更に数年後、美しく成長したゲルダは今も元気に故郷の村で働いている。
年頃に育ったゲルダに求婚する男達は後をたたないが、ゲルダはそれらを全て断わっている。
村人達の間では、誰か想い人がいるに違いないとのもっぱらの噂だった。
そんな冬のある日、村の広場から懐かしいリュートの音色が響いてくる。
ゲルダははっと息を呑み、運んでいた洗濯物のかごを手から落とす。
駆け出すゲルダ。その先には懐かしいラギの姿があった。
ラギの胸に駆け込んでいくゲルダ。
激しく泣きじゃくるゲルダを優しく抱きとめるラギ。
長旅によってやつれてはいたが、それは長い間ゲルダが待ち望んでいた、
懐かしくて暖かなラギのぬくもりだった。
「ラギ、ラギっ!」
「ゲルダ…」
何度も何度もラギの名前を繰り返して泣くゲルダ。
そんなゲルダを優しく包むラギ。
まるでゲルダがラギに初めて出会った頃のように、優しく降る雪が静かに祝福するように
二人を包んでいく……。
「信じ続けていれば 思いはきっと届く」