スレイヤーズ  

「はぁ…」  
あたしは軽く溜息をついて、ワインを一口含んだ。  

ごく普通の宿屋の一室にあたしはいた。  
外はしずまりかえっている。時刻は真夜中で、空には闇夜を切り取るような満月が出ていた。  
あたしとガウリイ、アメリアの一行は、この小さな村で宿をとったのだった。  

ところがいざ休もうとしてもなぜか寝付けない。  
それで、未成年であることは無視して、ちょっぴり晩酌でもすれば眠れるかと、あまり慣れないワインを飲んでいた。  
開けた窓から冷たい夜風が吹き込んで来て、ほてった頬をひんやりと冷やしてくれた。  
「ん〜、気持ちいい…」  
隣の部屋にはガウリイが眠っている。  
実は、晩酌の相手をさせようと起こしにさっき行ったのだが、起こすのが申し訳ないくらい気持ち良さそうに寝ていたので、あきらめたのだった。  

「あ〜、もぅ…」  
ガウリイのことを考えると同時にさっきのことを思いだし、あたしは苛々と頭を振った。  
実際、さっきのあたしはどうかしていたとしか思えない。  
ガウリイを起こしに行く時、すやすや寝ているマヌケだが可愛い寝顔に、なんとなく…。  
そう、なんとなく。  
なんとなくなのだ。。  
別に、誰にも見られていなかったし…いいんだ、うん。  

あたしは一人で納得し、ワインを一気に飲み干した。  
その時。  
「ヤケ酒ですか?」  
「ぅどわぁぁ!?げほっ、げほっ」  
横から…窓のほうから声がして、あたしは思いっきりむせた。  
振り向くと、誰かが窓に腰掛けていた。  
月の光の逆光で顔が影になってはいたが、あたしはそれが誰だかすぐに分かった。  
「ゼロス?」  
「ピンポーン。こんばんは」  
そう、そこにいたのはいつものようにニヤけた顔のゼロスだった。  
魔族は神出鬼没だ。なのにあんなに驚いたことにやや恥じながら、あたしは彼をにらみつけた。  

「何の用よ?喧嘩売りに来たの?」  
「な、何でそんなに怒っているんですか〜?」  
ゼロスはわざとらしく怯えてあたしの腰掛けているベッドに座り、ぽりぽり頬をかきながら言った。  
「なにか見られたくないことでもあったんですか?」  
「な、何言ってるのよ!」  
不覚にもあたしは再び動揺してしまった。  
ゼロスはガウリイのために用意していたグラスを取り、  
「…僕も戴いていいですか?」  
いいわよと言う前に、ゼロスは勝手にワインを注いだ。  
「なに、魔族も飲めるの?」  
「僕は強いですよ」  
これが証拠ですと言わんばかりに、顔色一つ変えずに一気に飲み干し、あたしに笑いかける。そして黙ってニ杯目を注いだ。  
あたしはゼロスとわざとらしく距離をとり、「で、何の用よ?わざわざ」  
ゼロスはニ杯目のワインをちびちびやりながら、  
「夜のパトロールです。ははは」  
「…」  
もちろん、そんなわけはない。こいつがあたしの所に来る時は、必ず何か面倒なことを持ってくる。  
あたしが内心勘繰っていると、  
「そういうリナさんは何を?お酒なんて出しちゃって」  
「眠れなかったのよ!うら若き乙女にはね、そんな夜もあるの!」  
そこでゼロスの顔から、すっと笑顔が消えた。あたしはびくっ、として身構えた。  

「グラスが二つあるのはどうしてですか?」  
「は?」  
かすかな酔いもあってか、あたしは質問の意味がわからず、マヌケな声を出してしまった。  
ゼロスはくそ真面目な顔であたしを見ている。  
二つあるのはなぜか?って…。  
それは…  
「あ、こ、これはガウリイと飲もうと思ったのよ。でも寝てたからあいつ」  
別に嘘をつく必要はない。  
しかしゼロスの顔にいつもの笑みは戻らなかった。彼はワインをまた一口啜る。  
そして次の瞬間、彼の口から信じられない一言が出た。  
「リナさんはガウリイさんのことが好きですか?」  
「えっ…?」  
夜風が急に冷たく感じた。  
彼の表情からして、ちゃかされて言われるのとは違う。とはいえいつもならうまくかわすことができただろう。  
しかし、アルコールのためか、あたしは素になってしまった。  
何とかとりつくろう。「はぁ?なにいってる…」  
「見たんですよ、さっき」  
ゼロスのひとことに、あたしの酔いが完全に冷めた。  

さっき。  
さっきとは、ガウリイを起こしに行った時の事だろう。  

あたしは、ワイングラス二つとワインの瓶を抱えてガウリイの部屋に行った。  
時間も遅いし、男の人の部屋に行くというのに、普通に躊躇することなくあっさりドアを開けた。  
中に入ると、あたしの部屋と同じ、ただ配置が対象的なベッドの上でガウリイは珍しくいびきもかかずぐっすり寝ていた。  
「ガウリイ。起きてよ」  
しかしガウリイはぐっすり眠っていて、起きそうもない。  
「ねぇガウリイ」  
揺すってみてもダメだ。  
殴って起こしてやろうかとも思ったが、仕方ない。  
あたしはあきらめて自分の部屋に戻ろうとした、その時。  
「う…リナぁ…」  
起きたか?と思い顔を覗き込んだ。  
しかし、規則正しい寝息が聞こえる。寝言の様だった。  
(寝言であたしの名前を言うなんて…)  
何となく嬉しくなったあたしは、変な気分になってきた。  
ふと、誰もいないのにあたりを見回す。  
あたしはガウリイの頬に触れた。  
そっと頬を撫で、首筋までゆっくり愛撫した。  
「…」  
自分の心臓の打つスピードが段々早くなっていく。  
誰も見ていないよね、と確認する。  
気持ちが高まる中、そっとおでこに口づけ、ぱっと離した。  
ガウリイが起きる様子はない。  
あたしはふたたびおでこに口づけ、ガウリイの息を感じつつ、唇をガウリイの鼻、頬、顎にゆっくり這わせた。  
軽く舌で首筋をなぞり、手で彼の髪をかきあげた。  
(やばいかも…)  
体が段々熱く、段々と不思議な気持ちになり、大胆になってくる。  

あたしはベッドの上に上り、ガウリイに跨がろうとした。  
その時。  
「リ、リナ!?」  
ガウリイが目を覚ました。  
あたしも心臓が飛びでるほど驚き、慌ててとびのく。  
「ど、どうしたんだ?」  
ガウリイが聞いて来たが、あたしの頭の中は真っ白だった。  
自分が何をしていたかを改めて思いだし、顔が熱くなるのが自分でも分かる。  
「リナ?」  
「なんでもないっ!おやすみっ!」  
あたしはワイングラスとワインを抱えて、逃げるように部屋を飛び出したのだった。  

 

「…」  
一連の出来事を思いだし、あたしはまた顔があつくななった。  
ゼロスはじっと黙ってこちらを見ている。  
「あっ、あっ、あっ、あれは、その、間違え、いや、なんとなく…」  
「なんとなくでキスして、上に乗っかるんですか?」  
「え、いや、あの…」  
ゼロスの目が細く開き、あたしを見据えた。滅多に開かない目は、冷たい光を放っている。  
あたしは一瞬、その目に軽い恐怖を覚えた。  
が、そこは天才美少女魔導士のあたし。すぐに睨み返した。  
大体、何でゼロスにそんな事を言われなければならないのか。  
「な。なによ!なんであんた怒られなきゃならないのよ!」  
「…」  
「しかものぞき見するなんて、サイテーじゃない!魔族ってそんな事ばっかりしてんの!?」あたしの逆ギレに、ゼロスはしばらく黙っていた。  
しかし、突然いつもの笑顔に戻る。  
「リナさん、僕にもキスしてください」  
「は?」  
ゼロスの言葉を理解する暇もなく、彼はあたしの横に瞬間移動してきた。  

「あっ…」  
間をおかず強引に手首を掴まれ、あたしはベッドに押し倒された。「なにすんのよ、ちょっ…やめて、離しなさいよ!」  
あたしは何とかゼロスを振り払おうとするが、彼の腕に押し付けられてびくともしない。  
「離し…んっ……」  
抵抗していたその間に、ゼロスの唇があたしの唇にそっと重ねられた。  
上唇を軽くくわえるように触れ、また口づけ、そして口を舌で押し開いてくる。  
貧るようにあたしの舌を絡め、拒む事を許さなかった。  
抵抗する気持ちとは裏腹に押し寄せる快感に、あたしの体から力が抜けていく。  
それを感じたのか、ゼロスはあたしの手首を離して、あたしの前髪をゆっくりかきあげた。  
「リナさん…」  
ゼロスが唇を離し、口の周りにまとわりついた唾液をぬぐった。  
ゼロスの肩ごしに、窓の外の月が見える。  
逆光でやはり彼の表情はよく見えない…が、少し頬を染めているようだ。  
あたしの頬もさっきよりずっと熱かった。  
「リナさん」  
「…」  
「抵抗しないんですね」  
「…」  
自分でもよく分からなかった。  
ただ、やめてほしくない。  
「やめないで」  
思わずあたしの口から漏れた言葉を聞き、ゼロスは驚いたようだった。  
が、彼はそこで理性が外れたようにあたしの首に顔を埋め、唇を這わせはじめた。  

「ん…」  
ゼロスの唇の感触にあたしは恍惚としながら、彼の背中に手を回した。  
彼の膝があたしの脚を割り、体を滑り込ませて来た。  
彼の息遣いは、はぁはぁと少し上がってきている。  
その彼の手があたしのパジャマの上のボタンを手早く外し、あらわになったあたしのお世辞にも大きくない胸を、そっと円を描くように撫で始める。  
「あ…ん、あ…」  
あたしはじわじわと来る快感に思わず喘いだ。  
「感じやすいんですね…まだ少し触れただけなのに」  
ゼロスが意地悪く微笑む。  
冷めたはずのアルコールがまた回ってきたのか、あたしもゼロスのマントを外し、上着のボタンを外して脱がした。半裸になった彼の背中をゆっくり撫でる。  
自分でもびっくりするほど積極的だ。  
さっきガウリイに対して未遂で終わったかもしれない。  
その時、ぴちゃ…といやらしい音をたててゼロスは、あたしの乳首を吸うように嘗めた。  
「あぁんっ」  
電撃が走るような快感にあたしはびくっと体を震わせる。  
ゼロスはあたしの胸を嘗めながら、ゆっくり手を下に延ばしてあたしの内股をなぞるように撫でた。  
「ゼロス…あたし、あぁっ…」  
「リナさん…可愛いですよ」  

あたしはゼロスにだけ感じている顔を見られるのが悔しくなり、逆にゼロスを押し倒した。  
「リナさん?うっ…」  
あたしはゼロスのズボンを脱がして、彼の股間に顔を埋めた。  
魔族のアレってどんなんだろう…と一瞬考えたが、構わずソレを取り出すと、人間の男性のと全く変わるところはなく、それに立派だった。  
あたしはそれの頭に軽くキスし、ちゅばちゅばと音をたてて嘗めた。  
「う…リナさ、あっ」  
焦らすように頭とくびれた部分を嘗め、舌先を尖らせて裏側をツーッ、となぞる。  
唇で横にすべるように行き来し、ぱくっ、と深くくわえた。  
ちゅばっ、ぬるっ、ぴちゃ…  
あたしの上下する頭を撫でながらゼロスは息を荒くしていた。  
「リナさん…ああ、待ってください、イッちゃいます…」  
あたしは我ながら意地悪く笑い、さらに嘗め続ける。  
ちゅぱっ、ちゅぱっ…  
静かな部屋に卑猥な音と息遣いの音だけがしている。  
ゼロスの喘ぎ声を聞いているうちに、あたしの体も一層疼いてきた。  
「リナさん、ずるいですよ!」  
「あ、やだぁっ」  
ゼロスは体を起こしてあたしを突然押さえ付け、無理矢理パジャマの下を取り去り、パンツの横から指をいれてあそこに触れた。  

「うわぁー」  
ゼロスのあきれたような、喜んでいるようなどっちともつかない声。  
あたしは真っ赤になって体を起こそうとしたが、押さえ付けられていてできない。  
「もうヌレヌレですねぇー。すごいことになってますよ。僕あんまり何もしてませんよね?」  
「…」  
恥じらう気持ちと、はやく欲しい気持ちが交錯する。  
「リナさんて、えっちなんですねぇ」  
欲望は止められず、あたしは懇願するような声を出した。  
「はやくちょうだい…」  
「まぁまぁ」  
ゼロスはあたしの脚を思いっきり開かせた。割れ目に指を這わせ、突起したクリトリスを優しくつまむ。  
「あぁっ!あ、あはぁん…」  
快感が走る。ゼロスもよがるあたしを見て相当興奮しているようだった。  
ぴちゃっ…ぴちゃ、くちゅっ…  
ゼロスの舌があたしのクリトリスをはいずり回り、あたしの中に入りかけた。  
あたしはもう我慢できなかった。ゼロスに見られているというだけで興奮してしまうのだ。  
「だめっ、我慢できない、欲しいの…!」  
「おや、もう?」  
「来て、お願い!」  
だけどゼロスはすぐにはくれない。あたしに顔を近づけて、  
「僕が欲しいですか?」  
あたしは顔を染めつつこくり、と頷いた。  
ゼロスはにこにこ笑いながらあたしの胸を揉みしだく。  
快感でまたどうにかなりそうになるあたしの耳元で囁いた。  
「じゃあガウリイさんとはえっちなことしないで下さいね」  

「え?」  
あたしは一瞬我に返り、頭にぱっとガウリイの顔が浮かんだ。  
「リナさんは僕専用です。いいですね?」  
ゼロスは笑顔で、だけど有無を言わせない雰囲気を漂わせながら言った。  
「え、あの…」  
ガウリイとえっちなことをするつもりなんて、ない。  
けどガウリイのことが気になるのは事実だ。  
あたしの中にためらいが生じたのを悟ったのだろう、ゼロスは目を細く開いた。  
「…それとも、やめちゃっていいんですか?」  
と言うと同時に視線はあたしに向けたまま、あたしの乳首を舌で刺激した。  
ぴちゃっ…  
「あっ…」  
あたしは再び気持ち良さに体を強張らせた。畳み掛けるようにゼロスはあたしのクリトリスを優しく撫でる。  
「あっ、あぁ、あ…ん」  
「ほらほら」  
ゼロスの指がゆっくりあたしの中に入って来た。  
どこを感じるか心得たような挿入に、あたしはそれだけで絶頂を迎えてしまいそうだった。  
「あ、ゼロス、あぁ…」  
「おっと」  
ゼロスはそんなあたしを見て、指を抜いてしまった。  
「あ、イヤ、やめちゃ…」  
あたしの懇願にゼロスは人さし指を左右に振りながら、  
「え〜、リナさん次第ですよ」  
「わかったわよぉ、ゼロスだけだから、早くいれてぇ!我慢できないの〜!」  
かすかに戻ったはずの理性も、欲望の前にあっさり崩れ去ってしまった。  
ゼロスは満足げな笑みを浮かべた。  
「それでいいんですよ」  
彼はゆっくりとあたしの胸を撫でる。  
「あぁ…」  
「この胸も…」  
反対の手で今度はあたしのあそこの割れ目を人差し指でなぞった。「あぁんっ」  
「いやらしいここも…」  
そして、感じまくっているあたしの顔を撫で、軽くキスをした。  
「この唇も全部僕のものです。いいですね?」  
「はい…」  
もうとろけそうなあたしは、早く欲しくて欲しくてどうでもよかった。  
ゼロスはあたしの頭をいい子いい子して撫でた。  
「よろしい。じゃ、ご褒美をあげましょう」ゼロスはあたしの股を広げると、膝を曲げさせた。  
そしてあそこに彼のそれをあてがう。その感触で期待しただけで、あたしは身体が震えてしまった。  
しかし、ゼロスは入口でクチュクチュするだけでなかなか入れてくれない。  
「あぁん、ゼロス早くしてよぉ、変になりそう…」  
ゼロスは答えない。  
あたしは本当に気が変になりそうだった。  
「綺麗ですよ、リナさん…」  
「早くぅ、早くハメて!ゼロスのが欲しいの!」  
「僕ももう我慢できない」  
そして、ずぶっ、とあたしの中に熱いものが入ってきた。  

「リナさん締まるっ…」  
「あ、あぁ〜、んっ、ん」  
そしてゆっくりゼロスの腰が動き始めた。  
ぐちゅっ、ぐちゅっ…  
次第に速さを増していくにつれて押し寄せる快感の渦に、あたしは大声をあげてしまいそうになる。  
必死に声を堪え、ゼロスの背中を抱き締めた。  
「ゼロス、すごい…」「リナさん…」  
ぱんぱんっ、ぐちゅっ、ぱんっ  
子宮の奥まで突いてくるそれは、熱く、確実にあたしのGスポットを捕らえていた。  
あたしの腰も自然と動き始め、ゼロスはあたしの髪をかきあげた。  
「リナさんの中…熱いですよ、めっちゃ気持ちいい…」  
「あぁ、あっ、あたしも…イキそう…」  
隣の部屋にはガウリイが、反対の隣にはアメリアが寝ているのに…。  
しかしその背徳感が一層興奮をそそった。  
声を必死で堪えようとすればするほど快感は増していく。  
快楽にまみれて、あたしはもう絶頂を迎えそうだった。  
「イク…ゼロス、あたしイクぅ」  
「僕も…イキます」  
ぐちゃっ、ぐちゅっ、くちゅ…  
そこであたしは肝心な事を思い出した。  
「外に出して!飲んであげるから」  
あたしがそう叫んだ時、ゼロスのあれの感覚がなくなった。  
あたしは身体を上げ、ゼロスに頭を押さえられ、あれをくわえた。  
その瞬間、熱くて苦いものがあたしの口の中に飛び込んで来た。  
彼が果てるまであたしはそのままでいた。  
あたしが口にたまったそれを飲み込むと、ゼロスが背中からそっと抱き着いてきた。  

「リナさん…」  
ゼロスはあたしの髪を撫でた。振り返ると、今までに見たことのない優しい目をしていた。  
「ありがとうございます。口すすがないといけませんね」  
ゼロスは側のテーブル−さっきあたしがワインを飲んでいたやつだ−に置いてあるあたしの飲み残しのワインを取り、口に入れる。  
そしてあたしに口移しした。  
「んっ…」  
ワインで口を潤した後もゼロスは唇をずっと離さなかった…。  

 

次の日の朝。  
あたしは何事もなかった様に身支度をし、宿の食堂に下りた。  
すでにガウリイとアメリアは席について朝食をとっていた。  
「おはよー」  
「おう、おはようリナ」  
「おはようございますリナさん」  
あたしも席に着き、朝食を注文する。  
ガウリイが聞いて来た。  
「なぁリナ、昨日の晩俺の部屋に来たか?」  
「へ?」  
あたしはゆうべのゼロスとの情事で頭がいっぱいでガウリイのことなどすっかり忘れていた。  
「さ、さぁ?あたし知らないわよ。まぁーた寝ぼけてたんじゃない?」  
「そうかなぁ」  
ガウリイは首をかしげつつも食事を続ける。  
「私もそういえば、ゆうべリナさんの部屋から変な声が聞こえたような…」  
アメリアのなにげない一言に、あたしは内心かなり動揺した。が、  
「そぅ?昨日はあたしもぐっすり寝ていたからわかんないわね」  
なんとか取り繕うのに成功。  
釈然としないアメリアとガウリイをよそに、あたしは再びゼロスとのことを考えていた。  
思い出すだけで、今も身体が熱くなる。  
また今晩もあたしはワインを用意して彼を待つだろう。  

END  

 
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