「ゼルガディスさんて、どうして私に何もしてくれないんでしょう」
ぶぶほっ!!!
リナさんが、派手な音を立てて飲んでいたジュースを盛大に撒き散らします。
「あ・・あんたねえっ!
そんな面白い話ならガウリイもいる時にしなさいよね♪勿体無い!」
「そ、そーいうリアクションなんですね・・・」
今、私とリナさんは宿の食堂でご飯を食べています。
ゼルガディスさんとガウリイさんはお酒を飲みにBARの方に行きました。
「で?恋愛相談ならこのリナにお任せよ!
初心者も安心の名あどばいすで すぺぺぺぇっ!と悩みを解決!今ならお試し期間あり!!
なんたって故郷では『赤い糸切りのリナ』と異名を取った程なんだからっ!」
「いえ、それ想像するだにすさまじく何かが違う気がするんですが・・・」
「気のせいよ。それより、なになに?ゼルはあんたに手を出して来ないの!?」
リナさんは瞳をきらきら輝かせています。
「ええ、そうです。ゼルガディスさんは、
もしかして、私のことなんて女だとは思えないのかもしれませんね」
そうなんです。
ゼルガディスさんに想いが通じ、わたしたちはお付き合いをはじめました。
これといって急に関係がかわることはなくても、
以前まで1人の時間を大切にしていたゼルガディスさんと、一緒に過ごす時間がふえたり、
ふとしたときに腕をくんだり、手をつないだりが増えていって。
そんなこんなでもう三ヶ月が経ちます。
キスだって、したことがあります。
ほんの一瞬の出来事で、子どもにむけてするような、
夢かと思うような軽く優しいものでしたが。
「馬鹿ね、ゼルだって男なんだから、出せる手なら出したいに決まってんじゃない
たとえアメリアが子どもでロリっぽくてちんちくりんで、
手を出したら少年少女保護法案に触れる年齢であっても」
仲間の軽口を気にしないでいることも正義です。
「じゃあなんで、何にもしてくれないんでしょうか」
「決まってるでしょ 耳かしなさい、アメリア
ごにょごにょごにょ・・・・」
「なるほど!確かにそれはナイスかも知れません!
リナさん、ありがとうございますっ!!」
「氷の槍(アイシクル・ランス)!!!」
ばしゃーん! 「ぐはあっ!」
ゼルガディスさんに盛大に水がかかりました。
「氷の槍」は本来氷の魔法なのですが、詠唱の意味を真に理解しているなら、
変化させることは容易いことです。
氷が出現するはずの空間には大量の水がふりそそぎました。
そう、ゼルガディスさんの上にです。
「あああああっ!ごめんねゼルっ!
魔法の練習をしてるとこにまさかあんたがいたなんてっ!!」
リナさんがわざとらしく言いました。 これでもかこれでもかというくらい猿芝居風味です。
「ああ!アメリア!いいところに!! ゼルを宿まで連れてって、ふいてあげてっ!!」
「はい!見過ごすことは私の正義が許しませんっ!
さあ!ゼルガディスさん!宿へ帰りましょう!」
私はゼルガディスさんの手首をつかみ、くるり、と踵を返しました。
ざわざわざわっ、と、周りのひとびとがざわめきました。
「おい、このくそ暑い夏に頭から白いローブをすっぽり被った、
しかも何故かびしょぬれの男がいるぞ」
「かなり異様だな。暑さでいかれちまったのかなぁ・・・かわいそーに。」
「この貸しは高いぞ、リナ・・・」
ゼルガディスさんは1人密かに何かを心に誓ったみたいです。
ごめんなさい、ゼルガディスさん、リナさん!
正義の為の尊い犠牲は無駄にしませんっっ!!!
ゼルガディスさんを宿の部屋まで連れて帰って来ました。
ぽたぽたとしずくが落ちて、
岩のむき出た青い肌に、白いローブがぴったりとはりついています。
「じっとしていて下さい」
「おい、自分でやる・・・ってのに。」
私は無理矢理ゼルガディスさんの上着を脱がせ、
ていねいにタオルで拭いていきました。
ゼルガディスさんが軽くお礼を言ってくれて、嘘をついている事が心にちくり、と刺さりました。
でも、大きな正義の名のもとには少しの必要悪もつきものなのです。
「礼を言う。下も着替えたい。悪いがそろそろ外に出てもらいたいんだがなうわっ!」
私は、えいや!っと ゼルガディスさんに抱きつきました。
拭きたての肌は、ひんやり冷たくてここちいいです。
これで・・私の気持ちが伝わりますように・・・・
「アメリア」
「はい?」
「いくら暑いからって、俺で避暑るな」
すぺきょふっっ!!
まるでリナさんのような音を立てて滑ってしまいました。
うう・・・正義の道に試練はつきものなんですね・・・
私、負けません!ゼルガディスさんに気持ちが伝わるその日までっっ!!
再び、彼に抱きつきます。
ゼルガディスさんは「濡れるぞ」といって私を引き剥がそうとしましたが、
私は腕を解かないでいました。 私に離れる気がないことを悟ると、すぐに諦めたようです。
諦めて、空いている手でベッドに布を敷き、ゆっくりと座りました。
私もゼルガディスさんの膝の上に座りました。
もう一度「濡れるぞ」と警告してくれましたが、そんなことは気になりません。
私はゼルガディスさんの目を見つめ続けています。
深くて鋭い眼は、私には、とっても優しく映ります。
ゼルガディスさんが纏っているのは、
今は濡れてしまったいつも履いている白いズボンだけです。
初めて触れるゼルガディスさんの上半身は硬く、顔と同じように小さな岩が顔を覗かせています。
筋肉が引き締まっていて、はしたないとは思いますが、綺麗だと思いました。
私は、鏡の前で密かに練習した、一番かわいい顔をしてみせました。
「私、ゼルガディスさんのこと、大好きです」
「ああ、俺もだ アメリア けどな・・・・」
「はい?」
「言ってなかったんだが、俺、
ホントは男が好きなんだ」
ぶぶべほっ!!!
さっきよりも盛大に滑りました。
「冗談だ。こうでも言わないと離れないからな。」
な・・なんだぁ ほっ
(一瞬ガウリイさんとの怪しい絵を想像して ときめいてしまったことは秘密です)
気を取り直して、顔を近づけます。
「私のこと・・邪魔ですか?」
「違う」
「私の事、嫌い・・・なんですか?」
「そんなことは無い。絶対にだ」
表情を見ると、困惑しているようでした。
思い切って唇を重ねました。
リナさんのアドバイスどおり、舌を絡めてみました。
こんなキスをするのは初めてです。
はしたないとは思いますが、正義の前には霞むのです。
ゼルガディスさんは戸惑っていたようですが、直ぐに動きが返って来ました。
最初はためらいがちに、ですがだんだん強く。
わたしのほうは何だかドキドキしてしょうがないです。
今目をあけられたらどうしよう、
変な顔してないかなぁ・・・・とか考えてしまいます。
きもちいい・・・んだとおもいます。
「アメリア 手を離せ。止まらなくなる」
「ゼルガディスさん、私」
「お前を汚すわけにはいかなんだ。頼む」
「私の事、ほんとは、 好きじゃない・・・ですか?」
「まさか。大好きだ。」
ぎゅ、とゼルガディスさんを抱きしめる手に力を込めました。
肌と同じ色をしたその瞳を見つめます。
なら、なんで・・・・
「なんで、なんにもしてくれないん・・・ですか?」
「駄目なんだ!」
語尾が激しくなりました。
「俺だってアメリアを抱きしめたいさ! でもこの体は駄目なんだ、アメリア」
体は駄目なんだ
その言葉から、一瞬私は男性としての機能が無いということだろうか、と思いましたが
「目を閉じろ・・・」 「ん、、、」
ちゅ・・・・ くちゅ・・・
ゼルガディスさんが丁寧にキスをくれて、、 私の体を膝から下ろしました。
少し、ごそごそ、と気配がします。
「もう、開けていい・・・」
目を開けると、ゼルガディスさんは裸でした。 初めて見る、男性の裸の全身です。
デーモンの色そのままの肌の青。 体毛の変わりに、体中のそこかしこに密集する岩。
「俺の体は、こんなだ。忌々しいがな。
全身に岩が張り付いていて、決して取れることは無い。
肌を合わせればお前は痛みを感じる。」
「こんなものを見せて悪いが、この体はご丁寧に ここまでもが岩でな。
・・・苦痛でしかないぞ。特に、はじめては。」
ああ・・・。
私は、ゼルガディスさんの頭をかき抱きました。
「ごめんなさいごめんなさいゼルガディスさん 気が付かなくてごめんなさい」
「泣くな。いいんだ。分かってくれれば。
こんなもの見せて悪かった」
誤解されやすいけど、優しいゼルガディスさん。
私に痛い怖い思いをさせないように気遣って
我慢していてくれていたゼルガディスさん。
そんな貴方だから、私は好きになったんだと思います。
「おい・・アメ・・?」
私は彼をベッドに座らせ、、胸に口づけをしました。
すべすべした肌の部分と、ごつごつした岩の部分と。 一つひとつ、丁寧に。
「おーい・・」
「貴方を、見せてくれてありがとう。 もっと、好きになりました・・・」
「こらこら、危険な位置に。
・・初めての女にそこまでさせられるか。位置代わるぞ」
「・・・うううっ・・ん」
ぴちゃぴちゃと音を立てて私の中を舐めるゼルガディスさんの舌。
十分に愛されて、私はもうとろとろにとろけたアイスクリームみたいになっています。
時折針のような白銀の髪がちくちくと肌に触れ、
岩のかたまりがごりごりと私の肌を通り過ぎます。
でも、そんな感触さえ、愛しい。
「ゆっくり行く。痛いぞ。」 「はい」
私の頭をやさしく抱え、ゼルガディスさんが入ってきました。
「ああああっ・・・」 「くっ・・・」
痛い。
痛い。痛い。痛い。
痛い。痛い。痛い。痛い。
そこにあるだけで辛い。抜いてほしい。
でも。
「きもちいいです。ゼルガディスさん・・」
「無理するな、アメリア 駄目だったら、止めればいい」
「体はやっぱりちょっと痛いですよ。でも」
「心が、とっても、気持ちいいです」
「アメリア・・・・・!」
ゼルガディスさんが優しく動きます。 ざらざら。ごりごりした感触。
痛いけど、でもそれ以上に、ひとつになれたことがこの上なく嬉しい。
肉体の苦痛に疼きながら、心では至福の瞬間を味わって。
私の中からなにかがぬるりと溢れ、2人の動きを手伝って。
痛み。振動。飛び散る汗。体温。腕。体と体のぶつかり合う音。
ゆがむゼルガディスさんの顔。 求めあうひとつのかたまり。
「あ・・ああああっ!!」
こういう声って、こうして出るだなんて知りませんでした。
出さずには、いられないものなんですね。
「あ・・あああっ!!」 動きが、激しくなりました。
痛いです。未知の特殊な力持つ魔族に、体の中を直接掻き回されて、
攻撃されているような痛み、と言っても過言ではないかも知れません。
痛いけどでも、でも、でも・・・・
とっても幸せ。
「アメリア・・悪い、ちょっと我慢してくれ・・・」
動きがより一層早くなり、 私は耐えるだけで精一杯になりました。
でも、ゼルガディスさんが気持ちよくなってくれている、と思うと 凄く凄く嬉しくて
どろっ
何かが、私の中から大量に出てきた気がしました。
「やっ・・・そこっ!!」
「ここか?」
ぐい、っと力強く、その部分を攻めました。
「ああ、、やっ・・」
「ん・・こうはどうだ?」
「きゃあああっ!!」
快感が走り抜けました。
ごつごつした部分が触れると、特に。
気持ちいい。さっきまで痛くてたまらなかったのに、
きもちいい・・・
ゼルガディスさんが、そこばかりを狙って小刻みな動きをします。
「あっあっあっあっはっ」
動きにあわせた声が漏れてしまいます。
気持ちよくて、朦朧とします。
「可愛いな、アメリア・・・・」
優しくキスをしてくれました。べったりと汗が混ざります。
「俺、もう・・・」
そこを中心に、今までにないくらいの激しい動きをしました。
「やあああああああっ!!!」
喉が枯れるくらいの声。
ほとばしる快感と痛みで、ご近所への心配なんて出来なくて。
ゼルガディスさんの熱くて白い液体が私のふとももに放たれた時、
私は動けなくなっていました。
「ほら」
汗をふいてくれたゼルガディスさんは、
自らの口にくい、っと水を含み、動けないでいる私の唇に、
咳き込まないように少しずつ、流し込んでくれました。叫び乾いた喉が生き返ります。
優しい・・・。
「私、幸せです。」
「俺もだ」
「大好きですよ。私のキメラさん」
「ああ、大好きだ。俺のお姫様。」
「だから、ココの岩部分に私の名前彫っちゃえ〜♪」
「こら!それは痛い上に恐ろしすぎるっ!!」
こうして、とっても幸せな
キメラとお姫様の物語は始まったのです。
めでたし、めでたし。
なーんて、ね。