イカロスとニンフとアストレア。  
 いずれ劣らぬ魅力を持った美少女三人が、絹のシーツにうっすらと柔らかい明かりが落ちる寝台の上で、惜しげもなく肌を晒しながら智樹の精に舌を這わせている。  
 先ほどの射精で智樹の体に飛び散ったものはイカロスとニンフが直接顔を寄せて舌で舐め取り、段々と下腹から智樹の胸へとのぼり、残り少ない精液を口の中で転がして味わっている。  
 アストレアは自分の体に付いた分だけで十分なのだろう、丁寧に自分の体を指でぬぐい、こびりついた精液をうっとりと眺め、時折鼻をひくつかせて匂いまで堪能してから指を口に含み、味わい尽している。  
 
 イカロスとニンフが精液を舐め取る仕草は愛撫と変わらず、アストレアの浮かべる表情は普段の明るくどこかバカっぽい雰囲気とはまるで違う色っぽさがあり、さほど硬度を失っていなかった智樹のペニスは再び腹に貼り付かんばかりに反りあがった。  
 
「あ……」  
 
 その様子に真っ先に気付いたのは、アストレア。  
 一人智樹から体を離していたために、智樹が再び臨戦態勢に入ったのを他の二人よりも早くに知った。  
 
「ん……マスター」  
「ぺろっ、れろっ……ん、くちゅくちゅ……ハァ……お、おいしくなんてないわよ!?」  
 
 ほとんどの精液を舐め取り、今度は智樹の体に舌を這わせている、という事実にうっとりと瞳をとろけさせるイカロスと、口の中に溜めた精液を舌で転がしてじっくりと味わいながらも恥じらいを見せるニンフは智樹の様子に気付かない。  
 
 アストレアは悩む。  
 
 今なら智樹を独り占めすることができるだろうが、そうしてしまえば残されたイカロスとニンフによって後が怖いことになる。  
 しかし、四人で一緒にしている今夜、この状況を逃すのはあまりにも惜しい。  
 内心の葛藤そのままにうろうろと視線をさまよわせたアストレアは、ふと気付く。  
 
 智樹の視線が、自分に向けられている。  
 
 未だ智樹の体を舐め続けるイカロスの頭を優しく撫でる一方、もう片方の手はニンフの太ももに這わせてその透明な羽をぴくぴくと震わせている智樹の目が、じっとアストレアのほうを向いている。  
 
「……ッ」  
 
 イカロスでもニンフでもなく、こんな時に自分だけをまっすぐ見つめてくれているということに胸が熱くなるアストレア。  
 両手で一糸まとわぬ自分の体を抱きしめるように包んだのは智樹に見られているという羞恥と一段と火照る体を抑えるためだったが、二の腕で自らの巨乳を両側から押しつぶし、卑猥に形を変えさせたのはむしろ智樹に媚びるためではなかったか。  
 半ば無意識の自分の行動を自覚し、ますます顔を赤くしながらも智樹から目が離せないアストレアを見て、智樹は表情を変えた。  
 
「……♪」  
「っ!」  
 
 にぃっ、と。  
 いっそ屈託ないというべきか。  
 唇の端を引き、目を細めて智樹が浮かべた表情は、まぎれもない笑み。  
 未だ少年の面影を残す智樹の顔が見せたのは、情事の匂いが籠る褥ではなくまばゆい太陽の下こそがふさわしい、そんな表情。  
 
 だが、アストレアは分かる。  
 智樹が浮かべるあの顔は、自分に命令しているのだ。  
 
――アストレアが、してくれよ  
 
「〜〜〜〜!」  
 
 イカロスとニンフに気取られないよう、声を上げることなく表情だけでアストレアに伝えたのは、奉仕の命令。  
 二人が気付く前に、アストレアが一人ですることを望んでいるのだと、主に尽くすエンジェロイドの直感と、何よりこれまで智樹と共に過ごし、何度となく肌を重ねてきた経験からすぐに理解した。  
 
 自分が考えていたことを見抜かれ、しかもお墨付きまで貰ってしまったことに、言いようのない羞恥を覚えるアストレア。  
 だが、智樹の望みに応えることは自分の望みでもあるし、あんなに反り返っているのに触ってももらえないのは辛いだろう。  
 
 そう自分に言い聞かせ、アストレアはゆっくりと智樹の体をまたいだ。  
 
 
「っあああああ!」  
 
 イカロスとニンフは、突如響いた声に驚き、羽をパサリと動かした。  
 振り向けば、そこには騎乗位で智樹の剛直を深々と埋め込んだアストレアの姿が。  
 自分たちが智樹への奉仕に夢中になっていた間に、先を越されてしまったのだ。  
 
「ああっ、デルタ、ずるい!」  
「マスター、ちゅっ……申し訳ありません、気付かないで……ちゅっ、ちゅぱ」  
 
 アストレアの抜け駆けに抗議の声を上げ、ツインテールの髪を振り回すニンフと、智樹が復活していることに気付かなかったことを詫びるために一層奉仕に熱を入れるイカロス。  
 こんな所も対照的な二人に頬を緩ませつつ、智樹はアストレアの奉仕に耽溺することにした。  
 
「んっ、あっ……や、やあっ、ふ、太いィ! んああああああっ」  
 
 智樹を受け入れてすぐ、アストレアは自分から動きだした。  
 しっとりと汗をまとい、後ろ手に体を支えて常夜灯にきらめく肢体を逸らし、智樹に見せつけるように全身を弾ませる。  
 
 いや、事実見せつけているのだ。  
 
 智樹の腹に手をつかず、後ろについたのがその証拠。  
 顎を引いて柳眉が眉間にしわを作る様子を隠さず、巨乳が揺れるように過剰なほどに上半身をゆすり、筋が浮くほど開かれた足はじゅぷじゅぷと激しい音を立てて出入りを繰り返す結合部を隠しもしない。  
 
「ん、いいよ、アストレア……っ」  
「べっ、別にっ……あんっ、私が気持いからよっ!」  
 
 素直な感謝の言葉に弱いアストレアは、顔を逸らして否定する。  
 しかし動きを止めることはない上に、発言内容はある意味自爆している。  
 
 そんな様子を見せられてたまらないのは、未だ智樹を受け入れていない二人である。  
 
「ふぅ〜ん、気持ちいいんだぁ」  
「なっ、きゃん! ニ、ニンフ先輩!? はあああんっ!」  
 
 激しく体を上下させるアストレアの顔の横から、にゅっとニンフが顔を出した。  
 じとっと半眼にすがめた目は横目で喜悦の声を上げるアストレアの横顔を睨み、肩に添えた左手は喰い込まんばかりに握りしめられている。  
 
 そして、ニンフが顔を出した瞬間から、アストレアの膣内はより強く智樹に吸いつくようになった。  
 入口がすぼまって智樹の根元を押さえつけ、うごめく肉襞がざわざわと智樹の竿を幾度もなぞっていく。  
 淫蜜を溢れさせながら降りてきた子宮口はアストレアが体を沈める度に智樹の亀頭に重く突き刺さって吸いつき、先端に口づけされているかのような感触を与えてくる。  
 
 そんなアストレアの膣内の動きが、ニンフに覆いかぶさられてから急に強くなった。  
 智樹から見えるところでは特に変化が無いところからするに、おそらくアナルに指でも挿しこまれているのだろう。  
 
 ニンフは複数での行為の際は、手持無沙汰になるとこうして他の二人を責めることがよくあった。  
 
「せ、先輩っ、あんっ……、しょ、しょこ違いま……やぁあんっ!? お尻の中で指曲げないでぇ!」  
「なによ、いいじゃない。どうせ後でしてもらうつもりなんでしょ? なら今のうちからほぐしておかなくちゃ」  
 
 アストレアに先を越されたことに不満げな表情を浮かべながらも、望む反応を引き出したニンフの瞳は加虐の愉悦に蕩け始める。  
 肩に置いていた手を脇の下から左胸の下へと通し、右胸を鷲掴む。  
 ニンフの小さな手はアストレアの乳肉の中に埋もれ、引き絞られた胸が震えるのに合わせてアストレアの体も膣内の襞もがくがくと震えが走る。  
 切羽詰まってきたアストレアの様子を、イカロスが胸板に固くなった乳首を擦りつけながらキスしてくるのに応えながら眺めていた智樹は、段々と腰の動きが疎かになってしまったアストレアに向かって腰を突きあげた。  
 
「ひああああああ! らめ、らめぇっ! い、今は突きあげないれぇ!?」  
「そんなこといっても、そんなすごいの見せられたら我慢なんてできないよ。なあ、ニンフ」  
「んふふ。そうよね、トモキ。ほらもっと頑張って腰振りなさいよデルタ。私も手伝ってあげるか……らっ!」  
 
「っ! ……んきひいいいいいぃぃぃぃぃ!?」  
 
 ニンフの掛け声とともに、アストレアの体が跳ね上がり、亀頭以外を吐きだしたアストレアがそれまでにない強烈さで締め付けてきた。  
 もしも全体を呑み込んだままされていれば射精していたかもしれない強さのそれは、ニンフがアストレアのアナルに付きこんだ指で、彼女の体を持ち上げたことによる。  
 目を硬くつぶって顎を限界まで引いたアストレアは、喉が引きつるような悲鳴を上げた後は智樹の亀頭を締めつけたまま呼吸ごと体の動きを止めている。  
 
 どうやらイっているようだ。  
 
 じきに意識を取り戻し、今度は体中を弛緩させ、智樹の体の上に倒れ込んでくるだろう。  
 ぐにゃぐにゃになった体を擦り付け、口の端から涎を垂らしながらキスをねだってくるかもしれない。  
 アストレアはそういった甘え方を好んでしてくることが多いのだ。  
 
 だがそれは全て、智樹がアストレアと同時に果てて、さらにニンフが背中に張り付いていなければ、の話である。  
 
 
「ん、イったわねデルタ。じゃあ次はトモキの番よ」  
「ふぇ……? ……へ!?」  
 
 絶頂直後でニンフが何を言っているのかすぐには理解できなかったのだろう。  
 驚いたようにニンフのほうを振り向いたとき、既にニンフは両手をアストレアの肩にかけ、ひじをまげてアストレアの頭の上に身を乗り出していた。  
 
 期待に満ちた表情を浮かべたニンフは。  
 
 そのままさらに体を乗り出し。  
 
 全体重をかけて。  
 
 アストレアの体を押し込んだ。  
 
 
「―――――――――ァッ!!!!!!!!!!」  
 
 アストレアの口から迸る悲鳴は、もはや声の形になっていない。  
 限界まで引かれていた顎は跳ね上がり、唾液にぬめる紅色の舌がこれ以上ないほど引き延ばされている。  
 惜しげもなく晒された白い喉は小刻みに震え、未だ声なき叫びをあげ続ける。  
 
 そして、極大の刺激に喜びむせるアストレアの膣内の最奥へと、智樹の白濁が吐き出され、同時にアストレアの意識も一瞬で白く塗りつぶされていった。  
 
 
 
「あらあら、デルタったら白眼向いてる。おっかしぃー」  
 
 ニンフと智樹によって許容量以上の快感を叩きこまれたアストレアは失神してしまい、未だ智樹に付き刺されたまま体を震わせている。  
 智樹自身まだ射精が終わっていないため、アストレアの膣内へと濃い精を注ぎ込む以外のことはできない。  
 
 じゅぷじゅぷと結合部から愛液混じりの白濁が溢れるころになってようやくおさまるのを待って、イカロスとニンフの二人にアストレアをベッドの隅に横たえてもらい、一息をつくことができた。  
 さっきの絶頂は、アストレアほどではないにしろ、智樹にとっても予想外に強い快感を与えていた。  
 
 股間から精液を吹き出すアストレアの顔の汗を丁寧に拭き取るイカロスと、けとけとと笑いながらアストレアを眺めているニンフの二人を見ながら智樹は呼吸を整える。  
 
 まだまだ、夜は終わらないのだから。  
 

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