「リナ」
部屋に入るなりガウリイがあたしの方へ手を伸ばす。
あたしは黙って額のバンダナをはずして、彼の手の上にそれを置く。
ゆるく笑った彼は、あたしのバンダナで自身の太ももまで届く長い髪を手際よく束ねていく。
そのしぐさをみているだけで、身体の奥がうずきだす。
あたしってば、すっかり慣れちゃって・・・・・・。
「そんな顔しなくてもいいんだぜ? 時間はたっぷりとあるんだからな」
二人きりの時にだけ見せる男の顔で、ガウリイの視線があたしと射止める。
捕らえられたい。けど、捕まえに来て欲しい。
だから一歩。一歩分だけ後ろに下がって彼の腕を待った。
あたしを強く抱きしめてくれる、たくましい腕を。
案の定、逃がすまいと伸びる腕。
捨てきれない照れや羞恥を理解してくれている強引さがすごく嬉しい。
「つ か ま え た」
低く抑えた声で囁かれたら、それだけでもうあたしは。
「・・・・・・逃がさないで」
目を閉じたまま仰のいて、待つ。
頬をくすぐりにくる髪と、柔らかな唇を。