この部屋に入ってから、どれほどの時間が過ぎたのだろう。
ふと智樹の脳裏に、そんな疑問がよぎった。
エンジェロイド三人による奉仕を全身に受けた後、わずかな休憩をはさんでアストレア、ニンフと続けて抱き、それから今まで。
体感ではそれほど時間が立っていないように思うが、誰のなにとも知れぬ液にまみれたシーツの端が生乾きになり始めているところからして、それほど短い時間のことでもないのかもしれない。
「んッ、ちゅ……ぷはっ、んぷ、れろれろ……ぁんっ」
そんな益体もないことを、イカロスの唇を味わいながら考えた。
ニンフをイカせてから、ずっとイカロスと唇をかわしあっていた。
唇に這わされた舌を口の中に引き込んで嬲り、逆にこっちの舌を差し出してイカロスの思うがままに吸いつかせる。
両手は互いの指の間に指を入れた、いわゆる恋人つなぎで離さない。
時折背筋を逸らして胸板に胸を押し付けてくる感触がたまらず、ますます深く唇を奪う。
それまで散々アストレアとニンフにばかり構って焦らしたせいか、赤く上気した頬を隠しもせず、気を引こうと必死に舌を絡めてくるイカロスの様子がどこか可愛らしくて、思わず頭を優しく撫でてしまう。
「んぁ……マスター、嬉しいです……もっと、もっとご奉仕しますね……あむっ」
「ああ、よろしく頼むよ、イカロス」
頭を撫でられただけなのに、イカロスの体を走り抜けた甘美な喜びは大きかったらしい。
智樹の顔を掴むように両手を伸ばし、ますます深く智樹の口の中へと舌を差し込んで、奥歯から舌の根元まで、イカロスの優しくも柔らかい舌使いでなぞり上げられた。
心地よいイカロスの舌に耽溺しながら、智樹はイカロスの体をゆっくりと楽しむ。
お互い一糸もまとわぬ全裸の姿で抱き合い、少しの隙間も作るまいと密着している。
智樹の胸板ではイカロスの柔らかな巨乳が二人の体の動きに合わせてむにむにと形を変え、時を追うごとに硬くなる乳首が智樹を擦る。
絡みつけた足は汗に濡れ、太腿どうしが触れ合うたびに吸いついては離れ、それだけのことですら得も言われぬ快感となる。
智樹の掌はイカロスの体中を這いまわり、イカロスの喉の奥から声を上げさせる。
脇腹をゆっくりとなぞり上げ、脇のくぼみを通って肩をさすり、羽の感触を楽しんだ後背骨を下り、両手で尻房に指が喰い込むまで握りしめる。
そんな智樹の緩い愛撫の一つ一つにイカロスは眉をひそめ、吐息を吐きだし、舌を震わせることで答えた。
だが、そんな優しい時間もじきに終わりを告げる。
「マスター、マスター、マスターっ」
「どうした、イカロス」
イカロスが、熱に浮かされたように体中を紅く染め、必死に智樹の名を呼び始める。
智樹の口にくらいつくようにキスをして、両手は狂おしいほどに智樹の背中を強く自分に抱き寄せる。
我慢の限界のようだ。
「も、もうだめです、私……私、マスターが欲しいですっ」
「……ん、いいよ」
ここからさらに焦らしても、イカロスは智樹の望むままに羞恥に満ちた表情を見せてくれるだろう。
だが、これまでアストレアとニンフを先に相手している間もじっと待っていたイカロスには、ご褒美が必要だ。
「いくよ、イカロスっ」
「はい、来てくださ……はぁああああああっ!?」
先端をイカロスの秘所に合わせるなり、智樹はいきなり貫いた。
さっきまでの智樹の様子から、すぐにされるとは予想していなかったのだろう。
突然の刺激にイカロスの膣内は限界まで引き絞られ、柔らかな襞の全てが智樹を痛いほどに締めつけてくる。
イカロスの膣内は智樹の形に合わせてぐねぐねと蠢き、主の帰還を歓迎した。
こんこんとにじみ出る愛液の潤滑のもと、複雑にうねる膣内が智樹を奥へ奥へと導き、それに従って腰を突き出せば、根元から先端まで余すところなくしゃぶりつくされる。
「くぁッ……」
「はぁん……嬉しいです、マスター」
膣内の感触とイカロスが目の前で見せた笑顔に、思わず声が漏れるほどの快感が背骨を伝って脳へと入りこむ。
理性をかなぐり捨てて徹底的に腰を振りたくりたくなるほどのその刺激に、智樹は背を逸らして耐えた。
せっかくの夜。
ただ獣のように過ごすだけではもったいない。
「はぁッ……はぁッ……」
「ふーっ、……ふーっ」
挿入直後の衝撃が行き過ぎると、智樹もようやくイカロスの様子を窺う余裕が戻ってきた。
智樹の腕の中のイカロスは体をきゅっと縮め、密着した腰を耐えきれないとでも言うように小刻みにゆすりながら、智樹の首に絡めていない方の手で自分の口をふさいでいた。
固くつむられた目と寄せられた眉が、イカロスの抑え込んでいる快感の大きさを物語っているようだった。
普段から物静かなイカロスのことだ。
おそらくあえぎ声を聞かれるのが恥ずかしいのだろう。
だからこそ必死に掌で口を押さえ、声が漏れないようにしている。
なんと、もったいないことか。
そんなイカロスの様子を見て、智樹はイカロスをどう可愛がるかを決めた。
「イカロス」
「……マ、マスター……、っふぁ! ……んーっ! んんーっ!!」
名前を呼んで注意を引き、返事を返した時を狙ってイカロスの最奥を突くと、やはりとっさに口を覆って声を遮った。
イカロスの喘ぎが聞けなかったのは残念だが、むしろ好都合。
これから、嫌というほど啼いてもらうのだから。
「イカロス、手をどけて。……れろっ」
「んふぅっ!?」
口を遮るイカロスの手の甲に、智樹はねっとりと舌を這わせた。
突然のことに、指先どころか全身をびくりと跳ねさせるイカロスに構わず、智樹はイカロスの手を味わった。
指先に押し付けた舌をゆっくりと味わうように動かしながら根元まで舐め上げ、それをすべての指で繰り返す。
手の甲には伸ばした舌をべっとりと押し付け、顔ごと掬いあげるようにして唾液を塗りたくる。
イカロスの滑らかな肌の感触は手先でも変わらず、どれだけ舌でいじっても飽きることはなかった。
智樹の舌が動く度に瞼を震わせるイカロスだったが、口を押さえた手だけは頑として離さなかった。
時々くぐもった声をもらし、それに連動するように智樹を受け入れたままの膣がうねるので感じているのは火を見るより明らかではあったが、それでも手をどけようとしない。
そんな健気で意固地なイカロスの様子が、智樹にとってはこの上なく愛おしく、そしていじめがいのあるように見えていた。
「……しょうがないな、じゃあもうやめにしようか」
「えっ!? マ、マスター……」
「だって、イカロスは声を出すのが恥ずかしいんだろ? それを無理やりするのもなあ……」
「そ、そんな……」
突然智樹から告げられたことに、言葉を失うイカロス。
こんなところで終えられてしまうなど、どう考えても耐えられるものではない。
口に手を添えたまま潤む瞳で見つめてくるイカロスに、しかし智樹は笑顔で言う。
「あと一回。あと一回だけ、イカロスの手を舐める。もしそれでも手をどけないなら、今日はもうおしまい。でも、手をどけてくれたら……」
「あっ……」
ゆっくりと顔を近づけ、イカロスの耳へと口を寄せる。
片手でイカロスの頭をなで、もう片方の手をしっとりと汗ばんだ太腿に這わせながら、一言。
「好きなだけ、してあげる」
「……はぁんっ!」
言葉と同時、浅くイカロスの膣内を突き上げる。
とっさに漏れた声に、再び手を口元に寄せるイカロス。
智樹は、イカロスの正面へと向き直り、ちろりと舌を出す。
そして、そのまま口をふさぐイカロスの手の甲へと近づけ……。
「ん……ちゅっ」
「んっ、マスター……んぁんっ!」
両手を智樹の首に回したイカロスの唇が出迎えた。
「ぁんっ! きゃっ……はうぅ……んっ! も、もう……らめれす、まふふぁ……ぁああ!?」
イカロスが手から口を話してしばらく、智樹は延々イカロスの中を突きあげ続けていた。
突く場所を変える度に甲高い声を上げ、腰を回すようにしてえぐればくぐもった声で快感を告げる。
イカロスの澄んだ声で響く喘ぎはそれ自体が極上の楽器の調べのようで、聞き惚れた智樹はますますイカロスを責め立てる。
「らめっ、らめぇ! まふふぁ……わらし……もうげんかいれすぅ……っ!」
「んっ……そうか、まあしょうがないかな。耳が痛くなるくらいに高い声も、腹の底から響くみたいな低い喘ぎも、感じすぎて涙交じりになった声も、舌が回らなくなってドロドロのへろへろになった声も聞かせてもらったし……ねっ!」
「きゃぅん!?」
焦点の合わない、虚ろになりかけた目で必死に語りかけるイカロスに、耳元でささやくように応える智樹。
言葉とは裏腹に智樹の腰に巻きつけるように回された足は智樹を離そうとしないが、さすがにそろそろ終わらせてやらなければならないだろうからと、最後に強く奥を突いて、ラストスパートをかける。
「んぁっ……やッ……きゃふぅっ! んぁああああああああっ!!」
「ほら、イカロス! イケ! 最後に一番いい声で、イケっ!」
「は、はい……マスター、私の啼き声、聞いてくださ……きゃはぁあああああああんっ!!!??」
全身を震わせながら両手両足で智樹の体にしがみついたイカロスが耳元に口を寄せて響かせた絶頂の叫びに満足した智樹は、それまでで一番の量の精液でイカロスの膣内を満たした。