「ん…ゼルガディスさん、触ってもいいですか?」
そう言いながらアメリアが俺のものに手を伸ばす。
「好きにしろ」
了承を得て安心したのかゆっくり恐る恐るそれを握る。
ぎこちない仕草に今すぐ押し倒したい衝動に駆られるがなんとかそれを堪える。
「ゼルガディスさん…すっごく硬いです。あの…こんなに硬いのが本当に私の中に入ることが出来るんですか?」
少し怯えたような蒼の瞳にさらに欲望が募る。
「まぁ多少の痛みはあるだろうが…受け入れられるように出来てるもんだ」
「そうなんですか?よかった…」
安堵したようにアメリアが微笑んだ。
「私…その…初めてなので、ゼルガディスさんが満足出来なかったらどうしようって考えてしまって…あの…私、頑張りますね?」
顔を真っ赤にしてしがみついてくるアメリアに愛しさが急激に押し寄せてくる。
口付けると同じく真っ赤な耳にささやいた。
「こうして俺を受け入れようとしてくれるだけでも十分だ」
幸せそうなアメリアの笑顔を見て、俺は今世界で一番幸せなのだと、そう思った。
「ふぁ…ゼ、ゼルガディスさ…」
赤く色付くアメリアの口から俺の名が溢れ出る。
彼女の甘い声で囁かれる自分の名は何か特別なもののようで、俺は余さず奪い取るためその唇に貪りついた。
「ふっ…ん…ぁ…」
漏れる吐息は俺の理性を少しずつ蝕んでいく。
「アメリア…」
白い瞼がゆっくりと動いた。
その向こうに見える蒼が甘ったるく微笑む。その穏やかさに少し落ち着いていたはずの俺自身が再び抑え難いほどに熱を持ち始める。
今すぐアメリアの中にねじ込みたいほどに高まるが、しかしそんなことをすればアメリアを傷つけるだけだ。
初めての彼女にそんなことは出来ない。いつも笑って欲しいのだ。俺の腕の中で。
怖がらせることのないように細い首筋に口づける。そこを少し強く吸うと白い肌に映える赤。
体を離し、それを眺めると言いようのない安堵が胸を支配する。
この小さな体で俺を必死に受け入れようとするアメリア。
誰にも聞かせたことのない声を聞けるのも、こんな風に所有の印をつけることが出来るのも俺だけなのだ。
「やっ…ゼルガディスさん…離れちゃ嫌です…」
俺の腕に絡みつく。
うるんだ蒼の瞳が必死に俺にすがりつく。
「……ッ」
俺がアメリアを求めるようにアメリアから求められ、息が止まる。
女を抱く時に、これ程まで感情が揺れるのは初めてだった。アメリアの動き一つに煽られる。
そうか。これが惚れるということか。
今更ながらそんなことを思う。
どんな女を抱いても満たされはしなかった。こんな風に思うことはなかった。
それだけ心を伴った行為が特別ということか。
柔らかな胸を揉みしだき、その度にアメリアの口から声が漏れる。
「は…あぁっ!やぁ…」
「嫌か?」
なるべく怖がらせないようにと静かに問うと、真っ赤な顔のアメリアはそれでも首を横に振った。
アメリアのぬかるむそこに指を這わせる。
「あぁぁんっ!」
今までに一番激しい声だった。
いつもの彼女からは考えられない艶っぽい声に背中がぞくりと震えた。
さらにその中に指を埋めると甘美な声はさらに色を増す。
「ふ…はぁ…ッ!ゼル…ディスさ…」
その声が痛みを訴えるものでないとわかると、ゆっくりと抽送をはじめた。
「あっ、あっ、あ…」
握られた二の腕の熱さに酔う。
涙を散らすアメリアの瞼に口づけると、足を抱えた。
もう限界だった。
「アメリア、いいか?」
俺のものをアメリアのそこにあてがうとアメリアの肩が震えた。
怯えた様子に胸が痛むが、さすがにここで待ったはない。
「ゼルガディスさん…大好き」
その声を合図にゆっくりと腰を進める。
「あぁぁっ!!」
無意識に逃げようとする腰を掴んで、一気に差し込んだ。
「………っ!」
悲鳴にならない声にのけ反る背中。
こんな苦痛を与えているのは自分なのだ。
だが俺自身も絡み付き、締め付けてくるアメリアの極上のそこに、達してしまわないよう必死だった。
「あっ、あっ…んんっ」
背中に回された腕が優しく俺を包み込む。
もはやアメリアの声に痛みは混じっていなかった。
「アメリア、気持ちいいか?」
「んっ…あ…は、はい…」
素直に頷くアメリアに愛しさが募る。
叶うはずのなかった想い。
叶えてはいけない想い。
それでも捨てきれなかったもの。
かけがえのない唯一。
何を犠牲にしても幸せだと思う。
アメリアから与えられる一つ一つが何よりも。
「あっ!あぁっ!ゼル…ガディス…さん…私なんだか変…です…。やぁぁっ!」
そう叫ぶと同時にアメリアの中が急激に俺を締め付けた。
それを合図に俺もアメリアに欲望を放った。
「ゼルガディスさん?」
腕の中でまだ息を整えきれてないアメリアが俺を上目使いに盗み見る。
「なんだ?」
シーツから覗く細い肩を抱きしめた。
妙に照れくさく、アメリアの髪に顔を埋める。
「あの…ゼルガディスさん私、ちっとも痛くありませんでした。少しびっくりしましたけど」
「びっくりした?」
「はい。凄く深くまで入ったからびっくりしました。でも本当に受け入れられるようになってるんですね」
「まぁ体の構造上な」
「でも心の構造は複雑に出来てるんですよ。私はきっとゼルガディスさんだからこそ受け入れられたんです」
そう言うとアメリアは顔を真っ赤にして俺にキスをした。
「だから…ずっとずっと一緒にいてくださいね。ゼルガディスさん」
ニッコリと微笑むアメリアを強く強く抱きしめながら俺は何度も頷いた。
決して離しはしない。そう心の中で誓いながら。