−−−−お使い最終話−−−−  
 
   
 茜色に染まり始めた空と、開けた窓から入ってくるのは港町特有の潮の香りのする心地よい風。  
リナからの頼まれ物を無事に受け取った後、日暮れが近いので適当な宿を取り  
ゼルガディスとアメリアは思い思いに寛いでいた。  
 
「ゼルガディスさん、夕食はどうしますか?  
ここの1階も食堂でしたけど、港町だけに海鮮料理専門の食堂とかも良いですよねぇ」  
 
 剣を研いでいたゼルガディスに、旅着からゆったりした服に着替えていたアメリアが問う。  
 
「特になんでも構わんが、俺としてはゆっくりしたい」  
「じゃあ1階で済ませちゃいましょうか」  
 
 傍目にはぶっきらぼうにしか受け取れない言葉だが、アメリアは臆する事無くにっこりと微笑みゼルガディスを見る。  
 彼があまり表に出たがらない事は理解しているし、ゆっくりしたい、という言葉の裏側には  
アメリアが疲れているだろうからゆっくりさせたい、という気遣いが隠れている事も理解しているからだ。  
 そしてゼルガディスも、アメリアが理解している事を知っているので余計な事は言わない。  
 研いでいた剣を鞘に納め、それを合図に二人並んで部屋を出た。  
 
 
「うーん、やっぱり港町のお料理はいつもと違って新鮮です、お腹いっぱい」  
「そうだな」  
 
 二人で一部屋、という状況はまだ落ち着かないけれど、ゼルガディスの側は落ち着く、そんな矛盾。  
 緊張を悟られないよう、アメリアは窓辺に置かれた小さなテーブルに飲み物を置き  
揃いの椅子に腰掛けて外を眺める。  
 外は夕焼けから夜に変わる、ほんの短い間の黒と赤のグラデーションを映す。  
 
「海が見えないのが残念な景色だな」  
 
 ゼルガディスは片手にグラスを持ち、アメリアの背後から外を眺める。  
 
「そうですね…海沿いの宿は全部埋まっちゃってましたし、それでもここも凄く綺麗です」  
 
 ことん、とぶどうジュースの入ったグラスを置き、アメリアはゼルガディスを見上げて微笑む。  
 
「わたし、きっと…絶対、この景色を忘れません」  
 
 用事が片付いた今、後は帰るだけの道程なのだ。  
 この旅が終われば、次はいつ二人で旅をする機会があるかも解らない。  
それ以前に、ゼルガディスが一所に留まるはずもなく、次にいつ会えるかも、解らないのだ。  
 二人で同じ景色を見、同じ時間を共有しているこの瞬間の一つ一つが、アメリアには宝物だった。  
 今までは、ひっそりと想いを馳せるだけで良かった。でも、これからは……。  
 
 そんな事を考えていると、アメリアの瞳から一滴、涙が零れる。  
 
「アメリア?」  
 
 明かりを灯していない部屋は薄暗く、アメリアの表情は見えない。  
黙り込んだアメリアを気遣うような声が上から降りてきた。  
 
「…なんでもありません」  
 
 普段通りを装った声は、それでも微かに震える。  
俯いたアメリアの頬にゼルガディスの指が触れ、そのまま抱きしめられた。  
 
「…いつも側にいる、なんて言葉は守れないし言えない。守りもしない約束をする主義じゃない」  
「…はい」  
 
 ゼルガディスはそういう人だ。  
それも解っていて惹かれたのはアメリアなのだから、それを責める必要もないし、出来ない。  
 
「だが、お前と会わずに居られるというわけでもない」  
 
 腕に力を込め、優しく頭を撫でる。  
 
「旅の合間には必ず会いに行く。セイルーンに」  
「……はい、待ってます」  
 
 顎に手をかけ、そっと上を向かせ唇を重ねる。最初は軽く。次に、深く舌を絡ませしっとりと。  
 
「ん…、ふっ…」  
 
 ぴちゃ、くちゅっといやらしい音と共に甘ったるい吐息も漏れる。   
アメリアの腕はゼルガディスの首下にしがみつき、もっと、とねだるように身体を引き寄せる。  
 
「はぁ…ん、ゼル…さ、ぁ…ふっ…」  
「まったく、麻薬みたいなお姫様だな」  
 
 ふっと苦笑し、くったりしたアメリアを抱き上げベッドへ移動し横に寝かせ、更に唇を貪る。  
唾液を絡ませ、歯列をなぞり、存分にアメリアの甘い口内を味わう。  
舌と舌が触れるたび、アメリアの口から吐息が漏れ、身体がびくん、と震える。  
 
 愛しい、と思った。小さな身体も、真っ直ぐ自分を見つめる潤んだ瞳も、全て。  
 こんなに焦がれ、欲してしまうとは。もっと自分は自制の聞く人間だと思っていた。  
 
 少しずつ部屋着の留具を外し、胸元を顕わにしていく。  
瞼、眦、頬、耳元と一つ一つ口付け、首筋に一際強く吸い付く。  
 
「あっ、あぁっ…」  
 
 赤い印をしっかりとそこにつけ、胸元へと唇をずらしそこにもまた吸い付き印を刻み込む。  
俺のものだ、という証を。  
 柔らかい乳房を撫でながら、唇での愛撫もしっかり繰り返す。  
ピンク色の先端は次第に赤みをまし、硬く尖ってきたそれを口に含み強弱を付けて吸うと  
その度に身体が激しく反応し、口から喘ぎ声が漏れ出す。  
 
「あぁ、んっあ、はぁっんんんっ…んっ、んんんっあぁあっあっ、そこ、あっん、だめ…ですぅっ」  
 
 だめと言われては仕方がないので唇をそっと離し愛撫を中断する。  
 
「えっ……?」  
「だめ、なんだろう?」  
「う……」  
 
 熱で潤んだ瞳が恨めしそうにゼルガディスを見上げる。  
 その表情があまりにも可愛いので、つい意地悪をしたくなってしまう。  
 
「どうして欲しいんだ?」  
「うぅ…だ、めじゃない…です…」  
「なにがだめじゃないんだ?」  
 
 さらに問うと、次は泣きそうな顔になる。  
 
「…もっと、……してください」  
「だめって言ったりしてって言ったり、わがままなお姫様だな」  
 
 にやり、と笑って再び唇を膨らみに這わせると、待ち望んでいたかのように身体が震えた。  
 
「はぁっん!」  
 
 ちゅうっと音を立てて乳首を吸い上げ、舌先でころころと弄ぶ。  
 
「あ、あっ、ああぁっ、はぁ、ああぁっあっ、も、ぉ…んぁああっ、ああぁああ!」  
 
 激しく吸い上げ、軽く歯を立ててやると、一際激しく身体が波打ち、次に力が抜ける。  
唇を外し指先で先端を弄りながら、目を瞑っているアメリアにそっと口付ける。  
 
「ここを触られるのが好きだな、アメリアは」  
「うぅ…ゼルガディスさんが上手なんです…」  
「じゃあこっちはどうだ?」  
「えっ?」  
 
 言うが早いか、既に太ももまで捲くれていたスカートの裾から手を差し入れ秘所をつん、とつつく。  
 
「ひぁっ!?」  
「少し濡れてるな」  
「そんな事、言われても…」  
 
 潤んだ瞳でゼルガディスを見上げる。  
 すっと指先を太ももに這わせ、指の腹で優し撫で回すとアメリアの口から再び甘いため息が零れる。  
 
「ん…っは…ぁ…あっ」  
 
 太ももから少しずつ付け根に向け、指を動かす。唇は柔らかな乳房を軽く食み続け、赤い花びらを刻む。  
下着の紐を寛げ、秘所の窪みへ指を這わせるとびくんっと腰が跳ねる。  
 
「っ……」  
 
 乳房への愛撫を休ませて顔を上げアメリアを見ると、次の感覚に耐えるかのように硬く目を瞑りじっとしている。  
再び先端に口付け、舌先で転がし震えるアメリアの反応を楽しみながら、少しずつ指先を窪みへ埋めていく。  
 
「あっ、あっ…あぁ、あっ…!」  
 
 初めて異物が進入するであろうそこは、微かな潤みを帯びてはいるものの指をそれ以上進ませられず  
唇を乳房から外し、身体をずらして太ももの間に顔を埋め、恥丘に隠れたアメリアの実を舌先で探る。  
 探し当てたそれにちゅぅっと音を立てて吸い付くと、激しくアメリアの腰が震えた。  
 
「は…っああああああああっ!」  
 
 指は変わらず窪みを優しく撫で頑なに進入を拒むそこを解す。  
小さな実を唾液でじっくりと濡らし舐め、アメリアの身体を熱く火照らせる。  
 
 再びアメリアの身体が震え、何度目か解らない絶頂を迎える。  
熱くなった身体はくたり、と力を失うが構わず窪みへの愛撫を続ける。  
先ほどとは違いだいぶ潤みが増え、ゼルガディスの指の進入を助けているので、小さく音を立てアメリアに聞かせる。  
 
「聞こえるか?お前が濡れている音だ」  
「やっ…言わないでください…恥ずかしい、です…」  
 
 硬く尖ってきた実から唇を外し、次は窪みへと舌を這わせる。  
ぴちゃ、くちゅっと音をわざと立て、舌先を中へと差し込み震えている肉を解していく。  
 
「あぁ、はぅ、ん…ああ、あぁあっああ、なんか…っすご、変…ですぅ…」  
 
 甘いアメリアの声と、濡れたいやらしい音が部屋に静かに響く。  
 
「ゼ…さっ…、あぁ、もう…わたしまた…っおねがい、です…っ」  
 
 絶頂への限界が再び訪れたのであろうアメリアが、言葉を必死に吐き出す。  
その言葉を聞いてゼルガディスは身体をずらし、アメリアに優しく口付けた。  
 
「俺も、そろそろ我慢の限界だ」  
 
 口付けながら自身の腰紐を寛げ、固くなったモノを取り出しアメリアの濡れた窪みへそっと這わせる。  
 
「痛かったら我慢せず言うんだぞ…」  
「え…っ…あ――――――っ!!」  
 
 ぐっと先端を押し込むが、やはりその中はきつく異物に怯えるかのように押し出そうと力が入っている。  
口付けを繰り返し、少しずつアメリアの緊張を和らげていく。  
 
「あ…あっ…うぅ……」  
 
 眦に涙が滲み、目は硬く閉じられている。やめたほうがいいだろうか、と一瞬頭を過ぎった。  
 
「やめ…ないで、くださ…っ」  
 
 思考を読み取ったようにアメリアが呟く。  
 
「ひとつに、なれるのは…嬉しい、から…っは、やめ…ないで…っ」  
「アメリア…」  
 
 少しずつ、少しずつアメリアの中に自身を埋めていく。  
 
「あぁ、うっ…ぅうっ…ちゃんと…っぜんぶ、ゼルガディスさんを…わたしに、入れてください…」  
 
 進むたびに苦しそうな声がアメリアの口から漏れる。  
 濡らした指先でアメリアの実を撫で、痛みが少しでも紛れるように快感を与えると  
痛みに耐える声に少しずつ甘いため息が混じってきた。  
 
「はぁ…あぁ、んん…あ、ふっ…」  
「…全部入ったぞ」  
 
 そう言い、舌でアメリアの涙を掬い取る。  
 
「あぁ…っはい…」  
 
 そのままの姿勢で指先のみがアメリアに刺激を与え続ける。少しずつアメリアの腰が動き、中の滑りが増える。  
 
「初めてで自分から腰を動かすのか?まったく、いやらしいお姫様だな」  
「あぁ…やぁ、言わないで…っ」  
 
 耳元で囁くように言葉を吐くと、アメリアの中がきゅぅっと締り熱を増した。  
腰を回すように軽く動かすと、先ほどまでの窮屈さが薄れ、アメリアの腰も同様にびくん、と震える。  
 力の入らない腕を必死に伸ばし、ゼルガディスに抱きつく。  
 
「ゼル…ィスさ…、だいすき…っです…」  
「っ……すまん…我慢、出来そうにない」  
「へ…?」  
 
 言うが早いか、ゼルガディスは腰の動きを開始する。  
ただでさえ今まで抑えていた情熱が、欲望が、アメリアの些細な一言やしぐさで枷を外されてしまうのに  
この状況で、そんな赤みを帯びた艶っぽい表情で、そんな言葉を吐かれれば我慢など出来るはずもない。  
 
「ふぁあっ!?あぁっ、あぁあっ!あっ、ふっ…あ、ら…めぇっ…ああっあああぁあ!」  
 
――――こんなにもたなかったのか、俺は。  
 
 深い呼吸を繰り返しすやすやと横たわるアメリアの髪を撫でつつ、ゼルガディスはひそかに自分にショックを受けていた。  
 
「…ん…むにゃむにゃ」  
 
 こんな可愛い、愛しい生き物が相手なのだから仕方ない。という事にしておこう。  
 無邪気に眠るアメリアのそっと頬に口付け、自分も眠りに入る。  
 
 明日からの帰りの道中も、しっかりいじめさせて貰おう。  
 離れている間でも、自分を忘れられないくらいしっかりアメリアに自分と言う存在を刻み込んでおくのだ。  
 
 と、心で思いながら。  
 
 
−−−終わり  
 
 

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