「本当にもうっ、何処に行っちゃったんでしょうかね。リナさん達は………」  
いつもの事とはいい、美味しいものを食べに行くと言って出て行った2人を心配し、土砂降りの雨が降り出した窓の外を見つめて、アメリアはそう呟いた。  
「そうだな」  
特に気にした様子も無く、魔道書を読みながら返事を返すのはゼルガディス。  
「もうっ、本当にゼルガディスさんは冷たいんだから」  
ぶつぶつと文句を言いながら、本当に大丈夫かな、と外を見ながらアメリアは心配そうにため息をついた。  
「お前が心配したところで、雨が止むわけでもないだろう。それにあいつらの事だ。どっかの酒場で酒でも飲みながら雨を止むのを待ってるさ」  
確かにゼルガディスの意見は正しい。  
それでも、心配しないのは正義に外れるっとばかりにアメリアはため息を漏らしていた。  
「ところでアメリア」  
「はいっ」  
「お前は何でここにいる?」  
ここはゼルガディスの部屋である。  
アメリアはアメリアで部屋を取っている為、ここにアメリアがいるのは自然なようで、不自然なようで…………  
「…………」  
しばらく考え込んでぽんっと手を叩き、にっこりをアメリアはゼルガディスに微笑を返した。  
「リナさんがゼルガディスさんが悪いことをしないように見張ってろって」  
「……………」  
頭を抱え込んでゼルガディスは大きなため息をついた。  
 リナの奴…………わざとだな。  
出かけ際に、リナが『じゃゼル、がんばって!』と言った意味がようやくわかった。  
 ふざけた事を…………  
苦笑し、ゼルガディスはパタンと本を閉じた。  
「ゼルガディスさん?」  
 
不意に目の前に立ったゼルガディスに、不思議そうに声をかけるアメリア。  
 少しは危機感を持ったほうがいいんじゃないのか?  
余りの無防備なその表情に、つい兄のような感情を頂いてしまうのは仕方が無いこと。  
それだけ、アメリアの表情+態度は無防備そのものなのだから。  
「で、アメリアは俺がどんな悪い事をすると思ったんだ?」  
息がかかるくらいまで近づき、いたずらっぽい表情を浮かべてゼルガディスはアメリアに告げた。  
「えっと…………」  
目の前のゼルガディスに照れてか、顔を少し赤くしながらアメリアはその距離を離そうと試みるが、1歩離れれば、1歩近づき、また1歩離れれば1歩近づき…………繰り返し。  
とうとう壁際まで追い詰められてしまった。  
「ゼッ、ゼルガディスさん………」  
「ん?」  
「ち、近づき、近すぎですよぉ」  
真っ赤になってゼルガディスの体を押し返そうとするその表情が、なんとも堪らない可愛さで……  
「近いと、何か不都合でも?」  
今にも笑いそうなのを押し堪えてゼルガディスはアメリアの唇寸前のところまで顔を近づけた。  
「ほんとにもうっ、やめてくださいよぉ、ゼルガディスさん」  
これ以上赤くなれないというくらいまで顔を赤くして、アメリアは声を上げた。  
「トマトみたいだな」  
「えっ?」  
「トマトみたいに赤いな。………林檎ってのもありだな………」  
「はぁ?」  
「食ったらうまいか…?」  
「へっ?」  
きょとんとした表情見上げた刹那、ゼルガディスの唇がアメリアの唇を奪った。  
「んんっ…………」  
しゃぶりつくように口の中に舌を侵入させて、味わうように舌を動かす。  
「甘いな………」  
 
少し笑みを浮かべながら、まだびっくりしてるアメリアに告げると、ゼルガディスはいきなりアメリアをお姫様抱っこし、ベッドにトンッと寝かせた。  
「ゼッ、ゼルガディスさん…………駄目ですよ。リナさん達が………帰って………んっ…あっん」  
アメリアは首筋にキスをされ、抵抗しながらも甘い声を上げる。  
「まだ雨は止みそうにない」  
「でも………」  
「嫌ならやめてもいいぞ?」  
体への愛撫を止め、ゼルガディスはアメリアに尋ねた。  
無論、火照りだしたアメリアの体が、止めれるはず無いのをわかってのことだし、もし万が一嫌だといわれても、止める気は無かったのだが。  
「うっ」  
「どうする?」  
「………ください」  
「ん?」  
「続けたい、…です」  
 もうこれ以上言わせないでくださいっ。  
半泣き状態でそう言って、アメリアは自らゼルガディスの唇にキスを落とした。  
 
「はぁ………んっ」  
甘い吐息がアメリアの口から漏れるたび、体がピンクと反応し、ゼルガディスの心を熱くさせていく。  
くちゅくちゅと音を立てて、その豊満な胸の先端を吸っては転がし、もう片方を手でこねくり回す。  
指の間から零れ落ちそうになるその膨らみは、柔らかく、暖かくゼルガディスの冷たい手に、人としての温もりを移してくれそうだった。  
いや、移してくれる、ゼルガディスはそう思っていた。  
アメリアを感じるたびに、人としての心が体の中で疼き、また葛藤の原因ともなる。  
「ゼル、ガディス、さん…………」  
甘い声がこぼれ、ぎゅっとシーツを握り締めるその行為すらも愛しい。  
「わたしばっかりじゃ、…………ずるいです」  
そう言うと、アメリアはゼルガディスのはちきれんばかりにそそり立ったそれを口に含んだ。  
大きなそれは、アメリアの口には到底全部収まりきることは出来ず、それでもアメリアは口いっぱいに唾液を溜めて、じゅるじゅると音を立てては、上下に運動させる。  
快楽が襲う中も、ゼルガディスはアメリアの胸の突起を摘んだり、転がしたりと、愛撫の手を休めることはない。  
「んぅ………は、んっ」  
ゼルガディスを喜ばしたい一身なのか、感じながらも、アメリアは拙い舌使いでそれを放そうとはせずにいる。  
「………アメリア」  
「ふぁい?」  
口に咥えながら上目使いでゼルガディスを見つめ、返事をする。  
「乗れ」  
軽い体を持ち上げ、ゼルガディスはアメリアを自分の上に乗せた。  
 
「あっ………」  
さっきまで自分の口の中にあったものが、唐突に自分の中に侵入してくる。  
「やっ…………」  
「この方がお前が見える」  
そう言われた瞬間、かっと頬が赤くなるのがアメリアもわかった。  
「ゼルガディスさんのエッチっ!」  
本当に愛らしい表情をするアメリアを壊さないように、ゼルガディスはゆっくりと腰を動かした。  
「ひゃんっ」  
突き上げられる快感に先ほどとは違う声を上げ、悶え、戸惑う。  
「ゼ…ルガデ…………ィスさん。………あぁ………だめっ」  
「あん………………はぁ………ひぃ…ん」  
胸を上下に揺らし、快楽を貪るように動く、動かされるアメリア。  
 お前が欲しい………  
心にこみ上げてくる感情にふっと自嘲気味に微笑むと、ゼルガディスはさらに動きを早めた。  
「ひゃ…………いっ、ちゃ………う」  
「…………」  
「ゼル、………ガディス………さんっ」  
名を呼ばれると、体中が熱くなり、もっとアメリアを感じていたと、そう思ってしまう。  
突き上げれば突き上げるほど、よがり声を上げるアメリア。  
「はぁ、…………もうっ…………だめ、です」  
「俺も、限界だ」  
いつもより激しく締め付けてくるアメリアに、ゼルガディスも限界寸前だった。  
「いっ、………しょに、イッてくだ、さい」  
「ああ」  
刹那、ぎゅっと体を硬くして弓のようにアメリアの体が反り、ゼルガディスの熱いものがアメリアの体に注がれた。  
 
絶頂の後、アメリアはくたっとそのままゼルガディスの胸の上に倒れこんだ。  
「アメリア?」  
 大丈夫か?  
そんな心配の声に、アメリアはコクンと頷いて、ゆっくりと目を閉じた。  
「もう少し、このままで、………いてください」  
「ああ…」  
外はまだ雨が降っている。  
まだ当分リナ達が帰ってくる心配はなさそうだ。  
ゼルガディスは隣で今にも眠りに入りそうな少女の頭をなで、自らもゆっくりと瞳を閉じた。  
 

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