アストレアと別れた後の智樹はまっすぐ学校へ向かい、盛大に遅刻した上で授業に参加した。  
 今日はエンジェロイドが誰も学校に来ていない。  
 だから、休み時間になるたびイカロスやニンフにトイレへ連れ込まれて膣内射精を求められることもない。  
 昼休みに屋上で弁当を食べた後にダブルフェラをされることも、ふらふらと現れたアストレアに物陰へ連れ込まれるも、逆襲して腰砕けになるまで犯しぬいたりするということもなく、ごくごく平和な一日だった。  
 
 放課後になり、新大陸発見部の活動に顔を出す気もないのでそはらと共にまっすぐ家へと帰り、家の前で別れて玄関の鍵を開ける。  
 
「ただいまー」  
「はい……お帰りなさい、マスター」  
 
 家に入るとすぐに、イカロスが出迎えに来ていた。  
 おそらくセンサーで智樹が帰ってくるのを察知したのだろう。  
 甲斐甲斐しく鞄を受け取るしぐさが妙に艶っぽく、思わず抱きしめたくなるが、堪える。  
 さすがに何の用意もなく玄関先でそういうことをすると、誰かに見られるかもしれない。  
 
 一度帰って早々玄関で致していたら宅配便の兄ちゃんに見られそうになった経験は智樹の中で確実に生きている。  
 
「……お帰り」  
「ああ、ただいま、ニンフ」  
 
 ニンフも同じように知っていたのか、居間へのふすまにもたれかかって出迎えてくれた。  
 出迎えの先を越されたイカロスに対して軽くヤキモチを妬いているらしく、どこか拗ねた様子なのが相変わらずかわいらしい。  
 
 そのまま智樹は自分の部屋で私服に着替え、一階にある台所へ降りて、冷蔵庫の中で冷えている麦茶を一杯飲む。  
 そうしてようやく人心地ついて、ふとイカロスはどこにいるだろうかと気になった。  
 特にやることもないので、探してみるとしよう。  
 
 居間ではニンフがテレビを見ている。  
 台所にいないのはわかりきっているし、風呂場にいる様子もない。  
 
 一つ一つ部屋を確かめながら家の中をうろついていると、庭へつながる縁側のある一室にイカロスがいた。  
 畳の床にぺたりと正座して、周りには大量の洗濯物。  
 どうやら取り込んだ洗濯物を畳んでいるらしい。  
 
 一枚一枚丁寧に畳んでは、自分の横に積み上げていく。  
 エンジェロイドだけあってかその仕事は正確で、畳まれた洗濯物の形は全て同じでしかもその動きには淀みがない。  
 ごくごくありふれた家事の一風景だというのに、思わず見惚れてしまうほどの美しさをそなえた、どこか懐かしさを覚えさせる光景だった。  
 
「……? マスター」  
「……ああ、イカロス」  
 
 智樹に気付いたイカロスは、洗濯物を畳む手を止めて振り向いてくる。  
 
 その顔を見て、智樹は自分がするべきことを思いついた。  
 
「いつも家事を頑張ってくれてるからな。イカロス、ご褒美をやるよ」  
「ご褒美……ですか?」  
「ああ」  
 
 立ち上がろうとするイカロスを目線で制し、座ったままのイカロスへとゆっくりと近づいていく。  
 イカロスのすぐ傍に立ち、体が触れるほど近づくころになると、イカロスは智樹の望むことを察して頬を染めた。  
 
「どうかな、イカロス」  
「……はい、マスター。ありがとうございます。……んっ」  
 
 二人の間に長い言葉は必要ない。  
 短い確認を交わしたそれだけで、イカロスは洗濯物を脇に寄せて智樹の体へと手を伸ばす。  
 
 イカロスは、智樹のズボンと下着を脱がし、既にいきり立ったペニスにそっと口付けた。  
 
「んっ、ちゅ……くぷっ……んふぁ……んんっ」  
「くぅ……いいぞ、イカロス」  
「ふぁ……い、ありがとうございます……まふふぁ……」  
 
 しばらく軽いキスを繰り返した後、ゆっくりと唇を広げて智樹のペニスを飲み込んでいくイカロス。  
 口の中は熱くぬめりを帯びて、ひらひらと踊る舌が裏筋やカリなど智樹の特に感じる部位を的確にねっとりとなぞり上げて快感を走らせる。  
 
 何度となく繰り返した行為で、既に智樹の感じる場所は全て熟知しているイカロス。  
 智樹の望むがままに踊るイカロスの舌は、時に激しく、時に優しく、智樹のペニスの上を這いまわる。  
 
 イカロスのフェラチオはこのように、いつも智樹のことを第一に考えてされる。  
 最初だけは。  
 
「んっ、んぐっ……ぐぼっ……んぉお……んむぐうぅぅぅぅぅっ!」  
「うぉっ! イカロス!?」  
 
 智樹に奉仕しているうちにイカロス自身もどんどんと興奮して、そのままフェラチオがエスカレート。  
 いつのまにやら智樹の全てを飲み込むディープスロートとなり、口だけではなく喉まで使っての奉仕をするようになる。  
 
 その間、イカロスは両手でがっちりと腰を押さえているので智樹は逃げ出すこともできず、自分の股間に深々と顔を埋めるイカロスの頭を掴んで彼女が奉仕に満足するのを待つしかない。  
 
「んちゅっ、ちゅぱっ……れろぉ……くぷっ……ちゅうぅぅ……」  
「くぁっ……イカロス、上手だぞ」  
 
 しかし智樹もこの行為を止めようとはしない。  
 自分の股間に張り付くように顔を埋めたイカロスが、口の中で縦横無尽に踊らせる舌の感触は他の何物にも代え難く、喉の奥の締め付けは膣内に勝るとも劣らない快感を智樹に与えてくる。  
 
 深く深く飲み込んで、苦しそうに表情を歪めながらも喉で亀頭をぴったりと包み込んでなされる奉仕も、舌を長く伸ばして見せつけるようにされる行為も、全てが刻一刻と智樹の射精感を高めてくる。  
 
「ぁ……んっ……じゅず、ぐぷっ……ぴちゃっ……もうすぐ……れふか、まふふぁ……じゅずるるるるるっ」  
「うぅぅあああああっ! あ、ああ……イカロス、もう出るぞ……っ!」  
「ふぁい……どうぞ……全部、私の、口に……んぐぅぅぅぉぉぉぉっ!?」  
 
 口の中一杯に溜められた唾液の中で溺れそうになるほどの激しいフェラチオ。  
 最後に、智樹のほうからイカロスの頭を掴んで腰を突き出し、イカロスの口内に肉棒の全てを突きこんで、最奥で射精した。  
 
 イカロスは目を見開き、苦しげなうめき声を上げながらも直接食道にたたきつけられる精液を嚥下しつづけ、一滴もこぼすことなく飲み干した。  
 
 
……ぬぽっ  
 
 全ての白濁を注ぎ終え、イカロスの口からペニスを抜くときに、そんな音がした。  
 イカロスの口内は膣内と見紛うばかりに蕩けていたのだから、それも当然か。  
 
 射精によって多少硬度を失った智樹自身は、しかしまだ天を向いて屹立している。  
 
「んぐ……はぁっ……はぁ……」  
 
 半ば自分からした激しい行為とはいえ、さすがに息が切れるイカロス。  
 しかし涙の膜がかかった瞳にも、うっとりと朱に染まった頬にも、決して嫌悪の表情は浮かんでいない。  
 
 太陽が茜色に染まり始めたこの時間、周囲に散らばる洗濯物の中に座る、赤く火照った肌を持つ淫靡な少女の艶姿には、言語にしがたい色気があった。  
 
「イカロス……」  
「マスター……ご褒美、ありがとうございました」  
 
 呼び掛けるとすぐに答えたイカロスは、目の前に揺れる智樹の逸物を見つけ、感謝の言葉を述べて、智樹を清めるために再び熱く蕩ける口を開いた。  
 
 
 このように、炊事洗濯掃除などなど、家事一切をしてくれるイカロスへの「ご褒美」は毎日欠かさず与えられている。  
 

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