ミーンミーンミーン…蝉の鳴き声が乾ききった青空に響く。  
梅雨が明け、じめっとした暑さからは抜けれたものも、今年の夏は例年で一番暑い年になるそうだ。  
福岡県空見町、とある家でもこの暑さはかなりきついらしい。  
「あ゛ぁ゛〜、暑ぃ゛〜」  
ぶーん…ぶーんと首を回す1台の扇風機の動きに合わせて風を1人占めしている少年がいた。  
名を桜井智樹という、その後ろの台所からピンク色の翼を生やしたピンクの髪の智樹より頭1つ分高い少女が出てきた。  
「マスター、お茶です」  
そういって少女は氷が入った麦茶を智樹に差し出す。  
「あぁ、ありがとう、イカロス」  
ペコリ、と会釈をして台所へまた戻っていった。  
彼女の名前はイカロス、シナプスで作られた製品らしい。  
ごくっ…ごくっ…とのどを鳴らして麦茶を飲み干す。  
「ぷはぁ!あー、生き返るなぁ〜」  
そこまで我慢しなくても・・・・  
「ねぇ、トモキ、今日は学校ないの?」  
「あぁ、昨日が終業式だったからな」  
「シュウギョウシキ?」  
「夏休みになった、て事だよ」  
「ふぅーん」  
ちなみにいま会話しているのはニンフ、一度ハーピーに羽をむしられたエンジェロイド。  
なぜだか智樹が羽がないこととか気にしないからお前のマスターになってやる、といったら羽が生えた。  
なぜだか本当にわからない…  
「じゃあさ!今日買い物に付き合ってよ」  
ぱぁっ!明るい顔で智樹に頼む。  
「いやだよ、暑いし、めんどくさいし」  
「…ぷぅ…」  
少しさびしそうにうつむいている少女を見ているとなぜだかポリシーに傷が付く気がした。  
はぁー、と大きなため息を1つ、それから  
「わかった、わかった、行けばいいんだろ?」  
その言葉を聞くとニンフの顔に笑顔が戻った。  
「ホント!?じゃあ、善は急げ!行きましょ!」  
ぐいっ!と腕を引っ張られてつれていかれる智樹であった。  
 
 
と、いう感じでニンフに腕を引っ張られヤマムラへ・・・・  
ニンフが自分の私服を選んでるのか?珍しいな。前はあんな機能性すらないものいやだってわめいてたのに・・・  
どうしたんだ?いったい・・・・わからねぇ・・・・  
そんなことを考えているとニンフが声をかけてきた。  
「ねぇねぇ!トモキ!この服可愛い?」  
試着したヒラヒラとしたフリルの付いた薄いピンクの服を持ってきた。  
「!!!」だっ!と隅に走りニンフから退く。  
(な・・・なんだよ・・・・ニンフも可愛いじゃないか・・・・畜生・・・)  
「ねぇ、トモキ・・・どうしたの?」  
「!!?おわっ!・・ん?」  
智樹はあわててニンフの方向を振り返ったがいつもの私服に着替え終わっていた。  
「で?どうすんだ?それ・・・買うのか?」  
「うん・・・・欲しいんだけど・・・お金もカード(転送装置)も持ってなくて・・・・」  
「・・・ふぅ、いくらだ?」  
「え?買ってくれるの?」  
少し上目使いでトモキを見上げると嬉しそうに笑った。  
結局支払いは俺だもんな、しかしさすがヤマムラ、たったの1280円とは・・・・  
レジで会計を済ませると智樹は心の中でぼそりとつぶやいた。金を多めに持ってきてよかった・・・と  
ニンフはまた智樹の腕を引っ張り次なる目的地へ連れて行くのであった。  
 

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