 
 ガウリイはあたしの、声に出さない声すらも抱きしめるようにあたしを強く抱くと、熱っぽい声で囁いた。  
 「ああ、一生忘れない」  
 素直なようでいて、肝心なところは素直じゃないのよね。  
 難儀な男……  
 こんな遠まわしにあたしの気持ちを確かめたり、一生の約束をしたり、ストレートにいけないもんかしら。  
 ガウリイがキスを求めてあたしの唇に近づく。  
 少しだけ唇をひらいてそれを受け入れると、舌と同時に猛ったアレもあたしの中にはいってきた。  
 あふれるような充足感で身体が貫かれる。  
 喜びと快楽で全身がふるえるのがわかる。  
 ガウリイの肌が汗ばんでしめっていて、本気のオーラをみなぎらせてあたしの腰をつかんで揺さぶりあげた。  
 その容赦ない動きに振り落とされないよう、必死でしがみつくあたしだったけど、突き上げられるたびに  
頭に火花が散り、深い吐息がキスを交わす唇からもれでてくる。  
 おかしくなっていた。それはわかった。けれどもう隠す気にはなれなかった。むしろさらけだしたかった。  
 叫ぶほどに喘いでガウリイに伝えたかった。  
 なのに舌を絡ませられきつく吸われ、息の仕方さえわからなくなる。  
 ガウリイの本気って、ほんと容赦ない……  
 あたしの背がいきなりのけぞる。腰がぶるぶるふるえ、足の先が丸まる。  
 唐突に唇が解放された。  
 ガウリイがあたしを見ている。  
 あたしはその目の前で絶頂を告げて腰を振り、イク、と何度も言いながらガウリイにしがみつき、あたしの  
身体を翻弄する得体の知れない悦楽に身を任せて深く果てた。  
 彼の熱い身体も、ぎりぎり締めつける自分の身体も、なにもかもまじりあってひとつになったような気がした。  
 深すぎる快楽があたしを女にしていく。  
 まだ彼はイってない。  
 中にだしてほしかった。  
 それが何を意味するかは知っている。ま、俗に言う安全日だし。  
 それでももし、できちゃったら、それでもいいと思っていた。  
 彼となら大丈夫なんじゃないか、とあたしはそう思っていた。  
 ガウリイとの未来を想像しても、不安にならなかったからだ。  
 説明しようのない安心感があたしを満たしている。  
 気の迷い、と言う人もいるかもしれない。  
 でも、それでもいい、と思ってしまったら、それが真実なんじゃないか、と思う。  
 だってあたし、こんなことになっても、抵抗しなかったことを後悔してないんだもの。  
 あたしは他人の言葉よりも、自分の気持ちを信じる。  
 何かをこらえていたかのようなガウリイが、また腰を動かそうとしたとき、あたしは彼に言った。  
 「……なかにだして……」  
 びっくりした顔で見つめてくるガウリイ。  
 だけどあたしの表情に少しの揺らぎもないことを見て取ると、あたしの目をまっすぐに見つめてきた。  
 「わかった……責任とるよ。一生かけて、な」  
 あたしは嬉しくてしょうがなかった。  
 それからのガウリイはまるでたがが外れたかのように激しく動き出して、あたしは何度果てたか数えて  
いられないくらいすごかった。  
 向かい合って抱き合ったまま中に出され、ベッドに押さえつけられながら中に出され、後ろから突き上げ  
られながら中に出され、もう一度正面向いて抱き合って、壊れるかと思うほどに貫かれて、中へ出された。  
 どくどくと注ぎ込まれる熱い塊に身を焼かれながら、あたしは喜んでいた。  
 快楽と、満足と、征服感と、あとなんかいろいろ入り混じって、悦んでいた。  
 愛しい男の腕の中で、めちゃくちゃにされながら、全てを受け入れた。  
 愛してるってこういうことか、と納得した。  
 こんなにすごいこと、恋に恋する乙女のままじゃわからなかった。  
 ガウリイの顔が上気して頬が赤くなっている。  
 いかにも嬉しそうな、幸せそうな、恍惚の笑みを見せて、愛おしそうにあたしの身体を貪っている。  
 いつまででも抱いていそうだった。  
 気を失うまでやめない、もしかしたら気を失っても抜かずにいるんじゃないか、なんて思ってしまう。  
 それでもいい、気の済むまでおかしくしてくれたらいい。  
 まあもう、イカレてるけどね、あたしたち……  
 
 
 
 

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