「リナ、なに見てるんだ?」  
 
旅の途中で実家に立ち寄り、リナの部屋で一息ついていた二人。  
椅子に座り剣の手入れをしていたガウリイは、リナが本棚の前で何かを熱心に見ている事に気付いた。  
自分に呼びかける声で我に返ったリナは、傍らの恋人を微笑みながら振り返る。  
「ん、これ。こんな事あったんだな、懐かしいなぁってついしみじみしちゃった」  
その手に持っていたものは、赤い表紙に金字で【Memorial】と書かれた本。  
「メ…モリアル?日記か?」  
「あったとしてもそんなもんあんたに見せるわけないでしょ!!  
家族で描いてもらった肖像画とか…記念事の時に描いてもらった肖像画とか色々  
小さく印刷したものを入れてあるのよ」  
「へぇ〜〜そんなもんあるのか。見せてもらっていいか?」  
はい、と手渡されたそれを1ページずつめくると、そこには産まれたばかりの愛らしいリナや  
何かの祭り事の時だろうか、花束を持ち満面の笑みを浮かべるリナなどの絵が残されている。  
「へぇ〜〜〜〜!!可愛いなぁ」  
自分が見た事のない幼いリナの姿を初めて目にし、ガウリイの顔も自然と綻ぶ。  
「生まれた時からあたしは可愛いのよ、当然じゃない」  
姉とコスモス畑で並んで笑っているリナ  
おめかししたおすまし顔で「Happy Birthday」と書かれたケーキを手にしたリナ  
熱心に1枚1枚見ているガウリイの手がつと、ある絵で止まった。  
「あれ、これ…俺じゃないか」  
「あ!!!あああああああ!!!!!!」  
 
 し、しまった!!そこに入れてたのついうっかり忘れてた!!!!  
 
「もっ貰ったのよ!だいぶ前にシルフィールに!!そ、そんで持ち歩くのもなんだかなって  
帰ったときにそこに適当に挟んでただけなんだからね、勘違いしないでよね!!!」  
自分が失念していた事に対する焦りと、ガウリイの絵を持っていた事が本人に知られた羞恥とで  
思わず顔を赤くして必死に弁解するリナ。恋人の肖像を持つ意味の何が勘違いというのか。  
そんなリナを見てガウリイは先ほどのそれとは違う、明らかに意地悪な笑みを浮かべる。  
「へっえぇ〜〜…シルフィールなんてもう何年も会ってないよなぁ?  
そんな昔から俺の絵、持ってたんだな、リナ」  
 
 くっ…あたしとした事がなんたる不覚っ…!!このくらげにこんな弱点を見られるなんて!!  
 しかも弁解も墓穴でしかないじゃないのおおおおおおおおぉぉぉぉお!!!  
 
更なる追撃を想像し身構えるリナ。  
しかし、ガウリイはそんなリナを、ふっ…と意地悪さを消した優しげな笑みで見つめる。  
「色々、あったなぁ」  
「へ?え?あ、あぁ…そうね」  
拍子抜けしたせいか、間抜けな声の返事が出てしまった。  
「最初出会った時は…  
お前がこんなに大事な存在になるなんて、全く予想もしてなかったよ」  
出し抜けに殺し文句を言われ、思わず言葉に詰まる。  
今度はまた、先ほどとは違う恥ずかしさで顔が赤らみ熱を持つのが分かる。  
 
 ほんとに、このくらげは…恥ずかしげもなく良く人の実家の人の部屋でそんな事言えるわねっ!  
 
「今度さ。二人の絵、描いてもらうか?」  
「え?」  
「それも小さく印刷してもらって、これに一緒に入れてくれよ  
そしてまたいつか二人でそれを見て、懐かしいなぁって笑おうぜ」  
 
全く、この男には敵わない。  
言葉の意味を理解し、中々顔の熱が引かないのを悟られるのが嫌で  
窓辺に向かい外を眺めながら返事をする。  
 
「ま、それもいーかもね。どうしてもって言うなら、入れてあげてもいいわよ」  
 
ふっと後ろに愛しい男の気配を感じ、その腕が自分を抱きしめる感触に身を委ねる。  
 
「今までも、今も、そしてこれからも、ずっと愛してるよ」  
 
 
 
***END***  
 

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