私は、クロニカ…つまらない物語でしたら、お話して差し上げましょう。  
黒の教団の大聖堂、その奥に秘密の小部屋があります。  
そこの存在を知っているのは黒の教団員でもごく僅か。  
入る事ができるのは教祖ノアと一握りの幹部達だけ。  
今、少女はその小部屋に繋がれています。  
神子としての役割を果たす、その名目で少女は犯されていました。  
 
ふ…あっ…」  
広くないその部屋に黒いローブを纏った男達がひしめく。  
熱の篭った視線の先には幼い少女。  
男達の手は発育途上の薄い胸や、まだ産毛すら生えていない秘部にまで伸ばされ、少女の体を蹂躙していく。  
ある者は小さな胸を揉み、またある者はその赤い頂点をくりくりと爪で刺激する。  
ある者は肉芽を摘み、またある者は男を受け入れるにはまだ早い恥部に指をねじ込む。  
その全ての刺激を受け止め、少女は喘いでいた。  
「ひぁ、んん…ぁ、く…ぅ」  
「おやおや、もうこんな事になっていますなぁ」  
秘部に差し込まれていた指が粘液と共に引き抜かれた。  
指先にたっぷりと付いた愛液を舐めとって、男がからかう。  
「どうやら神子様は感じやすいようで」  
空いたそこにまた他の太い指が入り込み、膣内を犯していく。  
口腔を、膣を、胸を男達の手が汚し、陵辱していった。  
「はひゃ…ぁあ…」  
更なる快楽を求めてか、少女の腰が自然に動く。  
その様子にどこかから嘲笑の声が上がった。  
「神子様、気持ちいいのですか?そんな淫らな声を出されて…」  
「ぅ…ん、…き、もちいいよぉ…」  
淀んだ目で少女が頷く。  
「それは、それは。…まぁ我等も好きで神子様を犯しているのではありませんが」  
「そう、目的の為ですからなぁ。我等とて心苦しいのですよ」  
男達の間で笑いがさざめく。  
目的も果たせて女も犯せる、しかもそれはまだ少女としか言えない身体。  
これ以上の願ったり叶ったりがあるだろうか。  
「では皆様、そろそろ『目的』を果たしましょうか。もう神子様の準備は整っておられるようですし」  
誰かの言葉に一人の手が上がる。  
「僭越ながら私から…」  
最初に少女を犯せる事にか、歩み出た男の顔は喜悦に歪んでいた。  
 
「ん…ぅあ」  
くちゅ、という水音と共に少女の入り口が開かれる。  
期待と不安が織り交ざった表情のルキア、その細い腰に浅黒い手が添えられた。  
男の肉棒が少女の体を一気に貫く。  
「あ…ぅ…ひゃぁぁあ!」  
いくら指で広げられたとはいえ数日前までは処女だったのだ。  
突然の挿入は彼女に苦痛しか与えない。  
見開かれた目から透明な涙が零れ落ちていく。  
ぎちぎちと締め付ける粘膜に男が顔を顰めた。  
「…流石に、まだ、きついな」  
「ぁ…痛いぃ……むぅ!?」  
他の男の屹立が痛みを訴える少女の口に侵入する。  
「むぐぅ…ごほ、…えぐ」  
ルキアの抗議の視線が口腔を犯す男を見上げるが、そ知らぬ顔で男は尋ねた。  
「胎にさえ出せば、他を使っても宜しいですか?」  
「ええ、構いません」  
「ふぁ……んむぅ…」  
ルキアが喘ぐたびに開いた口から唾液が垂れていく。  
その様子を男達は満足そうに見ていた。  
口淫を強いている男が少女の髪を撫でまわしながら呟いた。  
「しかし、まだ幼いとはいえなかなかの体つきです、な」  
「ええ本当に、こんな娘を手元に置けるとは教祖様が羨ましい…」  
男の身体が震え、少女の口腔に精が弾ける。  
口元から白い汚液を零させながら男が肉棒を抜き取り、汚れを髪で拭く。  
「はぁ…は…っあ」  
唾液と混ざった体液がルキアの口から石の床へと落ちていく。  
汚液を零した少女を男は冷たく見やり、それを指で拭うと彼女の口へと突っ込んだ。  
「もったいない…飲むんですよ」  
「んぐぅ…んく」  
生臭い液体が喉を下りていく感触にルキアが涙ぐむ。  
先程まで口腔を犯していた男が不思議そうに動きを止めた取り巻きを見回した。  
「お前達、どうした?順番を仲良く待っているつもりなのか?好きに使って構わないのだぞ?」  
その言葉で周りの男達がやっと動きだした。  
順番が回ってくるまでの慰みにとまた少女に群がっていく。  
少女の手を無理やり自分の物に添えさせる者。  
白い髪に白濁した液体を放つ者。  
指で口を広げ、そこに汚液をぶちまける者。  
肉棒を少女の頬に擦りつける者。  
精を彼女の体に掛ける者。  
小部屋に漂う濃い精の匂いは少女の心も身体も蝕んでいく。  
口に溜まった精液を飲み込んで、ルキアはかすれた声を出した。  
「も…やめ………!」  
少女を贄とした狂乱の宴はまだ終わらない。  
 
「ぁ……ぁ…」  
何人目かの精液を胎に受けた感触と共に少女の体がぐたりと重くなる。  
深海の底のような青の瞳が目蓋の裏に隠されていった。  
「おや?」  
「少々やり過ぎでしたな…おい」  
少女の身体を未だに貪る男達が振り返る。  
「その辺にしておけ…下手に壊れて使い物にならなくなると困る」  
その声に男達は慌てて硬い石の床に少女が投げ出した。  
横たわった少女の身体を無念そうに眺める男に、誰かが笑う。  
「どうせ孕むまで思う存分使えるんだ、明日まで我慢しておけ」  
「では、神子様。また明日」  
慇懃無礼な一礼と共に男達は少女を一度も顧みる事無く部屋を出て行く。  
うっすらと目を開き何かを呟く少女は弄ばれ、飽きて捨てられた人形のようだった。  
 
最後の一人が部屋に錠を掛ける音を聞いた後に、白濁に塗れた少女はゆっくりと身を起こす。  
震える手が男達の精を受け止めた秘部に伸びていき、溢れるそれを掻きだしていく。  
赤く腫れ上がった幼い性器が陵辱の凄まじさを物語っていた。  
初めのうちは彼女も抵抗していた。  
あらゆる所に伸ばされた手を振り払い、引っかき、噛み付く。  
そのたびに黒衣の男達は暴力で応えた。  
殴られ蹴られしてできた痣は彼女から抵抗する気力を奪い、代わりに恐怖心を与えた。  
流れていく時間はただ彼女に諦念を植え付けていく。  
やがて芽生えたのは冷たい感情。  
抵抗をしても結果は変わらない、ただ殴られ乱暴に犯されるか、快楽に溺れる様を嘲笑われながら犯されるかの違い。  
――なら自分が楽な方がいいだろう?  
悪魔の囁きにいつ流されてしまったのだろうか。  
それでも微かな抵抗は忘れない。  
「くぁ…ふ」  
痛みに顔をしかめながら膣壁に爪を立て無理やりに掻き出す。  
自分が孕む事を決定事項としている書の記述。それが彼らの望み。  
そうすれば世界の終焉は訪れ、新世界が現れるのだと、口々にそう言う。  
――そんなこと、させない。  
彼らが望む未来を少しでも遅らせる、それが力なき少女のささやかな抵抗だった。  
 
もう誰も入ってこないはずの石牢に靴音が響く。  
少女に掛けられたのは軽い嘲弄の声。今彼女が心から憎む男の声だった。  
「実に良い眺めだね、ルキア」  
「ノアっ…!」  
表情は黒の布に隠され見えない。ただ口元には嘲笑と憐憫が混ざった笑みがあった。  
しかし、と不思議そうに男は呟く。  
「歴史に刻まれた自分の運命を遂行する、たかがそれだけの事をなぜ君は理解できないのかね?」  
「嘘だ…。あなた達がこうしたいだけだ…!」  
「君が我等の仔を残すことは書に拠って定められているのだよ…  
私は手荒にやれと言った覚えは無いがそれは彼らの趣味かもしれん」  
「……例えば…ボク以外の人にも…するつもり、だったの?」  
「もしそれを歴史が望むなら」  
小さな拳を握りしめ、男を睨む。  
「…ノア、ボクは、あなたを許さない…」  
非力な少女のその言葉にも男は笑うだけ。  
「許すも許さないも結構。書は人の感情如きでは微塵も変えられぬ」  
牢に投げ入れられたのは白と蒼の服。  
ここ数日着る事すら忘れていた自分の服だった。  
「…服を着なさい、そのままでは私に目の毒だ」  
「……くっ」  
「さて、久しぶりにパパと入浴を…君は…泣いているのかね?」  
「泣いてな、んか…ぁ!」  
憎むべき敵であるはずの養父の優しさが心に染み入っていく。  
悔しくて、何もできない自分が情けなくて。  
唇を噛み締め空を仰いだ。  
視界に移るのは無表情な石の牢獄だけ。  
その外には輝ける世界があるのだろうか、もう叶わぬ願いでも外が見たい。  
青の空と蒼の海が混ざる水平線、白く浮かぶ綿雲と緑の木々が織り成す樹海。  
自分が汚れ傷ついても守ろうと思えるあの世界をもう一度見たい。  
 
翼が欲しい、ルキアはそう思った。  
空へはためこうと伸ばした自らの翼は男達によりもがれ、踏みにじられた。  
――こんなちっぽけな事で折れることの無い翼が欲しい。  
翼が無い自分は羽ばたけぬ、ならば預言書が肯定する我が子に未来を託してみよう。  
――キミは…この世界を愛して、変えてくれる?  
未だ見ぬ子へ思いを馳せて、膨らみもしない胎をただ撫でた。  
 
 
この哀しいお話は、ここでお終い。  
…結末、ですか?どうしても聞きたいのですね?  
結局彼女は運命の手から逃れられませんでした。  
されど哀れむ必要は無いのです。  
私もアナタも、誰一人逃れられないのですから。  
めでたし、めでたし。  
 
 
 
 
おまけ  
 
 
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