リナは突然自分の部屋に現れた男に、ただ呆然とした。  
「おい、お前」  
「へ?」  
 長い金髪の美青年は妙に色気のある動作でリナを押し倒していた。  
「え?え?」  
「力が足りない。  
 いっぱつやらせろ」  
「はああ!?」  
 リナは全身の力で持ってその男を殴り飛ばした。  
 
 
「イキュバス?」  
「そ。人間の淫乱な心を食ってる悪魔」  
 ガウリイと名乗った青年はリナに殴られた頬をさすりながらそう説明した。  
「オレ今腹減ってるんだ。  
 だから・・・」  
「ちょッちょちょ、ちょっと待ちなさいよ!」  
「何だよ。  
 あ、お前処女なのか?  
 ならオナニーして見せてくれるだけでもいいぞ」  
「なっ?お、!?」  
 真っ赤になったリナはひたすらうろたえる。  
 ガウリイはそんなリナの目の前で軽く指をふって見せた。  
「え?」  
 ドクン、とリナは体の中の何かが目覚める音を聞いた。  
「や、何これ・・・」  
 リナは自分の体を抱きしめて身悶えた。  
 熱くなった体は何か刺激を求めている。  
 
「リナ、ほら、そこを弄るんだよ」  
 戸惑うリナにガウリイが甘く囁く。  
 むずがゆいような感覚に、リナは手を伸ばした。  
 そこはしっとりと濡れて、リナの手が触れると今までにない感情をリナにもたらした。  
「は、あう、・・・あん」  
「気持ちいいだろ?」  
「あ、あ、あう」  
 リナの手は止まらない。  
 そこを擦ると背筋をぞくぞくと何かが這い上がっていく。  
「リナ、直接触ったらもっと気持ちいいと思わないか?」  
「あ、あ、ふ・・・・ああんっ」  
 言われるままにリナは下着を少しずり下ろして溢れるそこに触れた。  
「あ、あ、き、もちいい・・・」  
 恍惚として自慰をするリナから生気を吸い取る。  
 蜜が溢れて流れるそこをリナの細い指がクチュクチュと音を立てて弄る。  
「あん、あん、っふぅ」  
「もう少し上の突起を触ってごらん」  
「あ、・・ああっ」  
 腫れあがっていた肉芽に触れたリナは快感に身をそらす。  
「・・・そろそろ、かな?」  
 リナから流れ込んでくる生気が大きくなっていく。  
「あ、あ、あっ、あん、あああっ!!」  
 一際大きな声を上げてリナは絶頂に達した。  
 
 
 
 ぐったりとベッドに身を投げ出している少女。初めてのオナニーを終えて、荒い息をついている。  
 スカートからはずり下ろされたパンツと、濡れてひくついている花弁が見える。  
「しかし、なかなか――」  
 ガウリイは吸い取った生気に舌なめずりをひとつ。  
「いい味だったな」  
 にぃと笑うと、ティッシュで溢れた蜜をぬぐってやる。  
 そして下着を調えると、布団の中に寝かせてやる。  
「また食べにくるか」  
 そう一言残して悪魔は部屋から掻き消えた。  
 
 
 
 
 
 
 
 リナは部屋に再び現れた青年に硬直した。  
 そして一気に顔が真っ赤に染まる。  
「な、ななななな――――!?」  
 あの日の恥ずかしい記憶もそろそろ思い出さずにいられるようになった頃にこれだ。  
「よう!」  
「な、何しにきたのよっ!?」  
 部屋の隅っこまで思いっきり逃げて手近にあったクッションで顔を隠すようにしてリナは叫んだ。あの日の痴態が、フラッシュバックする。  
「いや、腹が減ったんで」  
 にいいっとガウリイは笑う。  
 
「また、お前さんにオナニーを・・・」  
「だああああーーー!!」  
 聞きたくないとばかりに大声でガウリイの言葉を遮る。  
 もともとこの手のことには酷くう初心だったリナ。そのリナには自分が自慰行為をしてしまったと言う事も恥ずかしすぎるのだ。更にそれを始終目の前の男に見られていたなど・・・。  
「死にたい・・・・」  
 涙を浮かべてリナは呟く。  
「リーナ?  
 なあ、オレ腹へってんだよ」  
「うるさいうるさい!  
 何であたしなのよっ!  
 どっかそこら辺で別の女の人捕まえてよーー!」  
 近寄ってきて顔を覗き込んでくるガウリイにリナはクッションをぎゅっと抱きしめて涙の浮かんだ瞳で睨む。  
「お前、めちゃくちゃ自己中発言だぞ、それ」  
「悪魔に言われたかないわよっ!  
 いいじゃない別に、あんたの見た目なら喜んで相手してくれる女の人ぐらいいるでしょ!」  
 叫ぶリナにガウリイは人差し指を振ってみせる。  
「あっ!」  
 あの日と同じ様に湧き上がってくる感覚にリナは震えた。  
「だーってリナの美味いんだもん。  
 どうせ食べるならおいしいほうがいいだろ?」  
「やだっやめてよっ!!」  
 必死に湧き上がる欲情を押さえながらリナは懇願する。  
「んー、そんなにオナニーすんの嫌か?」  
「嫌に決まってるでしょ!!」  
 リナが答えるとガウリイが笑った。その笑みにリナは嫌な予感が体を駆け抜けていく。  
 
 するりと伸びてきた腕があっさりとリナの顎を捉えて上向かせる。  
「―――ん!?」  
 重ねられた唇に、リナは暴れようとした。  
 しかしガウリイの腕はしっかりとリナを抱きしめて離さない。  
「んん、ふ、んっ」  
 絡められる舌に、リナは次第にうっとりと身を任せた。  
「じゃあ、今日はオレが気持ちよくしてやるよ」  
 離れた唇が唾液の糸をひく。  
 ガウリイはリナの首筋に口付けながらその服をはいでいく。  
「あ、・・や、だめ」  
 弱々しい抵抗は、抵抗になっていない。  
 肌の上を這うガウリイの唇と舌に、リナは抗えない。  
「あんっ」  
 剥き出しになった胸をもまれると、リナはびくりと震えた。  
「気持ちいいだろ?」  
 耳元で囁かれる声さえもリナから力を奪い快楽に縛り付ける。  
 ガウリイの手は絶妙な加減でリナの胸を揉む。  
 耳元から首筋、鎖骨、胸元――ガウリイの唇はリナのつんと立ったピンクのいただきに辿り着いた。  
「あうっん、は、あん」  
 口に含まれてころがされ、リナは大きな声を上げる。  
 ガウリイの手はリナの体を這い回る。  
 触れられるだけで、そこは熱をもちじんわりと快感が広がる。  
「あ、ああ、・・・あん・・ふああ」  
 体中を隅々まで手と唇で愛撫される。  
 しかし、蜜の溢れるそこにだけは触れてはこない。  
 焦れたリナは無意識に足を擦り合わせている。  
 ガウリイが、リナの足を広げて、太股の付け根のあたりにキスを送る。触れて欲しい場所のすぐ傍まで来て、また離れようとするのに、リナは思わず懇願した。  
「あ、おねが、い・・・そこも」  
 自分の足の間に顔を近づけているガウリイに赤く染まった顔で、リナは言った。  
 
「ここか?」  
 ちゅ、とガウリイは音を立ててそこに軽いキスをする。  
「ああんっ」  
 くちゅ、ぺちゃ  
 ガウリイはそこを貪るように舐める。  
 あふれ出る蜜を舌でかき回して吸い上げる。  
「はあん、あふ、あ、あ、あんっ」  
 ひっきりなしに嬌声が上がる。  
 ガウリイは体を起こすと、自分のものを取り出して、熱く溶けたそこにあてがった。  
 そうして一気に貫く。  
「あっ――あ、ああ」  
 違和感は最初だけで、リナは自分の中に入ってきたそれを受け入れた。  
 その存在感がじっくりとリナに快感をもたらす。  
「ああ、あ、きもちいい」  
 入れてあるだけで、リナは感じて身悶えている。  
「リナ、これからもっとよくなるんだぞ」  
「え、―――あ、ああん」  
 ガウリイが腰を動かすと、思いもよらない快感がリナの脳髄を駆け抜ける。  
「あふ、ああん、す、すごい、こんなっ」  
 リナはよだれをこぼしながら快楽に溺れる。  
 浅く深く、角度を変えて、ガウリイはたくみにリナを責める。  
 リナの感じる場所を見つけてはそこを容赦なく攻める。  
「ああっあっあっ、ひあ、あはああん、・・・え?」  
 
 ガウリイはリナの中からいったん出るとリナをうつ伏せにしてその腰を持ち上げた。  
「きゃうんっ、ああっ」  
 先ほどよりも深く攻め入られて、リナは悲鳴を上げた。  
「リナ、お前さんホントに美味いよ」  
 ガウリイはそう耳元で囁くと後ろからリナの胸をわしづかみにして弄る。  
 激しく打ち付けられる肌はパンパンと小気味よい音を立て、それに被さってグチュグチュと卑猥な音が零れる。  
 快楽に仰け反るリナから汗が散る。  
「ああ、あっ、あん、もうっだめえっ」  
 ガウリイの右手が胸から下のほうに移動し、激しく出入りしているすぐ近くの腫れた肉芽を弄った。  
「ひいっ、そ、なっ、あふ、あっ」  
 涙をこぼしながらリナは喘ぐ。  
「あん、いやぁっ、だめ、あん、こんなっ、ああっあ、あ、あああああああああっ!!」  
 押し寄せる快楽の波にのまれて、リナは達した。  
 それと同時にリナから吸い取った膨大な生気に、ガウリイは満足げな溜息を漏らしリナの中に所有の証を注ぎ込んだ。  
 
 
 
 
「あ、あたし・・・・」  
「お?気がついたか?」  
 意識の戻ったリナは覗き込んでくるガウリイの顔に、真っ赤になった。  
 そして自分の処女を奪われた事を思い出した。  
「あ、あんた、あんた」  
「ん?なんだ?  
 気持ちよかったろ?」  
「うん、ってちっがう!  
 何てことしてくれんのよーー!!ふぐっ」  
 まだ何か言おうとしていたリナの口をガウリイは塞いでしまう。  
「――ん、ふあっ」  
 解放された時には、リナは力が入らなくなっていた。  
「・・・あんた、乙女の純潔奪ってくれてぇ、どーしてくれんのよ」  
 少し舌足らずにリナは自分の隣に寝ている男を睨んだ。  
「んー?  
 安心しろ、一生オレが満足させてやるよ」  
「な、なっ、何言って!!」  
「さっきやった時にオレの精液たっぷり注いどいたから、お前さんもうオレ以外じゃいけないぞ」  
「はあーー!?」  
 あんぐりと口を開けたリナをくつくつと笑ってガウリイは続ける。  
「だから、オレ――悪魔の印をつけたから。  
 リナは一生オレ以外の悪魔には生気を吸われる事はないし、オレ以外のやつとセックスしても気持ちよくなれない」  
 
「じょ、冗談じゃ」  
「ホントv」  
「ああああ――――!!!!?」  
 頭を抱え込んでうめくリナ。  
「リナはオレのものだからな」  
 ガウリイの青い瞳が近づいて来る。  
「んっ・・・んふっ・・・」  
「――――こんな美味い奴は他には渡せないな」  
 再び口内を蹂躙されてリナはぐったりとガウリイの胸に抱き寄せられた。男の肌に頬で触れ、リナは赤面する。  
「もうちょっと喰っとくか」  
「ふあっ・・・あう」  
 リナの体をさまよいだした大きな手に、リナは喘ぐ。  
 
 
 
 
 
 
おわり。  

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