その翌日。
オルタンスはお茶の用意をしにキッチンに向かうと、イヴェールと鉢合わせした。
昨日のことを思い出して後ろめたい気分になったが、あえて笑顔で、
「ムッシュー、今お茶の用意を、」
とそこまで言い切らない内にイヴェールに普段とは違う強い力で、寝室に連れて行かれてしまった。
ベッドにイヴェールはそっと座り、手招きして膝に乗る様に示した。
オルタンスが座ると、イヴェールは肩からぎゅっと抱き締めた。彼の心臓の音が、とくん、とくん、と聞こえる。
「オルタンス」
吐息が耳にかかる。珍しくオルたんと呼ばなかった。胸が高鳴るのを感じながら、オルタンスは訳が分からず訊いた。
「どう…なさったのですか、ムッシュ……?」
「昨日の夜中、ヴィオレットと何してたの?」
思いがけない質問をされて、動揺が身体に出てしまう。それをイヴェールは勘づいて、さらに優しげな口調で囁いた。
「ね、何してたの?僕に言えないことしてたんでしょう」
「そ、それは……」
オルタンスがうろたえているのを楽しんでいる。
「部屋の外からも聞こえたよ、声とか。いやらしいことなんでしょ?」
「……い、いやらしいこと…です…っ……」
くすっ、とイヴェールは笑った。
「やっとちゃんと言ってくれたね。イヴェール嬉しいよ」
細い指で、さらさらと金色のオルタンスの髪を梳く。
「ふぅん……女の子同士でそんなことしてたんだ」
甘いテノールの声が纏わりつく。吐息の当たる所が変に熱を持つ。
「……あの…」
顔が赤くなるのを感じる。
「何?」
「…もう、いいですか……?」
「だめ」
イヴェールは抱く力をもっと強めた。
「そんないけない子には、お仕置きしないと、ね?」
そう言ってオルタンスからぱっと身体を放した時には、既に上着のボタンは全て開いていた。
「……!」
イヴェールは開いた隙間から、両手をするりと入れる。
「触っただけで分かるよ。ほら、もうこんなに……」
冷たい指先が私の堅くなった突起を弄ぶ。
「やっ………!」
「感じてるの?人形なのに」
その内指先でコリコリと弄ぶのはやめて、手のひらでマッサージをするかの様に刺激する。
「お仕置って言っても、痛いことはあんまりしないよ」
器用に下着の紐を肩から外す。右手は乳房を鷲掴みにして揉みしだいたまま、左手はスカートの中をまさぐり始める。
「っ……やめて、くださ……」
「ん?僕、全然力入れてないよ?逃げたかったら逃げなよ?」
確かに口ではそう言ったが、オルタンスはだんだん理性を失い始めていた。次第に頭を甘い波が支配して、溺れていってしまっても良いと思い始めていた。
イヴェールは薄布の上から、割れ目の上をそっと指でなぞる。それに答える様に、じゅんっと蜜が染み出る。
「もう上から分かる位に濡れちゃってるよ?」
翻弄するように割れ目の上を往復して、時折蜜が染みているところを人差し指でぐりぐり押す。
「ひゃ…っ……」
「どうする?ずっとこのまま?」
オルタンスはお尻の位置に当たるイヴェールの欲望が、いつの間にか膨らんでいることに気付いた。
「僕は本番までしたいなぁ。オルタンス、身体は正直だね」
スカートをめくって、オルタンスにも見えるようにする。イヴェールの指が、華美な薄布を剥ぐと、蜜が糸を引いた。
イヴェールの太めの中指が腟内へと侵入する。
「ゃっ……ぁっ…」
二本目の指を挿入し、優しく出し入れする。その度に、くちゅっ、くちゅっ、ちゅぷっと妖しい水音がする。
「ひぁ……ああんっ……!」
自然と、はあっ、はあっと呼吸が荒くなる。
「どう?」
「はぁ…っ…欲しい……ですっ……」
「何が欲しいの?」
イヴェールはスカートを元に戻すと、移動してオルタンスのスカートの中に顔を突っ込んで、舌で犯し始めた。
「あぁぁああっ!!そ……れは…っ」
「言わないと分かんないよ?」
顔をあげてオルタンスの表情を伺う。みるみる涙が溜まってゆくのを見て、イヴェールは満足げに微笑んだ。タトゥに熱く口吻ける。
「…じゃあ、僕に『挿れて欲しいモノ』を握ってよ。そしたらしてあげる」
「…は…ぃ」
オルタンスは身体をイヴェールから離して、ズボンのチャックに手を伸ばす。間も無く、屹立した太い根が白い手に握られて露わになった。
「はい、よく出来ました。ところで」
誰もいないはずの空間に呼び掛ける。
「ヴィオレット、もっと近くで見れば良いのに」
「姉さ……あ、ヴィオレット……?」
罰の悪そうな顔をして、死角からヴィオレットが出て来る。ほんのりと頬が赤い。
「…っ」
「ずっと前から気付いてた。だって、ヴィオレットが濡れると甘い香りがするから」
イヴェールはヴィオレットにも自分の根を持たせた。それからポケットから紐の付いた水色の玉を取り出し、紐を引っ張って震えさせてからオルタンスの中に入れた。
「元はといえばヴィオレットがいけないんだよ?だから君にもお仕置――僕のコレを慰めて。
それからオルタンス、それはバイブっていうんだ。ナカが暇かもしれないから挿れてあげる。ブルブル震えて気持ち良いでしょ?」
「…っ…はい…」
恐る恐るヴィオレットが亀頭の先に唇を付ける。薄桃色の舌がちろちろと這う。オルタンスは玉を口に含む。
二人は双児だが、舌を動かす速度は微妙にずれ、絶え間なく責めたてる。限界をすぐに超え、透明な液が溢れ出す。
「二人とも……とっても上手だよ……―っ、出すよ……こぼさないよう、に……」
「……Oui,Monsieur…」
イヴェールの身体が揺れて、ヴィオレットの口に白濁した液が発射される。
「うく…っ…」
何とか零さずに飲み込み、涙を浮かべる。イヴェールはヴィオレットの月のタトゥにキスを送る。
「はい、よく出来ました。でもご褒美はまだおあずけ……んっ」
恍惚とした表情を浮かべて、オルタンスはイヴェールの残った精を舐めとっていた。
「もうすっかりえっちな人形になっちゃって、オルタンスは……―じゃ、そろそろ」
イヴェールはオルタンスの窒からバイブを抜き取り、今度はヴィオレットに入れた。
「ふぁ……!」
「わ、触ってもないのにすごく濡れてる」
それからヴィオレットを椅子に座らせ、ポケットから二本リボンを取り出す。一本目のかなり長い紫色のリボンできつめに手を後ろ手に縛り、余った所で足首も縛った。
そして二本目の比較的短い同じリボンを首に結んだ。
「首筋は性感帯だから、きっと我慢出来ない位気持ち良くなると思うけど、リボン解いちゃだめだからね。そこでずっと見てて。特等席だよ」
「う……っ」
オルタンスを丁寧に寝かせ、全ての服をしゅるしゅると脱がせてゆく。白い裸が露わになる。
「…恥ずかしい、です……」
「そう?とっても綺麗だよ……」
イヴェールも全て脱ぎ、オルタンスに、身体の柔らかさを堪能するように密着する。もう一度、タトゥにキスをする。
やがて、身体を起して脚をゆっくり開かせた。充血したような色の秘部が照明に煌めく。
「今の人形ってすごいんだね、こんなとこもリアル」
「もう…本当に、そんなにじっくり見ないで下さい……」
本当に恥ずかしそうにイヴェールから顔を背ける。
窒からまた一筋蜜が零れた。
「ふふ、可愛いね。見るだけで感じちゃうんだ……」
そして、イヴェールのモノをオルタンスの秘部にあてがう。
ちょうど、ヴィオレットが目の当たりに出来る位置で。
「じゃあ…オルタンス…挿れるよ」
「…う…Oui,Monsieur」
イヴェールは静かに腰を動かす。オルタンスにイヴェールの肉棒が呑みこまれてゆく。
「いっ…や……やぁあああっ…!!」
「……くっ、もっと腰動かして…」
すっぽりと肉棒が収まった。
柔らかい内部を掻き回す度に、結合部から愛液が溢れる。
「っ……!あ…いたっ…!」
オルタンスは快楽に呑まれ、欲求に逆らえずにイヴェールを求めて、勝手に腰が動く。それに応え、イヴェールは抜き挿しして更なる刺激を与える。
「あああああっ!!もう…ダメですっ……!」
緩急を付けて奥を突く。愛液がじゅぽじゅぽぐしゅぐしゅと粘っこい水音を立てる。肉棒が程良くきゅっと締付けられ、これ以上出すのを耐えるのは限界だった。
「…っオルタンス……僕も限界……出すよ……!」
「あああああっ!!」
イヴェールは精を放出した。二人同時に絶頂を迎え、オルタンスの身体にビクンと痙攣が走り、がくっと力が抜けた。
「はぁ……っ」
すうっとオルタンスの瞳が閉じた。
イヴェールは身体を繋いだまま、しばらくそのままでいた。
眠ったオルタンスと、自分の服をきちんと整える。
しかし、身体に付いた精液や愛液は拭き取らなかった。腟にも、栓代わりに今ヴィオレットの中に納まって振動し続けているものの色違いを挿れた。
「これもお仕置。妊娠しないから大丈夫だよ」
今までの行為を間近で見ていたヴィオレットに振り返って、にこっと微笑する。
「ふぅ……僕も久々にやったから疲れちゃった。どうしたのヴィオレット、顔真っ赤だよ?」
イヴェールが指摘すると、余計ヴィオレットの頬は薔薇色に上気する。
「…あ、当たり前です!あんなモノを間近で見せられたら……誰だって…それに、今私はこんな状態ですし……」
ヴィオレットの足の間から液体が染み出ていた。
「感じてるんだ。ヴィオレットもいやらしい子なんだ」
「………」
「同じことして欲しい?」
ん?どう?と、顔を覗きこみながら問われた。ヴィオレットは赤面したまま無言でこくんと頷く。
「でも、だーめ」
「っ………」
イヴェールは椅子に零れたヴィオレットの蜜を指に取って、匂いをかぐ。
「やっぱりヴィオレットの香りだ。オルタンスのもちょっと入ってるけど」
「お願いします……もう、限界です…っ」
ヴィオレットの目はまた涙で一杯になっていた。その涙をイヴェールが掬ってやる。
「だめ、それじゃお仕置きににならないでしょ。その代わり、オルタンスにはしてないことしてあげる」
「え……?」
ヴィオレットの桜貝の様な唇に、イヴェールの唇が重なった。
「んんんっ……!!」
「オルタンスが起きたとき、僕たちの姿を見せてあげるんだ」
器用にキスしたまま喋った。
引っ込めようとしたヴィオレットの舌にイヴェールの舌が絡みつき、貪る様なキスを繰り返す。銀色の糸が幾条にも紡がれる。
「んっ…ん…」
「…やっぱりヴィオレットはどこも甘いね」
イヴェールの口が唇を離れて、手足を縛ったリボンを解く。また近付いた舌は首筋を通ってタトゥへ向う。
「ここ触られると…感じるんでしょ」
「ひゃんっ!」
舌で複雑な模様を大まかになぞる。甘いくすぐったさに、ヴィオレットは嬌声をあげる。
「ああああ…!…やぁっ…!」
「ん……?」
オルタンスが眠い目を開けようとしていた。イヴェールはすぐにヴィオレットの口に舌を挿れ直し、ひょいっとお姫様だっこをした。
「Bon jour,Mademoiselle」
横目でオルタンスを見た。
「あ……!姉さん、ムッシューと何を……っ…あん…」
眠気が薄れて、バイブの振動がオルタンスを襲う。
「…わ…私だって…」
「オルタンスも、僕とキスしたいの?」
「………はい…姉さんが、ヴィオレットが……羨ましい、です……」
「でも、だめ」
「う………」
「その代わり、僕はヴィオレットのここを何もいじってない」
ここ、 という時にイヴェールはヴィオレットのスカートをめくって、下着が見えるようにした。既に下着はぐしょ濡れで、割れ目の形まで分かってしまうほどだった。
「私だって……オルタンスが羨ましいわ……」
おもむろにヴィオレットのスカートに手を入れた。もしや、と期待したが、虚しくも溢れる蜜を掬っただけで、オルタンスにしたようにはくれなかった。
「オルタンス、胸見せて」
「っ……え……?」
戸惑うオルタンスに構わず、前を外して、あっという間に突起に達する。下着をずらして、房が露になるようにする。そこに、ヴィオレットの蜜をたっぷりと塗り付ける。何往復かそれを繰り返し、オルタンスの乳首はてらてらと光る。
「ひゃ……つめた……」
「ヴィオレットも」
ヴィオレットも同じように前をはだけた。今度は、イヴェールの唾液が塗り付けられた。
「ひあんっ……」
「よし、今日はいっぱいお仕置したけど、二人にあげる一番のお仕置は、『今日一日そのまま生活すること』。
いい?主人の命令は絶対。逆らったら……分かるね?」
「……Oui,Monsieur」「……Oui,Monsieur」
その後サヴァンが現れたがイヴェールは知らん顔でいた。
無論、彼に二人の姫君はおいしく頂かれたことは間違ないが、それはまた別のお話――。