「あ、リナそんなとこに居たのか。
お。旨そうなもん食ってるなあ。
オレにも一口くれよ」
「やーよ。
これは正当な労働の報酬なの。
呪文唱えるんだって意外と労力が掛かるんだから。
あんたはなんにもしてないじゃない」
「フーン。そんなこと言って良いのかな?」
「なによ。あんたも何かしたってゆうの?」
「可愛いリナちゃんのために、せーっかく!」
「だからなんのことよ。」
「おんじゃく。貰っといてやったのに。」
「へ?
だから温石。女将に頼んで寝床に入れといてもらってやったぞ。
最近寒くってよく眠れないって言ってただろ?」
「へえ、ガウリイのくせに気が利くわね。
むう。仕方がないわね。
一口だけよ。」
「くせにって・・・。おお美味いなこれ。」
「そうでしょって、
ああ、そんなに!一口だけよ、一口だけっ!」
「お、焼きみかんも絶品だな〜」
「だから、一口だけだってば!」
「んじゃ、美味しい焼き餅でお腹が一杯になったところで、そろそろ寝ましょうか」
「そうだな」
「あ、ゼル、ありがとう!ご馳走さま、また頼むわね!」
「ゼルガディス、有り難うな!旨かったぜ!」
「ふう。お腹一杯!」
「食った食った!」
「やっぱり正月はお餅よねー」
「おう!」
「ガウリイのお陰で今夜は暖かいお布団で眠れるし。言うことないわね〜。」
「お前さんすぐ冷えるんだからちゃんと温かい格好して寝るんだぞ。」
「あー、うん。そうなんだけどね。
一昨日、宿に腹巻き忘れて来ちゃって・・・。」
「おいおい。大丈夫か?」
「うん。替えが何枚かあるから」
「ならいいが。
しかしなあ。
そもそもなんで部屋が別々なんだ?同じ部屋ならオレがちゃんと暖めてやるのに。そうすりゃ温石なんか要らないだろうに」
「だって、あんた一緒だといっつも、なかなか寝かしてくれないじゃない」
「今度から気をつけるって」
「んなこといって、この前だって!」
「いや、あれはお前さんが・・・」
フェードアウトして行くバカップルの声に、
今だ熱気冷めない某残酷な魔剣士は無言で呻いた。