あさ、めがさめたらパジャマがだぼだぼだった
おふとんの中には金髪の知らないお兄ちゃんがいて、ぎゅってされてた
あったかーい。なんか安心する匂い。あたしもぎゅってしてみる
この人誰だろう?じーっと見てみた
とーちゃんと同じくらいかっこいいかも?
うわぁ髪がきらきらでサラサラだー。まつげも長ーい
もしかして王子さま?お姫さまでもいけそうね
王子さまならあたし玉の輿に乗っちゃったの?
でもおかしいなあ。昨日は皆におやすみなさいをしてあたしのベッドで寝たのに
そういえばここどこ?あたしの部屋じゃない!
王子さまの部屋にしてはぼろっちいわ
もしかしてあたし可愛過ぎてゆーかいされちゃったの?王子さまは身代金目当て?
それならあたしが助けてあげなくっちゃ!
助けたお礼に金貨がっぽり!じゃなくて玉の輿よっ!
それにしてもゆーかいされたのに、よく寝てられるわねえ。のんき王子だわ
王子さまってキスしたら起きるのよね。あれ?お姫さまだったかな?
見た目お姫さまだからきっとどっちでもいいわよね
というわけでちゅっってしてみた
…おかしい。起きない
王子さまじゃないの?
そんなのずるい!あたしのファーストキスだったのに!
くやしいからもう一回してみた。今度は起きるまでちゅーーっって。負けないわよ!
そしたら今度は目がぱっちり開いた。ふふふ、あたしの勝ち〜!
うわぁ…晴れの日の色みたい
お天気の空色の目の上でおひさま色のまつげがぱちぱちしてる。おもしろ〜い
「誰だよお前」
びっくりしてた眉毛がぎゅってなって聞かれた
なんか怒ってる?
なによ起こしてあげたのに!
「あたしはリナよ。リナ・インバース。あなたは王子さま?」
「へ?王子様?違うぞ。オレはガウリイ。ガウリイ・ガブリエフだ」
「ええええええええ?!王子さまじゃないのーーーーーっ?!」
「そんなのずるいっ!あたしのファーストキスかーえーせー!」
「ずるいって言われてもなあ。オレ自分の事王子だって言ったのか?」
「…言ってないけど。でもれでぃのファーストキスを奪った罪は重いのよっ、せきにんとらないとなんだからっ」
「せきにんって何だ?」
「ばいしょーきんとかおよめさんにもらうとかしないといけないのよ。でないと悪人なんだから。悪人にはじんけんがないんだからねっ!」
「じんけんって何だ?」
「…よくわかんない。でも手加減なしに攻撃魔法でぶちのめしてもいいってとーちゃんがいってた」
「ふーん。よくわからんが、お嫁さんならもらってやってもいいぞ」
「ほんと?あ、でもガウリイって王子さまじゃないのよね?あたしの夢は白馬の王子さまの玉の輿なのに。ばいしょーきんでもいーわよ」
「ばいしょーきんって何だ?」
「うーん。よくわかんないけど、とにかく金貨ウン百枚とかがっぽりよ」
「金貨ウン百枚なんてオレ持ってないぞ。そんなにおこづかいもらってねーもん」
「うーん…しょうがないわねえ。じゃあおよめさんで手を打ってあげるわ」
「ほんとか?」
「いーわよ」
うーん。われながらリナちゃんてばふとっばらー
「じゃあ約束な」
おひさまみたいににっこり笑ってまたぎゅってされた
「うん」
胸の中がほわんってなってうれしい気持ちになってあたしもぎゅってした
「けっこんの約束をしたらちかいのキスをするものなのよ」
「そーなのか?」
「そーよ。らぶらぶな二人はそーなんだってエリシーが言ってたもん」
「エリシーって?」
「近所の子」
「へー」
あたしはへへんと胸を張ってちかいのキスを待ちかまえた
…なかなか来ない。
目を開けたらガウリイは、あたしの肩に両手置いたまま顔赤くして固まってた
「もう!何やってんのよ、はやくしなさいっ!」
って言ったら
「お、おう」
ってあわてて言ってちゅってされた
次の瞬間「ぼむっ!」て爆発みたいな音がして…
あたし達は元に戻っていた
…小さくなっていた時の記憶そのままで
「あれ?」
「えーーと?」
二人しばらく呆けた後、お互い真っ赤になった
「なあ、リナ」
まだちょっと赤い頬をぽりぽりとかきながらガウリイが言う
「あによ?」
照れくさいからどうしてもぶっきらぼうな口調になる
「さっきのはどっちからプロポーズした事になるんだ?」
「そ、それはやっぱりあんたからでしょ」
「そっか」
「そーよ」
「じゃあもっかい誓いのキスな」
今度は余裕のキスが降ってきた。やっぱりガウリイってずるい
「小さいリナってめちゃくちゃ積極的だったなー。自分からキスしてくるし」
「あ、あれはまだそーいう事をよくわかってなかったからでっ!」
「オレ達に娘が生まれたら、やっぱりあの小さいリナそっくりなんだろーなー
かわいいなあ」
「…ガウリイ似の娘かもしんないわよ?」
「うーん、リナとの子供ならそれでもいいけどな
両方作るか?よし、早速作ろう今作ろう!」
「作るかじゃなーいっ!朝っぱらから何言ってんのよっ!」
しかし、その後あたしの抗議は実らなかった
おわり