イカロスへの「ご褒美」を終えた智樹は、夕飯までのやるべきことのない時間を居間で過ごすことにした。  
 
 居間には例によってニンフがいたが、いつものようにテレビを見ているのではなく、マンガを読んでいるようだった。  
 ニンフが読んでいるのは何度か主人公が代替わりしつつ続いている奇妙な冒険物語のマンガで、そういえば最近よく読んでいるのを見ることがあった。  
 中でもお気に入りは第三部らしく、15巻目と21、22巻目が脇に置いてあるのが見える。  
 
 熱心に黙々と読んでいる様子ではあるが、智樹が入ってきたのに気付いているらしく、時折ちらちらと様子をうかがう様子が可愛らしく、どうやっていじってやろうかという思いが智樹の中にふつふつと湧き上がってくる。  
 
 ひとまずは、ニンフの隣に座ってみることにした。  
 
 隣とはいっても、ぴったりと密着するわけではない。  
 腕一本分ほどの距離を置いて、触れ合いたいならば体を寄せなければならない程度の微妙な位置を取る。  
 
「……なによ」  
「いや、なに読んでるのかなと思ってさ」  
 
 問いかける声はとげとげしく、見つめる目は湿り気を帯びた半目。  
 アンバランスなその様子は、すぐ隣に来てくれる、という期待を裏切られたからだと自惚れることができる程度にはニンフとの仲が良いという自覚がある智樹である。  
 
 それこそ、こんなことをしても許してくれると信じるくらいには。  
 
「それっ」  
 
 掛け声ひとつ、ニンフの両脇から腕を入れ、華奢な体を持ち上げて胡坐をかいた自分の膝の上に引き上げた。  
 
「きゃっ!? ちょっと智樹、なにするのよ!」  
「んー、何って、俺もそれ読みたいから。こうすれば一緒に見られるだろ?」  
「だ、だったら貸してあげるわよ、ほらっ」  
 
 そう言って、顔を真っ赤にしてマンガを押し付けようとするニンフだが、それでは面白いはずもない。  
 ニンフの手を掴んで前に回し、二人で読めるようにする。  
 
「いやいや、俺はニンフと一緒に読みたいんだよ。……駄目かな?」  
「んっ、わ……わかった、わかったから耳に息かけないで……っ」  
 
 耳の穴の中へと滑り込ませるように囁くと、目を閉じ背筋をゾクゾクと震わせておとなしくなるニンフ。  
 こうしてべたべたとスキンシップをしようとすると、毎回律儀に変な意地を張ろうとするところがかわいいやつである。  
 
 そのあとは、二人揃ってマンガを読むことしばし。  
 だが、ニンフも智樹もその内容が頭に入っているかどうかは怪しいものである。  
 
 智樹は腕の中にニンフの体をすっぽりと抱き締め、時折顔や胸元をくすぐる髪の感触と、うっすら立ち上る少女特有の甘い香りに心奪われている。  
 ニンフはニンフで自分を動けないように取り囲む智樹の腕と、うなじにかかる吐息にちろちろと脳髄をあぶられ、全身で感じる智樹の体温にうっとりとし始めた。  
 
 だから、智樹がマンガからふと目を逸らしたのも、それと同時に後ろを振り向いたニンフと目が合ったのも、そのまま吸い寄せられるように唇を重ねたのも、無理からぬことだと言えるだろう。  
 
「んっ、ちゅ……ちゅぷっ……はぁ……んっ」  
 
 朝のような激しさはない、お互いに唇を擦りつけるだけのキス。  
 しかしそれ以前から興奮し続けた二人の最後の枷を外すには十分すぎる刺激であり、段々と吐息が熱を帯びていく。  
 
「んー……ちゅうぅ……なあ、ニンフ」  
「んくっ……な、なによ……トモキ」  
 
 一方的に強く唇を吸った智樹が口を話すと、まだ物足りないのかニンフは拗ねたような甘えるような表情を浮かべてくる。  
 思わずニンフの望むとおりにキスを続けてあげたくなるが、智樹はぐっと我慢する。  
 
 もう、キスだけでは収まりがつかないのだから。  
 
 ズボンの中、はち切れそうなほどに膨らんだ物を、いまだ自分の膝の上に乗っているニンフの柔らかい尻房に擦りつける。  
 
「こっちも……してくれるか?」  
「きゃっ!? ……わ、わかったわ……」  
 
 顔をますます赤くして、それでもニンフは素直にそう言った。  
 
「ちゅ……れろっ……くぷ、ちゅうぅぅ……んんー……ぐぷっ、ぐちゅ」  
 
 先ほどまで腰を落ち着けていた智樹の膝の間に、今は顔を埋めて奉仕するニンフ。  
 
 小さな口を一杯に開き、上気した頬と潤んだ瞳を隠すことなく、喉を突く智樹の亀頭に整った眉をハの字に寄せながらも吐き出そうとすることも、口の中で踊る舌を止めることもしようとしない。  
 
 そうして喉の奥まで飲み込んで智樹を楽しませたあと、今度はゆっくりと吐き出していく。  
 唇を強くすぼめてしごきながら、舌で幹をくすぐるのも忘れない。  
 時折音を立てながら吸いついて智樹の耳を楽しませ、頬の内側の粘膜に亀頭を擦りつけて表情が歪む様すら見せてくれる。  
 
 それほどに淫らな奉仕を行っているのが、こんなに小さな体のニンフだということが、智樹の心に得も言われぬ満足感を与えた。  
 
「んんー、ちゅっ。はぁ……はぁ……うん、これだけ濡れてれば……ぴちゃっ……大丈夫よね」  
「くぁっ!?」  
 
 そうして先端に達したニンフは口をはなし、それまでは根元を支えていた手で肉棒をしごき始めた。  
 
 小さな手のひらと細い指が、滑らかな極上の感触で智樹を掴んで撫でまわす感触に、思わず智樹の口から声が上がる。  
 
「んふふふっ。なぁに、トモキ。こういうのがいいの?」  
「い……いや、別にそういうわけじゃ……おぉおう!」  
「嘘ばっかり。こんなにびくびくさせてちゃ説得力無いわよ。ほら、ここを強く擦られるのが好きなんでしょ?」  
 
 智樹の反応に気を良くしたか、どうやらニンフの中のドSなスイッチが入ってしまったらしい。  
 赤い頬に蕩けた目でアヤシイ笑みを浮かべながら、夢中になって智樹を素手で攻め立てる。  
 
 親指と人差し指で作った輪で根元を強く握りしめ、そのまま握力を緩めることなく上下にしごきたてると、それだけで腰の奥から快感が引きずりだされるような心地で智樹のあごが上がる。  
 空いた手も休むことはなく、親指で裏筋をぐりぐりと押しつぶしながら人差し指を尿道に突き刺して先走りを飛び散らせ、残りの指はカリを弾いてくる。  
 
「あ、ああああっ! 二、ニンフ……お、おれもう……っ!!」  
「あら、もう駄目なんだ。でもいいわ。思いっきり出しなさい、トモキ」  
 
 そうして一度に押し寄せるいくつもの快感に、智樹の我慢はあっさりと限界を迎える。  
 ニンフが根元の指を緩めると同時、それまで抑えられていた白濁が一気に尿道を駆け上がり、出口を押さえていたニンフの指との隙間からあふれ出た。  
 
「きゃっ!? あ……すごい勢い……それに、量も……」  
「くぁ……はぁぁぁ〜……」  
 
 智樹の噴出の勢いはすさまじく、ニンフの指に抑えられていたこともあってあたりに飛び散り、ニンフの手はもちろん顔まで飛んで彼女を白く汚した。  
 うっすらと開いた智樹の目に映るのは、悲鳴を上げながらも嬉しそうに微笑んで自分の手に着いた白濁を短い舌で懸命になめとるニンフの姿だった。  
 
「はぁ……はぁ……気持ちよかったよ、ニンフ」  
「……ふん、私がしてあげたんだから、当たり前でしょ。ほら、綺麗にしてあげるからもっとこっちに寄せなさいよ」  
 
 そう言って再び智樹のペニスに手を伸ばすニンフの瞳は、期待と性欲に爛々と輝いていた。  
 
 
 こういったニンフとのスキンシップも、暇さえあればいつでも行われている。  
 

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