ニンフとのコミュニケーションをたっぷり楽しんだ後、そのまま居間でまったりとマンガを読んだりテレビを見たりしていると、ほどなく夕食の時間になった。
台所から出来上がった料理を次々運ぶイカロスと、智樹の腕の中から抜け出してそれを手伝うニンフ。
湯気の上がる皿に盛られているのは、じゅうじゅうと音を立てて油のはじける揚げたてのトンカツと、みずみずしい千切りレタスに真っ赤な四つ切りトマト。
ふっくらと炊きたてのご飯を茶碗に盛って、みそ汁から漂う出汁の香りを嗅いでいれば、否が応にも期待が高まり、途端に空腹が意識される。
そう、目の前でちゃぶ台にかじりついてよだれを垂らしながらトンカツを見つめるアストレアのように……。
「って、アストレア!? お前いつの間に!」
「なぁっ!? なによトモキ。イカロス先輩が誘ってくれたんだから別にいいじゃない! ……じゅるり」
「いや、別にいいけどさ……」
一度半ば無理やりのように家で食事を与えてからこっち、大体週に二、三度は家に寄って食事を食べていくようになった。
寒空の下で腹を空かせているのよりはいいのだが、家主に一言もなく食卓についてひと際大きいどんぶりを抱えて目を輝かせているあたり、さすがの欠食児童っぷりである。
そんなアストレアを交えての食事は、いつも慌ただしく過ぎていく。
最初に食事を振舞った一件以降、隙あらばおかずが略奪されるとでも思っているのか智樹とニンフの様子を逐一窺いながら、自分のおかずに箸を伸ばしている。
しかし、そんな警戒の最中でも料理に対する感動を忘れないのがアストレアの美点である。
恐れ多いとでも言うようにそっとトンカツに箸をつけ、さくりと一口かじりついては衣の風味と溢れる肉汁、そして衣にしみ込んだ濃厚なソースの美味に体を震わせる。
ふっくらしたご飯をはふはふ言いながら頬張り、もぐもぐと嬉しそうに咀嚼する。
みそ汁から湯気と一緒に立ち上る出汁の香りにうっとりとして、朱塗りの椀に口をつけては満足そうな溜息をつく。
箸休めの漬物に手を伸ばし、ポリポリと小気味いい音を立てて齧り、またご飯を口いっぱいに放りこむ。
見ているこっちまで幸せになってくる、いっそ見事なほどの食事風景だった。
こんな風に食べてもらえれば、作っている方もそれは幸せだろうと思い、イカロスのほうをうかがえば、案の定。
いつも通りの無表情ながら、どこか優しげな目でアストレアを見つめていた。
そして、そんな二人に隠れてニンフはアストレアのトンカツに大量の辛子を仕込み、それを食べたアストレアの様子を想像してほくそ笑んでいた。
と、そのように団欒とすったもんだのブレンドされた賑やかな夕食が終わり、智樹は風呂に入ることにした。
なんとなくテレビのバラエティ番組を眺めている間にイカロスとニンフが風呂に入り、あとは智樹が入るだけになったようだった。
テレビを消して風呂場に向かう。
最近では、智樹が風呂に入るころには脱衣所に智樹の分の着替えとタオル類がイカロスの手によって用意されているので、わざわざ部屋に取りに戻る必要がない。
そのあたりへの感謝をこめて、洗い物をしているイカロスの頭を撫でてから、脱衣所へと向かった。
薄暗い廊下の向こう、他の部屋とは違うデザインの引き戸の中に、風呂場がある。
今日は少し寒いから、少し熱めの湯船がそれは心地良いだろうと期待して、その戸を開いた。
すると。
「……え?」
「……お?」
脱衣所に、上半身裸でぱんつを下ろそうとしているアストレアがいた。
風呂を沸かしてから大分経つはずなのに、湯船からはいまだ湯気が立ち上っている。
風呂場の中の湿度は高く、そのせいもあってか洗い場で体を洗う時にもそれほど寒さを感じない。
さっきまでイカロスとニンフが風呂に入っていたから、その時湯気をこもらせて十分に温めておいたのだろう。
一歩外に出れば何から何まで抜けているところの目立つイカロスではあるが、ことこういった家の中の諸事に対する気遣いにおいては智樹の知る限り並ぶものがない。
湯気の煙る浴室の天井へ向け、イカロスへの感謝の念と共に満足げな溜息を一つ付いて、日々の小さな幸せをかみしめる智樹だった。
そしてそんな快適な風呂場の中で、智樹は今背中を洗っていた。
「んっ……んしょ……んんっ」
「あはは、ちょっとくすぐったいな」
「な、なによぅ。アンタが……んくっ……やれって、言ったんでしょっ」
ただし、手ぬぐいでもスポンジでもなく、アストレアの胸で、である。
脱衣所で鉢合わせした智樹とアストレア。
アストレアは顔を赤くし、近くにあったタオルを引っ掴んでかがみこんだが、智樹はそんな程度で照れる段階はとうに超越している。
何事もなかったかのように服を脱ぎ、混乱で頭の回っていないアストレアを言葉巧みに説き伏せて一緒に風呂に入ることになった。
始めは二人で入るには少し狭い湯船の中で、肘やら肩やらを触れ合わせながら温まっていたが、体を洗う段になり、智樹がアストレアに頼んだことが「これ」である。
「背中を流してくれないか、アストレア」
「なっ、なんで私がそんなことっ」
「頼むよ」
「〜〜〜〜〜〜っ!」
と、そう言ったわけで今に至る。
椅子に腰かけた智樹の背中に、ボディソープで泡まみれになったアストレアの胸が押し付けられる。
肩甲骨の下あたりでむっちりと柔らかくも温かいアストレアの胸がつぶれ、そのままボディソープの泡でぬるぬると滑りながら智樹の背を上り、肩からぷるんと弾け出す。
どんな極上の絹でもかなわない感触と、その中に小さく、だがしっかりと感じられる固いしこりが背中を擦り、智樹はゾクゾクと体を震わせる。
そして、上りきってしまえば今度は降りるのが運命。
肩にずっしりとアストレアの巨乳の重量感がのしかかり、一瞬後にはまたつるりと滑って智樹の背中に、張りつめた乳肉の感触が与えられる。
さっきとは逆向きにずりずりと智樹の背を降りていき、腰の上あたりに辿り着いたところで智樹の体に抱きつくように回された腕がきつく締められ、アストレアの胸がひしゃげるのが感じられる。
智樹に触れる力が強くなれば、アストレアとの距離が近くなるのもまた当然のこと。
胸だけではなく頬までも智樹の背に押しつけて、智樹を扱き上げるように伸び上がっていく。
「はぁっ……はぁっ……んんーっ」
「気持ちいいのはいいけど、ボディソープまみれの背中は舐めるなよ、アストレア」
「は……っ!? そ、そんなことするわけないでしょ!? バ、バーカ!」
なんとなくアストレアの息が荒くなってきた気がして釘をさすと、焦ったように罵倒してくる。
これは、智樹が止めなければ確実に背中を舐め上げていたことだろう。
このままだと放っておいてもそのうち泡まみれの背中に舌を這わせてくるだろうし、そうして腹を壊させるのも忍びない。
ここは、そろそろ背中を流してもらうのは終わりにするべきだろう。
「ありがと、アストレア。もういいぞ」
「えっ……。そ、そう……」
最初はしぶしぶといった様子だったのに、既に自分自身快感を得ていたからか、止められるとそれはそれで不満な様子のアストレア。
智樹がシャワーでアストレアの体を流してから自分の背中を流しつつ、ちらりと様子を窺うとアストレアが赤くなった顔を切なげに歪め、もじもじと太ももを擦り合わせているのが見える。
まったく、心配することはないというのに。
「それじゃあ、次は前を頼めるかな」
「ふぇっ?」
智樹の言葉の意味をとっさに理解できず、呆けているアストレアの目の前でぐるりと体を真後ろ、アストレアへと向ける。
浴室のタイルの上にぺたりと尻をつき、目を丸くして智樹を見上げるアストレアの唇のすぐ先に、いきり立った智樹のペニスが躍り出た。
アストレアに背中を流してもらったせいでこれ以上ないほどに反り返った智樹のペニスは、アストレアの目をくぎ付けにしてびくびくと震えている。
呆然と智樹の下半身を見つめるアストレアの唇からか細くこぼれる吐息にくすぐられるとそれだけでも快感が走り、いっそアストレアの頭を掴んで無理やりにでも口の中にねじ込みたい衝動がこみ上げてくる。
アストレアならそれでも受け入れてくれるだろうが、それではいつもと変わらない。
せっかく一緒に風呂に入っているのだから、そのシチュエーションを生かさない手はないだろう。
「ほら、今度はこっちも……な?」
「あっ、えー……うー……う、うぅぅぅぅぅぅ〜っ」
あちらこちらに視線を飛ばし、それでも智樹の前から動こうとしないアストレア。
時折ちらちらと興味深げな視線を智樹のペニスへと向けて、しばらく葛藤していたようだったが、結局最後にどうなるかは決まり切ったことである。
「んっ」
「くぉっ」
今にも爆発しそうな智樹のペニスが、はち切れんばかりのハリを誇るアストレアの胸に挟まれた。
「はぁ……はぁ……んしょっ、んしょっ……んんーっ」
「あ……っはぁ……くうーっ、い、いいぞ、アストレア」
下腹に張り付きそうなほどにそそり立つ智樹のペニスは今、前後左右全てから柔らかな肉に包まれ、抑えつけられている。
両手で掴んだアストレアの乳肉がゆっくりと持ち上げられるのに従って全体が余すところなく擦り上げられ、亀頭まで達したところで両側からさらに押し付け、ずるりと一気に引きずり下ろす。
「あぁぁ……っ、ううぅぁぁ……」
「んっ、……しょっ……あんっ……んんーっ、……ちゅぱっ」
両手で乳房を押し付け、持ち上げ、落とす。
智樹を挟み込んだまましばらくそれを続けていたアストレアだったが、どうやら我慢が出来なくなったらしくついに口を使い始めた。
それまで上下に揺らしていた胸をどっしりと智樹の太ももの上に据え、飛び出た智樹の先端を口に含む。
さっき智樹の背に舌を這わせようとしていたせいもあってか、アストレアの口内は唾液が溢れ、唇の粘膜がカリを包むと、その瞬間にクリームのごとく蕩けたように錯覚した。
そして、すぐに伸ばされた舌も智樹の亀頭を激しく這いまわる。
べったりと押し付けられた舌が裏筋を舐め上げ、頂点に達すると同時に尿道へ突き刺さり、湧き出る先走りをすすりこむ。
くるりとカリ全体を弾くようにして舌を回し、自分の胸に顔を埋めるようにしてより深く智樹のペニスを唇の中へと飲み込んで、口中の粘膜で智樹を包んでいく。
「んぐっ、じゅるっ……んむっ、ぷぁっ……んちゅうぅぅぅぅぅぅっ」
「はぁぁぁぁああっ!? あ、アストレア……俺……もう……」
浴室の湯気の中、しっとりと艶を帯びた肌を惜しげもなく晒し、貪欲に智樹を飲み込むアストレアの奉仕によって、限界が近づいてきた。
アストレアの唇が立てる卑猥な水音も、時折顔にかかる髪をかき上げる仕草もたまらない。
体から湯気とともに立ち上る香りも、下半身にかかるアストレアの巨乳の柔らかい重みも全てが智樹への刺激となり、アストレアが最後の仕上げとばかりに唇で扱きあげる感触と相まって、智樹はついにアストレアの口の中へと思う存分白濁を吐き出した。
「んんーっ! んぶっ、じゅぼっ……んじゅるるるるるるるっ」
「は……ぁ……はぁっ……はぁっ……」
射精後の虚脱感に包まれた智樹が喉を逸らして荒い息をついている間、アストレアはずっと智樹の足の間から動かず、智樹のペニスを加えたまま、口内で受け止めた智樹の精液をうっとりとした表情で味わい続けていた。
こうした行為を、アストレアは「いっしゅくいっぱんのおんがえしよっ!」と言ってしてくれることが、遊びに来るたびほぼ確実にある。