出会ったその瞬間から、彼は少女にとって、小さな勇者だった。  
「よ、ブサイクちゃん。絶体絶命大ピンチのようだから、このオリオン様が助けに来てやったぜ…ん?おい、  
嬢ちゃん。あんたはどこの誰子さんよ?」  
絶望の淵から自分を救い出してくれたのは、魂の片割れである双子の兄。そんな兄と自分を救い出してくれた  
のは、少しお調子者だけど、勇敢で優しい心を持った、弓の名手。  
「はあ…なるほど。あんたがミーシャだったのか。へえ、流石双子。確かにそっくりだ。エレフの奴が暇さえ  
あれば話してたぜ。妹が妹がって。全くシスコンめ…いてっ!何しやがるエレフ!」  
兄と自分、そしてその少年の三人で始まった、自由を求める旅。そして。  
口ぶりは乱暴だったけど、自分よりも他人を思いやる強さを持ったその少年に、少女は小さな恋をした。  
その未成熟な果実を実らせるための方策。それは―――  
 
「ふふ…緊張してるんだ、オリオン。初めて…だもんね?」  
月夜の森、年端もいかぬ少女が笑う。それは天使のように清らかさで、そしてほんのわずかだが、娼婦の如く  
淫らさを秘めていた。  
オリオンという名前らしい、少女と同い年と思われる少年は、ぷいっとそっぽを向く。  
「ちぇっ。バカにすんなよ。大体…お前だって初めてなんだろ?ミーシャ」  
「うん…けど、お客さんを取ったことがない見習いとはいえ、遊女の端くれだったもの。オリオンよりは知識が  
豊富だと思うよ?」  
余裕といった態度の少女、ミーシャ―――しかし、内心穏やかでないのは、かすかに震える身体からも明らかだ。  
「なあ―――お前、ちょっと変だぜ?そりゃ、俺だって興味はある、というか、ヤリたい盛りですしね。魅力的  
なお誘いだとは思ってるよ。けどさ、こんな急に」  
「不安なの」  
「え?」  
「私ね、奴隷市場に売られる前は、父様や母様、それにエレフと一緒に幸せに暮らしてた。ずっと、それが続く  
と思ってた―――でもね、そんなのは幻想だった」  
「…………」  
「女神様は残酷なのよ。私はそれを嫌ってほど分かってしまった。今だってエレフやオリオンがいてくれるけど、  
もしかしたら明日には、離れ離れになるかもしれない。そして一人ぼっちになった私はどうなるかしら?  
次に私が出会うのが優しい人間だとは限らない。ひょっとしたら、風の都で私を犯そうとしたあの神官みたいな  
汚らしい奴に、純潔を散らされるかもしれない―――そんな目にあうくらいなら、せめて最初くらいは、好きに  
なった人に…」  
「え?お前、今、なんつった?」  
最後が小さな声だったので、オリオンは思わず聞き返した。ミーシャは少し口ごもり、言い直した。  
 
「…じゃなくて、さ。オリオン、結構男前だし、私やエレフを助けてくれたし。だから―――オリオンだったら  
いいかなー、なんて、えへへ」  
「なんか…手近ですまそうって魂胆が嫌だな…<温泉いきてーけど遠いから家の風呂で我慢しよう>みたいな」  
「…ニブチン」  
「あ?なんか言ったか?」  
「なんでもなーい。ほら、エレフが見回りから戻ってくる前に、すませちゃいましょ」  
ミーシャがオリオンの腕を取って胸元に抱き寄せる。ささやかながら感じられる柔らかな感触にドギマギしつつ、  
オリオンは顔を紅くした。  
「じゃあね、オリオン…最初はね…」  
「最初は…?」  
ゴクリ、と唾を飲み込むオリオン。ミーシャはにっこり笑う。それは、妖艶な笑みだった。  
「まず、私の頭をナデナデしてみなさい!」  
「…………」  
「えへへ」  
オリオンはとりあえずナデナデしてやった。ミーシャは幸せそうだった。  
「次に、顎の下をゴロゴロしてみなさい!」  
「…………」  
「はふん」  
仔猫にそうするように、ゴロゴロしてやった。とっても幸せそうだった。  
「…なあ、俺はよく知らんのだが、これが正式な作法なのか?」  
「ふにゃあ…うん、そうそう…」  
「なんか、坂道を転がり落ちるように騙されてる気がするぜ…」  
「気のせいよ…ほら。次はオリオンの好きなように触っていいよ」  
「好きなように…」  
オリオンは再び唾を飲み込んだ。そして。  
「ここだっ!」  
「ひゃぁんっ!?」  
いきなり触るところではなかったようだ。ミーシャは顔を真っ赤にしてオリオンを怒鳴りつける。  
「な、な、何すんのよ!?バカ!スケベ!変態!色情狂!」  
「好きに触っていいって言ったくせに」  
「で、でも、ううう〜〜〜…初っ端から触るとこじゃないでしょ!もっとこう、順序というか…」  
「じゃあ、ここか?」  
 
オリオンはミーシャの胸に手を伸ばした。そのまま衣服の上から、撫でるように愛撫する。  
「あ…」  
「お。こっちはOKみたいだな…じゃあ、服も脱がすぜ」  
「え、え?ああんっ!」  
帯を外され、簡素な衣服はあっさり剥ぎ取られた。要するに、あっという間に全裸にされた。ちなみに下着と  
いう概念はこの世界にはない。  
「うう…ちょっと、いきなりこれは恥ずかしいよ」  
「悪かった。けど…やべえ。俺、泣いてもいいか?不覚にも感激してきた…」  
「な、何よ?褒めたって何も出ないよ?」  
「いや、これは素晴らしいぜ!ツルツルスベスベで凹凸のない幼女みてーな胴体!申し訳程度の貧乳がまさに  
通好み!そして完全無欠なる天然物のパイパ―――」  
メリッサ仕込の鉄拳が火を噴いた。吹っ飛んだオリオンは頬を押さえながら、よろよろと立ち上がる。  
「お…お嬢ちゃん、いいパンチだ…一緒に世界を目指さないか…?お前ならリカルドの持つベルトを奪える…」  
「うるさいうるさいうるさい!このバカオリオン!」  
「いや、ちょっと待てミーシャ!俺はお前を貶したわけじゃねえ!むしろ完全に俺の好みの身体だと言いたい  
だけだ!昔から言うだろうが、貧乳はステータスで希少価値と!」  
「そ、そうなの?」  
「ああ、そうとも。この可愛い乳首なんて、ほら…」  
「あ…」  
敏感なそれを舌で転がされて、ミーシャは思わず身を捩った。  
「痛かったか?」  
「…ううん…とっても気持ちいいよ、オリオン」  
「嬉しいこといってくれるじゃないの。それじゃあもっと喜ばせてやるからな」  
そう言ってオリオンは、逆側の乳房に手を這わせ、優しく撫でながら(悲しいけれど揉むほどのボリュームが  
なかった)乳首をいじる。そうしているうちに、ミーシャは喘ぎ声を大きくしていく。  
「へへ、よくなってきたみたいだな」  
「あう…変な感じ…」  
ミーシャは初めての感覚に身悶えしていた。女性の部分からは、快楽の証である液体が滲み出ている。  
「…あのさ、ミーシャ」  
「あふっ…なに、オリオン?」  
オリオンはちょっと恥ずかしそうに言う。  
「俺も、その…気持ちよくしてくれよ」  
「え…あ、そうか…」  
ミーシャは先程から自分ばかりしてもらって、オリオンに何もしてあげていないのに気付いた。  
「うん、いいよ…じゃあ、オリオンにもしてあげるね…」  
オリオンの耳元で囁き、ミーシャはゆっくり、焦らすように、オリオンのその部分に手を伸ばす。  
 
「…っ!」  
既に硬くなっていたオリオンの一物は、衣服越しにミーシャの柔らかな手で刺激されて、ビクンと撥ねる。  
「ほら、オリオンも脱いでよ」  
さっさと脱いだ。男の脱衣シーンなんぞ事細かに描写してたまるか。  
「へえ、オリオンって、意外に筋肉質だね」  
「失礼だな君は。俺様、これでも鍛えてるのよ」  
「ふふ、そうね。こっちだって、こんなに逞しいもの…」  
ぎこちないが、一生懸命に手で擦るように扱き上げる。  
「気持ちいい?」  
「へ…こ、こんなもん、全然…自分でした方が、よっぽどいいっての…うっ…!」  
バレバレの強がりだったが、息子は正直だった。今すぐにでも破裂しそうなくらいにカチカチになっている。  
「ふーん…これじゃ気持ちよくないんだ…じゃあ、もっといいことしたげようか?」  
ミーシャはしゃがみ込んで、一物の先端にそっと舌を這わせる。チロチロと舐り上げて、小さな口で亀頭を  
くわえ込んだ。  
「したことないから、歯立てて痛くしちゃったら、ごめんね」  
「お、おい…」  
「んふ、変な味、変な匂い…けど、なんか、すごい…私もドキドキしてきちゃう…」  
「…………」  
染み込んでくる男そのものの匂いと、漏れ出してきた先走りの液体の苦い味。初めての感覚にミーシャは段々  
と陶酔し、口での奉仕に没頭する。  
オリオンは眼下の淫靡な光景と、ミーシャから与えられる快感に、既に射精寸前まで追い込まれていた。  
(やべ…もう出そう…ああ、くそ、でもこんなあっさり終わったら、男としてちょっと凹みそうな…ええい!  
何かないか!気を紛らわすような何か…)  
そんなことを考えながら、ミーシャを見下ろす。と、オリオンの頭上で電球が光った。  
(これだ!)  
「…あれ?」  
ミーシャが異変に気付いた。ついさっきまで、あれだけ熱くて硬かった一物が、なんだか元気がなくなっていた。  
「…………」  
ミーシャはなんだか悲しそうだった。  
「ん、どうした?」  
「ごめん。気持ちよく、なかったんだね…私…そんなに下手だった?」  
 
「あ…いや、違う。違うよ!これはミーシャが悪いんじゃねえよ!つーか、俺が悪かった!スマン!」  
「え?…どういうこと?」  
「ほら…その、あんまり気持ちよくて、すぐに出ちまいそうだったけど、あっさりイっちゃったら情けないと  
いうかなんというか…ま、察してくれよ。で、ちょっとでも興奮収めようと思って。それで…」  
「それで?」  
「お前って、エレフと双子だろ?顔、結構似てるだろ?だから、今俺のをくわえてんのはミーシャじゃなくて  
エレフなんだと思い込んでみたら、逆に落ち着きすぎたというか、萎えたというか…」  
「…………私の鉄拳が再び火を噴きそうだわ」  
「わ、悪かった!悪かったって!…うおっ!?」  
ミーシャはオリオンをいきなり押し倒して、ぐいっと顔をキスするみたいに近づけた。  
「な、なんだよ…」  
「こんな美少女をつかまえて、とんでもないこというよね。ほら、見てみなさいよ、私の顔。いくら双子だから  
って、そこまでエレフそっくりじゃないでしょ?」  
「うーん…」  
そう言われて、まじまじとミーシャを見つめる。彼女の双子の兄であるエレフ自体、何も知らなきゃ女の子で通る  
くらいの女顔だ。だから妹のミーシャの顔も、エレフそっくり―――そんな印象があったのだが、じっくり見て  
みると、やはり女の子というべきか、細かいパーツはかなり違う。  
エレフに比べると、ミーシャは全体的に女の子らしく、ふっくらして柔らかそうだ。唇だって、ミーシャのそれは  
瑞々しく潤っている。体つきの方は―――先程描写した通りちょっと幼児体型だが、言うまでもない女の子の身体。  
「どうかしら?」  
「…あー、今の俺の気持ちを表すとだな、うん」  
「ん?」  
オリオンは、はにかんだように笑った。  
「わーたーくしー、ミーシャの魅力に、ズヴォリンスキー…なんちゃって」  
「…………」  
「…………」  
「プ…」  
「ハハ…」  
「アハハハハ!」  
 
お互いに顔を見合わせたまま、大声で笑いあう。  
「あー、おかしい!オリオン、あんたって、やっぱバカねー」  
「けっ。兄妹揃って人をバカバカ言いやがって」  
「けどね…私、あなたのそういうとこ、好きよ」  
笑顔のまま、けれど真剣な眼差しで、ミーシャは言う。  
「だから…オリオンならいいかなって、思ってるよ」  
「最初から気になってたけどよ―――ちょっと、そういう言い方は好きくねえな」  
「え?どの辺りが?」  
「オリオンならいいってとこだよ。それだと、たまたまそこに俺がいただけじゃねえか。それよりもさ―――  
俺がいいんだって、俺じゃなきゃダメだって、そう言ってくれよ」  
そう言われて、ミーシャは押し黙り―――やがて、ぼやくように呟いた。  
「…ニブチン」  
「なんだよ、その言い方…」  
「にぶいからニブチンって言ってるの!ああもう―――女の子がそんな簡単に処女をあげようなんていうわけ  
ないでしょ!照れ隠しでそう言っただけなんだって、そんくらい分かりなさいよ!」  
「分からん。俺はバカだからな」  
オリオンは、べーっと意地悪そうに舌を出す。  
「だからさ、ちゃんと言ってくれ。ツンデレ式の分かりにくい愛情表現より、素直に好きだって言ってくれた  
方が、俺は嬉しい」  
「…その前に、一ついい?」  
「なんだよ」  
「オリオンは、私のこと、好きかな?」  
オリオンはへへ、と陽気に笑う。  
「好きじゃねえなら、こんな誘いに乗らねえよ。愛してるぜ、ミーシャ」  
「イマイチ真剣さが感じられないのが残念だけど…じゃあ、私も言い直すね」  
ミーシャは、照れ笑いを浮かべて言った。  
「私、オリオンのこと好きだよ。だから、オリオンじゃなきゃ、やだ。初めては―――オリオンがいい」  
「…へへ。今のお前、すげえ可愛いかも」  
「何よ、いつもは可愛くないっての―――あうっ…!」  
オリオンの意外に逞しい腕で、草むらに押し倒される。そのまま唇を奪われた。息苦しくなるくらいの口付けに、  
ミーシャの頭は真っ白になっていく。  
 
「う…く…あん」  
「じゃ、いくぜ。俺もやったことないからよく分からんけど…優しく、するから」  
「うん…痛くしちゃ、やだ…あ…」  
そそり立ったモノが純潔を押し開いてミーシャの中へ入っていく。想像していたほどではないけど、やっぱり  
痛かった。と―――頭に、オリオンの手が乗っけられた。そのまま、小さな子供をあやす様に撫でられる。  
「ほら。これでちょっとはマシか?」  
「…うん…」  
「じゃあ、後は…なるべく早く終わらすから…」  
ゆっくりとオリオンがミーシャの中で動く。処女のミーシャには、やはり痛みの方が強かった。でも。  
それは、嬉しい痛みだった。  
「ぐっ…!」  
「あ…っ!」  
オリオンが身を震わせる。同時に、自分の中で熱い命が迸るのをミーシャは感じた。オリオンは力尽きたかの  
ように、ミーシャの胸に顔を埋める。くすっと笑って、ミーシャはオリオンの頭を抱きかかえた。  
「ふふ、大きな赤ちゃんね。よちよち、ママですよ?」  
「てめえ…ガキ扱いすんなよ」  
「ふーんだ。大人扱いしてほしかったら、五分は持たせることね。文章にすれば十行で終わっちゃって、早射ち  
は弓だけにしときなさいよ」  
「バ、バカ!さっきはお前が痛そうにしてたから早く終わらせただけで、本気出せばもっと…」  
「それ、自信を持って言い切れる?」  
「…分かんねえ。すっげえ気持ちよかったから…」  
「あーあ、ずるいな。私はあんなに痛かったのに、オリオンだけ気持ちよくなっちゃって」  
「…悪い。次は…」  
「え?」  
「次は…ちゃんと、ミーシャと一緒に気持ちよくなれるようにするよ」  
「ふふ。そうね…次に期待してるわ」  
 
そして、二人はもう一度唇を合わせて―――  
ざっ、と、草を踏み分ける音がした。ぎょっとして起き上がると、そいつはそこにいた。  
エレフだった。オリオンの親友、そしてミーシャの双子の兄。  
その眼前には、素っ裸で抱き合う二人。シャレにならないほどの沈黙と気まずさが、空間を支配する。  
「…………えっと。何をしているんだね、君たち?」  
異様に優しい声だった。それでいて、異様に冷たい声と瞳だった。  
「何か物音がするから手早く見回りから戻ってみたら…二人して乳繰り合ってやがったのか…」  
「その…なんですか、どう説明したらいいのやら…」  
「くっくっくっく…ああ、なんか冥府から、俺の名を呼びつつ手招きしてるやたらデカい人が見える…そうそう、  
耐え難いンダ、失ウ痛ミハ」  
「エ…エレフ…あのね、これはね…」  
しかし今の彼に、二人の声は届かない。すっかり闇に取り込まれていた。  
「ナア…コレガミラノ望ンダ世界ナノカ?」  
そう言いながらエレフは泉へ向けて足を踏み入れた。冥府へ逝く気満々だった。  
「待て待て待て待て待ってくださいマイフレンド!こここここれはだな…4年に一回オリンピアで開かれるという  
伝説の大祭典に向けて、二人で格闘技の特訓をしてたのであって…」  
「そ、そうそう!世界一への道は厳しいものね!だけど私はついていくわ!さあ、金メダルを目指しましょう!」  
「フ、フ、フフフ…ヨリニヨッテソンナ言イ訳カ…オ前ラガ俺ニ何ヲシタ?トラウマモンノ光景ヲ見セ付ケテクレタ  
ダケジャネエカ!笑ワセンナーーーーーーっ!」  
「「ドッヒャーーー!!!」」  
ついにブチ切れ、雷を発しながら大暴れするエレフと、それをどうにか宥めようと必死なオリオンとミーシャ。  
夜は賑やかに更けていった―――  
 

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