スレイヤーズ  
 

ここは某国にある有名な私立神坂高等学園。  
国内はもちろん国外からも様々な生徒が集まってきている。  
成績もピンからキリまで、年齢もどう見ても高校には早いだろうというのから、何年高校にいるんだよ、という人まで様々である。  

しかし、それと同時にこの学園の裏では様々な欲望が渦巻いているのであった…。  

 

「おはようございまーす!みなさん、今日も私が一日学園の平和を守ります!  
なにかあったらこのアメリアにおまかせを!」  
まだ生徒が登校し始めたばかりの朝、屋上の上から校庭を見下ろし、生徒会長のアメリアは叫んでいた。  
「みなさん!高校生は清く・正しく・美しく!  
真面目に勉学に、部活動に勤しみましょう!」  
アメリアは今日もやる気まんまんだった。  

アメリアはもとから正義感の塊のような子だったが、一年生で入学したばかりで、真摯に学園のため、生徒のために尽くそうとしていた。  
その熱意が買われて一年生なのに生徒会長にも信任されたのだった。  
だが、真摯すぎるゆえ本当の学園について知らないことも多かった。  
そして自分自身がその学園の中に渦巻く欲望の餌食になるとは、この時アメリアは気付いていなかった。  

 
 

「そこの二人、何やってるんですか!?」  
人気のない体育館の裏庭で、アメリアは「そこの二人」を指差した。  
校内パトロールをしていたアメリアは、男子生徒と女子生徒が抱き合ってキスをしていた現場を目撃したのだった。  
「校内でなんて不潔な!不純異性交遊は禁止!禁止です!」  
アメリアは生徒二人を引きはがし、びしっ、と二人を指差した。  
「あなたたちのご両親に電話しますから、職員室に行きましょう!」  
アメリアは有無をいわさず二人を職員室に連れていった。  

 

放課後、あれから数組のカップルを検挙したり、不良をこらしめたりして仕事を終えたアメリアは、帰宅しようと下駄箱から自分の靴を取ろうとした。  
「んっ?」  
すると下駄箱の中に一枚の紙が入ってるのに気がついた。  
「なにこれ…」  
その紙には筆で丁寧にこう書いてあった。  
「アメリア殿へ  
貴女に決闘を申し込む。  
本日放課後、体育用具室までこられたし。  
G・G」  

「決闘!?」  
「決闘」という二文字がアメリアの正義心に火をつけた。  
「受けて立ちます!」  
アメリアは瞳に炎を燃やし、指定の場所までダッシュした。  

 

放課後ということもあるが今日は部活もないのか体育館に人はいなく、空も夕焼けに赤く染まり始めていた。  
「夕焼け…決闘には完璧なシチュエーションですね!  
…あ、でも中なんだっけ」  
アメリアは一人でぶつぶつ言いながら、赤い光の差し込む体育館を通り、奥の廊下をさらに進んでいった。  
体育用具室はやや奥にあり、夕方になるともう薄暗い。  
「暗いなぁー」  
用具室に着き、アメリアは重い引き戸を開けて、中に入った。  
「きましたよっ!決闘にっ!」  
アメリアは腰に手をあてて叫んだ。  
中は湿っぽく薄暗く、跳び箱、マット、試合に使う得点板、高飛び用の大きなマットなどが積み上げられていた。  
ちょっと歩くと挨がたち、アメリアはごほごほと咳をした。  
「あ、あなたですね!私を呼び出したのは!」  
跳び箱の上に座っている男の存在に気付き、アメリアは彼を指差した。  
しかしその顔は見覚えがあった。  
「あなたは、三年クラゲ組のガウリイ・ガブリエフさん!」  
「…三年K組だよ」  
そこにいたのは校内でも「卒業できないクラゲ留年王」で有名なガウリイだった。  
年齢は二十代であるのに間違いないが不詳で、何年留年しているかは諸説が飛び交っている。  
「あの決闘状を私の下駄箱に入れたのはガウリイさんですか?」  
「そうさ」  
ガウリイは跳び箱から下りて、学ランの汚れを払った。  
「学ランのボタンは止めてください!」  
「まぁまぁ」  
アメリアはガウリイの学ランの着方を指摘したが彼は聞く様子はない。  
「それより決闘だろ」  
「あ、はい!」  
本来の目的を思い出したアメリアは、ガウリイをきつく睨み付けた。  
「私に決闘を申し込むとは、私の学園の治安活動ないし生徒会の方針に文句があるということですね!」  
「…ま、そんなとこだ」  
ガウリイはあいまいに返し、ニヤニヤと笑った。  
その笑みにアメリアは一瞬不可解なものを感じたが、  
「学園の正義は私!私と相入れない則ちそれは悪です!覚悟なさいガウリイさん!」  
アメリアは言って、床を蹴りガウリイに向かって飛び蹴りをした。  
が、ガウリイはひょいとそれをかわし、勢いあまったアメリアは積んであった陸上競技用のマットに倒れ込んだ。  
アメリアが慌てて起き上がろうとすると、  
「きゃ、きゃあ?」  
ガウリイは倒れたアメリアをマットに押さえ付けた。  
それは決闘での攻撃手段ではないということを瞬時にアメリアは本能で感じ取った。  
ガウリイの目付きがなにか違う。  
「ちょっと、ガウリイさ…」  
ガウリイの手がミニのプリーツスカートを太腿が見えるまでたくしあげ、セーラー服の上から胸の谷間に顔を埋めた。  

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