元ネタはグリム童話の「つぐみのひげの王様」でガウリナいきます  
 
 
ある国にリナというとてもわがままなお姫様がおりました  
ある日、リナ姫は姉である女王ルナに呼ばれ、こう言われました  
「隣の国の王子からぜひにと言われてるから、結婚なさい」と  
「隣国の王子って言ったら『くらげ王子』って噂のバカ王子じゃない!絶対いやあああああああ!」  
思わず本音を絶叫してしまったリナは、直後はっと口を手で抑えますが、既に遅し  
恐る恐る視線を上げたその先には、ニッコリと微笑む姉の姿  
その瞳の奥から放たれるものに、リナは背筋を凍らせました  
 
「あ、あの姉ちゃ…お姉さま、いえ陛下あのその」  
慌てふためくリナを見下ろし、ルナ女王は静かにこう告げました  
「隣国の王子が嫌なら今度物乞いにきた一番みすぼらしい男と結婚なさい」  
「うぇっ!そ、そんなああああああ」  
「今度のは決定事項よ。リナに拒否権はなし」  
愕然とするリナ姫とは対象的に、ルナ女王はどこか楽しげに言い放ちました  
 
それからまもなく城にやってきたみすぼらしい男とリナは結婚させられ、国を追放されました  
仕方なくリナは男の後をとぼとぼ歩いていきました  
行く先には豊かな森や賑やかな街。  
リナの前を歩きながら男は言いました  
「これらはみんなくらげの王様のものさ」  
リナ姫は「こんな事ならくらげの王様と結婚しとけば良かったわ……」と心の中で呟きましたが今さらどうにかなるわけでもありません  
ただ男の後ろでため息をつくしかありませんでした  
 
追放はされたものの、その時に幾ばくかのお金を渡されていた二人は、小さい町で宿屋に泊まりました  
 
リナは部屋に入ってから気付きます  
「一部屋……?」  
「夫婦なんだから当たり前だろ?」  
まだ状況を把握出来ず呟くリナに軽く答えた男は、リナをひとつしかないベッドに押し倒します  
「なっ!?何すんのよっ!んんっ……」  
不意の出来事に動揺しながらの抗議もあっさり唇で塞がれてしまいました  
「新婚の夫婦がベッドの上でする事なんて決まってるだろ?」  
意地悪い口調の男はその唇をリナの首筋へと滑らせていき、知らない感覚にリナの背筋がぞくりと震えました  
「や、あ…」  
すくむ身体を楽々と押さえ込むと、男はリナの着衣を取り去っていき、顕になった肌を貪っていきました  
男の拘束から抜け出せないまま、リナは初めて与えられる感覚に翻弄されていきました  
最初は頭の上で押さえつけられていた腕も解放されていて、男の与える刺激に耐えるようにシーツを掴むだけでした  
「んっ、あん…ん…」  
いつしか男の動きに甘い声で応えるようになったリナの中へ男は身を沈めていきました  
「!?…ぁあああっ!」  
戸惑い強張るリナの中に一気に突き入れると、男はリナを抱き締めます  
痛みの中、リナが薄く開けた瞼の先にはこれまで見たことがない綺麗な蒼い瞳が熱い光を放っていました  
リナは自分がこの時初めてまともに夫となる男を見たのに気付きました  
そしてこんなふうにされながらも、熱い瞳にもリナを扱う仕草にもどこか優しいものが感じられる事に、リナは戸惑っていました  
 
「んっ、んっ、あっ、んっ…」  
男の腰の動きに合わせてリナは声を漏らし、痛みと新たな感覚に耐え、男の肩にしがみつきました。  
そして男の動きが次第に激しくなっていくと、リナはもう何も考えられなくなっていきました  
 
リナは翌日になってから知りましたが、男はガウリイといいました。どこか抜けた所はありましたが、よく向き合ってみると人が良く、リナは惹かれていきました  
 
リナもガウリイもよく食べるほうだったので、所持金はすぐに心許なくなりました  
リナはくらげの王様のお城の調理場で働き口を見つけました  
何かと口煩い上司にもこめかみをぴきぴきさせながらも何とかこらえ、今日もこっそり料理の余りを手持ちの壺に入れていました  
今日、お城ではパーティーが開かれていて料理もいつもより豪華です  
「今日はピーマンも入ってないし、大好物もあるからガウリイ喜ぶかな〜」  
夫の喜ぶ顔を思い浮かべていたリナに料理長が呼びかけました  
 
「王様がお呼びだぞ」  
「へっ!?」  
何で王様がこんな所に?まさか料理の事がバレた?でもこれ余りだしっ!食べ物を無駄にするなんて万死に値するのよっ!!!  
などとリナがパニクっていると、後ろから腕を引かれ、リナの手から壺が滑り落ちました  
「あああああ!あたしたちのお夜食があああああ!」  
リナは腕を振りほどき、壺が床に落ちる前に飛び付いて事なきを得ました  
壺を抱え、涙目で振り向いたリナは、文句を言おうとした口をぱくぱくさせました  
なぜならそこには立派な格好をした夫がいたからです  
「…………な、何で?」  
「いやあ。ルナさんの計画でな。騙しててすまなかった」  
リナの夫となったみすぼらしい男ガウリイは、『くらげの王様』だったのです  
ルナの「ちょっとこらしめてやりなさい」の一声に隣国の王様も逆らえず、ひと芝居うったのでした  
 
そしてちょっぴりわがままが治ったリナ姫はくらげの王様と正式に結婚していつまでもしあわせにくらしました  
 
おしまい  
 
 

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