「なぁ、リナ」
快楽の余韻にぼぅっとする頭に、ガウリイの声が響く。
長年の相棒とこういう関係になって数ヶ月。
慣れてきた自覚はあるが、それでもイッたあとはいつもこうだ。頭がうまく働かない。
ガウリイは疲れなど感じさせず、さわやかに笑う。
「オレ、リナが全部欲しいんだよな」
「……は?」
きょとん、とリナは瞬いた。
何を言っているのだろう、この男。
全部って。
こいつに初めて抱かれてから数ヶ月。
いまさら何を言っているのか、とリナはいぶかしむ。
第一、自分はこの男が初めての相手で、もちろん、その後もガウリイにしか抱かれていない。
今さっきだって、散々好き勝手してくれたばかりだ。
おかげで体がだるくて仕方がない。
「……あんた、何言って……」
ガウリイはにっこりと笑い、
「こっちは、まだシタことなかっただろ?」
そう言って、長い指が触れたのは。
「っっ!?」
びくんっ、とリナは震え上がった。
「ガ、ガウリイッ!?」
呼ぶ声が裏返っている。
だって、まさかそんなところを触られるなんて、思いもしなかったのだ。
長い彼の指が触れているのは、トロトロに熔けきったアソコではなくて。
考えるのもはばかられるような――尻のすぼみ。
「やっ! ……ちょ、そんなとこ触んないで……んぁっ!」
そこを指先でなで上げられる感触に、背筋が震える。
ゾクゾクと駆け上がるものは、気持ちいいというよりも、むしろ気持ち悪さだ。
体をよじって逃げようとするが、上からのしかかるように押さえつけられて、身動きもままならない。
その間も、指先はすぼみを軽くなぞり上げたり、あろうことか、あふれ出た蜜を絡ませて浅く出し入れをされる。
息が上がる。
それがガウリイを喜ばせているだろうと分かっていても、どうにも抑えきれない。
「んんっ、あ、あ…っ! ぃやぁ……やめ、てぇ…っっ…」
拒否の言葉さえ甘く聞こえる気がして、すごくいやだ。
蜜が潤滑油の役目を果たし、指がさらに深くもぐりこんでくる。
「……すごいな、リナ。ものすごく……締め付けてくる」
おなかの奥が熱い。
だんだんと激しくこすりあげられて、よく分からない感覚が脳髄をかき回す。
いや、そんなはずはない。
よく知っている感覚だ。
もう、何度も経験した感覚。
「やっ…うそ、……っ、うそっ、うそぉ…んふあっ、ぁあっっ」
ごまかせないほどに甘い声が上がり、リナはぎゅっと目を閉じた。
気持ち、悪いのに。
気持ちよくなんて、ないのに。
このままじゃ。
「リナ」
かぷ、と耳たぶに歯を立てられる。
腰を抱えるように回されていた手が、とがりきって敏感になっていたクリトリスをぎゅっと押しつぶす。
いつの間にか2本に増やされていた指が、後ろの穴にぐっと突き込まれる。
「い、や……っあ、あ、あぁぁああぁっっ!」
目の前で火花がはじけた。
……う、そ…あたし……?
絶頂後のけだるさと初めてアナルでイッた衝撃に、体がしびれてうまく動かせない。
頭も混乱している。
大きな手に腰を強引に持ち上げられて、リナは力なくかぶりを振った。
何をされるのかぐらい、混乱した頭でもうっすらと分かる。
背後でガウリイが笑った。
「大丈夫だって。怖くなんてない」
うそだ。
今だって、こんなに怖いのに。
怖くて、たまらないのに。
自分が――自分でなくなってしまいそうで。
熱く硬い楔が押し付けられる。
「ぃやぁ……」
「大丈夫」
何とか抵抗しようとするが、力の抜け切った体では、どうあがいても無駄だった。
ぐっ、と力が込められる。
「ひ、ぃっっ!」
ぎち、ときしむような音を、確かに聞いたと思った。
指とは比べ物にならないほど熱くて、熱を持った塊が狭いその場所にぐいぐいと押し込まれる。
「んぁああぁぁああ……っ」
奥深くにまで達した楔をゆるく揺らされると、思わず声が漏れた。
「…動くぞ、リナ」
待って、ということもできず。
衝撃が――
「ふぁぁあんんっっっ!」
来た。
「ひん、あ、ぁっ! やぁ…っっ!」
後ろ抱きに抱えられて、熱い楔で後ろの穴を擦りあげられる。
自重も手伝って、根元までもぐりこんだ楔は、容赦なくリナを快楽とも嫌悪ともつかない感覚で掻き回した。
その上、
「すごいな……ここもぐちょぐちょだ」
「…んんっ、ひぁあっ!」
ガウリイの長い指が溢れた蜜でどろどろになった秘裂に差し込まれる。
一度に三本を同時に突き入れられ、リナは首を仰け反らせた。
「……あはっ、だめぇ、だめ……っ…ふぅんっ……」
嬌声は唇に塞がれ、口内を舌で犯される。
もう片方の手はリナの胸をやわやわと揉みしだき、時おり、爪先が頂の尖りを引っ掛けた。
楔を打ち込まれたアナルからはぬぷぬぷと粘着質な音が響き、指で犯される秘裂からはぐちゃぐちゃと恥ずかしい水音がひっきりなしに響く。
聞くに堪えなくて耳を塞ごうとしても、体をやんわりと拘束するたくましい腕が、それを許さない。
ガウリイの両足によって、リナの両足は大きく開かれ、恥ずかしい音を立てる二つの場所がガウリイの目に晒されている。
その光景は彼をひどく楽しませた。
「ヤラシイな、リナ……おま○こも後ろの穴もぐちゃぐちゃにして……すっげーインランだな」
にぃっと笑いながら言われ、リナはかぶりを振った。
顔を真っ赤にしてイヤイヤと首を振る様が、ひどくそそる。
「んぁっ!? ああっ!」
アナルを犯す楔の動きが激しさを増し、秘裂を掻き回す指がさらに奥まで突き入れられる。
「…が……がうり…っっ……」
「リナ……」
「……あ、あぅ…っ、あん、あっ、あっあぁん!」
甘い声が溢れる。
体が震える。
もう、誤魔化せなかった。
体を駆け巡る熱は、間違いなく。
「気持ちイイ?」
「んっ、あ! イイよぉ……っ、がうり…っ、気持ちイイよ……っ、ひあっぁああっ!」
「……いいコだ、リナ。すごくカワイイ……イヤらしくて、インランで……すごくカワイイ」
オレだけのリナ。
耳元で甘くささやかれる。
「あはっ…がうり、あた…しっ…イ……ちゃ、ぅ……っ! も、イッちゃうよぉ……っ!」
「イイぞ、リナ……イって」
「んんっ、だめぇ…っ、おしり…なのにぃ……いやぁ…ふあぁんっ、あた、しぃ……おしり、で、イっちゃ…ぅうぅう……」
絶頂は近い。
けれど最後の最後が、怖くてどうしても踏み出せない。
そんなリナの唇にガウリイは軽く口付け、嫣然と微笑んだ。
「リナ」
耳元で、甘く名を呼ばれる。
瞬間。
硬く尖った胸の頂を強く摘まれ。
刺激に恐ろしいほどに敏感になったクリトリスに爪を立てられ。
アナルを犯す楔に内壁を強く擦り上げられ。
「ひぃ…っふあぁっぁああああぁぁああんんんっっ!」
あまりに強い快楽。
意識がはじける。
真っ白に染まる意識の片隅で、体の奥でを満たす熱をリナは感じた。
ぐったりと力を失ったリナを横たえ、名残惜しいものを感じながらも楔を抜き出す。
彼女の中で果てたにもかかわらず、それは未だに熱く脈打っていた。
もう一戦ぐらい楽しみたいところだが、肝心のリナがまったく目を覚ます様子がない。
ガウリイは肩をすくめた。
まぁ、それなりに無理をさせた自覚はあるのだ。
単に、自制が働かなかっただけで。
ちらりと目をやると、リナの下半身はかなりすごいことになっていた。
溢れた蜜と、アナルに注いだ白濁が白い脚を伝い、ぐちゃぐちゃだ。
苦笑し、ガウリイはシーツで軽く拭いてやった。
隣に横になり、そのまま抱き寄せても、リナは気づかない。
「ま、しょうがないか」
ぼそっとつぶやいて、ガウリイはまぶたを閉じた。
明日はどうしようか。
そうだ、オモチャでも使ってみようか。
最初は嫌がっても、きっとすぐにリナはカワイイ声でヨガってくれるだろう……
夢うつつの中、ガウリイはにんまりと笑った。