一歩街に踏み込むと、そこは人でで溢れていた。
「さすが、世界的に有名なお祭りなだけあるわね。活気が違う
わ」
「そんなに有名なのか? ここの……はろーなんとかって祭り
は?」
「ハロウィンよ!! それくらい覚えなさいよね!!」
そう言って、リナは目の前の光景に視線を移した。
セイルーンの南に位置するこの街には、昔からある祭りが有名だった。
それがハロウィンである。
元々は、悪い霊が湧いて出ると言われるこの日を、悪霊の格好をすることでやり過ごしていたらしい。
それが、いつしか大衆化し、街を上げての仮装大会へと姿を変えつつあった。
もっとも、過去の名残で仮装はおばけの格好に限るらしいが……それにしたって、この状態で悪霊をやり過ごせるものだろうか?
別の意味で、怖がって逃げような気もするが……。
もちろん、リナとガウリイも簡単な仮装をしている。
とは言っても、それほど本格的にするつもりもないので、いつもの格好に、頭の上にリナは黒猫の耳を、ガウリイは狼の耳をつけているだけなのだが。
「なんか変なやつらが一杯いるなぁ……」
「まっ、それがこの街の名物だもの。それに、変な格好って言うなら、人のこと言えないと思うわよ」
リナはそう言うと、自虐的な笑みを浮かべて肩を竦めた。
大きな祭りなだけあり、いたるところに露店が並んでいる。
美味しそうな匂いもあちこちから漂ってきていて、リナとガウリイはそれらを片っ端から漁っていった。
ツンツン
その時、ふいにガウリイの服の裾が引っ張られる。
ガウリイはカボチャのパイを口にしたまま振り返った。
見下ろすと、ガウリイの腰ほどの高さしかないスケルトンの格好をした小さな男の子が、じっとガウリイのことを見上げている。
「どうした坊主。迷子か?」
「とりっく、おあ、とりーと」
ガウリイが問い掛けると、突然男の子はそんなことを聞いてきた。
「とり……?なんだって?」
ガウリイが首を傾げた、次の瞬間、
「わっ!!」
突然、ガウリイの顔に、冷たい水がかけられる。
よくみると、男の子は手に水鉄砲を持っていて、それをガウリイ目掛けて発射したのだ。
「なんだ、いきなり……」
顔が水浸しである。
服で無造作にガウリイがそれを拭いている間に、男の子は人ごみの中に逃げて行ってしまった。
「早速やられたわね」
それを見ていたリナが、面白そうに笑う。
「なんでいきなり水なんか……」
よくみると、男の子は手に水鉄砲を持っていて、それをガウリ
イ目掛けて発射したのだ。
「なんだ、いきなり……」
顔が水浸しである。
服で無造作にガウリイがそれを拭いている間に、男の子は人ご
みの中に逃げて行ってしまった。
「早速やられたわね」
「あんた、本当に人の話聞いてないのね。ハロウィンの日はね
、子供は大人にああやってお菓子をねだるのよ。で、お菓子を
くれなかった大人には、悪戯してもオッケーなの。
これ買ったお店のおばちゃんが、飴くれたでしょ?そのための飴よ、あれって」
リナは言いながら、自分のネコ耳を指差す。
おまけじゃなかったのか〜と言いながら、ガウリイはポケットに入れたままの飴を取り出した。
「でも、お菓子持ってなかったらどうするんだ?」
「そう言う時は、こうやって両手を上げて『可愛いおばけさん降参です』って言うといいらしいわよ」
「へえ、そうなのか……」
出来れば、子供に声を掛けられた時に教えてもらいたかったものだ。
リナのことだから、どうせ面白がって見ていたのだろうけれど。
少し水のかかってしまったカボチャのパイを、ガウリイは一気に口の中に押し込んだ。
祭りのせいもあってか、部屋はなかなか見つからなかった。
それでも、元々の宿の数が多いのだろう。日が暮れる前にはどうにか部屋も見付かる。
「どうする?夜も出掛ける?本番は明日らしいけど」
「だったら、今日はいいんじゃないのか? オレもう疲れたし」
言って、ガウリイはうーんと伸びをした。
部屋に入ると、ガウリイは頭に付けていた狼の耳を取ると、ベッドの横のナイトテーブルに置いた。
「でも、結構面白いな。ハロウィンって」
「そうね。美味しいものも多いし、催しも色々やってるみたいだし。今日はゆっくり見ていられなかったけど」
リナの台詞に、ガウリイは苦笑する。
今日は本当にたくさんの子供に声を掛けられた。
その度にお菓子をあげたり、持っていない時は降参をしたりして、祭りを見る暇がなかったのである。
街の人の話によると、子供がお菓子をもらえるのは今日だけらしいので、明日はもっとたくさん見て回ることができるだろうが。
「でも、いいわよね。子供の時にこう言うのあったら、絶対楽しかったのに」
それは、ガウリイもそう思った。
お菓子を貰えて、悪戯しても許されて、おまけに、今日だけは夜遅くまで家に帰らなくてもいいのだ。
これが楽しくない訳がない。
「お前さんだったら、相手の身ぐるみ剥いででもお菓子奪っていきそうだよな」
「どう言う意味よ、それ」
ジト目でガウリイを睨み付けるリナだったが、ふとその顔が、いいことを思いついたと言わんばかりに笑った。
「じゃあ、ガウリイの身ぐるみ剥いじゃおうかしらね」
「はっ?お、おい、リナ……」
リナが詰め寄る。
後ろに下がろうとしたガウリイの足が、ベッドにぶつかった。
「お菓子くれる?それとも、悪戯されたい?」
リナの目が妖しげに笑っている。
お菓子と言われても、ガウリイの持っていた分は全て子供にあげている。
当然、リナにあげるお菓子などあるはずもなくて、ガウリイは両手を上にあげた。
「『可愛いおばけさん、降参です』」
するとリナは、にぃっと微笑み、
「い・や」
そう言ったかと思うと、ガウリイをベッドに押し倒した。
「うわっ!!」
ベッドの固いマットに、ガウリイは背中を強かに打つ。
さらりと、リナの髪が肩口から落ちて、ガウリイの頬を撫でた。
妖しげな笑みを浮かべ、リナの手がガウリイの胸元をスウッと上から撫でる。
「リナ、待て……」
「なんで?お菓子持ってないなら、悪戯されるって言ったでしょ?」
胸元から下がっていったリナの手は、臍を通り、ガウリイの下腹部へと到達した。
ズボン越しにそこを撫でると、リナは意地悪そうな顔になる。
「ここは、もうすっかりやる気みたいじゃない?」
リナの動きに合わせて、ガウリイの下半身がびくりと震えた。
そこが熱を持ち、脈打ち始めているのが分かる。
リナは無遠慮にそこへと手を差し込んだ。
「リナっ……!!」
直にそれを握られて、ガウリイは上がりかけた悲鳴を押し殺す。
ガウリイの反応を、リナは満足そうに見届けると、ズボンからそれを引きだした。
硬さを増し始め、自ら起立し始めたそれが、ランプの明かりの元浮かび上がる。
ガウリイに逃げられないよう、リナはガウリイの上に馬乗りになった。
そして、ガウリイのそれに口を寄せる。
「くっ……」
軽く、触れるようなキスを送られ、ガウリイはびくりと躰を震わせた。
先端から根元まで、リナは余すことなくキスを繰り返す。
ガウリイのモノはますます硬さを増し、リナの手の中で脈打つほどまでになった。
最初は嫌悪感しか感じなかったはずなのに、今は自分の愛撫に顕著な反応を返すそれが、愛しくて仕方ない。
そっと、リナは舌を絡ませながらそれを口に含む。
そして、そのままグッと喉の奥まで押し込んだ。
「あっ、くっ、あぁ……!!リナ……」
ガウリイの腰が跳ねる。
口の端から零れた涎が、ガウリイのモノを伝って妖艶に煌めいた。
ぐちゅぐちゅと、音を立てながら、リナは頭を上下にスクロールさせる。
深く息を吸い込むと、ガウリイの汗や先走りの匂いが鼻を付いて、リナは躰の芯が熱くなるのを感じる。
「はあ、んっ……」
リナはガウリイのモノを咥えたまま、器用にズボンを脱ぎ捨てた。
下着も一度に脱ぎ去ると、外気が熱く湿ったそこを撫でていく。
まだ一度も触れられていないと言うのに、リナのそこは奥から止めどなく愛液が溢れていた。
リナは自分でひくつく花弁を大きく広げる。
ピンク色にテラテラと光る粘膜が、ガウリイの眼前に突き付けられた。
「触って、ガウリイ……あたしのも……」
指で大きく開いたせいで、愛液はリナの太腿を伝い下へと流れ落ちる。
「自分で広げるなんて、変態だな」
「あん、そうなの……ねえ、早く……」
ガウリイに言葉で嬲られ、リナは堪えられないと言わんばかりに腰を揺らした。
ガウリイの手が、花弁の奥へと埋め込まれる。
「ひゃんっ……あっ、あぁ……!!」
リナは躰を震わせ、待ち望んでいた快感に歓喜の声を上げた。
「口が止まってるぞ、リナ」
指の後を追うように、伸ばした舌がすっかり皮の剥けたリナの肉芽に触れた。
根元から先へとじっくり舐め上げれば、その動きにあわせてリナの腰も跳ねる。
「はあっ、あっ……んん……」
うっとりと快感に溺れながらも、リナはガウリイのモノを口に含んだ。
喘げばガウリイのモノが口から出てしまいそうで、リナは必死に堪える。
淫らな水音が、上からも下からも聞こえてきて、頭がおかしくなりそうだった。
舌で先をほじくって、喉まで咥え込みながら裏の筋を刺激する。
ガウリイの腰が跳ね、くぐもった声が微かに聞こえることで、リナは優越感に浸った。
「あっ、やん!!だめ、それ……!!」
その時、ガウリイがクリトリスに強く吸いついた。
鮮明な刺激が、脳髄を焼く。
たまらず、リナは口を離してガウリイの上で身を悶えさせて喘ぐ。
奥まで入ったガウリイの指が、リナの弱いところを擦り上げた。
「ひやっ、あっ、あっ……!!」
四肢が硬直し、背が仰け反る。目の奥がチカチカするような快感の後、リナはどっと全身の力を抜いた。
ガウリイが起き上り、脱力したリナをベッドにうつ伏せで寝かせると、腰を高く持ち上げる。
「ふあっ……がうりい……」
達したばかりだと言うのに、リナは物欲しそうな視線をガウリイへと向ける。
くねらせる腰を掴み、ガウリイは己の滾ったモノを割れ目に当てた。
「はぁ、あぁん……」
先端が入口を突くと、それだけでもうリナは恍惚に満ちた表情を浮かべる。
それでも、ガウリイは意地悪く、なかなか中へは入ろうとしなかった。
リナの焦燥感だけが、どんどん募っていく。
「やぁ、がうりい、入れ、て……奥までぇ……」
ねだるリナを見て、ガウリイは怪しく微笑む。
「これが、欲しかったのか?」
「ひゃぁぁん!!」
ずぶずぶと、ゆっくり押し入れられ、リナは切ない悲鳴を上げた。
じっくりと存在感を増していく熱い楔を、リナの壁はぎちぎちと締め付ける。
「くっ……うぁ……」
誘うように蠢くリナの中に、ガウリイは射精しそうになるのをグッと堪えた。
奥まで入れると、間髪入れずに動き出す。
「あっ、あん、あぁ、あっ!!」
それまでのゆっくりした動きとは一転、激しく腰を叩きつけるガウリイの動きに、リナは休む間のなく喘ぎ続ける。
だらしなく開いた口からは涎が零れ、瞳の色は正気を失っていた。
「すごっ……!!がう、り……もっと……してぇ!!」
それまで単調だったガウリイの動きが、円を描いたり中をえぐったりと、様々な動きを見せる。
「あぁん!!いい、よぉ!! もう……あた、し……!!」
リナの中が、きゅっと縮まった。
ガクガクと躰を震わせている様から、リナが絶頂を迎えているのが分かる。
ガウリイもすでに限界だった。
リナの奥で、二度、三度と叩きつける。
びゅく、びゅく
「ふぁ……あぁん……」
達しながらガウリイの欲望の象徴を注ぎ込まれ、リナは恍惚とした表情でそれを全て飲み干した。
しばらく入れたまま、ガウリイは余韻に浸る。
「んっ……」
少しの間気を失っていたリナは意識を取り戻すと、ガウリイはよくやくそれを引き抜いた。
「ふあっ……」
引き抜く感覚にすら、リナは身悶えた。
ガウリイはリナを仰向けにすると、啄ばむようなキスを顔中に施す。
「がうりい、気持ち良かった?」
まだどこかとろんとした表情で、リナがそう問い掛ける。
「ああ」
ガウリイが頷くと、リナは満足そうに微笑む。
「さっきは悪戯されたから、今度は甘いお菓子でも貰おうかな」
そう言って、ガウリイはリナの唇を深く塞いだ。