風呂から上がった智樹は、どこか挙動不審な様子で顔を赤くし、智樹の部屋へと向かうアストレアと別れ、居間に腰をおろしてテレビをつけた。
イカロスもニンフもおらず、どうやら二人揃って智樹の部屋にいるらしいが、特に気にするほどのことでもないのでテレビに映るバラエティ番組に笑い声を上げる。
何やら頭上、智樹の部屋からごそごそと妙な音が聞こえてくるのが、智樹の期待を高ぶらせていった。
そうしてほどなく番組が終わり、そろそろ夜も更けてきた。
しばらく智樹の部屋から聞こえていた物音も今では止んでいる。
つまりは、頃合いということだ。
智樹ははやる心を押さえて一段一段ゆっくりと階段を上って行った。
家の二階、自分の部屋の前。
いつも無感動に出入りを繰り返すその扉が、今は桃源郷への入り口に変わっていることを確信して、ゆっくりと引き開ける。
そして智樹は、我が目を疑った。
部屋の中には、イカロスとニンフとアストレアの三人がいる。
それは予想していたことだ。
だが、部屋の内装が自分の記憶と全く違うものになっていた。
智樹の部屋は、机と本棚が置かれたごくごく普通の八畳の和室であり、長年住み慣れた経験からたとえ目をつぶっていても歩き回ることができる程度の広さしかない。
その智樹の部屋が、今はなぜか、10m四方の巨大ベッドに覆われていた。
壁の隅から隅まで足の踏み場もなく、きっちりとベッドだけが敷き詰められた部屋。
ベッドに敷かれたシーツは極上の手触りで、触れればさらりと指先を滑る。
四隅から伸びる柱に支えられた天蓋からは薄布が垂れさがり、どこにあるのかわからない淡い色の照明に照らされて、気だるげな雰囲気を部屋の中にふりまいている。
明らかに異常な、元の部屋の床面積よりも広い、豪奢なベッドである。
おそらくイカロスあたりがカードを使って空間を歪めたりして出したのだろう。
いっそ呆れるほどに荒唐無稽な使い道ではあるが、今の智樹はそう思わない。
いくつか大きなクッションが積み上げられたベッドの中央に、イカロス達がいる。
イカロスはしどけなく足を崩して座り、うっすらと赤く上気した頬で智樹を見つめている。
ニンフはぺたりと寝そべり、頬をシーツに擦りつけながら睨みつけるような視線を向けてくる。
アストレアは三角座りで所在なさそうに視線をあちこちにさまよわせ、ぱたぱたと羽根を揺らせている。
そんな、三者三様の様子で智樹を待ち構えるエンジェロイド達がいるのである。
智樹はにやけそうになる顔を抑えるのに必死で、部屋が改造されていたことを気に留める余裕などない。
むしろ、思う存分イカロス達と楽しめそうな状況を喜んでさえいた。
「マスター……」
「トモキ」
「……トモキっ」
三人に呼ばれるまま、智樹はベッドの上にその身を投げ出した。
「んッ……ちゅ、くぷッ……ぷぁっ」
「マス……ター……んっ、ちゅうぅぅぅ……れろぉ」
「んー、あ、イカロス先輩、わ、私にもさせてくださいよ……ちゅぱっ……れるれるれる……」
柔らかなマットレスに体を沈める智樹に、三人のエンジェロイドが絡みつく。
ニンフは智樹の頭を抱え込むようにしてキスをせがみ、智樹の肩に自分の胸を擦りつけながら舌を絡め合う。
時折口の端から唾液がこぼれると唇を離して丁寧になめとり、そのまま頬をついばみ、首筋に舌を這わせ、耳に熱い吐息を駆けてくる。
イカロスとアストレアは二人揃ってペニスへの奉仕に夢中になっている。
智樹から見て右側のイカロスと、左側のアストレア。
互いに微塵も劣らぬ巨乳美乳を露わにして智樹に押し付け包み込み、それでもはみ出た亀頭にイカロスがねっとりと舌を這わせる度にニンフに吸われる舌が震える。
何とか自分も参加しようとアストレアが伸ばした舌はイカロスが先端を譲ろうとしないためにカリをくすぐることになり、それがまた得も言われぬ快感となって智樹の全身を痺れさせる。
「んちゅっ……ちゅろ……ハァ……ハァ……トモキィ……」
「マスター、私の……舌、気持ち……いいですか?」
「わ、私のことも忘れるんじゃないわよ!? はぷっ、ずちゅっ……じゅろぉ〜」
智樹の体に舌を這わせる度に熱を上げ、ますます夢中になって激しい奉仕をしてくれるイカロス達。
脳が焼付きそうな刺激の中で、智樹は思う。
そろそろ、お礼をしないとな。
「んぐっ、じゅうるるるるるっるるっ」
「んん!? んお、れえあああああああ!?」
熱烈なキスをプレゼントしてくれたニンフには、智樹は持てる限り精一杯のテクニックで答えることにした。
後頭部を掴んで逃げることを許さず、喉に届くほど奥まで舌を差し込んで口内を舐め回し、自分の口の中にニンフの舌をすすりこんで唇と歯と舌で徹底的に揉みほぐす。
抵抗はほんの一瞬で、すぐにニンフから智樹の首に腕を絡めて積極的に舌を絡めてくるようになった。
最初はもっと翻弄してやるつもりでいた智樹だったが、目の前でとろりと蕩けた目を見せるニンフの様子を見るとこれはこれで悪くないので良しとした。
「きゃんっ、マ、マスター……そこはっ」
「んぐふっ!? んもごおおおおお!?」
柔らかく包み込む奉仕で楽しませてくれたイカロスとアストレアにもお礼が必要だ。
イカロスのほうは、空いた手で胸を鷲掴みにする。
少し掴みづらい位置ではあったものの、すぐにイカロスが自分の胸の下に腕を添えてこちらに向けて智樹の手の中に収めてくれたので、思う存分にイカロスの柔らかさを堪能する。
アストレアには、腰を突き上げて口の中へとペニスを突き込んだ。
突然のことにくぐもった悲鳴を上げるアストレアではあったが、半ば条件反射のように唇を窄めて唾液がこぼれるのを防ぎ、自分から頭を振って智樹の竿を扱いてくる。
雲に包まれるような快感に浸っていた智樹にとって、熱い唾液が溢れ、ぬめる粘膜が吸いついてくるアストレアの口内の刺激は強烈で、射精感が高まるのを感じた。
智樹の脳まで溶けよとばかりに舌をすするニンフと、豊かな胸を智樹の掌の中に押し付けるイカロス。
そして自分が苦しくても智樹を吐きだそうとしないアストレアの健気な様子に、智樹はついに限界を迎えた。
ビュク、ビュルルルルッ、ドプッ
「あ、ああ……トモキの……出てる。私も飲みたいよぉ……っ」
「ん……はっ……マス、ター……私にも、下さい……」
「けふっ、けふっ……あ、もったいない……ちゅる」
智樹の射精量の多さにアストレアは思わず口を離してむせてしまい、溢れて智樹やイカロス、アストレアの体にかかった精液を舐め取ろうと、三人のエンジェロイドは智樹の下半身へと顔を寄せた。
腹や足に落ちた精液へと顔を寄せ、舌を伸ばして舐め取るニンフはまるで犬のようで、どうしようもなく背徳的な空気を漂わせる。
イカロスとアストレアの唾液と精液の残滓にまみれたペニスを深々と咥えこみ、舌を這わせて吸いつきながら吐き出して清めるイカロスの表情はうっとりと染まり、奉仕の喜びに浸っている。
自分の体にこびりついた大量の精液を指で掬って口の中に収めたアストレアは、くちゅくちゅと小さな音をさせながら口を動かし、舌で智樹の精液を念入りに味わっているようだ。
智樹は射精後のけだるさの中でそんな三人の様子を眺め、この後は誰から味わうかに考えを巡らせていた。